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■2006年第1回定例会代表質問 雨宮議員(2006年2月24日)


 2006年第1回新宿区議会定例会に当たり、日本共産党新宿区議会議員団を代表し、区長並びに教育委員会に質問いたします。


1、国民保護法ならびに憲法改定の動きについて

 最初に、国民保護法並びに憲法改定の動きについて質問します。

区長は戦争準備のための国民保護計画作成の押しつけに反対を

 本定例会には、区長から、新宿区国民保護対策本部及び新宿区緊急対処事態対策本部条例と新宿区国民保護協議会条例が提案されています。これらの条例案は、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律、いわゆる国民保護法に基づき新宿区の対策本部を設置するとともに、新宿区の国民保護計画の策定などを行う協議会を設置するものです。
 国民保護法の前提となっているのは、武力攻撃事態法です。政府は、日本が他国から攻撃を受けた場合、すなわち「武力攻撃事態」に国民を保護する法律だなどと説明していますが、その政府自身が、2004年12月に策定した防衛計画大綱は、「見通し得る将来において、我が国に対する本格的な侵略生起の可能性は低下していると判断される」と述べています。
 では、日本が戦争に巻き込まれる現実的な可能性は、どのような場合でしょうか。政府は、「周辺事態」と「武力攻撃予測事態」が「並存する」という認識を示しています。つまり、日本以外の場所で、アメリカの戦争による「周辺事態」が起こったら、日本が「有事」になっていなくても、武力攻撃事態法が発動されます。政府が「武力攻撃予測事態」を宣言すると、自衛隊法により自衛隊の作戦・兵たんを推し進め、米軍支援法制で米軍への兵たん支援を行い、国民保護法によって国民を戦争に組み込んでいく仕組みがつくられます。
 自治体は、住民の避難だけではなくて、病院、学校、公民館などの自治体の施設を米軍と自衛隊に提供するなどの計画をつくることになります。また、自衛隊法では、都道府県知事が医療関係者や土木・建築業者、輸送業者に自衛隊への従事の命令を出すことも定められています。
 さらに、武力攻撃事態法は、第3条で、憲法に保障された基本的人権、「国民の自由と権利」を「制限」する場合があることを公然と認めています。国民保護計画が発動される事態は、このような戦争法の体系がすべて動く事態であり、自治体を戦争協力の下請機関にしていくものです。
 中山区長は、昨年区議会第3回定例会の答弁で「新宿区平和都市宣言のお冒頭にあるように、世界の恒久平和は人類共通の願いです」と述べられました。そうであるならば、戦争を準備し、戦争に住民を動員するための国民保護計画作成の押しつけに反対し、アメリカが引き起こす戦争に区民が巻き込まれることがないように、政府に積極的に働きかけることこそ、区長が力を尽くすべきことではありませんか。見解を伺います。

区長は憲法9条改悪に反対を

 この国民保護計画の自治体への押しつけと軌を一にしているのが、憲法改定の動きです。
 昨年10月に、自民党は「新憲法草案」と称した具体的な憲法改定案を発表しました。政権党が具体案を発表し、憲法改正のための国民投票法案も日程に上っているのですから、自治体としても見過ごすことはできないはずです。
 この草案は、前文から「政府の行為によって再び戦争が起こることのないようにすることを決意し」という文言を削除し、第9条2項の戦力不保持と交戦権否認を削除することを最大の特徴としています。そのかわりに「自衛軍の保持」を明記し、その活動として「国際協調」のための活動、「公の秩序維持」の活動などをあげ、自衛隊が海外で武力行使することを可能とするものです。そして、第12条は「公益及び公の秩序に反しない」ようにすることを「国民の責務」として、国民の自由と権利よりも「公の秩序」を優先させるという立場をとっています。
 今、この憲法第9条の改定によって日本が海外で武力行使する国となることへの反対の世論が、国内外で急速に広がっています。大江健三郎さん、加藤周一さんなどが呼びかけた「9条の会」は、草の根の運動で次々と広がり、既に全国で4,000を超す会が結成されています。私の住んでいる四谷地域にも「四谷9条の会」が準備されています。
 中山区長は、これまでも「私たちの平和と豊かさは、先人の尊い犠牲の上に成り立ってきたもので、世界平和の実現に対しても大きな意義があり、その意味からも憲法の果たしてきた役割は大きい」と答弁されてきました。改定の具体案まで出されている今、現行憲法の平和原則を否定して、自衛隊の海外での武力行使を可能とする憲法改定には、きっぱりと反対の立場を表明すべきだと思いますが、区長の見解を伺います。


2、区政の基本方針と2006年度の予算案について

 次に、区政の基本方針と2006年度の予算案について質問します。

都区財政調整協議について

 第1に、都区財政調整協議についてです。
 特別区長会は、1月に一たん拒否した都の提案を一転して受け入れました。区長会が合意した内容は、2006年度と2007年度の財調協議を切り離して、2007年度の調整率について改めて協議するとした以外は、1月の都の提案とほとんど同じ内容です。共同歩調を進めてきた議会としては、事前に十分な説明もなく合意したことは、とても承服できるものではありません。これでは、区民の納得は到底得られません。
 そもそも、中心課題である「大都市事務の役割分担を踏まえた財源配分」が解決できない最大の原因は、都が地方自治法の規定に逸脱する「大都市行政論」を強引に持ち込んだことにあります。今回の「今後の都区のあり方を検討する都区の共同機関を設置する」という合意は、またしても結論の先送りであり、これでは、2000年、2003年と同様に、都に押し切られ屈服してしまったということではないですか。
 区長は、基本方針で「住民自治と区の自治権拡充という観点から、基礎自治体として区が、自主的・自立的な行財政運営ができるように、国や東京都に対し働きかける」と述べましたが、今回の合意の内容はこの区長の考えと逆行しているではありませんか。
 区長は、どのように評価しているのか。また、今回の都区財調協議に当たり、この立場から一体どのような努力をしたのか、区長会等でどのような発言をしたのか、具体的にお答えください。
 また、昨年の第3回定例会で、我が党の提案に対し、区長は「区民集会などの取り組みなどについても、協議の推移を見きわめる中で検討すべき」と答弁しました。合意をする前に、このような区民と一体となった取り組みを行うべきだったのではないですか。
 私は、改めて山積みする区政の需要に対して、財源を確保するとともに、区の自治権拡充のためにも、区民、議会と一体となった取り組みを強化すべきだと考えますが、見解をお示しください。
 次に、区長は、「都区のあり方」を議論することを都区双方が認めたことが、都の提案を受け入れた重要な要因だと評価しています。しかし、共同機関を設置して検討するとした「今後の都区のあり方」に「特別区の区域のあり方(再編等)」が含まれていることは、極めて重大です。20日付の東京新聞は、この問題を取り上げ「既に一部の首長間で、組み合わせまで話し合われている。8つぐらいに再編できれば……」などという話まで報じています。
 区長は、基本方針で、道州制や大都市圏における広域行政のあり方、東京における新たな自治制度のあり方などについて検討が進んでいることを示して、「今後の特別区のあり方を論じていく上で最も重要なことは、区民の視点からいかに住民自治の拡充を図るかということ」などと言っていますが、区民不在で、都と一体となって、基礎的自治体である新宿区を廃止することを含む議論の土俵に乗るとしたら、本末転倒ではないですか。この点について区長はどう認識されているのか。
 また、区長自身は、特別区の再編についてどのようにお考えなのか、お答えください。
 これら財調を含む都区のあり方について、協議が区民不在で進められている要因は、都区間の協議内容について区長会で決定された結果のみが報告され、区議会の意見が反映できる仕組みがなく、区民にもほとんど知らされていないことです。区長会で方針を決定する前に、区議会と区民に広く知らせて意見を聞き、その内容を踏まえて区長会に臨む仕組みをつくるべきだと考えますが、区長の見解を伺います。

区民生活の現場・現実を区長はどのように認識しているのか

 第2に、2006年度予算案についてです。
 区長は、基本方針で「総合力の向上と、現下の区政課題に果敢に挑戦する予算」と位置づけたと述べています。我が党が繰り返し要求してきた木造住宅の耐震補強工事助成を初めとした震災対策に前進が見られることなどは評価できますが、一層深刻化する区民の暮らしの実態から見て、この予算案全体が「現下の区政課題に果敢に挑戦」した内容と言えるでしょうか。
 小泉内閣の構造改革のもとで、社会保障は医療、年金、介護、障害者福祉のあらゆる分野で連続的な改悪が強行され、さらに定率減税の縮減や老年者控除の廃止等、一連の税制改革による大増税で、小泉内閣になって今日までに13兆円もの国民負担増が行われました。大企業はバブル期を上回る利益を上げていても、区民に景気回復の実感はありません。所得格差の拡大が社会問題にもなっています。新宿区でも、生活保護受給者数は、2000年4,123世帯から2006年では6,007世帯と1.46倍へ、就学援助受給者は、小学校で16.6%から20.9%へ、中学校は19.8%から27.6%へふえています。国民健康保険の短期証発行数は、2002年3月末と2005年12月末の比較では、6カ月証1,858世帯から9,202世帯と約5倍増、12カ月証は171世帯から2045世帯と約12倍にもふえています。
 私の知っているクリーニング店を営んでいる御夫婦は、とにかく注文をとり、洗濯物の量をふやさないと生活できないからと、御主人は朝6時から夜11時まで休日もなく働いてやっと生活しているとのこと。国民健康保険料は、一昨年滞納して支払うことができなくなったため、去年は何とか滞納しないよう、食事を削り、旅行にも行かず、払うべきものは払ってきたとのことでした。しかし「これ以上国民健康保険料や介護保険料が値上げされたらどうにもならない。ことしから売り上げにかかる消費税分として30万円を初めて納税することになったが、二、三カ月分の生活費と同じくらいの額なので、現状では借金しないと払えない」と言っています。
 知的障害者の親御さんは「自立支援法の説明を受けましたが、今まで無料だったのに4万円近く負担するようになるんです。それ以外にも、日曜日のたびに外へ連れていくので負担が大変です」と話しています。
 区長の基本方針説明を聞いても、こうした区民の暮らしぶりについて言及はなく、区長は区民の生活実態をどのように感じているのか、全く見えてきません。区民生活の現場、現実を、区長はどのように見てこられ、どのように認識されているのか、まず伺います。

税制改定による区民負担増は15億円。区財政は改善されても区民のくらしはいっそう深刻

 区長は、「景気回復と税制改正の影響などによる特別区民税等の一般財源の伸びと行財政改革計画等の成果により、平成元年度以来、17年ぶりに財源不足を払拭した予算」だと説明しています。この行財政改革計画等の成果とは、言うまでもなくがん検診等の有料化を初めとする使用料、手数料の値上げなど区民負担の増大や、区立施設の廃止、民間委託、民営化など、区民の犠牲の上に成り立っているものにほかなりません。
 また、特別区民税の増収見込みのうち、15億3,000万円は定率減税の縮小を初めとした税制改正の影響によるものであり、新たな負担として区民生活にさらに重くのしかかるものです。区の財政は改善されても、区民の暮らしは一層深刻となっているのです。
 予算案では、住民税の定率減税縮減等により生じた区民負担について、影響緩和策12事業、約8,000万円の予算が計上されています。これは、我が党も要求してきたものであり、評価するものですが、税制改定による税収増、すなわち区民負担増の15億3,000万円からすれば、8,000万円の予算では余りにも少ないのではないでしょうか。しかも、激変緩和措置は単年度から3年間という短期間の事業で、急激に負担はふえないようにするが、今より暮らしが楽になるというものではありません。
 国民健康保険料も23区で激変緩和を行いますが、それでも年金収入260万円の単身高齢者は、約3倍に値上げされることになります。これをもっと引き下げることが考えられないのでしょうか。
 介護保険法の改悪で、利用者の負担がふえていますが、通所サービスの食費助成だけでなく、入所施設も多くの人が年金収入だけではとても入れないという実態に何らかの助成を検討すべきではないでしょうか。
 障害者自立支援法については、後でも質問しますが、区民の暮らしを支えるために必要なことがもっとあるはずです。

区民生活を根本から支える予算編成を

 区長は、基本方針の中で「将来にわたり持続可能な都市新宿をつくり上げる」と繰り返し述べています。持続可能な都市とは一体何でしょうか。区民が安心して住み続けられてこそ、区民生活が持続できてこそ、新宿区が成り立つのではないでしょうか。今、区民が必要としているのは、激変緩和にとどまらず、小泉内閣の「構造改革」から区民の暮らしを守り、根本から区民を支えるような施策であり、それでこそ「現下の区政課題に果敢に挑戦する予算」と言えるのではないでしょうか。区長の見解をお示しください。
 以下、来年度予算や当面の区政運営で、具体化すべき区民の緊急切実な要求について、4点に絞って質問します。


3、乳幼児医療費助成制度の対象年齢拡大について

23区中18区が実施に踏みだしている

 その第1は、乳幼児医療費助成制度の対象年齢拡大です。
 政府は、少子化社会対策推進会議を設置し、その中で児童手当等の経済的支援が検討され、乳幼児医療費助成についても今後の検討事項として議論が始まっています。23区でも、現在、10区が対象年齢の拡大を行っていますが、来年度新たに北区が、中学生までの入院費に加えて通院にも拡大、墨田区、江東区は、中学3年生までの入院費と小学校3年生までの通院費、中央区、江戸川区、渋谷区は、中学3年生までの入院費、豊島区は、小学校6年生までの入院費、足立区は、小学校3年生までの入院費を無料化にすることが明らかになりました。これで、23区中18区が乳幼児医療費助成制度の対象年齢拡大に踏み出したことになり、残るは、新宿区、千代田区、杉並区、文京区、荒川区の5区だけで、今や医療費助成の拡大は、23区内で当たり前のことになっているのです。
 新たに拡大する区に話を伺いました。「経済的支援として前からやりたかった。」「医療費の負担は重い。特に、負担の大きい入院費の助成から始めたい。」「近隣区が拡大しているので、区民からの要望も強くなっていた。」など、拡大の理由を挙げています。新宿区民からも「小学生になっても安心して病院に行きたい」「中野区は広げたけれども、新宿区はいつやってくれるんですか」など、拡大を求める声は日増しに強くなっています。
 既に、昨年4月から入院通院とも中学3年生まで拡大している台東区は、拡大した理由として「目的がはっきりしており、すべての子育て世帯を対象にすることにより、子育て支援の普遍化につながる」としています。そして「本来国がやるべきことだが、地方自治体が先駆けてやることによって国も動く」と担当者の方は話していました。
 新宿区も、かつて全国に先駆けて乳幼児医療費助成を小学校入学前まで引き上げましたが、今となっては、新宿区が次世代育成支援計画策定の先行自治体でありながら、この問題ではおくれをとっている状況を区長はどのようにお考えですか。

一日も早い実現へ、区長の決断を

 今定例会を前に、私ども区議団は、医療費助成を小学校6年生まで拡大するよう区長に申し入れました。これを実施するのに必要な予算は4億9,000万円です。一刻も早く乳幼児医療費助成の小学校6年生までの対象年齢拡大を行うべきです。
 区長は、子育ての経済的支援として、来年度児童手当を中学3年生まで拡大するから、医療費の拡大はしないとおっしゃるのかもしれませんが、児童手当は国も対象年齢を小学校6年生まで拡大し、所得制限も緩和します。これにより、全国の自治体で小学校6年生まで支給されることになり、同時に自治体の財政負担も全国同じようにふえることになります。新宿区が独自で拡大するのは、中学校1年生から3年生までで、これにかかわる予算は、子ども家庭課の試算によると2億1,200万円となり、小学校4年生から中学3年生まで見積もった来年度予算3億9,000万円に対して1億8,000万円浮くことになります。
 医療費助成の拡大にかかる予算は、小学校3年生までなら約2億円、中学3年生までの入院費だけなら約1億1,000万円、歯科のみを中学校3年生まで拡大すると6,000万円弱で実現可能です。当面、1億8,000万円の範囲で可能なところまででも対象年齢拡大に直ちに踏み出すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 拡大を行わない5区の中でも、杉並区は、次世代育成支援計画で「税控除や児童手当・医療費助成制度などの経済的支援等については、国・都が取り組むべき施策」として、医療費助成の拡大は行わない方向を明確にしています。千代田区も、医療費助成の拡大については「実施の予定はない」とする一方で、児童手当の拡大を小学校6年生からさらに拡大し、5カ月の胎児から高校3年生まで実施するとしています。
 区長は、これらの区と同様、医療費の拡大は将来も実施しないというお考えなのでしょうか。他区の状況を見て、いずれは拡大に踏み出そうと考えておられるのではないかと、私たちは期待するものですが、いかがでしょうか。新宿区が子育て支援策ナンバーワンの先行自治体となるよう、区長の決断を求めます。


4、成人健診・がん検診の無料化について

 第2に、成人健診・がん検診の無料化です。
 3年前までは、成人健診・がん検診は無料でした。来年度予算案では、税制改正による緩和策がとられていますが、無料ならば緩和措置は必要ありませんでした。区民の皆さんからは、この機会にぜひ無料にしてほしいという声が出されています。
 我が党は、今定例会前に、無料に戻すように区長に要望しましたが、その際、区長は、有料にしたのは「お金の問題ではない」とおっしゃいました。しかし、もともと有料化は、1999年の区政改革プランで打ち出されたものです。当時の小野田区長が「区政改革プランの実施は、区民生活に影響を与えるだろう。その点については心中穏やかならざるものがある。しかし、財政破綻を避けるために断行する」と言っていたように、有料化は「財政困難」から出発したものであり、紛れもなく「お金の問題」でした。
 区は、2003年には「限られた財源の中で区民の要望に的確にこたえていく必要」と言っていましたが、財政非常事態宣言を取りやめ、実質単年度収支が毎年黒字になった2004年以降には「限られた財源」という言い方をやめて「事業を安定的に実施し、検診精度の向上や新たな健診項目への取り組みを進めていくため」と理由を変え、しかも「区民に自分の健康は自分で守るという意識を高めていただくことにもつながる」などと言い始めました。

区財政が改善されつつある今、区民の命と健康を守るために無料制度復活を

 区民の皆さんからは、財政が好転したのに、なぜ理由を変えてまで有料化を続けるのかという声が寄せられています。その上、有料の方が、自分の健康は自分で守る意識が高まるなどとは到底理解できません。
 そもそも、がんを初めとした生活習慣病は、自覚症状がないうちに徐々に進行し、わかったときには手おくれの場合もあります。だからこそ、健診が必要であり、区役所の職員の皆さんは、無料で健診が行われています。成人健診・がん検診を有料で受診する人たちは、自営業者や中小零細企業の従業員など、構造改革で最も苦しめられている人たちです。私の知り合いでは「有料になったから、受ける検査は病歴のあるものだけにした」という人や、妻が若年性の認知症になり、生活を支えるために必死で働き、時間的にも経済的にも区の健診を受ける余裕がなくて、病院に行ったときはがんの末期で手おくれだったという人もいます。このような人たちにとって、無料であってこそ健診を受ける機会を保障されるのが当然ではありませんか。
 成人健診・がん検診を無料にした場合、来年度予算の影響額は、歳出で約5,000万円、歳入で約1,000万円、合計6,000万円です。区財政が改善されつつある今、不況やさまざまな負担増に苦しむ区民の命と健康を守るために、無料に戻すべきではありませんか。答弁を求めます。


5、障害者福祉について

障害者の生きる権利を奪う障害者自立支援法

 第3に、障害者福祉についてです。
 昨年10月、障害者自立支援法が成立し、ことしの4月から順次施行されます。この法律は、障害が重く、サービスの利用が多い人ほど負担が大きくなる応益負担を導入するもので、自立支援どころか、自立を妨げ、生きる権利を奪うものだと障害者とその家族、関係者からは不安の声が上がっています。障害者自立支援法の施行により、これまでのサービスが質量とも後退するようなことがあってはなりません。
 障害者がサービスを利用しようとするとき、最大の問題となるのは、経済的負担がどれくらいになるかということです。障害者自立支援法では、障害者本人の地域生活支援事業など身近な地域でのきめ細かいサービスを提供する実施主体は市区町村であり、利用料の問題も基本的に市区町村独自の判断ができる仕組みとなっています。区が、どのような施策を展開するのかが、支援制度のかぎを握っていると言っても過言ではありません。障害者とそれを支える家族が、安心して生活できるよう、区としてサービスの整備と利用料の減免など責任を持って支援を実施すべきです。
 新制度への移行に当たっては、個別減免や社会福祉法人減免のほかに、東京都がホームヘルプサービスの本人負担を3%に抑えるなど、激変緩和措置が実施されます。新宿区独自の激変緩和策としては、食費負担軽減措置として、当面3年間は食材費相当分370円のみを徴収するとしています。
 しかし、国の制度は、基本が応益負担で、負担の上限もすべてのサービスの総額に上限を設けるものではなく、障害者福祉サービス、自立支援医療、補装具のそれぞれに対し上限額までは1割負担となり、その他に食費や光熱水費など実費負担が加わることになります。

他の自治体のように負担軽減制度の創設を

 京都市は、利用者の生活実態を踏まえたセーフティーネットの整備が必要と判断したとして、独自の利用者軽減策を発表し、京都府も、同様の施策を市町村と協調して実施することを明らかにしています。内容は、所得区分を独自に設定し、年間所得が230万円以下の場合、負担額の上限がおおむね国基準の50%になるよう、また、障害者福祉サービスや自立支援医療を併用する場合でも、負担上限額を7,500円から3万7,200円に抑える総合上限制度を実施するものです。
 また、横浜市は、障害者福祉サービスの利用に際し、今まで無料だった低所得者が引き続き無料でサービスが受けられるよう、独自の助成制度を3年間の激変緩和措置として実施します。横浜市の中田市長は「血も涙もある施策」と説明しています。
 都内の自治体でも、荒川区は、食費の負担を50%軽減するほか、すべての在宅サービスの利用料を3%に抑え、全身性障害者等在宅サービスの利用量が多い人には、負担上限額を50%軽減するとしています。三鷹市も、市民税の非課税世帯の人を対象に、通所施設とデイサービスの利用料を月額4,500円を上限に助成することを明らかにしています。
 新宿区としても、障害者団体などからも要望が出されているように、区が設定する地域生活支援事業の利用者負担については、応能負担の制度とすべきです。少なくも京都市や横浜市、荒川区などが打ち出しているような制度を新宿区でも創設すべきと考えますが、いかがでしょうか。


6、チェーン店などの商店会加入促進と新宿区産業振興基本条例の制定について

他の自治体で広がるチェーン店などの商店会加入促進支援

 第4は、チェーン店等の商店会加入促進と新宿区産業振興基本条例の制定についてです。
 一昨年4月、世田谷区で始まったコンビニやスーパーなどのチェーン店に、地元の商店会への加入や地域活動への応分の負担を求める条例改正の動きは、わずか2年足らずで急速に広がり、同様の趣旨を盛り込んだ条例改正を行った区や、この機会に同趣旨の条例を盛り込んで新しく産業振興基本条例を制定した4区を含め、都内23区中12区となっています。
 先日、区議団として世田谷区を視察しました。条例改正後の商店会新規加入は、昨年度476店舗、今年度300余店舗と、加入商店数の減少傾向に歯どめをかけています。2月27日には、同区の商店街連合会等が主催し、同区と東京都・同商店街振興組合連合会や中小企業庁が後援して、大学教授の基調講演やパネルディスカッションなどを行う「全国商店街加入促進サミット」が世田谷区パブリックシアターで開催されます。また、昨日も、文京区のシビックホールで文京区の商店会振興組合が主催し、荒川区、台東区、北区の区商連等の共催で「商店会加入促進決起大会」が開かれています。
 区長は、一昨年、世田谷区で始まったチェーン店の商店会加入促進の条例改正を契機にして、12区がこの趣旨を盛り込んだ条例改正や、新たに産業振興基本条例を制定した動向について、どのようにお考えですか。お聞かせください。
 一方、我が新宿区の商店街の動向はどうでしょうか。この5年間で、区の商店会連合会の加盟商店会は8商店会がなくなり、加盟店舗数も250店近くも減少しています。
 ある商店会長さんは「戦後間もなくからこの場所で商いをしてきた。今、商店会活動をやっているけれども、駅周辺や繁華街の商店会と我々一般住宅地の商店会とは大きな格差がある。長い間一緒にやってきた店舗が一つ、一つ、消えていくのは寂しくてならない」とため息をついていました。これは単に商店街だけに限ったものではありません。区の地場産業である印刷関連業を初め、区内のさまざまな産業で営む中小企業者の多くが、これまでに経験したことのない深刻な不況の中で、いつ倒産か廃業に追い込まれても不思議ではない状況の中で、悪戦苦闘しているのではないでしょうか。

産業振興基本条例の制定を

 次に、区の産業振興に対する区長の基本的な考えについてお伺いします。
 区長は、本定例会の区政の基本方針説明で、4つの重点施策について述べていますが、その重点施策の中に、区の産業振興がなぜ入っていないのか、疑問でなりません。
 区長は、区政の基本方針説明で「私たちの日々の生活の基本は暮らしやすさにあり、暮らしやすい生活のためには、安全・安心という生活の最も基本的な要素が充足されていなければならない」と述べていますが、だとするならば、その暮らしやすさを一番担ってきたのが商店街の方々であり、また、町会や消防団活動などの安全・安心の最も身近な活動の担い手でいるのが、地元に根をはっている中小零細業者の方々であります。区内経済の中心的な役割を担うと同時に、今述べたような担い手でもある商店街を初めとする区内産業の今後の動向は、区長の言う「将来にわたり持続可能都市新宿をつくり上げていく」上でも大きく左右するものです。
 区の産業振興に対する課題を重点項目の3つ目の課題である「安全で快適な文化の薫るまちづくり」の施策の一つに入れるべきであり、同時に、その基本的考え方を指し示す産業振興基本条例を今こそ制定すべきと考えますが、いかがでしょうか。

チェーン店などの商店会加入促進、商店街振興のために区の支援を

 次に、当面する商店街振興施策についてです。
 1つには、区内の各商店街の実状に即した振興策の構築についてですが、区内の各商店街は、駅周辺・繁華街・住宅街などその置かれている立地条件によりその振興策も画一であってはなりませんし、とりわけ困難を抱えている商店街を下支えする施策の構築を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。
 2つには、先に述べた世田谷区での全国商店街加入促進サミットで紹介される都内各地や全国の商店振興活動のすぐれた取り組みや貴重な経験を学び、新宿区の商店街振興策に生かすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 そして、商店会の加盟促進問題では、区が実態調査を行うとともに、各商店会の実情に即したチェーン店の商店会加盟促進を図るため、改めて区商連等との協議を呼びかけるべきと考えますが、いかがでしょうか。


7、教育行政のあり方について

 最後に、教育行政のあり方について質問します。
 この間、教育委員会の区民、学校関係者などの意見を無視した強引な教育行政の進め方に批判が広がっています。

小中学校の夏休み短縮の強行はやめるべき

 その一つは、小・中学校の夏休みの短縮問題です。
 パブリック・コメントが昨年11月から12月にかけて実施されました。「夏休みを5日間減らしただけで、子どもたちの学力が向上するとは思わない」「確かな学力を身につけるためには、授業日数をふやせばよいのでしょうか。否です。家庭教育のあり方を考えることこそ急務と考えられます」「取り組み内容を決定する過程が不明確である」など、ほとんどが反対意見で、一方的な進め方を批判する意見であり、そのことは、教育委員会事務局自身が認めているところです。
 ところが、教育委員会は「年間授業日数の拡充は急務である」と、あくまでも来年度から夏休みの短縮を強行しようとしています。しかも「夏休みは、野球部の合宿があったり、帰省したり、みんなでキャンプに行ったりする大事な時間です」など、具体的に出されている不安や問題に対しても「配慮していきます」と、お役所的な回答を示すだけで、とても真摯に対応しようとしているとは思えません。保護者や居場所事業に参画している関係者もいまだに十分知らされておらず、私たちのところへも「行事に影響する」という不安の声や「教育委員会には振り回されてばかり」という批判の声が寄せられています。一体何のためにパブリック・コメントを行ったのかということが根本から問われています。
 教育委員会は、パブリック・コメントなどで寄せられた区民の意見は無視することが当然だという考えなのか、まず伺います。
 我が党が第4回定例会でも指摘したように、子どもたちの教育、学校と家庭での生活のあり方にかかわることのような大事な問題を、関係者の意見を無視して進めることはあってはならないし、合意がないままに進めてうまくいくはずはありません。来年度の実施は取りやめて、少なくとも1年以上かけて学校関係者と区民の意見を十分に聞いた上で結論を出すことを要求します。
 また、「中学生や小学校高学年の子どもたちの意見を聞いてください」という意見に対し、教育委員会は、短縮を強行することを当然とした上で「子どもの意見を聞きながら運用していくことも考えています」などと回答しています。
 そもそも、子どもたちの意見を聞かないで決定することは「自己の見解をまとめる力のある子どもに対して、その子どもに影響を与えるすべての事柄について自由に自己の見解を表明する権利を保障する」とした子どもの権利条約の精神にも反するものではありませんか。
 以上、3点について答弁を求めます。

保護者、子どもたち、学校関係者、区民の意見を十分に尊重した民主的な教育行政を

 もう一つは、昨年10月に突然知らされた西戸山中と西戸山二中の統廃合の問題です。
 既に新入生の学校選択が終わってからの提案だったこと、学区外に仮校舎ができること、安全性の問題などについて、保護者の皆さんからは批判や不安の声が相次いで出されました。教育委員会と議長あてに各校でとったアンケートも拝見しましたが、問題点とともに教育委員会の強引さが共通して批判されていました。
 改めて、保護者と地域の皆さんの意見を十分に聞いて検討するよう求めます。見解を伺います。
 最後に、このような結論先にありきの強引な手法に対する学校関係者や区民の批判を教育委員会はどのように受けとめているのか。私は、区長が常々協調している「協働」や「参画」とも相入れない姿勢だと考えますが、見解をお示しください。
 我が党は、教育委員会がこのような姿勢を改めて、保護者、子どもたち、学校関係者、区民の意見を十分に尊重した民主的な教育行政を進めることを求めるものです。答弁を求めて、私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)




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