|
日本共産党議員団所属の笠井つや子です。
私は、染色産業の振興と後継者の育成について、区長並びに教育委員会に質問します。
去る10月23日、今年度の新宿区地場産業表彰式が行われ、印刷、染色部門で4名の方が受賞されました。印刷、染色産業が1997年から新宿区の地場産業として振興が位置づけられてきましたが、京都の西陣織や京友禅、金沢市の加賀友禅は有名ですが、三大染色産業地と言われてきた東京の染め小紋、手描き友禅などは案外知られていません。超高層ビル街と歌舞伎町を知らない人はいないでしょうが、新宿で地場産業の染色があることを知る人は、残念ながら少ないと言わざるを得ません。
1996年に14業種 231事業所を対象に行われた区の染色産業実態調査報告書によると、61.5%の回答が寄せられ、個人事業主が75%、法人は約25%で、資本金も
300万円未満が過半数を占める極めて小規模零細業者です。その報告書では、生活様式の変化などから需要が落ち込み、新たな市場開拓への業者の強い願いが示されていました。新宿区に対する要望も、PR、振興策、資金、後継者の育成などが出されていました。
さきの表彰式で、新宿区染色協議会会長が来賓あいさつの中で、染色の歴史や伝統産業としての染色技術の継承と事業者として地場産業の振興、育成についての思いを熱っぽく話されました。
私は、さきの決算特別委員会でも、染色産業を区政でもっと位置づけを高めるよう具体的提案もしてきましたが、地場産業の育成、伝統文化としての染色産業を、区政がどう位置づけているのかということも問われる内容のあいさつだったと思います。
私は、この一般質問に先立ち、教育委員会がミニ博物館に指定している「染めの里二葉苑」「東京染めものがたり博物館」の見学や、親子二代で手描き友禅をされている工房などへも伺ってお話を聞いてきました。
染色関係業者の中には、生業だけでは経済的に困難で、やむなくタクシードライバーや警備員の仕事をしている方もおられます。販路の拡大はもとより、後継者問題や伝統産業をより発展させたいという意欲と熱意にあふれる取り組みもされています。落合染色仲間「落合ほたる」というグループが始めた「染めのまち落合スタンプラリー」は、ことし3回目で400
名を超える参加者があったとのことです。
新宿の染色工芸を知らせようと、個人でみずからのホームページを立ち上げ、工房の宣伝・紹介をして、染めの体験教室を開設している方もいます。1日30件くらいアクセスがあるそうで、カレンダーには受講者名が書き込まれていました。修学旅行生を毎年、染めの体験教室に受け入れもしています。ミニ博物館には、修学旅行で染めを体験した子供たちのお礼の作文のつづりが積まれていました。
区立戸塚第一小学校では授業に取り入れていますが、区内の学校の体験が少ないのが残念だとの声も出ました。また、万が一廃業した場合、資料を記録して歴史博物館などに保管してあれば、意欲ある人に受け継ぐことができると、江戸時代からの図柄の型をCD−ROMや染色の工程の記録ビデオを作成して、伝統工芸を引き継ぐ熱意が込められていました。消費者の生活様式に対応したワイシャツやイヤリングなど装飾品、小物など需要開拓への研究や努力がさまざま行われています。しかし、職人さんや事業者の自助努力だけでは、伝統工芸の振興や育成には限界があるのではないでしょうか。
前区長のときに購入し、歴史博物館に保管されているはずの着物を中山区長にぜひ着てほしいとか、ミニ博物館などへ案内板の設置を要望するなど、行政の支援を求める意見がさまざま寄せられました。今こそ行政の後押し、差し伸べる手が求められているのではないでしょうか。
私は1997年、総務区民委員会で大阪府泉大津市の産業振興センター「織編館」を視察した際、大型のパソコン画面に織物の絵柄を幾通りにも描き出していく様子に感動しましたが、個人では高額の機器の購入や操作は限界があり、行政の支援策の具体的実例を目の当たりにしました。
また、京都府や市では、「緊急雇用創出事業」で「京の百景」「京の歳時記」を西陣織で作成するなど、仕事確保につながる事業を工夫し、昨年から、京都府は1億円の予算で「伝統工芸学校教育活用事業」を始めて、学校の校舎や校歌を職人さんのグループで「織額」をつくり、仕事確保を通じて、事業規模は小さいが、そのわざを次世代にもつないでいける効果があるとして、今年度、小・中学校での実演を中心とした伝統産業の教育活用事業を始めています。
また、業種は違いますが、美濃和紙で知られる岐阜県美濃市では、後継者育成奨励資金制度を創設し、職員のもとで働く若者に、研修生として組合推薦もしくは弟子入りしている若者に2年間、月5万円を支給するというもので、これまで5人が修業したそうです。新宿区が地場産業に指定している染色業を伝統文化、観光事業にも位置づけ地場産業振興策を強めることを求め、以下質問します。
第1は、後継者育成事業制度の創設についてです。意欲ある若者を後継者として育成するために、奨励金の支給を新宿でも検討してはいかがですか。また、貴重な技術の記録や保存を区として支援するとともに、再度実態調査を行うことを求めます。
第2は、地場産業展の開催についてです。以前は新宿文化センターで大規模に行われていましたが、年々規模が縮小され、隔年実施となり、今年度は2月に、産業会館BIZ新宿の3階会議室で予定されています。
日本全国ばかりか外国からの来街者も多い新宿で、着物の消費拡大につながるよう、デパートやホテルなどの協力も得て開催することを検討してはいかがですか。その際、染色産業の需要開拓、販路拡大につながる振興策として、ワイシャツやネクタイを初め装飾小物など、新宿ブランドとして即売もできるよう、従来と発想を変える必要もあるのではないでしょうか。
第3は、区のホームページの改善についてです。調査した他の市の方は、染色が新宿の地場産業と聞いて驚かれました。トップページで染色産業を紹介し、商工課や歴史博物館から、染色協議会など関係者のページにリンクできるよう改善を求めます。新宿の持つ文化の奥行きの深さや新宿の魅力が伝わるのではないでしょうか。
第4は、学校教育との連携についてです。小学校3・4年生の社会科副読本「私たちの新宿区」で、染め物工場を訪ねている様子が記述されていますが、各学校でも体験授業に染色協議会の協力を得るなど、伝統産業への理解を深める取り組みをしていただけないでしょうか。
以上4点について、お答えください。区長は、新宿区染色協議会の顧問をされていますが、厳しい経済情勢の中で職人気質で伝統技術の発展、継承に貢献されている皆さんを激励していただけることを期待して、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
|