| >区議会だより>2002年第一回定例会 |
| ■2002年第一回定例会 佐藤議員 |
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2002年第1回定例会に当たり、私は日本共産党新宿区議会議員団を代表し、区長並びに教育委員会に質問いたします。 区長は、基本方針説明で2002年度が区長としての任期の最後の年と述べました。私たち議員にとっても、今期の締めくくりの年度となるわけであります。今、日本の政治は新たな激動と転換の局面を迎えつつあります。私は、国民の皆さんとともに、この日本政治の国民本位の転換のため、一層力を尽くす決意であることを申し上げ、質問に入ります。 最初の質問は、区長の政治姿勢にかかわり、ブッシュ大統領の行った「悪の枢軸」発言と、これに対する小泉首相の態度への区長の認識についてであります。 ブッシュ・アメリカ大統領は、1月に行った一般教書演説の中で、北朝鮮、イラン、イラクの3カ国を平和を脅かすテロ支援国家、悪の枢軸だと決めつけ、これらの国にあらゆる手段を講じるとして、軍事攻撃さえ示唆するという極めて重大な発言を行いました。特定の国を悪と決めつけ、一方的な軍事力行使も辞さないというこうした立場は、国連憲章に基づく世界の平和の秩序を破壊する無法そのものであります。この発言に対し、世界各国から直ちに厳しい批判が巻き起こったのは当然であります。その批判は、名指しされた国からだけではなく、アメリカの同盟国であるフランスやドイツなどのヨーロッパ諸国、さらにアジアや中東各国の首脳やマスコミからの、文字通り一斉のものでありました。 そして、アメリカ国内においてさえ、オルブライト前国務長官を初め有識者やマスコミから次々と批判の声が上がっているのであります。こうした世界の世論の中で、極端なまでのアメリカ追随の姿勢を示したのが日本の小泉首相でありました。小泉首相は、先の日米首脳会談で、ブッシュ発言をテロへの毅然とした決意のあらわれと賛美し、いわば無条件支援を表明したのであります。この小泉首相の立場は、アメリカの立場に同調することをせず、対話による解決を強く主張した韓国大統領及び中国の国家主席と比べても、余りにも異常と言わなくてはなりません。 区長にお伺いいたします。区長は、ブッシュ大統領の「悪の枢軸」発言と、それに対する世界各国の批判の声、一方での小泉首相のアメリカ追随の姿勢について、どのような認識をお持ちでありましょうか。平和都市の区長として、ブッシュ大統領及び小泉首相に対し、批判と抗議の声を上げるべきと考えます。御見解をお示しください。 次に、医療保険制度改革への区長の評価と対応についてお伺いいたします。 さまざまな経過がありましたが、政府与党はサラリーマンの医療費本人負担の2割から3割への引き上げを来年4月から実施することや、高齢者医療費などの自己負担限度額及び保険料の引き上げなど、国民負担を大幅にふやすことを盛り込んだ法案の国会提出で合意しました。一方、政府はこの4月からの診療報酬の引き下げを決めましたが、その中では長期入院患者への診療報酬を一部カットし、月額5万円もの自己負担を新たに押しつけようとしています。特別養護老人ホームや老健施設などの介護施設の整備がおくれている中、行き場のない高齢者が続出するのではないかとの不安が広がっています。私たちが繰り返し主張してきたように、日本の医療保険制度の改革は、今政府が進めるような、患者と国民負担をふやす方向ではなく、諸外国と比べても低過ぎる国庫負担を適正化すること、高過ぎる薬剤費を引き下げること、そして保健と予防に本格的に取り組むという方向で行われるべきであります。 区長は、政府与党が最終的に合意した法案の内容をどのように評価しているのでありましょうか。法案の内容は、区の国民健康保険事業や老人保健事業にも直接かかわってきます。長期入院患者に対する診療報酬カットは、区の介護施設の基盤整備にも関係してくる問題であります。こうした点を踏まえて、区長の認識と対応をお伺いいたします。 次に、区長が22日の本会議で行った区政の基本方針説明についてお伺いいたします。 まず初めに、私の率直な感想を述べさせていただき、それに対する区長のお答えをいただきたいと思います。 区長は、今回も「区政は区民のためにある」との言葉を強調しました。同時に今回の基本方針説明では、「血の通った区政」「心が通い合う区政」「温かさがゆきかう区政」という言葉が多用されていることも印象づけられたところであります。では、区長の基本方針全体から、これらの言葉が真に裏づけられるような方向が示されたでありましょうか。残念ながら私にはそれを感じることができませんでした。それはなぜでしょうか。それは区民のためと言いながら、その区民が現下の経済情勢下でどのような暮らしを送っているのかということについての区長の思いが伝わってこないからであります。私たちは、昨年の基本方針説明についても、区民生活についての言及がないことを指摘しました。にもかかわらずことしも一切触れようとしない。これはなぜでありましょうか。これも区長の信念なのでありましょうか。 私は、基本方針の記述の中で、こうした区長の視点をよくあらわしている部分があると思います。区長は、「経済状況が深刻化している」との表現を2カ所で使っています。ところがそれに続く言葉は、「したがって、区財政を取り巻く状況は一層悪化している。より厳しい財政運営のかじ取りが必要だ」というものであります。区長の関心は、もっぱら区財政にしかないのでありましょうか。区長が本当に血の通った区政をやろうとするのなら、この深刻化する経済情勢のもと、例えば失業率が史上最悪を更新し続けているという事態に、区民も置かれているということに何か感じることがあるはずであります。こうした区民生活への思いの表明を抜きに、区民との協働による新しい公共社会を幾らうたい上げても、私には「区政は区民のためにある」という言葉が「区民は区政のためにある」と言っているように聞こえてしまうのであります。 私は、区長がかつて述べたように、区民生活を支えるためにも、区の財政基盤の確立は不可欠であると思います。しかし、そのことは財政確立のみを自己目的化することとは違うはずであります。区長が、現下の区民生活の実態をどのように認識し、どのような区長としてのメッセージを発信しようと考えているのか、まずお答えをいただきたいと思います。 続いて、区長が基本方針の中で触れた幾つかの事柄について、順次お伺いいたします。 第1は、いわゆる構造改革についてであります。この「構造改革」という言葉も、今回の基本方針で繰り返し使われている言葉となっています。区長は、日本再生を図るための構造改革が求められていると強調しています。では、区長の期待する構造改革とは何でありましょうか。区長が引用した小泉内閣のいわゆる骨太方針は、二、三年の間、国民が痛みと低成長を甘受すれば、日本経済は再生に向かうというプログラムを描いています。そして、小泉内閣はこの方針に基づき、構造改革の名で行ってきたことの中心は、いわゆる不良債権の処理であります。しかし、この路線は倒産と失業を激増させ、今日のデフレを引き起し、肝心の不良債権をさらに拡大させる結果になっているではありませんか。この小泉改革の実態に対する国民の失望感が広がる中、田中真紀子外相の更迭を契機に内閣支持率の暴落が始まっているのであります。区長は、日本国民が現に直面している経済の現実からして、この小泉内閣の構造改革を進めることが、日本再生につながると考えているのでありましょうか。そうだとしたら、その根拠を含めてお答えを願います。 続いてお伺いすることは、今改革すべき構造とは何かということについてであります。 田中真紀子前外相は、「政治改革なくして構造化改革はない」と述べました。私も全くそのとおりであると思います。この間も加藤紘一自民党元幹事長の金庫番と言われた秘書や、鹿野道彦前民主党副代表の自民党議員時代の秘書による公共事業の口利き疑惑、塚原宏司元自民党都議のあっせん収賄容疑による逮捕など、政治家と金をめぐる事件が相次いで発覚しています。そして、その極めつけが今まさに政界を揺り動かしているムネオ疑惑であります。政治家が官僚と癒着し、公共事業に介入し、利権をむさぼり、国民の税金を食い物にする、この政・官・業の見にくい癒着構造の打破なくして日本の再生はあり得ません。この癒着構造の接着剤となっているのが企業献金であります。 小泉首相が、医療保険制度の改革を声高に叫びながらも、高過ぎる薬価の問題に手をつけないのは、薬剤大企業から毎年多額の政治献金を受け取っているからだと言われているのであります。区長は、政治家として一連の事件、とりわけムネオ疑惑についてどのような認識をお持ちでしょうか。企業の政治献金を媒体とした政治の腐敗構造の改革こそ求められているとは考えないでありましょうか、御見解をお示しください。その上で区政における構造改革についてお伺いいたします。 区長は、行財政の構造改革は喫緊の課題と述べ、いろいろなことを言っています。しかし、区長が今の区政のどこに構造的問題があると認識し、どこを改革する必要があると考えているのかが、もう一つ伝わってきません。要するに、歳入の見通しが不透明な中、いかなる歳入不足にも対応できるレベルにまで、歳出構造の削減を図ることが区政における構造改革の課題であると言っているのでありましょうか。そうでないとするならば、時代の変化に柔軟に対応できる行財政の仕組みと体質の確立などという抽象的な言い方ではなく、私にもわかるような言い方で、区長の考える区政の構造改革論をお示し願いたいと思います。 第2は、参加と協働のまちづくりという提起についてであります。 私たちは、常々自治体運営にとって、住民こそ主人公という立場が肝心であると主張してきました。そうした立場からの参加と協働について、区長の考えをお伺いいたします。区がその行政施策を進める際、ボランティアやNPO活動に参加されている方を初め、多くの区民と信頼関係を持って協働をし、そうした人々の活動を尊重しながらともに考え、知恵と力を出し合っていくことは、これからの区政にとって大きな意味があると考えます。私は、区がそうした立場に立ったとき、区の役割は高まることはあっても縮小することあり得ないと思います。そこで具体的にお伺いいたします。 1点目は、区長が「特別出張所を地域における協働の核として重視する」と述べていることについてです。区長はこのように言う以上、特別出張所の体制と機能の強化をどのように考えているのでありましょうか。特別出張所は、ことし、来年と連続して職員の削減が計画されています。核として重視するといっても、それにふさわしい機能と体制がなければ、それこそ絵に書いたもちなってしまいます。特別出張所の体制と機能の強化についての区長の方針をお伺いいたします。 2点目は、新年度に行う協働推進計画の策定に向け、当事者の皆さんとのまさに協働をどのように進めようとしているかについてです。率直に言って、NPOという言葉が多用されている割には、区とNPOとの連携はまだ進んでいないように思われます。アフガニスタン復興支援会議から排除されたNGOの代表の方が、「お上は信用できない」と述べましたが、私の知っているNPOの中には、余り区を信用していない方もおられます。区長はNPOとの信頼関係の上に立った連携を図るために、どのような働きかけを進めようとしているのでしょうか、お答えを願います。 3点目は、区長が基本方針説明で述べた区民参加とパブリック・コメントの制度化及び区の政策立案に区民の意見を取り入れるための仕組みについてであります。 私たちは、今定例会に向け、新宿区自治基本条例に関する区民懇談会条例案を作成し、区当局並びに議会各派の皆さんに提起をさせていただきました。区長の言うところの制度や仕組みは、すべてこの自治基本条例に取り込むことができますし、また、条例に基づく制度として創設することが可能であります。したがって、私は、区長が私たちの提唱している条例にぜひ賛意を表明していただきたいと思うのであります。もしにわかにそれができないのなら、その理由を明らかにした上で、自治基本条例についての区長の基本的スタンスをお示し願いたいと思います。 第3は、区財政の現状認識とそれを踏まえた今後の区政の方向についてであります。 区長は、区の財政状況について、去年は「小康を得るに至っていたが、その後の経済の深刻化により今状況は一層悪化している」との認識を示しています。果たしてこの表現は適切でありましょうか。昨年区長は何を根拠に小康を得るに至ったとの認識を示したのでありましょうか。それは都区財政調整交付金の増収を主な要因として、2000年度の区財政が実質単年度収支で5年ぶりに黒字化することが確実になり、あわせて2001年度、すなわち今年度の予算における財源不足額を20億円に圧縮できたからにほかなりません。それでは現時点ではどうでしょうか。今定例会に提出されている今年度の最終補正予算では、区民税の久方ぶりの増額補正などにより、昨年度に引き続き財源不足を解消し、財政調整基金を全額繰り戻すとともに、減債基金に21億円の積み立てが可能となりました。 この結果、今年度末の各種基金の合計金額は、バブル最盛期の1990年度以来、実に11年ぶりに前年度比で増額することが明らかになったのであります。そして、新年度予算の財源不足額は、今年度とほぼ同じ21億円でありますから、少なくとも数値的には昨年小康を得るに至っているとの認識を示した時点に比べ、一層悪化しているとは言えないのであります。 以上を指摘した上で、以下3点について質問をいたします。 1点目は、こうした区財政の現状を踏まえ、区長の言うところの血の通った区政を施策としてもっと具体化すべきではないかということであります。このことは今年度の補正予算で区民税が10億円も増額補正となったことをどう教訓化するのかということと結びついています。増額補正の要因は2000年の区民所得のうち、特別徴収分が見込みよりふえたことが大きく影響しているようであります。実体経済が活気づくことが、税収増にいかに貢献するのかをこのことは教えています。経済対策は国の仕事と決めつけるのではなく、区政においてもその守備範囲の機能を可能な限り発揮して、区内の経済を少しでも活気づかせるための施策展開が求められているのであります。区長は、昨年この場で私たちのこうした指摘に対し、「ただただ旧態依然たる手法にのみ寄りかかり、結果として区財政を破たんに導くがごときは、区民の信頼に背くことになる」などと、まことに見当違いの答弁を行いました。私は、この際、ただただ財政健全化のみを繰り返し、区民生活を冷え込ませ、結果として区財政を破綻に導くかごときは、区民の信頼に背くことになると申し上げた上で、区長の御見解を重ねて求めます。私が前段で述べた区財政の現状に対する認識とあわせてお答えを願います。 2点目は、これも昨年も指摘したところですが、区長が再開発事業など当面の投資的事業への区の財政支出について、どのような方針で臨もうとしているかについてであります。 区長は、昨年の私たちの質問に対して、道路等の社会資本の整備を図っていくことは重要などと一般論で答え、質問したことにきちんと答弁しませんでした。したがって、もう一度お伺いしますので明確にお答え願います。新年度予算には、西新宿五丁目、六丁目、八丁目、そして西富久地区の再開発への補助金が計上されています。このうち西新宿八丁目地区については、今年度2万 6,000円だった予算額が、新年度は一気に 4,000万円に膨らんでいます。このように、再開発事業は事業の具体化に伴って経費が一気に拡大せざるを得ないのであります。さらに投資的事業という点では、都市計画道路補助72号線の建設について、区は後期基本計画骨子案の中で、2期区間に重点化するという方向を示しています。2期区間は民有地が中心の区域でありますから、ここの事業化に乗り出すことになると、莫大な事業費が必要となります。 もう一つは、新宿駅の東西自由通路であります。東西自由通路をどこにつくるのか、この点ではほぼ答えが出ました。問題はその事業費をだれが負担するのかという点であります。区が負担するということになったら、これまた莫大な金額となることは明らかであります。区長は基本方針説明で、優先度による施策の重点化を図ると述べていますが、これらの投資的事業を重点施策と考えているのでありましょうか。念のために申し上げておきますが、私はこれらの事業が将来とも必要ないとか、中止せよと主張しているのではありません。しかし、区長が財政の悪化を強調し、施策の再構築を言いながら、こうした事業については新宿区の都市基盤にとって重要であるというだけで、巨額の財政支出に踏み切るという旧態依然とした対応をとるとしたら、区長の言う構造改革には疑問符をつけざるを得ないのであります。 私は、これらの事業に当たっても、事業の凍結及び区の財政負担の回避などをきちんと方針化し、当面の区財政に負担を生じることのないよう厳密に対応すべきと言っているのであります。市街地再開発、72号線、東西自由通路の3事業について、区長は当面の区の財政負担についてどのような方針で臨もうとしているのでありましょうか、御答弁を求めます。 3点目は、東京都が先日発表した中小企業を対象とした固定資産税等の軽減策の実施についてであります。私は、都がこのような形で、不況下にある中小企業の支援を行うことは結構なことと考えます。しかし、一方、固定資産税は特別区固有の財源でもあります。東京都の独自の判断により実施する今回の措置により、特別区の財政に影響を及ぼすようなことがあってはなりません。既に区長会長である矢田中央区長は、今後区側と誠意を持って話し合ってもらいたいとの談話を発表していますが、私はその話し合いの中では、今回の軽減措置は、あくまで都の責任でもって実施することとし、特別区の財政に影響を及ぼすことのないよう強く主張すべきと考えます。 以上、区財政に関して区長の御見解をお示しください。 次に、雇用対策について質問をします。 第1の質問は、緊急地域雇用創出特別交付金事業についてであります。 一昨年から実施されてきた緊急地域雇用特別交付金事業は、就労期間が短いなどのさまざまな問題点はあるものの、全国的には一定の成果を上げました。しかし、残念ながら新宿区の同事業の雇用創出効果は極めて小さかったと言わざるを得ません。例えば、2000年度では100 万円当たりの雇用創出は26.7人日でした。北海道では同じ年度 100万円当たりの雇用創出効果が92.8人日であったことと比較すると、賃金水準の格差等を考慮に入れても、新宿区の雇用創出効果が極めて低かったことは歴然としています。 また、この年度実施した細街路台帳の作成は1億円を超える事業であったにもかかわらず、新規の雇用者の中に区内在住者は1人もおらず、区内失業者の雇用につながらなかったことも重大な問題点と言えます。区長は、自らが行った旧交付金事業を雇用創出効果という視点からどのように総括しているのでしょうか、まずお伺いいたします。 交付金事業継続の要望が国民から寄せられ、政府は昨年11月、旧事業を引き継ぎ、緊急地域雇用創出特別交付金事業を3年間にわたって実施することを決めました。この新交付金事業は人件費割合8割以上、新規雇用に占める失業者割合はおおむね75%以上であること、失業者への募集の義務づけ、条件つきながら就労期間の更新を認めるなどの改善策が盛り込まれたことで、雇用創出効果により役立つ事業となりました。区は今度こそその趣旨を生かして、事業を具体化する企画力が求められています。新交付金事業を実施する上で、どのような点に留意し、新年度に予定している7事業を企画したのかをお聞かせください。新年度の事業で区が直接行う学校図書館整理員派遣事業は、合計 3,440人日の雇用創出を目標に時給900 円で募集することにしています。事業費総額を時間当たりで割り算すると1時間当たり983 円です。 一方、民間に委託する事業では、放置自転車対策推進事業は1時間当たり 1,207.5円と、民間の人材会社に委託を予定している子育て支援業務委託は、1時間当たり 2,212円です。ここからうかがえるのは、パートタイムの時給が 900円と低過ぎるという問題はあるものの、区が直接事業を実施する方が、民間に委託するよりも雇用創出効果を発揮できるということであります。交付金の効果を引き上げるためにも、国に対して委託についての縛りをなくし、自治体の直接実施を拡大する方向で改善を要求すべきだと考えますが、区長の見解をお示しください。 また、緊急地域雇用創出という名称からしても、地域内に在住する者の新規雇用の拡大につながることが求められます。区の直接実施事業は広報で募集するため、区民の雇用確保につながると思われます。委託事業でも区内の失業者が就労できるような措置を可能な限り講じるべきだと考えますが、あわせて区長の見解をお聞かせください。 雇用対策の第2の質問は、新宿区が雇い入れているパートタイマーなど、不安定雇用労働者の賃金、労働条件と民間に委託する際の委託先の労働者の賃金についてであります。先ほど述べた雇用交付金事業でも、区がパートタイムを雇用する際の時給は 900円とされています。保育園などで現に雇用しているパートの賃金も、時給 900円に引き下げると言われ、現場では不安と混乱が広がっています。また、区は現在さまざまな業務の民間委託を進めています。本来、住民の命と安全を守るべき自治体が経費節減のもとに、業務のアウトソーシングを進め、業務を通じて低賃金労働者を生み出し、区内の賃金相場を引き下げ、消費購買力を低下させる役割を果たしているのです。賃金は下げるがハイレベルのサービスを提供せよというのは、余りにも虫のよ過ぎる話であり、低賃金労働への置きかえは当然区民サービスの低下に直結します。 アメリカでは、今自治体が発注委託する事業や臨時的雇用について、賃金の最低保障を条例化するリビングウエイジという市民運動が広がっており、デトロイトでは住民投票の結果81%の賛成で、条例化が行われたそうであります。ロンドンでも市民に最高のサービスを提供するためとして、市の発注事業の受注者に、市職員並みの労働条件を課す取り組みが進んでいます。このように、自治体が雇用するパートタイマーや委託先の労働者の賃金、労働条件を公正かつ適正な水準に引き上げることは、世界の流れになりつつあります。我が国でも、先日朝日新聞が報道したように、自治体の民間委託の入札条件に、社会貢献度を加えようとする動きが広がっています。その中には、環境や男女共同参画などとともに、労働条件確保も含まれてきています。我が新宿区も住民サービス向上の意味からも、パートや委託先の労働者がまともな生活が送れる賃金、労働条件の水準となるよう、パートの雇用条件や委託契約のあり方を見直すべきだと考えます。区長の認識と見解をお聞かせください。 次に、野宿生活者、いわゆるホームレスの人々への対応策についてお伺いいたします。 この問題について、区長の基本方針説明では、「区としてできることに努めていくとともに、今後も総合的な支援策を国や都に働きかけていく」と、極めて一般的に述べるだけで、余り熱意が感じられない表現になっています。しかし、この課題は社会問題としては今や新たな次元に入ったと言わなくてはなりません。1月19日、新宿中央公園での爆発事件で瀕死の重傷を負った方は、この公園の野宿生活者でした。また、1月25日には東村山市でゲートボール場の一角で野宿生活をしていた男性が、中学生らの暴行を受け死亡するという事件が発生し、日本社会に衝撃を与えています。野宿生活者の問題が、これまでの当人の生活や健康、町の美観や公園の適正な利用といった観点からの課題にとどまらず、この問題が長期にわたって常態化することによって、社会全体が病理的なゆがみを来し始めるに至った事態として、深刻に受けとめるべきではないでしょうか。ターミナル駅周辺や公園などにおける野宿生活者の問題の解決は、区民の区政に対する最も強い要望の一つになっていることは、区長を囲む会等で出された後期基本計画等に対する区民意見や、区長へのはがきなどでも明瞭であります。 私は、国や都の対策を強化させるためにも、区の本格的な取り組みを求めるものであります。 まず、第1に、この課題の解決にこそ区長が基本方針で述べたところの、区民と区が知恵を出し合い、協働と連帯の力を発揮し、区民から見て変化がはっきりわかるように、スピードを持って果断に対応すべきだということであります。私は、区が東京都及び他の区と共同して、緊急一時保護センターや自立支援センター、グループホームの開設といった野宿生活者の自立支援システムを確立し、着実な推進を図っていることは十分承知しています。その上で申し上げます。私は、この際、野宿生活者、ホームレス問題解決のための新宿区行動計画の策定を打ち上げるべきと考えます。 国会には、議員提案によるホームレス自立支援臨時措置法案が提出されています。同法案でも特別区はホームレスの自立支援に関する実行計画を策定することが規定されています。法の成立を待つまでもなく、区長が率先して計画づくりに乗り出すことが求められています。そのために、区民を初め各層の方々との共同した調査研究、シンポジウムの開催、そして自立支援活動への具体的実践などに取り組むべきではないでしょうか。野宿生活者自身の意見を聞くとともに、野宿生活者に対する率直な意見表明の場もあっていいと考えます。こうした活動を通じても、ボランティアやNPOとの積極的連携を図るべきであり、これらの団体や個人に対する行政としての適切な支援策も講じるべきであります。 また、最近社会福祉協議会においても、野宿生活者の自立支援が重要課題として認識されてきたようであります。区としても社会福祉協議会に対し、より積極的な取り組みを要請すべきではないでしょうか。このように自立支援と適切な援護による野宿生活者問題の解決に向けて、区と区民の総力を挙げて取り組むという姿勢が区長にあるのかどうか、まずお伺いいたします。 第2は、区立公園の管理についてであります。 区は、間もなく大久保一丁目にある区立西大久保公園にフェンスを設置し、夜間の閉鎖管理を実施しようとしています。西大久保公園における野宿生活者の実態が、公園の適正な利用の著しい障害になっていることなどから、公園に近接する住民から、受忍限度を超えているとの強い要望が出されていたことは、私も聞いているところであります。しかし、野宿生活者の強制的排除が、この問題の解決にはつながらないことは区自身が十分認識しているのではないでしょうか。西大久保公園に野宿生活者が急増した原因は、歌舞伎町の大久保公園の工事を理由に同公園を閉鎖したことによるものです。西大久保公園をただ閉鎖するだけでは、そこにいる野宿生活者がまた別の場所に移るだけで、何の解決にもなりません。私は、先日西大久保公園に行き、そこにいる野宿生活者1人ひとりの声を聞いてみました。それぞれ「働きたいが仕事がない」、「太田寮に入ったことがあるが、高田馬場の労働出張所には遠くて通えない」、「ここを出たら行くところがない」などといった訴えを寄せられました。私は、区が野宿生活者対策ということで公園の閉鎖管理を行うのであれば、そこに現に生活する野宿生活者については、生活保護の適用や自立支援センターや一時保護施設などへの入所措置などの対応策を的確に講じるべきであると考えます。区長の答弁を求めます。 第3は、国の対策の一層の強化を求めることについてであります。 私は、今回改めて諸外国の野宿生活者対策について調査してみました。アメリカのマッキニー法やイギリスのホームレス住宅法などのように、法に基づきながら欧米各国では国が責任を持って対策を講じていることはよく知られていますが、私が認識を新たにしたのは、お隣の韓国でも、日本でも参考にすべき対策が実施されているということであります。以前週刊誌にも掲載されたことがありましたが、韓国では1997年末の経済危機の際、失業率が10%を超え、野宿生活者が急増するという事態が発生しました。韓国政府は素早く対応しました。各地に希望の家と呼ばれる小規模シェルターを設置し、野宿生活者の自活と社会復帰に取り組んだのであります。その後、韓国経済が立ち直り、失業率が低下してきたにもかかわらず、施設入所者を含む野宿生活者がなかなか減少しないという事態を前に、韓国政府は野宿生活者の発生を防止するための社会的セーフティネットの強化が必要との観点から、生活保護法の改正に着手し、99年8月、国民基礎生活保障法として成立、2000年10月から施行されているのです。 これら諸外国の取り組みと比較したとき、日本政府の対策のおくれは歴然であります。さきに述べたとおり、国会では議員提案されたホームレス自立支援臨時措置法が継続審議となっています。法制化も含め、国の責任による対策の抜本的強化が求められていることは言うまでもありません。区長は支援策を国に働きかけていくと述べていますが、具体的にどう働きかけていこうとしているのか、その決意をお聞かせ願いたいと思います。 次に、老人保健福祉計画及び介護保険事業計画の見直しについて質問いたします。 高齢者保健福祉推進協議会では、見直し作業を進めるに当たって、計画見直し部会を設置し、ことしの6月中旬に中間のまとめ案を作成し、区民の意見を聞いた上で、9月に中間のまとめを決定して、最終報告の書き込みに入り、2003年2月中旬には新たな計画を決定するというスケジュールが示されました。計画の見直しを進めるに当たって最も重要なことは、区民の要望や介護の現場に携わっている方々の意見を丁寧に聞いて、それを最大限計画に生かすということであります。その立場から、以下4点にわたって質問をいたします。 第1に、幅広い区民の意見を聞く場を積極的に持つということについてであります。中間のまとめ案が協議会で決定された後、7月中旬以降、広報臨時号の発行や意見はがき、アンケート、説明会などの方法で区民からの意見を聴取することになっていますが、区民からの意見聴取はこの段階のみでとどめられようとしています。当初の計画を策定したときに比べても、不十分であると言わざるを得ません。せめて中間のまとめから、最終報告までの段階でも、区民の意見を幅広く聞く場を設けるべきではないでしょうか。 第2に保険料、利用料の負担軽減策を抜本的に改善することについてであります。この問題については、これまでも繰り返し述べてきましたから、改めて詳しく論ずることはしませんが、高齢者保健福祉推進協議会では、複数の委員から基準の見直しという意見が出され、会長も御意見として受けとめると言われました。見直しを契機に、区として、保険料、利用料の負担軽減策を抜本的に改善する必要を明確にし、計画に取り組まれるよう努力すべきではないでしょうか。 第3に、大都市が抱える特有の問題を解決するために、介護報酬の改善を区として国に強く働きかけることについてであります。 区は区立の介護施設についても、介護報酬のみで運営するように、委託費の段階的削減を行っており、このことが施設運営を困難にさせています。一方では、介護報酬が実態に見合ったものになっていないという問題があります。例えば、特別養護老人ホームの場合、介護報酬単価の全国的な基準を1とすると、特別区は 1.048でしかありません。わずか 0.048の加算ではやっていかれないというのが、実際に施設を運営している人たちの声であります。ところが、全国的に見ると、都心にある施設と言うのは少数派で、介護報酬の大都市加算を見直す要求は、組織全体の要求にはなり得ないというのが現状であります。したがって、新宿区を初めとした都心の自治体が国に対して強く見直しを求めていくべきではないでしょうか。 第4に、特別養護老人ホームの区内での整備目標数をふやすとともに、区が整備に責任を持って取り組むことについてであります。特別養護老人ホームの待機者は、介護保険実施後ますますふえており、 700人から 800人にもなります。私たちが受ける相談でも、老人保健施設では3カ月を目安に、次の行き先を考えなければならないことから、できれば特養に入所したいという声を多く聞きます。2月に行われた推進協議会の場でも、特別養護老人ホームの整備について、待っている人と御家族にとって、待ったなしの問題だと思うが整備計画は進んでいるのかという厳しい追求もあったように聞いております。区長は、基盤整備のおくれをどのように反省し、介護保険事業計画の見直しに当たって、どのような方針で臨もうとしているのでしょうか、お答えを願います。 次に、産業振興戦略プランについてお伺いいたします。 区は、このほど産業創造都市・新宿を目指すとした産業振興戦略プランの素案を明らかにしました。最悪の不況下、区内産業、とりわけ中小・零細企業の経営はかつてない苦境に追い込まれています。今、区が産業振興戦略プランを立てるというのならば、何よりもこうした苦境下にある中小・零細企業がこのプランの素案を見て、あすへの希望と展望を抱けるようなものであることが不可欠であります。その点で、この素案が示す区の商工施策についての基本的な視点、すなわちこれまでの関係者の要望にこたえて、積み上げてきた助成と補助中心の施策から、競争に打ち勝つため、自らリスクを負って事業経営に取り組む経営革新の自助努力の支援に切りかえるとする方向が、果たして区内産業の大半を占める中小・零細企業者の現在の心境にマッチし、また、その実態にふさわしいものであるのか私は甚だ疑問であります。しかしながら、その議論は別の機会に譲るとして、私はともかく区がこのプランによって、区内中小企業の活性化と振興を図ると言っているわけでありますから、実際にそのようなものにしていくという観点から、以下質問をさせていただきます。 第1は、中小企業の支援に当たって、組織としての区の構えについてであります。 苦境下にある企業者に対して、市場や経済の変化に十分対応し切れていない、経営革新と自助努力が足りないと、専ら自立自助を促し、やる気があれば情報提供などの応援はします。産業会館をつくったので、ここを使って大いに勉強をしてくださいというのだけでは、区の責任を果たしていることにはなりません。現下の不況の深刻さは、私が改めて説明する必要はないと思います。個々の企業者の努力だけで克服できるほど生易しいものではありません。企業者に一層の努力を求める以上、区自身も汗をかき、知恵を出して、企業者と一緒に頑張るという決意が求められていると考えます。区長は、プランの素案が言うところの既存産業の活性化や新産業の創出で、真に産業創造都市と呼べるような新宿をつくるために、商工課は言うに及ばず、区の組織を挙げて地域に入り、区民、企業者とともに知恵を絞り、あすへの展望を切り開くために、力を合わせて頑張り抜くという決意に立っているのでありましょうか。区長のプランにかける基本的姿勢をお伺いしたいと思います。 第2は、中小企業施策におけるセーフティネットについてであります。 素案には「競争」という言葉が何度も出てきます。確かに好むと好まざるとにかかわらず、今の日本社会では市場原理や競争原理こそが社会の原動力であるとする考えが大手を振るっています。その流れの中に、区内の中小企業があることも歴然たる事実であり、この競争社会を生き抜いていくための多面的な努力が必要なことを否定するものではありません。しかし、一方、この経済情勢のもとでは、さまざまな原因により競争に負ける企業、あるいは競争の土俵に乗ることすらできない企業も数多く存在するのであります。この間、大手ゼネコンや不動産企業の経営行き詰まりに対し、大銀行が数千億円という規模の債権放棄という支援を講じるとの報道が続いています。そして、これらの銀行には、公的資金という名の国民の税金が投入されようとしているのであります。 これに対し、中小企業は構造改革路線のもと、今まさにすさまじい勢いで淘汰されようとしているのであります。こういうときにこそ、社会的セーフティネットの役割を行政施策が果たさなくてはならないのではないでしょうか。しかも、この分野のネットは、単に空中ブランコから落ちた人を救うだけではなくては、再びブランコに戻して、活躍してもらうという役割を果たすものでなくてはなりません。素案では、この視点が必ずしも明確ではありません。助成と補助の施策からの転換という名で、従来から実施されてきた制度融資などを縮小しようというのでありましょうか。そうであるとしたら、私は同意することはできません。むしろ今こそ、企業者の経営実態に即して、融資条件の緩和を図るとともに、きめの細かい経営指導を行うなど、経営環境の変化にふさわしい制度の充実と、発展的運用が求められていると考えます。区長は、商工施策におけるこのようなセーフティネットについて、どのような見解をお持ちでしょうか、お示し願いたいと考えます。 第3は、プランの策定と実践に当たっての区民、企業者との協働についてであります。 プランを実のあるものとして策定し、真に効果的に実現するためには、プランの素案で示した理念や施策の方向の是非について、区民、企業者との十分な検討が必要であることは言うまでもありません。素案でも区内関係団体との十分な意見交換を行うとしていますが、私は形式的な意見交換ではなくて、文字通り協働の産物としてプランが策定され、その実践に当たっても協働が実感できるようなものにしていく仕掛けづくりが不可欠であると思います。区長は、プランの策定とその実践に当たって、区内の関係団体及び個々の企業者との協働について、どのような方策を考えているのでありましょうか、お答えを願います。 第4は、産業会館の運営についてであります。 その第1点目としてお伺いしたいことは、産業会館条例に示された会館の設置目的についてであります。今定例会に提出された産業会館条例によると、産業会館の設置目的は、中小企業の経営改革の支援と創業及び新産業の創出の促進という極めて限定的な規定となっています。確かに、プランの素案では、経営改革や新産業の創出が中小企業支援策の中心に据えられ、その支援策を行う拠点として、産業会館を位置づけています。しかし、このプランは2007年度までのごく短い期間を実施期間としたもので、しかも社会経済情勢の変動に対応して、恒常的に施策を見直すことをプラン自身が明言しているのであります。 一方、産業会館は当然今後10年、20年、あるいは30年と運営され続ける施設であります。その間、今の私たちには予測不可能な社会経済情勢の変化が起きることは間違いがありません。区の産業施策の理念やあり方にも、当然のことながら変化に応じた発展が求められるでありましょう。にもかかわらず、現時点での政策的位置づけを条例に記述してしまうというのはいかがなものでありましょうか。私は、条例上の記述としては、中小企業の経営を支援し、もって新宿区内の産業の活性化を図る拠点とするため云々というシンプルなもので十分であるし、より適切であると考えます。区の中小企業施策が発展するたびに、条例改正が必要になるというのもまことにおかしなものであります。区長はいかがお考えでありましょうか。 2点目は、会館の使用料についてであります。 区は、会館の各部屋などの使用料について、主な利用者が事業者であることや、維持管理経費を確保する必要があるなどとして、使用料の算定に区の施設としては初めて減価償却費を加え、他の区の施設に比べてかなり高めの使用料を設定しました。しかし、プランの素案では、産業会館を産業関係者にとって使い安く、気軽に集える場とするとしているのであります。産業会館の部屋を利用する企業や団体、個人の経済力はさまざまであります。中小企業支援の拠点とする位置づけからしても、費用負担の重さから、中小企業者が使いにくい施設にしてはなりません。さらに勤労福祉会館の代替施設としての機能も持たせるというのなら、中小企業に働く勤労者にとっても、気軽に使える施設にしなくてはならないことは当然であります。産業会館条例第12条は、使用料の減免を規定しています。私は、この規定を生かして、企業や団体及び利用者の経済力や使用目的に応じて減免を行い、使用料体系の面からも、文字通り気軽に使えることができる会館とすべきと考えます。区長の御見解をお示しください。 次に、建築物などの解体工事による近隣住民に対する不安と、被害を軽減させるための事前協議制度の創設についてお伺いいたします。 経済情勢の反映もあり、区内では企業や銀行などのビルや土地が手放され、そこに建っていた建物の解体に伴う近隣住民との紛争がかなりふえてきています。騒音や振動がひどい、知らぬ間に解体工事が始まってしまったが、解体主がわからない、説明を求めても応じてくれないなどの苦情や相談が、私たちのもとにも頻繁に寄せられています。建物の建築については、建築紛争の予防調整条例により、紛争の予防と調整に関する一定のルールが定められていますが、解体についてはこれを規制誘導する法令上の規定がなく、当事者間において対応するしかありませんでした。しかも、解体される建物の所有者や、解体業者を把握することが難しくて、トラブルがなかなか解決されないケースも数多いようであります。 しかし、ことし5月から施行されることになった、いわゆる建築リサイクル法により、解体工事の発注者は、解体によって発生する廃材等の分別とリサイクルに関する工事計画の届け出を区に行うことが義務づけられることになり、区としても関係者の把握が容易となるわけであります。私は、こうした機会をとらえ、建築紛争の予防調整条例に倣って、一定規模以上の建物の解体に伴う紛争の予防と調整を目的とした、新宿区独自の制度を指導要綱もしくは条例によって創設すべきと考えます。区長の御答弁を求めます。 次に、文部科学省が打ち出した教育基本法の見直し問題についての教育委員会の見解についてお伺いいたします。 遠山敦子文部科学大臣は、昨年11月、中央教育審議会に教育基本法見直しと教育振興基本計画の策定を諮問し、おおむね1年程度をめどに答申をまとめるよう求めました。教育基本法見直しの正式諮問は戦後初めてのことであります。今回の諮問は、教育問題であるとともに、憲法と日本の進路にかかわる重大な問題であります。何よりも教育基本法は前文で、憲法の理想の実現は、根本において教育の力に待つべきものであるとした上で、日本国憲法の精神にのっとり、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するためこの法律を制定すると明記しているように、憲法と一体の法律であります。憲法の精神を教育の理念、原則に生かし、平和的な国家及び社会の形成者としての国民の育成を、あらゆる機会に、あらゆる場所において行うことを定着させようとしたものであります。 それだけに、教育基本法を変える試みはいつも改憲の動きと結びつき、そのたび国民によって押しとどめられてきました。文部科学省は、基本法の理念は変えない、足りないものを加えるだけと言います。しかし、諮問文を見ると、教育の基本理念、教育の基本原則、教育を担うべき主体、国と地方公共団体の責務、そして前文の取り扱いの5項目について検討を求めており、全面的な見直しになろうとしています。諮問が基本法の理念に加えようというのは、時代や社会の変化、経済のグローバル化などに対応できる人材の育成です。しかし、そこには教育基本法の骨格である主権者を育てる人間形成ではなく、時の政治や経済の都合に合わせて左右しようとする思惑ばかりが目立ちます。これこそ戦前の軍国主義教育の痛苦の教訓の上に、教育基本法が厳しく退けたものなのであります。 文部科学省の見直しの方向では、教育基本法の理念とおよそかけ離れた、時々の政府の諸政策に沿った人材教育の計画を進める法律におとしめられてしまうのではないでしょうか。さらに重大なことは、鳥居泰彦中央教育審議会会長が審議会の場で、「教育勅語を読んだことがありますか。勅語には人間のすべきこと、心がけが書いてあるのです。それが今の日本にはない」と発言したことであります。ここには基本法の見直しがどういう方向で行われようとしているかについての本音が示されているのであります。 そこで教育委員会にお伺いいたします。教育委員会は、文部科学大臣による教育基本法見直しの諮問と、現在審議が進められている方向について、どのような見解を持っているのでありましょうか。諮問文にあるような方向での基本法見直しが必要とお考えでありましょうか。議論をすることは意義があるなどというあいまいな答えではなくて、教育委員長の意見もきちんと聞いた上で明確な答弁を求めます。 次に、教育基盤整備検討委員会が最終報告で示した学校適正配置ビジョンについて、質問いたします。 最初の質問は、このビジョンをPTAを初めとした学校関係者や地域住民にどう説明していくのか、そして、今後どのように検討を進めていくのかという点についてであります。 今回の学校適正配置ビジョンは、区立小学校31校を21校に、中学校13校を9校に統廃合するというものであります。今後、ビジョンの内容が各方面に伝わるにつれさまざまな憶測が地域を飛び交い、不安と混乱が広がることが懸念されます。教育委員会は、このビジョンをあくまで一つの試案に過ぎず、学校のあり方については保護者や地域住民と十分にも十分に協議しながら検討を進めていくという立場を明確にし、各方面への説明に入るべきであります。生徒・児童にとっても、保護者にとっても、そして、地域にとっても、学校の存廃という問題は極めて重大な問題であります。それだけに私たちは、昨年の第4回定例会の質問でも述べたように、この問題は教育委員会事務局の内部組織だけで検討をするのではなく、少なくとも各ブロックごとに学校適正配置等審議会並みの検討組織を立ち上げるとともに、関係者や地域の人々と十分な協議と合意を前提に進めるべきと考えます。教育委員会はビジョン公表後の関係者や地域住民への説明と、今後の検討についてどのような方針を持っているのでありましょうか、私の指摘した点も踏まえ、まずお答えください。 2点目は、ビジョンに示された児童・生徒数の推計値についてであります。 教育委員会は、都の教育人口等推計に基づき推計値を導き出していますが、私はもっと主体的検討を行うべきと考えます。地価の下落や住民の都心回帰の動きも背景に、区の人口も微増ないし横ばいを続けています。地域のまちづくりの上からは重大な課題となっていますが、区内には超高層マンションや住宅の建設が始まっています。私の住む大久保地域でも、この数年空き地や駐車場だったところに戸建て住宅が数多く建ち、子育て世帯も一定数住むようになってきています。 なお、つけ加えて言えば、東京都は先に発表した都市づくりビジョンの中で、新宿などを含む都心部で10万人人口をふやすと言っているのであります。私は、区が子育て支援策や定住対策にさらに努力するとともに、魅力ある区立学校づくりを進めることによって、児童・生徒数も推計値と違うものになる可能性があると考えます。教育委員会は都の推計値のみを根拠にするのではなく、こうした視点での検討も行うべきではないでしょうか、お答えを願います。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) |