二〇〇二年第三回新宿区議会定例会の終了にあたって

2002年10月20日  日本共産党新宿区議会議員団

 第三回新宿区議会定例会は、9月24日から10月17日まで開催された。

 1、小野田区長の住民税滞納と辞職について

 今定例会開催中の10月4日に、小野田隆区長の住民税3700万円滞納の事実が明らかになり、同氏は7日に区長辞職を申し出、新宿区議会は9日、出席した全議員の賛成で辞職に同意した(麻生輝久議員は退席して棄権)。
 区政の管理・執行の責任者である区長の住民税滞納は、長引く不況、失業、倒産など深刻な状態のなかでも必死に納税している区民に対する重大な背信行為である。わが党は、事実が明らかになった10月4日、ただちに政治的道義的責任をとって辞職することを要求したが、高まる区民の批判の前に、小野田区長が辞職したことは当然である。
 小野田区長の住民税滞納は、これが初めてではない。前回区長選直前の99年3月の区議会予算特別委員会でのわが党の追及に対し、98年度に滞納した事実を認め、「家族に財産管理を任せており」、「私の家族に対する管理不足」と釈明していた。にもかかわらず、再び住民税を滞納したのみならず、「財産等の管理は子どもがやっているのではっきりわからない」などと同じ釈明をおこなったことは、新宿区政に対する信頼を根本から傷つけた。前回の選挙で小野田区長を推薦し与党として支えてきた自民党、公明党の責任も問われているといわざるをえない。
 10月8日の決算特別委員会でのわが党の追及に対し、税務課長は、小野田区長本人に直接納税を督促していなかったことを明らかにしたが、住民税滞納の実態やこれまでの対応の全容は不明瞭なままである。わが党は、小野田前区長と区執行機関に対し、住民税滞納の全容と今後の解決方法を明らかにして、区民に謝罪することを重ねて要求する。

 2、歴史博物館など一連の不祥事について

 決算特別委員会でのわが党の追及により、区立歴史博物館で、元館長が、区内から出土した埋蔵文化財を、館長在任時(92年4月から2年間)に自宅にもち帰っていたこと、館長室に「経常的に3~4点ずつ」飾っていたこと、および、退職後の勤務先である新宿区社会福祉事業団の副理事長室に飾っていた事実が明らかになった。この元館長は、その後、小野田区長のもとで企画部長を務めた人物であり、わが党は、歴史的遺産を私物化することは許されないこと、任命権者である小野田区長の責任も問われていることをきびしく指摘して追及した。
 また、区立歴史博物館ではこれまで、区職員による林芙美子の書簡などの盗難、夏目漱石の「道草」草稿などの行方不明の問題などが起きているが、決算特別委員会でのわが党の指摘と追及によって、埋蔵文化財についても、四谷一丁目遺跡から出土した江戸時代初期の肥前系白磁陽刻唐花文小鉢などが行方不明となっていることも明らかになった。
 これらの問題について、区教育委員会は、わが党の再三の指摘に対して自ら積極的に事実を明らかにしようとせず、関係する職員、元職員などからの事情聴取もきわめて不十分であることも明白になった。
 このほか、10月10日に榎町特別出張所長が児童買春容疑で逮捕される事件も発生し、これら一連の不祥事は新宿区政に対する信頼を大きく傷つけた。この事態のもとで、区議会は10月17日の本会議で、「今回の相次ぐ不祥事は、前区長をはじめとした幹部職員の綱紀の緩みと断じざるを得ない」とする「区政の信頼回復に関する決議」を全会一致で可決した。わが党は、一連の問題の真相解明と再発防止、区政の信頼回復のために、全力でとりくむものである。

 3、「行財政改革計画」案、がん検診有料化条例などについて

 小野田区長はこの間、「財政非常事態宣言」をおこなって、区民にきびしく納税を求める一方で、敬老手帳や生業資金の廃止、保育料値上げを初めとし、区民のくらし、福祉を次々と切り捨ててきた。さらに、9月に発表した「行財政改革計画」案によって、図書館など区の施設の大規模な統廃合、区立保育園の全園民営化を初め民営化・民間委託の推進、区民負担の増大など、いっそうの区民犠牲の方向をうちだした。
 わが党は、今定例会の代表質問、決算特別委員会での質疑などを通じて、区民生活の深刻な実態を示して、「今こそ区政が国の悪政の防波堤となり、区民のくらしと福祉を守る自治体本来の役割を果たすことが求められている」と強調し、「行財政改革計画」案の方向は「自治体としての任務を放棄するもの」ときびしく指摘した。そのうえで、2000年度は16億円、2001年度は19億円と2年連続黒字という区財政の状況をふまえて、区民のくらしにしっかり視点をすえた財政運営に転換することを強く要求した。
 わが党は、19億円の黒字をつくる一方、がん検診精密検診、母子応急小口資金、生活保護世帯に対する夏冬の見舞金の廃止をはじめ、区民施策の切り捨てをすすめた2001年度決算の認定に反対した。
 小野田区長は今定例会に、成人健診とがん検診を有料化する条例を提案した。わが党は、有料化により受診抑制が強く懸念されて疾病の早期発見、早期治療に逆行すること、今定例会にも反対の陳情が出されるなど区民合意がないうえ、パブリックコメントの対象からも外して区民の意思表明の機会も与えていないこと、提案した小野田区長が辞職した以上、新しい区長のもとでその是非を判断すべきであることを指摘して、少なくとも今定例会では可決しないよう、最後まで力を尽くした。しかしながら、わが党と「社会」が反対したのみでこの条例案が可決されたことは、きわめて遺憾である。
 今定例会では、区民から提出された「図書館を9館1分室から4館に削減する構想の白紙撤回を求める陳情」「学校給食調理業務を民間委託化することに反対する陳情」が継続審査となった。これらは、「行財政改革計画」案にもりこまれている計画である。
 高橋和雄区長職務代理者は、「後期基本計画」「第三次実施計画」「行財政改革計画」などの内容について、新区長が改めて判断する必要があると表明したが、区長選での区民の審判を経てこれらの計画の見直しをおこなうことは当然である。
 今定例会に提出された櫻井美紀子氏の区教育委員任命の同意について、わが党は賛成した。

 4、区民要求実現めざすとりくみについて

 わが党は、議員提案権を行使して、「重度要介護高齢者入院見舞金の支給に関する条例」案を提出した。この条例案は、介護保険で要介護4または5と判定された高齢者で特別養護老人ホームに入所を申し込んでいて入所待ちしている間に病院などに入院している方の負担を軽減するために、月5000円の見舞金を支給するものである。この条例案は、提出者であるわが党9名と松川きみひろ議員(「一粒会」)のほか、「社会」2名が賛成したのみで、残念ながら否決された。
 定例会最終日の10月17日、わが党9名と「民主」5名、「社会」2名、「一粒会」1名の計17名の議員は共同で、区長職務代理者に、「新宿区建築計画の早期周知に関する条例制定の要望書」を提出した。これは、一定規模以上および小中学校・保育園等の施設に影響をおよぼす建築計画について、建築確認申請ができる日の90日前の周知などを定めた千代田区の条例を参考にするなどして、早期周知条例を制定するよう求めたものである。
 また、わが党は、代表質問などを通じて、幼稚園、小中学校の普通教室を来年夏までにいっせいに冷房化すること、JR駅のバリアフリー化の促進、介護保険料・利用料減免制度の改善と待機者の増加に見合った特別養護老人ホームの整備、野宿生活者(ホームレス)対策、中小企業への支援、住環境の保全、十分な個人情報保護の仕組みが整備できるまで住基ネットの接続を中止することなど、区民要求の実現を求めた。
 今定例会で、東京都に対する「小規模住宅用地にかかる都市計画税の軽減措置の継続を求める意見書」「小中学校の普通教室の空調化に対する財政支援を求める意見書」、政府と国会に対する「北朝鮮による日本人拉致問題に関する意見書」を全会一致で可決・提出したことは、重要である。
 わが党は、ひき続き、他会派との共同の努力をすすめ、切実な区民要求実現のために奮闘する。

 5、来る区長選について

 小野田区長の辞職に伴い、11月17日告示、24日投票で区長選がおこなわれることとなった。
 今度の区長選は、「区長が住民税を滞納するような無責任な区政は許せない」という区民の怒りが渦巻くなか、区政に対する区民の信頼を回復できるかどうかが問われる重要な選挙である。わが党は、区民から信頼されるまともな区政、公正でガラス張り、区民合意を大切にする区政、区民のくらしと福祉にしっかり責任をおえる区政の確立のために、広範な区民のみなさん、政党、諸団体との共同をすすめ、全力で奮闘する決意である。