四谷の統合新校への「幼保一元化施設」併設問題

--中山区長は、関係者・住民の意向を尊重する立場に立つべきです!


 四谷の3つの小学校を統合して07年に開校予定の小学校に、区が突然、幼保一元化施設(幼稚園と保育園を一体化した施設)を併設すると発表。関係者・住民の意向を無視して強引にすすめようとしていることに、怒りの声が広がっています。

統合協議会委員有志が区長に「見直し」を求める「提案書」を提出

 四谷地域では、関係者の長年の話し合いの結果、4月上旬に、3校の統合時期や統合新校の校地(旧四谷一小)、幼稚園を併設することなどを決めたばかりでした。ところが、4月下旬に区が突然、三栄町保育園を廃止して統合新校に幼保一元化施設を併設する計画を発表し、その設計委託費を含む補正予算を区議会第2回定例会(6月8日~17日)に提案しました。
 区が立て続けに開いた保護者や関係者などへの説明会では、「なぜ最初から言わないで、校地が決まってから言うのか」「幼保一元化施設をなぜ急いでつくる必要があるのか」などの声が次々と出されました。6月9日には、四谷地区小学校統合協議会委員有志から区長あてに、この計画の見直しを求める「提案書」も提出されました。

統合新校には幼稚園にのみを併設し、幼保一元化は住民参加で再検討を

 日本共産党は、区議会第2回定例会で、「行政の決定を一方的に住民におしつけるやり方はやめるべき」と批判し、新校には幼稚園のみを併設するという統合協議会が合意した内容ですすめ、幼保一元化については住民参加で再検討するよう、要求しました。そして、この立場から、幼保一元化施設の設計委託費を含む補正予算には反対しました。

■「幼保一元化施設」とは?

 幼稚園と保育園を一体化した施設。千代田区では80年代から準備を始めて、保護者、区民などの検討も経て02年に幼保一元化施設を開設しています。
 政府は、06年度から全国的に幼保一元化施設(「総合施設」)を導入する計画ですが、「規制をどちらか緩い方の水準以下とすべき」と言って、国の財政支出を大幅に削減したり、職員の配置基準を緩めることを検討しており、保育料値上げにつながることなども心配されます。日本共産党は区議会第2回定例会で、この点からもいっそう慎重に検討する必要がある、と指摘しました。

補正予算の採決で、与党議員が反対・棄権する事態に

 補正予算の採決(6月17日)では、四谷在住の自民党議員1名が棄権し、日本共産党と社会、四谷在住の民主・無所属クラブの議員1名が反対しましたが、賛成多数で可決されました。このため、日本共産党と社会は、関係者や地域住民などとの話し合いを積み重ねることを求める付帯決議案を提案しましたが、公明、自民(1名は棄権)、新宿無所属クラブなどの反対で否決されました。
補正予算は可決されましたが、区長は、住民の強い批判を背景に与党議員までが棄権や反対をした事実を重く受けとめるべきです。「区民との協働」や「区政への区民参加」を看板にする中山区政のあり方が根本から問われているのではないでしょうか。
 日本共産党は、関係者、住民のみなさんの意向を十分に尊重した結論がえられるよう、ひき続き力をつくす決意です。

■新宿区一般会計補正予算についての雨宮たけひこ議員の反対討論(2004年6月17日、区議会本会議)

 私は、日本共産党区議会議員団を代表し、ただいま議題となっております第48号議案、平成16年度新宿区一般会計補正予算に対し、反対討論をおこないます。
 本議案のうち、路上生活者対策、知的障害者グループホーム建設事業助成等の予算については、区が早急におこなうべき事業であり、賛成できます。また、教育費は四谷統合新校における小学校と幼稚園についての設計委託費等であり、「一日も早く幼稚園を併設した統合新校を。2007年(平成19年)4月に開校してほしい」という四谷地域住民のみなさんの願いにこたえるものであり、賛成です。しかし、福祉費における幼保一元化施設の設計委託費については、四谷地域住民、統合協議会の委員のみなさんの合意がえられていない状況であり、反対であります。よって、本議案に反対するものであります。 以下、その理由を述べます。

 第一に、幼保一元化施設の併設は、四谷地域の関係者、住民の合意がえられるには、まったくほど遠い状況にあることです。
 企画部と教育委員会は4月20日に突然、四谷地区小学校統合協議会委員に対し、四谷統合新校に、幼稚園と保育園を一体化した施設いわゆる幼保一元化施設を併設すると説明しました。区は5月26日以来6月14日まで、四谷第三、第四幼稚園、三栄町保育園での説明会、地域説明会等を開いてきました。そこでは、PTA、保護者、地域のみなさんから、「3校が統合してよりよい教育環境の整備、グランドも体育館もすばらしい学校にしてほしい。その思いでやっと決まった新校なんです。5年間の話し合いの末決定したこの努力をどう考えているのか」「なぜ保育園を併設するのか。あまりにも唐突だ」「いったいどこで決定したのか」「住民の意見を聞かずに区長の考えをおしつけるなら、なんでも区が勝手にやってください」などの意見が相次いで出されました。
 中山区長は、今年2月の第1回定例会の所信表明の中で、区政の透明性を高めるとして、「区政運営の各分野で、また政策形成過程から事業の実施に至るまで、区民の皆様との情報の共有を進めてまいります」。また、「区と区民など多様な主体が情報を共有し、対等な立場でそれぞれの特性を生かして協働することで、公共のサービスの提供や地域課題の解決に対応する場面が増えてきています」「区政への区民参加を進める」と述べています。この間の説明会で区長、教育委員会は、「幼保一元化は平成15年の行財政改革計画で決定しており、所信表明でも述べている。幼稚園の新設の際には幼保を進める」とし、「理解をしてもらいたい」とくり返しました。しかし、区は今年の4月20日以前には、四谷地域の関係者、住民のみなさんに対し、幼保一元化施設について具体的な説明を一度もしたことがありません。
 にもかかわらず、本補正予算を区議会に提出するわずか1カ月余の間に「理解してくれ」というのでは、区民との情報の共有もなければ、政策形成過程からの合意もなく、一方的に行政の決定を住民におしつけているのであって、区政の透明性のかけらもないではありませんか。
 四谷第一小、第三小、第四小のPTA、同窓会、地域の代表のみなさん、学校長で構成している四谷地区統合協議会のみなさんは、1999年(平成11年)7月に統廃合の話が出て以来5年間にわたり、子どもたちのよりよい教育と教育環境の整備を願い、話し合いを進めてきました。そして、4月7日の第6回協議会で、「統合やむなし。過去のことは水に流して、四谷地域の子どもたちのために、複数クラスでよりよい学校をつくる」と、「2007年(平成19年)4月開校、校地は旧四谷第一小、名称は四谷小とする」と決定しました。委員のみなさんは、仕事をさいて、家族に協力してもらい、時間をつくり、真剣な話し合いの末に決定したのです。それを根底からくつがえす幼保一元化施設の併設を突然もちこみ、強引ともいえるこの間の説明のやり方では、関係者のみなさんが納得できないのは当然ではないでしょうか。
 6月9日付けで、中山弘子区長へ、四谷地区小学校協議会委員有志による「幼稚園に関する提案書」が提出されました。この「提案書」は、「現在の幼保園計画は、敷地の不十分さと設置内容の不透明さから単に幼稚園併設の延長とは考えられず、このままでは納得できません」「現状の計画で、見直しが図られずに実行される場合は、協議会委員を辞することも考えています」「地域に開かれた学校を目指すのであれば、地域の声を活かして頂くようお願いいたします」と述べています。この声は、四谷地域で子どもたちの環境整備にとりくんできた人たちの共通の声であります。この声をおしつぶしてしまうなら、今後の区政のあり方にしこりを残すだけでなく、区政への区民の信頼を大きくそこなうことになるのではないでしょうか。

 第二に、新校は、四谷第一小の校地に幼稚園を併設して建設するという、統合協議会の合意の内容にすべきであります。
 統合協議会の委員や地域のみなさんが指摘しているように、保育園を含めた幼保一元化施設の併設は、子どもたちのためのよりよい教育環境づくりの願いに反することになります。160人から180人の園児にわずか360㎡の園庭で、安全で安心して遊べるスペースといえるでしょうか。常設のプールも設置できず、「体育館の下に押し込んだ」というイメージはぬぐいされません。 さらに、小学校の環境にも影響を与えることになります。50年、100年の施設と考えた時、とても地域のみなさんが納得できる施設とはいえません。

 学校跡地の活用について一言述べたいと思います。
 わが党は、学校跡地については、区民の貴重な財産であり、区民の要望にもとづき、活用すべきことを一貫して主張してきました。旧淀橋二小跡地、旧四谷二中跡地のように、不動産業的活用の仕方をするのではなく、住民が利用できる施設とするよう求めてきました。
 今回、四谷第四小跡地については、「四谷四小地域住民のみなさんからも、防災広場やレクリエーションのできる広場、子どもや高齢者が使える施設を」と要望が出ていました。区長も、今定例会でそのような方向での答弁をされました。校舎もふくめてどのように活用するのか、地元住民の幅広い人たちでつくる「会」のような住民参加の新しいとりくみをおこなうよう提案します。また、四谷第三小跡地についても、同様な「会」をつくり、四谷地域、新宿全体を考えた、計画の段階からの住民参加型の跡地利用にすべきです。

 さて、今後のすすめ方についてであります。
 現在でも、統合協議会の委員のみなさんも、四谷のPTA、地域のみなさんも納得していません。統合協議会の決定どおり、幼稚園併設の統合新校とすべきです。保育園併設の幼保一元化については撤回し、再検討すべきであります。

 最後に、今回の問題は議会にとっても重要な問題だったのではないでしょうか。4月20日の当然の発表以来のこの間の経過は、議会軽視と言わざるをえません。幼保一元化に対して、議会として具体的な説明、検討もないまま、スタートしていいのでしょうか。事業計画の是非、内容の是非の検討もないまますすめることは、私たちが区民に対して説明責任を果たせるのでしょうか。区と同様に区民に一方的に理解を求めるのが、区議会の果たすべき役割ではないと考えます。区民の付託を受けた区議会としての判断を求めて、反対討論を終わります。