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私は2005年第3回定例会に当たり、日本共産党区議会議員団を代表して質問いたします。
9月4日夜から5日未明にかけての豪雨により、新宿区内でも床上・床下浸水160世帯という甚大な被害を受けました。被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げます。私も、5日の早朝から調査と救援活動を行い、水害の恐ろしさを目の当たりにしました。治水対策については、松ヶ谷議員の一般質問にゆだねますが、水害に当たって昼夜を分かたず奮闘された区職員の皆さんに心から敬意を表して質問に入ります。
最初に、区長の政治姿勢について質問いたします。
9月11日投票で行われた総選挙は、郵政民営化一本やりで増税隠し、改憲隠しに終始した自民、公明が327議席、衆議院の3分の2を占めました。日本共産党は国民の立場に立つ確かな野党として、郵政民営化反対、庶民増税許さず、憲法9条を守ることを訴えた結果、比例代表で492万票の支持を得、改選前の9議席を維持することができました。今後も、平和と国民の暮らしを守るため一層頑張る決意を表明するものです。
区長は、憲法9条改悪反対の立場を明確にすべき
今回で小選挙区制が導入されて4回目ですが、小選挙区制は少ない得票で多くの議席を独占することが可能な民意切り捨ての制度です。東京新聞の19日付社説でも、「党の支持率を問うなら、それは議席数じゃない、得票率にあらわれます。自民が全議席の61.7%を占め、公明と足して3分の2超の巨大与党になったとはいえ、得票率はといえば自民が5割に満たないこと、自公合わせても小選挙区で5割を切り、比例ですら5割そこそこ」で、「圧勝は圧倒的支持ではない」と指摘しています。
小泉内閣は、国民に郵政民営化が支持され、改憲や消費税増税までも支持されたかのように言っていますがとんでもありません。マスコミの論調も、朝日新聞12日付社説では、「憲法改正や八方ふさがりの外交について、首相は争点から外し続けた。白紙委任でお任せというわけにはいかない」、毎日新聞12日社説でも、「首相が『郵政』以外を語らないのは無責任だ。有権者はすべて白紙委任したわけではない」と言っています。この選挙が郵政民営化への審判であったとしても、世論が二分されたままということになり、信任されたとは言えません。
まして、憲法9条の改悪や消費税増税など、庶民増税を許したこととには全くなりません。小泉与党は、改憲のための国民投票法案を審議する「衆院憲法特別委員会」を設置し改憲に向けた動きを強めています。
今、国会で進もうとしている改憲の動きの最大のねらいは、憲法9条を改悪し、日本が軍隊を持ち、再び戦争できる国にしていくことにほかなりません。区長は、これまでも「憲法9条」の果たしてきた役割について、大いに評価する答弁をされてきましたが、平和都市宣言を行って20年の節目を迎えた今、平和を願う区民とともに、区長は憲法9条の改悪に反対の立場を明確にすべきではないでしょうか。お答えください。
区長は、小泉内閣の庶民増税方針に反対を
消費税増税など庶民増税についても、谷垣財務大臣が2006年度税制「改正」とは、定率減税全廃など所得税増税の決定を先行させ、来年秋から消費税増税論議を本格化させることを示しました。しかし、自民党はそのホームページでも「政府税調のサラリーマン増税ありきを許さない」とトップページの見出しに書いてあります。定率減税の廃止がサラリーマン増税になることは明白で、「公約違反ではないか」と国民が怒るのも当然ではないでしょうか。
区長は、第2回定例会の答弁で消費税の増税については「家計や雇用を中心とする景気対策の足どりが確かなものとはなっていない現状があり、また所得税、個人住民税の定率減税や税控除の見直し等の税制改正が進行中です。こうした状況にあって、消費税率の引き上げを明確に視野に入れることは、消費の抑制をもたらし、回復基調にある景気動向に水を差すことが懸念され、区民生活にも大きな影響を及ぼすものと考えます」と答えています。
定率減税の廃止による家計への影響は大きく、さらに所得控除の廃止や消費税の増税が追い打ちをかけたら、景気動向に水を差し、区民生活にも耐えがたい大きな影響を与えるのではないでしょうか。庶民に増税をするのではなく、バブル期以上の空前の利益を82兆円もため込んでいる大企業に、せめてヨーロッパ並みに応分の負担をしてもらえばいいのです。区民の暮らしを守るべき立場の区長としては、小泉内閣の庶民増税の方針にきっぱり反対すべきと思いますが、区長の見解をお聞かせください。
区財政の見通しについて
次に、財政問題について質問いたします。
第一に区財政の見通しについてです。
2004年度決算の最大の特徴は、実質単年度収支が25億円余の黒字で、2000年度から財政調整基金積立金の取り崩し額ゼロ、5年連続の黒字となりました。2000年度と比較しても、実質収支比率は4.2から5.7へ、経常収支比率も88.2から81.3に、公債費比率も8.9から6.7と大きく改善されています。さらに、年度末の基金現在高は234億円が361億円余となり、財政調整基金も63億円が124億円余と、着実に増加しています。
この背景には、都区制度改革による特別区交付金の増や納税義務者の増加などによる特別区民税の増、制度発足による介護保険会計の新設などのほかに、職員数の削減や区施設の有料化など、区民負担の増大があるのではないでしょうか。今定例会に提出された補正予算では、株式配当と譲渡に関する増や、納税義務者が2,500人ほどふえていることなどが要因で、特別区税21億円余の増額補正が行われています。
まず最初に、区長は5年連続黒字の2004年度決算について、どのように認識されているでしょうか。
また、財政調整基金積立金20億円も含め、2005年度の実質単年度収支が黒字になる見通しと思いますが、いかがでしょうか。
区民生活を支える財政運営を
第二に、区民生活を支える財政運営についてです。
区財政は黒字でも、区民生活にとっては痛みに次ぐ痛みに耐えた5年間だったのではないでしょうか。医療費は、70歳以上の高齢者の1割負担、サラリーマンは本人3割負担の実施、厚生年金や国民年金保険料の値上げ、東京都もマル福の廃止、区ではがん検診の有料化など枚挙にいとまがありません。
私たち区議団は、8月3日、区長に緊急要望書を提出し、アスベスト対策や子どもの医療費助成制度の対象年齢拡大や、区立小・中学校の耐震補強工事は第四次実施計画の3カ年計画を前倒しして行い、区立幼稚園と福祉施設についても、計画時期を早めて耐震補強工事を行うこと、耐震補強工事に対する助成など、6項目にわたって要望してきましたが、あわせてこれまでに有料化されたがん検診の無料化を初め、この間削減された施策の復活や、今回の水害に対する援助の拡大など、必要によっては補正予算も組んで実施し、来年度予算についても、区民生活を支える事業を実施すべきと思いますが、いかがでしょうか。
来年度は定率減税の2分の1の廃止、老年者控除、配偶者控除の廃止、高齢者非課税規定の廃止など、税制の大きな変動で区税収入は増収になることは、ほぼ間違いありません。しかし、これは多くの区民の負担がふえることを示しています。この10月からは、介護施設の食事代などが保険給付の対象外になるなど、利用者の負担も増大し、さらに来年度からは介護保険料の値上げなども予想されています。国の方針にただ従うのか、自治体として一層区民生活を守る財政運営を行うのかが問われています。区長の見解をお伺いします。
都区財政調整について
第三は、都区財政調整についてです。
都区財政調整協議会は、7月26日に2年4カ月にわたって財調主要5課題の協議を進めてきた都区検討会の検討報告を受け、今後、都区協議の場を財調協議会に移して、10月の取りまとめに向けて検討を進めることを確認しました。これまで、大都市事務検討会を11回、清掃関連経営検討会及び小・中学校改築等検討委員会をそれぞれ8回開催していますが、見解の一致点を見出せず、検討会としての結論をまとめるに至っていません。今後は、財調協議会を8月から10月の3カ月間で5回程度の会議を開き、あす27日にも主要5課題の取りまとめを行う予定になっています。区議会としては、9月15日、新宿区選出の都議会議員に要請行動を行いました。
ことし6月に出された新宿区まちづくりグランドデザインの中にも、都区財政調整の仕組みを説明しながら、「新宿区がまちづくりに努力し税収が上がったとしても、新宿区の財政に反映されない仕組みとなっているのです」と指摘しています。そして、「まちづくりの努力を区の財政に反映させるためには、区の税金が区に戻ってくる仕組みにする必要があります。区の税財源の実態を区民や事業者の皆さんに説明するとともに、さまざまな機会をとらえ、その改革を東京都や国に訴えていきます」としています。
山積する区政の需要に対して、財源を確保するとともに、自治権の確立にとっても区側としてはあいまいな決着で終わるわけにはいかない問題なのではないでしょうか。そして、今、この時期に具体的な取り組みが求められているのではないでしょうか。区の広報やホームページのトップに載せるなど、事態を区民に説明すること、さらに我が党が従来より主張している区民大集会など、区民とともに取り組みを強化することが求められているのではないでしょうか。改めて、区長の決意と今後の取り組みについて、お伺いします。
児童手当の中学校3年生までの拡大は大いに歓迎。さらに所得制限の緩和・撤廃を
次に、子育てのための経済的支援について質問いたします。
8日付毎日新聞などが、新宿区が全国で初めて来年度から児童手当を中学3年生まで拡大する方向であることを報じました。対象となる保護者の皆さんが大いに歓迎しています。今こそ、次世代育成支援計画先行自治体として、さらに役割を発揮し、他の自治体が新宿区を目標とするような、また「子育てをするなら新宿で」と言われるような思い切った施策の展開が求められています。
子育てにかかる経済的支援策検討プロジェクトの報告によると、児童手当の所得制限については、「すべての子育て家庭の支援という観点から適切でないという指摘に対し」、「中間所得層以下の家庭に支援を重点化することは、限られた財源の効果的な投入という点では一定の合理性がある」としています。しかし、諸外国の事例では、ほとんど国で所得制限がありません。区が予定している児童手当の拡大で、新たに対象となるのは6,042人、中学生までの児童数2万6,971人のうち、児童手当を受給できるのは1万4,504人で約54%です。
所得制限は撤廃するか、少なくとも私立幼稚園保護者への助成と同等の所得制限に緩和することが必要と考えますが、いかがでしょうか。
また、現行制度でも対象年齢の68%が受給できるにもかかわらず、実際に受給しているのは48%です。ことしの3月現在で未申請の児童数は2,854人になります。事業の拡大を前に、事業効果を上げる上でも、申請の促進に取り組むべきではないでしょうか。少なくとも、対象世帯に対して通知し、保育園・幼稚園・学校・保健センターなど、対象児童が利用する施設において、申請書を配布するなど申請漏れがないよう対策を講じるべきと考えますが、いかがでしょうか。
子どもの医療費助成の対象年齢拡大を
児童手当の拡大と同時に、医療費助成の対象年齢拡大も行うべきです。9月13日付の都政新報によると、区長が「児童手当と並んで経済的支援策として要望が高い乳幼児医療費助成制度については、比較して児童手当を選び取ったということ、拡充は考えていないと語った」とされています。そもそも、これまで新宿区は就学前の医療費助成と国の児童手当が相まって、就学前までの子育てに対する経済的支援が大きな役割を果たしてきたのです。まさに、この分野ではヨーロッパ並みだったわけです。庁内プロジェクトの報告では、「小・中学生も安心して医療を受けられることは、それ自体はよいことです」としています。小学3年生までの児童手当が、中学3年生までに拡大されようとしている今、決して対立的なものではなく、総合的な拡充策として医療費助成の拡大も求められているのです。
スウェーデン、イギリス、ドイツなど、先進諸外国の例から見ても、国民の医療費の自己負担が無料、または低く抑えてあることを前提に、区長の言うように「児童手当は経済的支援策の王道」となっているわけです。したがって、新宿区でも児童手当の拡大を進めるならば、医療費助成の対象を広げることを同時に進め、その上で現金給付である就学援助、住宅施策といった経済的支援を総合的に実施することが、少子化を克服するために求められているのではないでしょうか。
さきの総選挙での政府与党の政策では、それぞれ児童手当の支給対象年齢拡大や、所得制限の緩和が打ち出されました。実現されれば区として増収となり、新たな施策展開が可能になります。医療費助成は対象年齢が拡大された区では、区民の皆さんから「気軽に受診ができれば病気の重症化を防ぐことができる」と喜ばれています。全国に先駆けて、中学生までの入院医療費助成を実施してきた北区が、来年4月から通院にも拡大することを明らかにするなど、この流れはさらに広がっています。
新宿区民の中にも、「せめて小学生まで無料にしてほしい」など、医療費助成を小・中学生に拡大する要望は大変強くなっています。当面、全面的に実施できないとしても、小学校低学年だけならどうか、歯科だけなら、入院だけならと詳細な検討を加え、段階的ではあっても、医療費助成の対象年齢の拡大を早急に決断することを改めて求めます。区長の見解をお示しください。
同時に、東京都に対し、区として所得制限撤廃と対象年齢拡大を要求することが必要です。都議会でも、福祉保健局長が「現在、都議会での議論を初め、さまざまな意見があることは十分承知している」と答弁し、当選議員の多くが乳幼児医療費助成の拡大と所得制限撤廃を掲げています。現時点の到達点を踏まえ、所得制限の撤廃は区長会を通じて都に要望していますが、対象年齢拡大についても、早急に要求すべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、介護保険と高齢者福祉について質問いたします。
日本共産党区議団は、この9月介護保険法の改悪が行われたもとで、新宿区内を事業エリアとする介護事業者に対してアンケートを実施しました。195事業所中、現在、46通の回答が来ています。新法施行で心配なこととしては、「利用者がこれまで受けていたサービスが受けられなくなる」が38、「事業所の経営が苦しくなる」が36、「施設の居住費、食費などの利用者の負担がふえる」が20の回答でした。
また、今回の改定で要介護区分を変更し要支援と要介護1の人の七、八割が新予防給付に移行され、従来の介護サービスが受けられなくなることについて、多くの事業者が利用者から不安だと相談されており、ホームヘルプサービスを主としていると思われる事業者は、利用者の50%とか、65%が予防給付に移行するため、みずからの経営危機を心配しながらサービスを提供しているという実態がわかりました。
「人として尊厳を持って、家庭や地域の中で安心して、その人らしい自立した質の高い生活を送る」という区の計画理念を、どう実現するのかが問われています。
デイサービス、通所施設利用者へ食事代の補助を
第一に、デイサービスと通所施設利用者の食事代についてです。
10月1日から施設利用者の食費、居住費が保険外となり、全額自己負担となる問題が迫っています。デイサービスの食事代の自己負担分は、事業所ごとに異なりますが、1回につき400円前後の値上げをせざるを得ない事業所もあると聞いています。これによって、通所回数を減らしたり、昼食サービスを断っておにぎりのようなものを持参したりする事例が起きるのではないかと心配する声が事業者からも出ています。
この点で、千代田区、荒川区が「デイサービスの食事などを独自補助」するという方針を打ち出したことは画期的です。千代田区では、デイサービスの食事代のうち200円を、荒川区では世帯全員が非課税の利用者、約1,000人に対し25%、約200円を補助するとしています。千代田区では、施設利用者に対しても、国の低所得者対策の対象外となる人の一部にも補助するとしています。新宿区としても、食事代を補助すべきではないでしょうか。
介護保険料の大幅値上げを回避すべき
第二に、介護保険料についてです。
高齢者の増加に加え、健診などの老人保健事業等が介護保険に組み込まれたことで、来年度からの介護保険料が大幅に上がることが予想され、全国的には1,000円程度上がると言われています。現在の新宿区の介護保険料は基準額で3,300円ですが、これは前期の繰り越し分を投入し、値上げを抑えていますから、来年4月からは1,000円を大きく超える値上げになるのではと心配されます。来年からの介護保険料について、現段階でどのように見通しているのか、お聞かせください。
また、高齢者への課税強化で保険料段階が上がる方がかなり出現することが予想されますが、課税強化が区民にどう影響するのかも、あわせてお聞きします。
法改定により、保険料区分が7段階になりますが、新宿区はすでに7段階の保険料となっています。新法の新3段階は基準額の75%ですが、区の現行区分では70%、5割減額の対象者の年収も新法では80万円以下のところ、区は140万円です。区の保険料区分を国の新基準に合わせることで、低所得者の負担がふえることがあってはなりません。法改定により、保険料額や多段階化の設定が保険者である区の判断に任されることを活用し、低所得者の保険料負担をより軽減する制度にすべきと考えますが、いかがでしょうか。
今後、さらに高齢化が進行するもとで、サービスを減らさず被保険者の保険料を上げないためには、国の負担割合を引き上げることが重要です。調整金も含めて、現在25%の国庫負担を直ちに30%に引き上げることを政府に強く求めるべきと考えます。また、当面、区の一般財源を投入してでも、来年度からの保険料の大幅値上げを回避すべきと考えますが、いかがでしょうか。
自立支援型家事援助サービスの拡充、入院生活支援事業の創設、紙おむつの支給要件の緩和を
第三に、いわゆる上乗せ横出しで区が行う高齢者福祉サービスの充実についてです。
1つ目は、自立支援型家事援助サービスです。
介護保険非該当の方と認定申請中の方が、1回2時間週2回を上限にホームヘルプサービスを利用できる自立支援型家事援助サービスは、軽度要介護者のサービス削減が行われる中では、一層その役割が重要になります。そこで、現行の対象者に加えて、限度額を超えるサービスを必要とする要支援者・要介護者にも対象を拡大し、さらに個々人の生活実態や生活機能によって利用時間をふやせるように拡充すべきです。
2つ目は、第2回定例会で提案した「入院生活支援事業」についてです。
私たちが実施した事業者アンケートでも、入院生活を送る要介護者に対しては、ケアマネジャーやヘルパーが無償で対応しているという実態が改めてよくわかりました。46事業者中39事業者が、「千代田区で実施しているこの事業を新宿区でも実施してほしい」と回答しています。区として「入院生活支援事業」の実施に踏み出すべきです。
3つ目は、紙おむつの支給要件を緩和することです。
新宿区は、介護度4、5及びこれに準ずる方のみが対象になっていますが、23区のうち17区が、介護度にかかわらず失禁などの症状がある方に紙おむつを支給しています。失禁が心配で外出しなくなり、体力が低下したり、認知症が始まったという事例も聞きます。介護予防の意味でも、失禁などで必要とする人には、紙おむつを支給すべきです。以上について、区長の見解をお伺いします。
次に、アスベスト対策について質問いたします。
「静かな時限爆弾」と言われるアスベストが大きな社会問題になっています。WHOやILOが1972年にアスベストの危険を警告し、86年には規制のためのILO条約が採択され、世界的には80年代から90年代に各国が使用禁止にしました。しかし、日本政府はILO条約の批准を先延ばしし、WHO基準の200倍も緩い基準をことし4月まで放置してきました。政府と石綿業界の責任は重大であり、被害の根絶と救済は、当然、政府が責任を持って行うべきです。本年8月30日、全国市長会は情報提供や技術的、財政的支援を求める緊急要望を国に提出しました。基本的には、政府の責任で対策を講ずるべきことを前提としつつ、当面、区として行うべき事項について、以下質問します。
アスベストを吸入した方の健康管理について
第一に、既にアスベストを吸入した方の健康管理についてです。
アスベストによる病気は、現状では極めて治りにくいが、今後は治る病気となる可能性があるとされており、早期発見のための健康診断を定期的に受診することが大切です。厚生労働省は、がん等の重度の健康障害発生のおそれがある業務に従事した方が、年2回無料で健康診断を受けられる健康管理手帳の交付と労災補償制度、また石綿を扱う事業者に義務づけられている年2回の健康診断を周知するとしていますが、区としても広報等を通じて、積極的に啓発すべきです。
新宿区が7月から保健所や保健センターで実施してきたアスベスト健康相談には、8月末までに35件の相談が寄せられています。アスベスト疾患は、呼吸器の専門医でもレントゲンフィルムの読み取りが難しいとされ、新宿区もアスベストに関する健診は専門の医療機関を紹介しています。健診の正確を期し、労災補償につなげることは重要ですが、一方、近くの医療機関に行くことで受診率を上げることも必要です。東京土建では、胸部レントゲンの再読影を職業病の専門医に依頼する健康診断を行っていますが、区としても、こうしたシステムを検討してはいかがでしょうか。
区有施設や民間福祉施設の吹きつけアスベスト対策について
第二に、区有施設や民間福祉施設の吹きつけアスベストへの対策についてです。
新宿区は、1987年と2002年に区有施設のアスベスト調査を行い、吹きつけアスベストが残存している17の施設については、封じ込めや囲い込みの処理をしてきました。この17施設について、再確認をしていますが、確認結果はどうだったのか、区として、この施設について、今後どのような対策を講ずるのか、お答えください。
千代田区が、出張所等を除き区有施設は除去工事を原則にしていることを初め、アスベスト除去工事を実施する自治体がふえています。封じ込め等の対策は、初期コストが安く工期が短いメリットはあるものの、剥離・脱落したり、破損する危険があり、施設利用者や住民にとっては除去工事が一番安心です。解体までのコストを計算すると、除去する方が安いと言われており、早期に除去して今後のリスクをゼロにすべきです。民間の保育園を初め、区有施設に準ずる福祉施設についても同様の扱いとし、区が支援すべきと考えますが、いかがでしょうか。
民間建物の解体やリフォームへの対応について
第三に、民間建物の解体やリフォームへの対応についてです。
アスベストが多用された時期に建てられた建物が、これから解体やリフォームの時期を迎え、その際の被害防止策が課題となっています。アスベスト使用建物の解体については、法律や都条例に基づき、関係機関への届け出が義務づけられています。しかし、国より厳しい都条例でも、建物面積が500平米以上、吹きつけ施工面積15平米以上に限定されるなど、決して十分とは言えません。横浜市では、吹きつけ面積にかかわらず、また含有建材も含めて市への届け出の対象とし、指導基準等を定めた独自の条例を制定しています。こうした条例は、他の自治体でも検討されており、新宿区としても区民の健康と環境を守る立場で、独自の条例等を制定すべきと考えますが、いかがでしょうか。
アスベスト除去工事は、一般の解体に比べて工期が長くコストがかさむため、定められて手順に基づかない作業が行われることも懸念されており、アスベスト調査や除去工事に支援をすることで、作業従事者や周辺住民の安全を確保する対策が求められています。国の対策待ちでは、その間被害が広がる危険があります。新宿区を初め、23区の多くは中小企業融資と利子補給制度を紹介していますが、個人に対してはありません。
千代田区では、調査に10万円まで、工事に30万円まで、分譲マンションでは管理組合に対して100万円まで、それぞれかかった費用の半分を助成しています。新宿区としても、こうした制度をつくり、区民の健康は安全を確保すべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、絶対高さ制限を導入する高度地区変更について質問いたします。
高度地区変更原案が昨年末に発表されて以来、数多くの意見が出されました。それを踏まえて、区は7月に発表した高度地区変更素案で、既存建築物の特例、地区計画等を定めた区域の建築物の特例、大規模敷地における建築物の高さの特例を設けるとしています。区が絶対高さ制限をかけるということについては、これに期待する区民の声が数多く寄せられており、大いに評価するところですが、一方で特例を設けることについては、厳しい意見が出されています。
特に、大規模敷地における建築物の高さの特例は、商業地域で1,000平米以上の場合、絶対高さ制限の1.5倍、住居地域においては3,000平米以上から5,000平米未満が2倍、5,000平米以上は3倍まで、一定の条件が整えば高さ制限等を緩和するとしていますが、例え周辺に空地や緑地をとったとしても、本来なら高さ40メートルまでの建物しか建たない地域に、120メートルの建物が建つとしたら、景観上の問題、防災上の問題、その他近隣住民が必ずしも歓迎するとは限りません。一方、事業者側からすれば、特例を活用しようとする余り、規定の面積に足りないときは何とか土地を買収しようとして、バブル期のような地上げ行為が行われることにもなりかねません。
既存建築物の特例は、マンション住民などの権利を守る上で、一定必要な措置であることは理解できます。地区計画が既にある都市計画の手法の一つです。しかし、大規模敷地の特例を設けることは、絶対高さ制限を導入しようとする考え方に矛盾することにならないでしょうか。しかも、商業地域で1,000平米以上、住居地域で3,000平米、5,000平米以上では、現在、建築紛争が起きているアデニウム新宿原町計画や、荒木町計画もこれに該当する面積で、今後、開発が予定されている旧四谷第三小学校跡地も5,000平米を超えています。説明会でも、町会の役員をしておられる1級建築士の方が特例を認める大規模敷地の面積が狭過ぎると発言されていました。これを見直すべきです。区長の見解をお示しください。
そして、特例を認める際の詳細な基準を都市計画書の運用基準等で明確にすべきです。こうしている間にも、いわゆる駆け込み建築が近隣住民を悩ませています。区が絶対高さ制限を導入する方針を明確にしているにもかかわらず、住民の意見はおろか、景観まちづくり審議会の意見すら聞き入れようとしない事業者に対しては、厳しい措置で対抗すべきです。アデニウム新宿原町計画の近隣住民を初め、多くの区民から区長に対して、駆け込み建築を許さないよう要望が出されています。区は、これにこたえる具体的な対策を講じるべきです。
大規模敷地特例について近隣住民の意見を反映する仕組みを
第一は、近隣住民の意見を反映する仕組みについてです。
地区計画の場合は、当該地区住民の合意はもちろんのこと、これによって影響を受ける隣接地の住民も、公告・縦覧の制度があるので意見を述べることができますが、大規模敷地の特例では法的保障がありません。大規模敷地における建築物の高さの特例を設けるというのであれば、認定を行う際、区長は建築審査会に諮問すると言っていますが、その際に近隣住民の意見が反映されるよう、少なくとも総合設計のように公聴会を義務づけるべきと考えますが、いかがでしょうか。
既存建築物の特例は、「高度地区変更が都市計画決定された時点で工事が完了している」ことを条件に
第二は、既存建築物の特例の適用についてです。
既存建築物の特例については、区民の財産権を守る側面がある一方で、今ある高い建物は将来にわたって高い建物が建つことになり、建てかえの際に近隣との紛争が起きる可能性があります。そのような場合に、区は特例だからと、それをそのまま認めるのではなく、絶対高さ制限を考慮した計画にするよう、事業者に求めるべきです。また、適用については、「高度地区変更が都市計画決定された時点で工事が完了している」建物を対象とすることを明確にすべきと考えますが、いかがでしょうか。
そうすることによって、いわゆる駆け込み建築をやめさせることは法的に困難でも、事業者が売るときは建てかえの際は、絶対高さ制限を守らなければならないことを重要事項説明に明記しなければならず、買う側もそれを承知の上で物件を買うことになります。
施行時期を早めるべき
第三は、施行時期を早めることについてです。
現在のスケジュールでは、12月に都市計画審議会で高度地区変更の都市計画決定を行い、周知期間を置いた後、来年3月施行の予定で進んでいます。高度地区変更は重要な問題ですから、十分な議論が必要なことは言うまでもありません。しかしながら、施行時期が遅くなればなるほど、駆け込みによる紛争がふえることも事実です。絶対高さ制限を導入した小田原市では、都市計画決定し即日施行しています。区は、当初のスケジュールにこだわらず、十分に意見を聞くという姿勢を示してきました。素案では、既存のマンション住民の意見も一定取り入れてきました。今後は、素案に対して寄せられた意見を十分に考慮し、特例に対する厳しい基準を明確にした上で、都市計画決定した後には速やかに施行すべきと考えますが、いかがでしょうか。
住民の立場に立った事業者への指導を
この質問の最後は、区としての事業者に対する指導のあり方についてです。
絶対高さ制限を導入する高度地区変更が都市計画決定された後も、建築紛争がなくなるわけではありません。絶対高さ制限を決めたことで、それさえ守ればよいと事業者に対し逆にお墨つきを与えることにもなりかねません。区が住民の立場に立って、よりよい住環境のため事業者を指導していくことが、今後一層求められます。その点で、区長の決意をお伺いします。
以上で、私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
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