2009年第4回定例会 一般質問 田中のりひで議員

定住外国人の無年金高齢者・障害者に対し、福祉特別手当制度を実施することについて 

 定住外国人の無年金高齢者・障害者に対し、福祉特別手当制度を実施する事について質問いたします。
新宿区は外国人登録者数は11月1日現在35,337人を超え東京で一番多く、特に韓国・朝鮮籍の外国人については今年7月1日現在で14485人、東京全体の117501人に比しても10%を大きく超えています。また納税義務者数も7000人近くになっています。
  2008年度3月に出された2007年度新宿区多文化共生実態調査によると「生活で困っていることや不満のこと」の問いに、日本での滞在期間が50年以上の方の19.0%の方が「年金」をあげています。また、「日本人からの偏見・差別」をあげた方が31.0%、「選挙権がない」が54.8%となっています。
  この調査の「考察と提言」では「地方自治法は「住民」すなわち「区民」の要件についてとくに国籍についての定めを持たず、「住所を有する者」とし、その上で、「役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。」と規定していることから、日本人と同じ基準で納税の義務を負っている人は「新宿区民」として認定されるとしています。
  また、新宿区の外国人区民において「定住意向」が73.7%と高く、日本人区民の「定住意向」78.2%と大きな違いがありません。そのことは日本人も外国人も区民として尊重され住みやすいまちになることを「大いに期待する」が59.4%、「どちらかといえば期待する」が28.6%で期待するが9割近くになっていることと考え合わせると、新宿区がその期待にこたえる区政の実現に取り組むことが強く求められています。
  すでに、2007年第3回定例会には「定住外国人高齢者・障害者に対する福祉特別手当に関する陳情」もだされており、まさにそんな期待にこたえることができるかどうか、定住外国人の無年金高齢者・障害者対策の実施はその試金石のひとつになっているのではないでしょうか。
  1982年1月1日、難民条約の批准に伴う国籍要件の撤廃により加入資格が日本国民に限られていた「国民年金法」が改正され、定住外国人についても国民年金へ加入することができるようになりました。ところが25年間の支払い期間を満たせないという理由で、当時は60歳からの受給だったため、当時35歳を超えていた方は老齢基礎年金の対象にはなりませんでした。その後、1986年の制度改正により、老齢基礎年金に関しては、資格期間とはみなすが、年金支給額の計算には入れない、いわゆるカラ期間が導入され、1982年1月1日前の期間についても資格の合算対象期間とされる改善が図られ、一部の方は救済されました。しかし、1986年の改定時点で、当時60歳を超えていた方々は物理的に加入期間が全くないことを理由に、日本人と同等に税負担をしているにもかかわらず、同様のケースの日本人高齢者ならば受給できた老齢福祉年金の受給も一切認められませんでした。
  また、2005年4月から施行されている「特定障害者に対する特別障害給付金の支給法律」は、救済対象から「定住外国人無年金障害者」を除いています。同法の附則で「定住外国人無年金障害者」については、今後検討が加えられ、必要があると認められる時は、その結果に基づいて所要の措置が講じられるものとする」と明記されています。また、国会では2004年12月、同法採択に際し「附帯決議」で「無年金障害者の生活を支える家族の高齢化等の実情」を踏まえ、「定住外国人無年金障害者等に対する救済措置について早急に検討を開始する」ことを政府に求めています。しかし、いまだに定住外国人の障害者で、20歳に到達した日又は障害認定日が1982年1月1日前である者については、障害基礎年金の対象になっていません。
  無年金定住外国人は1926年4月1日以前生まれの83歳以上であり、障害者は47歳以上になっています。もう待ったなしのところにきているのではないでしょうか。お話を伺った方のお母さんはすでに90歳をこえているそうです。戦後おとうさんと結婚するために韓国から来日したそうです。国籍条項で年金に加入できず、無年金になっています。生活上も助かるし、なによりも権利が認められることが大きな喜びだそうです。また、83歳の女性は富山県で生まれ、今は新宿区住んで30年になるそうです。70歳ぐらいまでは韓国語の通訳として収入を得ることもできたけれど、今は仕事もほとんどないとのお話です。せめて他区の様な制度があれば助かるとお話をされていました。「なぜ新宿区はやらないのでしょうか」と問われて絶句してしまいました。また、今年90歳になる男性の方は戦前19歳で来日し、疎開で群馬県に移り、戦後は前橋で住み、新宿区に住んで40年以上になるそうです。国民年金にも加入できず今は子どもさんと一緒に生活をしていますが、この制度が実現されることを願っていました。  
  国民年金に加入できずまさに新宿で暮らすこれらの方々に対して国の制度改正を要望しつつもそれを待つことなく他自治体が実施している「高齢者・障害者特別給付」として、福祉施策の実施が求められています。
  すでに政府の対応を待つことなく全国的に見ると高齢者給付金では道府県では神奈川県、北海道、兵庫県、京都府、滋賀県、鳥  取県、府県では実施していないものの、大阪府や愛知県では大半の市町村で実施されています。
  障害者給付金では道府県では神奈川県、北海道、大阪府、兵庫県、滋賀県、鳥取県、京都府が実施しています。すでに日本全国で700以上の地方自治体が、地域住民であるこれらの無年金定住外国人に対して独自の福祉手当「高齢者特別給付金」「障害者特別給付金」を支給しています。
  23区の実態を調査するとこの問題では23区中、高齢者は10区で障害者は11区ですでに実施されています。
お隣の豊島区では重度心身障害者特別給付金を1994年度から月額30000円で1名の受給者、特別永住者福祉給付金は2003年度から月額10,000円で実施し、5名の受給者になっています。
 今年4月からは墨田区、江東区、大田区で新たに実施され、墨田区では無年金高齢者対策として特別永住者福祉給付金を月額15,000円を10月現在5名の方が受給し、障害者特別給付金は月額30000円を1名の方が受給しています。また、今年始めた江東区は墨田区と同額で高齢者の受給者が12名のみとなっています。大田区は高齢者の受給者数がもっとも多く24名になっています。
 新宿区の人口集計の今年7月1日現在では83歳以上の外国人は134名登録されていますが、特別給付金の対象者数はこれ以下になることは明白です。
 このことは区財政にとっては大きな負担ではなく、しかし事業はこれを急いで実施しなければ未来に大きな禍根を残すものになることを示しています。まさに直ちに実施することが求められているのではないでしょうか。
 そこで質問いたします。
 第1に区はこれまでも国に対し要望をおこなってきたとしていますが、これまでどんなとりくみをされてきましたか。また、新政権に対し要望はおこないましたか。今後の計画もお答えください。
 第2に、区は本来第一義的には国がやるべきことといってきましたが、この間多くの地方自治体ですでにとりくみがおこなわれていますが、こういった動きにどのような見解をおもちですか。
 第3に区は受給対象者数をどのように見込んでいますか。
 第4に、受給対象者数は年々増加するどころか、事業の性格上減少していくことは間違いありません。したがって持続的な制度ではないことから当然財政的な負担は必ずしも大きくありません。その点では新宿区の財政力から十分対応可能だと思いますがいかがですか。      
 第5に日頃から地域主権や外国人との共生を提唱する立場から、国の動向を見守るのではなく自治体として取り組むべきと思いますがいかがですか。
 最後に、すでに23区でのこれらの制度を実施している区が半数をこえています。いままで半ばあきらめかけていた外国人の人も「新宿区はまだ実施しないんですか」とお話をしているそうです。区長、選挙権もなく長年差別や偏見に苦しみ、しかし、それでも日本で、そして新宿でともに新宿区民として生活する外国人区民のみなさんに共生の真のメッセージをおくるためにも直ちに制度を実施しようではありませんか。区長の見解をお聞かせください。
 
 
(区長答弁)
 定住外国人の無年金高齢者・障害者に対し、福祉特別手当制度を実施することについてのお尋ねです。
  区はこれまでも、ご指摘の課題は本来国が救済すべきものとして、全国の区市で構成する「全国都市国民年金協議会」や東京都区市町村で構成する「東京都国民年金協議会」及び「全国市長会」を通じて再三にわたり救済措置を講ずるよう要望してまいりました。
 今後も、引き続き国に対して、実態の把握と救済措置を講ずるよう「全国都市国民年金協議会」等を通じて要望してまいります。
 なお、定住外国人の無年金高齢者・障害者に関する問題は、第1議的には、国の責務であるとの認識にかわりありませんが、定住外国人の置かれた状況や、高齢者の進行など勘案すれば、区といたしましては、これ以上先送りしがたい段階に来ていると考えています。