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■2004年第2回定例会代表質問 阿部議員(2004年6月8日)

 私は、2004年新宿区議会第2回定例会に当たり、日本共産党新宿区議会議員団を代表して、区長並びに教育委員会に質問いたします。

 まず初めに、区長の政治姿勢について質問いたします。
 最初は、今国民・区民が最大の関心事である年金についてです。
 国民は怒っています。
               〔「そうだ」と呼ぶ者あり〕
 6月5日、自民・公明両党が、国民生活に痛打を加える「年金改革関連法案」を数の力で参議院でごり押ししました。保険料は2017年まで毎年上がり続けて暮らしを圧迫し、給付は実質15%カットで、老後の暮らしをどん底に突き落とすものであり、さらに参議院に審議が移ってから、上げどまりと言っていた保険料はさらに上がり、現役世代の50%保障と言っていた給付は40%とか、ライフスタイルによっては30%にまで下がるということがわかってきました。
 法案の真実を国会と国民に隠ぺいして衆議院を通過させた姑息な手口、参議院では野党の質問権まで剥奪して、国会史上ないほどのルール破りを重ね、かつこれを採択した国会議員が国民年金未納者続出では、怒り心頭は当然です。この制度で「百年安心」できると思っている国民が果たして何人いるでしょうか。5月の新聞各社の世論調査で、法案の今国会成立に反対する人が7割近くに達しましたが、自民・公明両党が、国民の声にも耳を貸さず、国会審議も尽くさず、強行採決を図ったことは断じて許されない暴挙であります。
               〔「そうだ」と呼ぶ者あり〕
 日本共産党は、国会でも最後まで正々堂々、国民の意見を代弁して論戦しました。これから始まる参議院選挙でも与党の暴挙を告発するとともに、国民に新たな負担を求めることなく、ヨーロッパ諸国で既に実施している最低保障年金制度の確立を訴え奮闘するものです。
 さて、3月25日号の「広報しんじゅく」では、「国民年金に加入し、保険料をしっかり納めて安心できる老後に備えましょう」と呼びかけています。新宿区の1号の国民年金加入者は、2002年度で6万 7,808人です。20歳から64歳までの区民の数は18万人余ですから、対象人口の37%は国民年金加入者、3号まで入れると46%にも達します。国民年金は、27年後には満額受給者でも、本来6万 6,000円だったはずが4万 5,000円しかもらえなくなります。これでどうして安心できる老後と言えるでしょう。厚生年金、共済年金の受給額も大幅ダウンで、住民税を納められるような高齢者は減り、その分区税収入が減って、生活保護費の支出が増大するのは必定ではないでしょうか。
 区長にお伺いします。区長は、強行採決された年金改革関連法についてはどのように評価しておられますか。これが区民に押しつける痛み、区財政に及ぼす影響ははかり知れず、地方自治体の長として見過ごすことのできない問題だと思いますが、いかがですか。
               〔「そのとおり」と呼ぶ者あり〕
 次に、イラクへの自衛隊派遣について質問いたします。
 5月28日、イラクの首都バグダットの南で、日本人ジャーナリスト橋田信介さんと小川功太郎さんが乗った車が銃撃を受けて犠牲になりました。何者がやったにせよ、民間人に対するこのような攻撃は断じて許されません。犠牲となった方々と御家族に心からお悔やみを申し上げます。
 区長は、第1回定例会での我が党の代表質問に対し、自衛隊は「イラク特措法の制定により、人道的復興支援を目的に派遣することになったと認識しております」と述べ、「自衛隊派遣に反対する考えはありません」と答弁されました。その後のイラクの事態はどうでしょうか。
 ファルージャで 700人以上もの住民を虐殺した無差別攻撃、フセイン政権と敵対していたシーア派のサドル師勢力への激しい攻撃と殺害、アブグレイブ収容所などでの虐殺・拷問の数々、結婚式への空爆などなど、アメリカを中心とする占領軍はイラク国民に無差別に銃を向け、イラク人の死者はイラク戦争開始以来1万人を大きく超えています。
 この無法な占領軍の行為は、イラクの人々の憤激と抵抗を呼び起こし、戦闘地域はイラク全土に広がっています。そして、サマワでは、自衛隊の宿営地に砲弾が打ち込まれ、オランダ軍では死者も出ています。5月17日の記者会見で、小泉首相みずから「サマワが今もイラク特措法上、自衛隊派遣が可能な「非戦闘地域」であるかどうかについて、よく状況を見きわめなければなりませんね」と語っているほどです。
 「非戦闘地域」に自衛隊を派遣するとしたイラク特措法の前提が崩れ去っていることは、だれの目にも明らかではないでしょうか。区長はどのようにお考えか、見解を伺います。
 占領軍の撤退を求めるイラク国民の声は日に日に高まっています。そして、ニカラグア、シンガポール、ホンジュラス、スペイン、ドミニカなど、大義なき占領への加担を拒否してイラクから撤兵する国が相次いでいます。占領支配の速やかな終結とイラクの主権回復、国連中心の復興を求める世論が国際社会の大勢となっている今、日本に求められていることは、自衛隊を直ちに撤退させ、そのために力を尽くすことです。
               〔「そのとおり」と呼ぶ者あり〕
 ところがこのときに、政府は、イラクの統治権限委譲後も自衛隊の派兵を継続するために、新しい国連安保理決議に基づく多国籍軍への参加を、後方支援活動も含めて検討していると報じられています。その多国籍軍のホームページでは、既に自衛隊はイラク南東部を管轄する「多国籍師団」の一員として、「イギリス軍の指揮下」に入っているとされています。連合軍機関紙「シミタール」によれば、多国籍軍の任務は「連合国やイラクに敵対する勢力との戦争を戦う」、すなわち武力行使そのものです。多国籍軍への参加は、武力行使を禁じた憲法9条に明確に違反するのではありませんか。そして、自衛隊が名実ともに多国籍軍の一員となれば、自衛隊へのイラク国民の反発がますます高まり、「殺し、殺される」という取り返しのつかない道に足を踏み入れることになるのではありませんか。区長は、自衛隊の多国籍軍への参加を支持されるのか、明確な答弁を求めます。

 次に、政府が今国会に提出している有事関連法案について質問いたします。
 この法案は、日本が米軍の戦争を支援して、共同で軍事行動を遂行する体制をつくるためのものです。
 第1の問題は、日本が攻撃を受けていない「武力攻撃予測事態」から、政府の判断一つで米軍に対する無限定で包括的な支援を可能とすることです。法案には、米軍の行動に制約を加える仕組みは一切ありません。米軍が日本周辺で先制攻撃を行ったときに、自衛隊が米軍に弾薬を提供することも、米軍が日本全土の空港・港湾を自由に使用することもすべて可能になります。
 第2に、港湾、道路など自治体が管理する公共施設も、米軍に自由勝手に使わせる仕組みも具体化されています。周辺事態法では、国が自治体に協力を求めるとしていましたが、今回の法案は、米軍に「優先的な利用」を図ることを明記し、自治体が反対しても、内閣が強制的な権限を発動して実施させることを可能にしています。
 第3に、地方公共団体、指定公共機関、事業者に戦争協力の「責務」を課し、罰則までつけて、国民の土地や家屋、物資を強制的に取り上げること。医療や輸送に携わる労働者を強制動員すること。テレビなどの報道を規制することなどを詳細に規定しています。また、地方自治体が平時から自衛隊などと共同して戦争のための訓練を行うことが明記されています。
 私は、この法案は、憲法9条の平和原則を真っ向から踏み破って、日本をアメリカと一緒に戦争のできる国にするものであり、地方自治のじゅうりん、思想信条、言論、出版の自由、財産権など、基本的人権のじゅうりんという点でも、憲法を何重にも踏みにじる重大な内容であり、地方自治体として絶対に看過できない法案だと思いますが、区長は憲法との関係でどのように認識されているのか、見解を伺います。そして、区民の暮らしと安全、地方自治を守り、「新宿区平和都市宣言」の立場からも、区長は反対の態度表明を行うべきではないでしょうか。あわせて答弁を求めます。

 次に、補助金制度の見直しについて伺います。
 本年1月22日に、補助金等検討委員会から区長に「提言書」が提出され、これを受けて企画部は、5月12日の総務区民委員会に、「補助金制度の見直しについて」の方針を報告しました。その内容は、来年度から実施することをめどに、区単独補助金はすべて見直しを行う。公募補助金制度を創設するとし、それらについて、新たに設置する「補助金等審査委員会」で審査・検討するというものです。
 補助金は、区民福祉の向上を初めとする区政の課題に資するために、条例や要綱を定めて制度化されてきたものです。情勢の変化や課題の達成状況などに応じて、その必要性を検討し見直しを行うことは当然です。しかしながら、今回の区の見直し方針、その前提となった「検討委員会」の議論と「提言」を見るならば、当該団体や関係者、区民の意見を十分に聞かないまま、真に必要な補助金まで削られるのではないかという危惧を抱かざるを得ません。
 区は対象として、57の補助金を挙げて見直しの基本方針を示していますが、これまでの説明では、その理由や具体的な見直しの基準、内容などが不鮮明な点が多々ありますので、以下具体的にお伺いします。
 第1に、17の団体運営補助金は「廃止する」としています。団体運営補助金の中には「提言」で述べられているように、補助金の妥当性や使途について検討が求められているものがもちろんあると思いますが、だからといって一律に「廃止する」という結論が出されることはとても納得ができません。団体運営補助金は必要ないとする理由についてお答えください。
 第2に、事業補助金についてです。「提言」の「現在の補助金制度の問題点」では、「補助になじみにくい事業がある」「自主的事業とされながら、財源を過度に補助金に依存しているなど、補助率、補助額などの考え方が区として不統一である」などを列挙して、「過去において財政悪化による一律削減は実施してきたものの、補助金制度のあり方自体にまで踏み込んで見直しに取り組んでこなかった行政の責任は重い」と述べています。
 これを読むならば、既存の補助金がかなり削減されるのではないかというのが率直な印象です。そもそも補助金は、「財政非常事態宣言」のもとで一律10%カットされましたが、その後「非常事態」が解除され、実質単年度収支が4年連続黒字になっても復元の見直しはされていません。今回の見直しは「削減先にありき」ではなくて、事業の必要性が高まっている補助金は積極的に拡充すべきであり、ましてや一律にカットするようなことがあってはならないと考えますが、どのような方針なのかお答えください。
 第3に、区は18の補助金を「個人補助」と区分けしています。「検討委員会」の私立幼稚園児と保護者負担軽減補助金の説明の中で、区は「限られた個人に対する補助金のあり方というようなものにある一定の方向性なるものを出したいという考えがある」と述べています。しかし、「個人補助」には接道部緑化助成、私道舗装助成など公共性が高いものがあり、だからこそこれまで補助が行われてきたのではないでしょうか。その点も含めて、その後具体的にどのように検討されたのかお答えください。
 第4に、「提言」の内容を知らせた「広報しんじゅく」2月15日号は、「補助金の種類を「各種重点施策推進のための補助金」と「公募による補助金」の2種類とする新たな補助金制度に移行するべき」と説明しています。その区分けは大きく言えば、前者が「安全・安心の確保など」、後者が「区民福祉の向上や地域の活性化に役立つ事業活動」です。これを見た区民の皆さんからは、「福祉は重点施策ではないのか」という声も出されています。このような区分けはすべきではないと考えますが、区の考えをお聞かせください。また、既存の補助金を「公募による補助金」に移行させることもあり得るのかお答えください。
 第5に、「北山伏子育て支援協働モデル事業」「建築物耐震化支援事業」など、アクション04事業も見直しの対象となっています。これらは今年度から最長3年間の事業であり、内容や実績を検証しないまま「審査委員会」の見直しの審査に付すべきではないと考えますが、どのように扱うのかお答えください。
 もう一つ指摘しなければならないことは、「検討委員会」が対象となる団体などの活動や個別の事業内容については、所管部の説明は一切なしに、企画部だけの説明で検討し、見直しの「提言」を出したことです。
 例えば、この議場には消防団に所属する議員もおられますが、補助金等検討委員会の場で、消防団の団体運営補助金について、企画部が、「かなり補助金の占める割合が高いものになっているので、妥当性について検討が必要かと考えています」と説明し、これに対して検討委員から、「消防署と消防団員の関係では、帽子から服から靴まで支給されている団員がいる。そういった人たちは、町会の小型ポンプを管理したり訓練のときに立ち会ったり、指導したり、消防署の人と一緒にやっている。しかしながら、出動して火消しができるのかというと、それはまた別の問題のような気がします」という意見が出され、議論されていますが、御存じでしょうか。消防団の皆さんの活動についての誤解も含まれていると思いますが、実際の事業や活動を知る人を抜きにした検討で出された見直しの方針で、関係者の理解が得られるでしょうか。
 今後、この「検討委員会」が衣がえした「審査委員会」が具体的な補助金の見直しについて審査・検討し、来年2月に報告を出すということになっています。そこで伺います。
 第1に、「審査委員会」は「必要に応じて団体等からもヒアリングを行う」としていますが、「必要に応じて」ではなく、関係団体には必ずヒアリングすべきではありませんか。また、企画部が各部からヒアリングした内容を、審査委員会が検証するとしていますが、審査委員会は各部から直接ヒアリングすべきです。そして、見直しの内容について、当該団体・関係者の納得を必ず得るようにし、決定を押しつけるようなことがあってはなりません。さらに、必ず中間の報告を出して区民に広く説明し、区民の意見を十分に反映させるべきです。以上について見解をお示しください。
 第2に、事実上の外部評価となる「審査委員会」が見直しの最終決定を行うのではなく、「審査委員会」の報告を受けて区の責任で決めるべきだと考えますが、あわせて見解をお示しください。

 次に、特別養護老人ホームについて質問します。
 質問の第1は、特別養護老人ホームの建設についてです。社会福祉法人大三島育徳会が市谷砂土原町に予定していた特別養護老人ホームが、近隣住民の同意が得られず、国庫補助協議の対象からはずされ、建設計画断念という結果になりました。本年2月現在、 1,150人の高齢者が入所の順番を待っており、計画が白紙になったことは残念でなりません。
 私の知り合いの御家庭で、要介護5の御主人と要介護4の奥さんが在宅で過ごしています。御主人が脳梗塞で倒れてから20年近く奥さんが介護してきましたが、老老介護の果てに倒れ、みずからが介護を受けることになりました。訪問介護、訪問看護、入浴サービス、通所リハビリ、ベッドなどの福祉用具と二人は限度いっぱいにサービスを利用していますが、それでも足りなくて、週末は埼玉県から娘さんが泊まりがけで通っています。娘さんは、私にも家庭があって、このままいけば離婚されるかもと、冗談とは思えない口調で話しておられました。
 「人として尊厳を持って、家庭や地域の中で安心して、その人らしい自立した質の高い生活を送る」というのが、新宿区高齢者保健福祉の基本理念です。住みなれた我が家での介護が望ましいのは言うまでもありませんが、在宅で受けられるサービスには限りがあり、重度要介護状態の方と家族にとって特別養護老人ホームは頼みの綱です。
 新宿区の計画では、2007年までに区内にあと 100人分のベッドを整備することになっています。特別養護老人ホームは、補助金協議や建築にかかる期間を考えると、3年くらい前には計画がある程度固まっていなくてはなりません。今年度中に事業者の誘致が確定し、来年度には補助協議を成立させ、建築に着手していかないと、2007年度の計画達成は難しいのではありませんか。
 だとすれば、民間の社会福祉法人が手を挙げて来てくれるのを待っていては、余りにも不確実です。事ここに至っては、この間、老人保健施設を学校跡地に誘致したのと同様、特養も学校跡地を提供して誘致するしかないのではありませんか。区長の決断が高齢者とその家族に光明をもたらします。目標達成に向けた区長の決意と方針をお聞かせください。
 我が党は、昨年の第3回定例会で都有地活用によるグループホーム建設促進を求めたところですが、東京都の「都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業」で、早稲田鶴巻町の都有地に、医療法人が1ユニット9人の痴呆性高齢者グループホームを建設することが5月31日に正式決定しました。今回の事業は単発のようですが、都に対して同種の事業の継続を求めていくべきであります。
 グループホームは、区の老人保健福祉計画によれば、2007年度目標までにあと2ユニット18人分の施設整備が必要となります。区内では、グループホームの月額利用料は20万円前後であり、低所得者にとっては高嶺の花というのが現実です。中でも家賃部分が7万円とか、11万円と大きな比率を占めています。都だけでなく区も区有地を提供して、低所得者や生活保護受給者も利用できる施設を建設すべきだと考えますが、いかがでしょう。
 質問の第2は、区立特別養護老人ホームと高齢者サービスセンターの経営についてです。
 本年3月に「特養等経営改善検討委員会検討報告」が発表されました。同報告では、これらの区立施設で実施している介護保険事業を法人の自主事業にするとして、介護報酬のみで賄う経営「改善」の方向が示されています。
 区立の2つの特養とデイサービスは、介護報酬にプラスして区からの補助金があり、安定したサービスの供給でお年寄りの皆さんから信頼を得てきました。先日、アゼリア会の職員組合が利用者・家族と懇談しましたが、家族の皆さんからは、「あちこちの施設を移動し、ようやくあかね苑に入れて、職員の対応がよくてほっとしたばかりなのに、ひどいじゃないか」とか、「措置制度から介護保険になって、それまであったサービスががくんと減った。今度はまた、職員が掃除などに手をとられて介護の方が手薄になるのか」など、怒りと不安の声が続出しました。
 検討報告では、入所者が入院中のベッドをショートステイに転用して稼働率を上げることや、痴呆専用デイサービスの追加等で定員拡大を図るなどの増収策を示すこととあわせ、人件費の大幅カットなどのコスト削減の必要性が打ち出されています。増収については必要な努力を求めるにしても、福祉施設でのコスト削減は、賃金カット、正規職員の削減、パート等への置きかえで利用者へのサービス低下に直結します。あかね苑家族会から議会に陳情も出されていますが、法人の自主事業に転換するとしても、区からの補助は引き続き行うべきです。
 検討報告でも、これまで全額精算方式だったために、法人には自己資本がなく、サービスの安定供給が危ぶまれること。都内の特養は東京都の経営支援補助等で収支バランスをとっているが、開設時公設だった施設には適用されない問題が指摘され、区の財政支援を求める法人委員の意見は切実であり、経営支援を検討すべきだとしています。
 自主事業に移行するにしても、区民の財産である介護の質を引き続き維持・確保する姿勢を堅持し、国や都に対して必要な改善を求めつつも、区として所要の補助を維持し続けることを求め質問といたします。

 次に、次世代育成支援計画について質問します。
 昨年7月に制定された次世代育成支援推進法によって、すべての自治体が地域行動計画を策定することになり、新宿区はその先行自治体として、2005年度から2010年度までの行動計画素案をことし3月に発表し、この間シンポジウム、地域ごとの懇談会、出前懇談会が取り組まれてきました。計画策定に際しては、徹底した区民参加を実現し、とりわけ子育て世代が、これは自分たちの計画だと実感できるものにしなくては実効性が上がりません。区民の意見や要望をしっかり取り入れ、よりよい計画となることを願って、以下質問します。
 第1の質問は、経済的支援策についてです。昨年10月に実施した調査で、子育て支援事業に望むことは何ですかとの問いに対して、最も回答が多かったのが、「児童手当の拡充、税金の軽減など経済的援助」でした。この要望にどうこたえた行動計画をつくるのか区民が注目しています。素案では、経済的支援策は国・都に要望する姿勢に終始していますが、アンケートの自由意見にも多く書かれていたように、手当,医療、住宅、教育の各分野で、区としてできる経済的支援策を検討すべきだと考え、その観点から幾つか質問します。
 1点目は、乳幼児医療費助成制度の対象年齢引き上げです。新宿区は全国に先駆けて、小学校入学前まで、所得制限なしで乳幼児医療の無料化を実現しましたが、今や先進自治体の流れは、対象年齢を小学生、中学生にまで拡大しています。国や都に制度の拡充を要望するのはもちろんのこと、待ちの姿勢ではなく、区が対象年齢を引き上げ、保護者の医療費負担軽減の要望にこたえるべきではないでしょうか。
 2点目は、就学援助の対象を拡大することです。子供が学校に入学するようになると、ノート、鉛筆、教材、楽器の購入費、移動教室、修学旅行、卒業アルバムなどなど、保護者の負担は大変重いものがあります。現在、就学援助の対象となる所得基準は、生活保護の 1.2倍までとなっています。これを当面1.25倍まで引き上げ、就学援助対象者を拡大し、より多くの保護者に経済的支援が行き渡るようにすべきではないでしょうか。この点については、教育委員会の見解を伺います。
 3点目は、家賃助成と公共住宅の提供です。素案では、住宅については、直接給付から居住水準向上に視点を転換するとして、民間がつくるマンションを「子育て支援マンション」と認定する制度を提唱しています。制度それ自身を否定はしませんが、調査結果にもはっきりと出ているように、住宅取得・賃借のための融資制度が一番、次が公共住宅の優先枠です。この願いと正面から向き合い、実現の方向を探ることが今求められている次世代育成支援ではないでしょうか。
 家賃助成は定住に結びつかないかのように評価していますが、そんなことはありません。特に子供が小さいうちは、助成があるからここに踏みとどまっている方は何人もいます。問題はそれだけでは十分ではないということです。小学校、中学校と成長するにつれ、スペースが狭くて暮らせなくなり、区外に引っ越した方を見てまいりました。親御さんが区内にいる方もいます。友だちもいますし、喜んで出て行くのではありません。この問題の解決のためには、公共住宅の建設こそが求められています。
 都営・都民住宅を区内に増設するよう、東京都に対して強く要請し、同時に区立住宅の充実が必要です。さらに、区民住宅については、昨今のリストラ・不安定就労の増大という社会背景に鑑みた対応、家賃設定の検討が求められると考えますが、いかがでしょう。
 以上、経済的支援策3点について、まずお答え願います。
 子育て支援の第2の質問は、仲間づくりについてです。
 調査の結果で気になるのは、子育てがつらいといつも思っている人が5%存在することや、同年齢の子供の親とのつき合いは余りないという人が4割もいるということです。孤立した子育てはときに苦痛となり、虐待につながる可能性さえあります。子育てが楽しいと思う保護者がふえ、その輪が広がり、次の世代に受け継がれていく上で、子育ての仲間づくりも大切なことです。
 その点で行政ができることの一つは場所の提供です。子ども家庭支援センター、地域子育て支援センターを、現在の3カ所から各出張所単位に1カ所ずつ計画的に増設すべきではないでしょうか。また、例えば保育園の保護者が互いに交流し、励まし合って育てていくことをサポートすることも、区ができる支援策の一つではないでしょうか。幼稚園のように、保育園にもPTAのような組織をつくり、保育者と保護者が支え合い、共同して子育てに取り組んでいけるように支援すべきではないでしょうか。
 以上のことを、具体的な数値目標を設定し、年次計画をつくって計画に明記すべきと考えます。区長の見解をお示しください。

 次に、学校選択制について教育委員会にお伺いします。
 区教育委員会は、今年度から学校選択制を導入しました。学校選択制は「学校を自由に選べる反面、公立校の格差を拡大させる両刃の剣なのだ」とか、「子供に勝ち組と負け組をつくり出す」とマスコミでも指摘されています。
 新宿区の場合は、選択制が学校統廃合と同時進行で行われたために、こうした問題点がドラスティックにあらわれました。
 私の住む地域にある東戸山中学校は、来年大久保中学校と統合して新宿中学校になります。統廃合と選択制が一緒に迫られた結果、どうなったでしょう。東戸山中学校のことしの1年生は9人でした。大久保中学校は33人ですから、来年統合したらかろうじて2クラスですが、単学級すれすれです。来年は何人入学して来るかと、PTAの役員さんは大変心配しています。選択制だけだったら、ここまでの結果にはならなかったでしょう。「統廃合でいろいろばたばたするでしょう、落ち着いて勉強できるかと思って、別の中学校にしたんです。自由に選べるようになったし」と、あるお母さんはおっしゃいました。
 教育委員会は、統廃合して適正な規模の学校にすると言ってきましたが、戸塚・大久保地域で、統廃合と選択制を同時進行で行ったことの結果をどう受けとめているのでしょうか。
 5月25日付の「広報しんじゅく」で、来年度の新入生に対する「学校選択」制度についてのお知らせが掲載されていました。私は学校選択制についても、学校適正配置ビジョンについても、さらには両者の同時進行についても、今年度の結果を踏まえた検証と見直しを、保護者や区民も交えて行うことが必要だと考えますが、教育委員会としての評価をぜひお伺いいたします。
 さて、5月29日に東戸山中学校の運動会があり、私も参りました。1、2、3年生の女子の長距離走のときでした。2、3年生がゴールしても、1年生は1周以上おくれました。最後まで完走できるかな、やめちゃうのじゃないかなとみんなが心配した瞬間、2、3年生数人が一斉に駆け寄り、その1年生を囲んで走り出しました。1年生は上級生たちと一緒にゴールのテープを切ることができたのです。私は大変感動し目頭が熱くなりました。多分居合わせただれもが同じ思いだったろうと思います。
 選択制、統廃合というこの間の一連の経過の中で、1年生だけでなく、2、3年生も深く心が傷ついたと思うのです。しかし、そこを乗り越えて成長していくけなげでたくましい子供たちにありがとうと言いたくなりました。そして、運動会のプログラムにも、少人数の1年生を温かく迎える工夫がされており、学校が生徒一人ひとりに心を砕いている様子がうかがわれました。改めて東戸山中学校の教師や保護者の皆さんの努力に敬意を表したいと思います。
 しかし、この子たちは来年また統合というより大きな渦に巻き込まれます。新しい同級生、通う校舎が変わる生徒たち、子供と学校現場はまたしても翻弄されるのです。来年はことし以上の激変となるわけで、教育委員会として同時進行を迫った責任が問われます。戸塚・大久保地域の中学校に対しては、特別の配慮と対策が求められると考えます。保護者や教師はいい学校にしたいと頑張っています。こうした願いにこたえて、教育委員会は何らかの具体的な対策を考えておられるのでしょうか。これは今後区が進めようとしている学校統廃合について、関係者が判断していく上でも大いに関心があるところです。お答えください。
 少人数クラスが出現する一方で、子供の数が多くなって苦慮している学校もあらわれました。一つ一つ確保してきた特別教室をなくさざるを得なくなったり、クラスの人数が40人に限りなく近づき、一人ひとりに行き届いた教育ができにくくなったりしています。
 また、通学区域を超えて通う子がふえて、地域と学校の関係が希薄になることや、連れ去り事件が起こる中で、子供の安全確保という面からも、選択制がもたらしている新たな問題点に直面しています。こうした問題について、教育委員会はどう受けとめ、対応するのかも伺います。
 東戸山中学校の運動会に参加して、一人ひとりに目を向け、それぞれが主役になることが、子供の成長にとってとても大切だと実感しました。今区内の小学校は、実態として30人以下学級が半分以上なわけですが、区として30人以下学級を実施し、すべての子供たちに行き届いた学習環境を保障していくことが、次世代育成支援先行自治体としての新宿区のとるべき道だと考えます。既に42道府県が少人数学級に踏み切っています。教育委員会の英断を求めて私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)




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