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■2006年第3回定例会代表質問 近藤議員(2006年9月20日)

 私は2006年新宿区議会第3回定例会に当たり、日本共産党区議団を代表して、区長に質問いたします。前者と重なる質問もありますが、よろしくお願いいたします。

 自民党総裁選挙の投票が今ちょうど行われるころかと思います。安倍官房長官は、再チャレンジできる社会の実現を経済政策の柱に掲げ、努力した者が報われ、勝ち組、負け組が固定しない社会をと述べています。しかし、あえて再チャレンジと挑戦の繰り返しをテーマとし、勝ち組、負け組の固定化を取り上げざるを得ないことそのものが、格差社会の深刻な実態を示しています。再チャレンジできる社会というのは、もともと小泉改革、何より財界の主張です。再チャレンジは、決して格差社会の免罪符になりません。今後も予想される安倍政権のもとでも、区民生活の改善は到底期待できません。実際の区民生活はどうでしょうか。

 この間、私たち日本共産党区議団は、7月末より新宿区政アンケートを実施してきました。きょう現在返信数は1,887通です。これだけの規模で返信いただいたことは、私たちも経験がありません。

 現在1,831通のアンケートを集計したところ、改めて区民生活の実態がわかりました。暮らし向きについては「苦しくなった」と1,033人、56.4%。世の中の格差が広がっているかについては「そう思う」が1,444人、78.9%。税金や社会保障が去年と比べてどうかの問いには「負担が重たくなった」が1,445人、78.9%。今後の負担については「これ以上の負担は耐えられない」が1,457人、79.6%。実に区民の8割が負担が重い、これ以上は耐えられないと答えています。

 アンケートの自由意見欄には、区政から国政までのあらゆる問題、地域の問題、自分の生活のことなどびっしり書かれているのが特徴です。私たち日本共産党区議団は、アンケートで寄せられた声を今後の区政に大いに生かしていきたいと思います。

大規模開発ではなく、区民生活を優先する財政運営について

 最初に大規模開発ではなく、区民生活を優先する財政運営について質問いたします。

 9月1日に出された平成19年度予算の見積もりについての依命通達では、平成18年度当初予算では17年ぶりに財政不足を払拭し、平成17年度決算では12年ぶりに経常収支比率が80%を下回り、区財政は平成12年度以降6年連続黒字決算となるとともに、財政調整基金を初め各種基金の残高確保にも努めた結果、これまでの行財政改革等の成果と相まって、一定の対応力を身につけつつあると指摘しています。

 2005年度決算では、実質収支が48億1,000万円、実質単年度収支が35億7,000万円と6年連続黒字です。2005年度末現在高は、財政調整基金が151億8,000万円、基金合計は今年度当初に見込んだ376億4,000万円よりふえ、403億6,000万円になっています。

 依命通達が、区財政が好調になった要因として示した行財政改革計画等の成果とは、がん検診等の有料化を初めとする使用料、手数料の値上げなどの区民負担増や、区立施設の廃止、民間委託、民営化などであり、また、今年度の住民税の増収は、税制改正の影響による新たな負担として区民生活にさらに重くのしかかっているのです。

 こうした区民の犠牲の上に成り立つ区財政の現状を考えるならば、区民の暮らしが一層深刻となっている今、区民生活を底支えすることが区政に課せられた最大の責務ではないでしょうか。ところが、黒字続きで基金もふえてきたのを契機に、区が関与した新宿駅周辺の大規模開発のプロジェクトが次々と動き始めています。

 まず東西自由通路についてです。私ども日本共産党区議団は、先日JR東日本の担当課長に話を聞いてきました。この6月からJRと都、区の3者で幅25メートルの東西自由通路整備について、事業費などの協議が始まっています。その当初から、JRは120億円の総事業費の試算を区に示していることが明らかになりました。これまで区が示してきた事業費70億円を大きく上回るもので、JRと国と自治体とで3分の1ずつ負担するとしたら、区は一体幾ら負担することになるのでしょうか。

 JRの言い分では、東西自由通路はJRにとってメリットはなく、地元の要望でやるものだが、区が事業をやるときに、全くお金を出さないわけではないというもので、いかにJRの負担を少なくしようとしているのかがうかがえます。東西自由通路の事業費が膨大な額になることは明らかで、JRがこのような姿勢に終始している以上、多額の区財政の投入が避けられない事態になっているのではないでしょうか。

 2003年第4回定例会の我が党の代表質問に対して、区長は、区はみずから膨大な費用負担を行う考えは持っておりません。区の費用負担が極力生じない方向で、この東西自由通路の整備実現に努めてまいりますと答えていますが、今後の見通しとともに、現在でもその考えは変わらないのか、お答えください。

 我が党は、新宿駅は1日の乗降客数320万人、日本一のターミナル駅であり、東西自由通路の利用者の多くは来街者であることからも、本来JRを初めとする事業者の負担によって行うべきもので、多額の区財政を投入してまで新宿区が行うべきではないと主張してきました。

 現在でも、東西自由通路の計画があることすら知らない区民が圧倒的で、ましてや総事業費が120億円かかり、その何分の1かを区財政で負担しようとしていることを知っている区民がどれだけいるのでしょうか。区長は、区民との協働や透明性を強調されますが、東西自由通路については、いつの段階で事業費や区の費用負担を明らかにし、区民の意見を聞くつもりですか。お答えください。

 また、区長はこの際、東西自由通路の整備推進を取りやめることも含め、検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、サブナード延伸計画とスカイウォーク構想についてです。

 明治通りの地下を走る地下鉄13号線のコンコースまでサブナードを延伸する計画は、2007年度末までに計画をまとめ、2012年度事業完了を目指すと報じられていますが、事業費は単純な地下歩道として延伸しても99億円、アーケードとして延伸すると168億円、駐車場も含めて延伸すると213億円にもなると言われる大きな計画です。

 歌舞伎町のまちづくりについて、区が委託したコンサルタント会社が約525万円をかけてつくったたたき台が9月8日に示され、今年度中に区がまちづくり誘導方針を策定し、来年度から着手する予定です。

 たたき台によると、エンターテイメントランド歌舞伎町をコンセプトに、シンボルとしての劇場街の大規模開発、セントラルロードにメインゲートを建設、歌舞伎町全体を観光ホテル中心の文化国際交流ゾーン、ファミリーの飲食ゾーンなどにゾーニングし、大規模につくり変える構想です。そして、歩行者・ネットワークの拡充・創出として、東西軸の靖国通りサブナード延伸や、南北軸にはスカイウォークとして空中デッキを新宿駅東口から劇場街へ350メートル、西武新宿駅へ100メートルを整備する提案がされており、このたたき台ではスカイウォークは東西自由通路や西口のデッキにもつながる構想となっています。

 東西自由通路、サブナート延伸、スカイウォークと、いずれも区長の私的機関であるまちづくり懇談会に提出された資料が描いたとおりの青写真で、着々と計画化されようとしているのです。区長は、まちづくり懇談会を新宿のまちづくりについて有識者から助言を得る場であり、まちづくりの方向性について、一定の整理をしておくことを目的として設けたとし、そこで議論が集約されたまちづくりグランドデザインは、議論の素材として区民に提供するのだと答弁してきました。しかし、これまでの経過を見れば、区民会議より以前に区民が知らない区長の私的機関で青写真がつくられ、そこにどれだけのお金がかかるのか、区民が知る由もないまま計画化されようとしているではありませんか。

 区長は、東西自由通路、サブナード延伸とたたき台で示されたスカイウォークについても、どれぐらいの事業費を見込み、区としてどれぐらいの財政投入を考えているのでしょうか。お答えください。

 新宿区が今、最優先で財政投入すべきは、このような大規模開発のための基盤整備ではなく、区民生活を支える施策ではないでしょうか。依命通達は、各種の制度改革等がもたらす区民生活への影響を的確にとらえ、効果的、機動的な対策も講じる必要があると言っている一方、三位一体改革等による国・都補助負担金の改革については、国等が負担していた部分を安易に肩がわりしないようにすることとしています。このことは言いかえれば、その分を区民の負担増、または事業の廃止・縮小で対応せよということにほかなりません。今でも限界に来ている区民の暮らしに、これ以上しわ寄せすることは許されないと思いますが、区長はどうお考えですか。東西自由通路だけを見ても、数十億円の区財政の投入が予想されます。効果的、機動的な施策というのなら、今や区民の切実な願いになっている小・中学生の医療費無料化は約5億円あればできるのです。世田谷区は12月から対象年齢を拡大し、中学生までの医療費無料化を実施します。我が党の区政アンケートに30代の女性が、23区の中でも中学生まで医療費を無料にする区がたくさんあるのに、新宿区は児童手当を中学生まで拡大したからと、医療費を中学生まで無料にする考えがないと区報で知り、とても残念に思いました。児童手当よりも、病気やアレルギーを持つ子どもを育てるには、医療費の負担が重いです。これは少子化問題にもつながっていると思いますと声を寄せています。

 区長、23区中18区が医療費の無料化の年齢拡大に取り組んでいます。区長、区長には切実な区民の声が届かないのでしょうか。この新宿区で精いっぱい生きている子どもと保護者の姿を思い浮かべていただき、小・中学生の医療費無料化の実施に区長の英断を求めるものです。

 以上、最初の項についての区長の答弁を求めます。

◎答弁:区長(中山弘子)

 近藤議員の御質問にお答えします。

 初めに、東西自由通路についてのお尋ねです。

 区では、地元の方々の強い要望により、東西自由通路等新宿駅周辺整備促進同盟を結成し、その悲願達成のため長年活動してきたところです。

 東西自由通路の整備は、新宿駅周辺の東西の分断を解消し、魅力とにぎわいのある都市空間の創出に寄与するものです。現在、東西通路の整備計画について、JR東日本、東京都等関係者間で整備内容、整備費の検討を進めております。この中で、幅員25メートルの整備費をJR東日本が積算しているところです。

 JR東日本では、東西自由通路の整備に伴い、駅の改良工事も含めた事業費を想定しており、このため総事業費が増加しているものと考えられます。今後、これら各事業費を整理するとともに、極力区の費用負担を抑制する方向で調整し、実現に努めてまいります。

 また、区では早期に都市計画決定を目指しており、その時点では総事業費が明らかになると考えております。東西自由通路は、新宿区の都市基盤整備に欠かせないものであり、駅周辺の回遊性の向上を図り、バリアフリー化の推進や防災性の観点からも、ぜひとも実現すべき事業として鋭意取り組んでまいります。

 次に、サブナード延伸計画とスカイウォーク構想についてのお尋ねです。

 区では、まちづくりの課題を整理し、議論するため、まちづくり懇談会を開き、まちづくりグランドデザインを取りまとめています。まちづくりグランドデザインでは、御指摘のような青写真を描いておりません。また、東西自由通路の整備については、区の費用負担を極力抑制するよう調整してまいります。

 靖国通り地下空間の整備については、整備形態や手法等を今後検討していくところです。財政負担につきましては、東京都等関係者と適切に調整をしてまいります。

 スカイウォークにつきましては、昨年度行った現況調査の中で、新宿駅から歌舞伎町への交通アクセスの弱さが課題の1つとなっていました。そのため、今回の誘導方針案、たたき台ではアクセスの改善を図るための1つの方策として提示しているものです。したがいまして、まちづくりの方向性をイメージとしてお示ししたもので、具体的な事業を予定しているものではありません。

 次に、区が最優先で財政投入すべきは、大規模開発のための基盤整備ではなく、区民生活を支える施策ではないかとの御意見です。

 私は区長就任以来、常に区民の暮らしを第一に考え、現場現実を重視した施策の構築や見直しを実践してきました。これまでも新宿区児童手当の創設や介護予防対策などの少子高齢社会への対応、安全で安心して暮らせるまちづくりの推進や建築物等耐震化支援事業などの減災社会づくり、知的障害者・障害児ショートステイの充実や幼稚園・小・中学校の空調化など、区民ニーズの高い分野に予算を重点的に配分し、区政の全般にわたり、区民生活の向上に資する施策の充実に努めてきました。加えて平成18年度予算では、税制改正等の制度改正による区民の負担増に対する激変緩和措置を講じるとともに、平成19年度に向け、さらなる充実も検討しております。

 一方で、将来を見据え、新宿区がにぎわいと暮らしやすさの両面をあわせ持つ魅力あるまちであり続けるためには、社会基盤の整備も大変重要と考えています。

 今後とも持続可能な都市、新宿区にとって必要とされる社会基盤の整備に対しては、国や都、また民間企業等との役割分担なども十分に踏まえた上で、限られた資源を最大限効果的、効率的に活用し、適切な対応を図ってまいります。

 次に、平成19年度予算見積もりの依命通達についてのお尋ねです。

 依命通達の中で、三位一体改革等による国、都補助負担金の改革については、その動向に十分に留意の上、影響額を的確に把握するとともに、国等が負担していた部分を安易に肩がわりしないようにすることとしたのは、国の三位一体改革や都の施策見直しによる国、都支出金の縮減、一般財源化対象事業について、従前の補助基準を前提として経費を見積もるのではなく、個々の事業実態に照らして、区の主体的な判断に基づき事業を再構築していくべきとの考え方をあらわしたものであり、国等の負担分を区民に転化することや、事業の廃止・縮小を求めているものではありません。

 三位一体改革によっては、これまでも区立保育園の管理運営経費や介護保険事務費、児童手当などの国庫補助金等が縮減、一般財源化されていますが、施策水準を低下させた事業は1つもなく、むしろ新宿区児童手当の創設や保育所建設等事業助成における都補助金の減少等に対して、積極的に一般財源を充当することにより、施策水準の向上維持を図っております。

 平成19年度の予算編成においては、この基本方針は変わるものではなく、三位一体改革や都の施策見直しによる財源変動を、区の施策水準に影響させる考えはありません。

 次に、乳幼児医療費助成の対象年齢の拡大についてのお尋ねです。

 23区の中で、現在18区が何らかの形で医療費助成の対象年齢拡大を実施、または実施予定としていますが、その内容は、外来・入院あわせて実施が8区、入院のみの区が10区とさまざまです。新宿区では、子育てにかかる経済的支援策についての検討を重ねた結果、平成18年4月から中学生までの児童手当の支給を開始し、個々の家庭で医療費や教育費など、異なるニーズに対応できる支援策として、区民の皆様から評価を得ています。

 さらに、国においても、医療費制度改革、児童手当の増額等新たな少子化対策が検討されています。今後も国や都の状況を見ながら、限られた財源の効果的な活用を検討していきたいと考えております。

 以上でこの項の答弁を終わります。

区民の命と健康を守る施策について

 質問の第2は、区民の命と健康を守る施策について伺います。

 小泉内閣の税制改革により、昨年1月から老年者控除が廃止され、公的年金控除も縮小されました。また、ことしから定率減税も半減となり、高齢者や低所得者の負担が増大しています。

 ことしの住民税や国民健康保険料の通知を受け取り、なぜ去年と収入が変わらないのに、こんなに税金が上がってしまったのかとの問い合わせや怒りの声が担当窓口に寄せられました。また、さきの通常国会で成立した医療制度改定では、高齢者を中心に、さらに追い打ちをかけるものになっています。10月から70歳以上の現役並み所得者に区分された方は、医療費負担が3割となります。税制改革の影響を受け、8月から2割、10月から3割と一気に負担増となる方もいます。

 現役並み所得者以外の70歳から74歳までの方は、2008年4月から1割負担から2割に引き上がります。あわせて10月からは療養病床に入院している70歳以上の方の食費・居住費相当分が医療保険から外されます。さらに、75歳以上の高齢者を対象とした後期高齢者医療制度を創設し、すべての高齢者から年間で5万円から6万円の保険料徴収、滞納者からは保険証を取り上げることまで法定化しています。そして、療養病床を6年間で23万床を削減することや、混合診療を本格的に導入し、保険のきかない医療を拡大することなどが行われようとしています。これら一連の改悪は、所得の格差が診療の格差、命の格差となる危険を一層拡大させ、医療難民を生み出しかねず、改革どころか、医療そのものが崩壊しかねない内容です。

 この問題では、去る8月28日、国民健康保険法の一部改正を受けて開かれた区の国民健康保険運営協議会で、委員の中からも、今回の医療改定は皆保険制度を破壊し、患者に負担を強いるものだという批判も出されています。私どももすべて国民は貧富にかかわりなく医療を受ける権利を持っており、国はその権利を保障する義務を負うべきと考えています。区長も同じ立場に立つべきと思いますが、見解をお示しください。

 また、医療の皆保険制度を守り、窓口負担の引き下げや混合診療をやめること、そのためにもこれまで削減されてきた国庫負担を計画的に復元することを国に要求すべきと思いますが、いかがでしょうか。

 第2に、国の税制改革等による区民への負担増に対する軽減施策についてです。

 その第1は、国民健康保険料等についてです。

 さきの区政アンケートでは、国民健康保険料の値下げを906人、49.5%もの区民が要望しています。この5年間、国民健康保険料は毎年値上げされてきました。今回の税制改革に伴う国の国保料の激変緩和の措置は2年間で打ち切りであり、さらに予定されている税のフラット化による住民税の増に伴う国保料への影響は避けられません。

 私は区長が国に対し、現状の平成18年度並みの措置を継続するよう要求するとともに、23区特別区長会や特別区国民健康保険課長会で国保料の値下げを主張すべきと思いますが、いかがでしょうか。そして、国保料値上げに苦しむ区民の立場に立ち、当面新宿区独自で国保料の一般減免制度の適用基準の緩和や手続の簡素化、医療費一部負担金の減免基準を大幅に緩和することなど、お金がなくて区民が医療が受けられないことがないよう、新たな施策を行うべきです。

 第2には、新宿区が行っている独自の激変緩和策の拡充と継続についてです。

 私は、今回の税制改革に伴い、当区が23区に先駆けて一定の激変緩和措置を講じたことは評価いたします。しかし、来年度には定率減税が全廃されるなど、負担増はまだ続きます。また、保育園保育料のように前年度の所得税額により負担額の階層が決まるサービスもあり、それらの激変緩和策の実施を初め、区が行っている激変緩和策を改めて見直し、さらに拡充・継続させるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 この項についての区長の答弁を求めます。

◎答弁:区長(中山弘子)

 まず、国は国民の医療を受ける権利を保障すべきであるとのお尋ねですが、御指摘のとおり、国は適切な医療の確保を図り、だれもが安心して医療を受けられるようにする責任があると考えております。

 区としては、医療制度改革が国民の安心の基盤である国民皆保険制度を、将来にわたり持続可能にするための改革であると認識しています。特に高齢者の医療費増が見込まれる中で、負担が増大し、皆保険が維持できなくなるおそれがあります。そこで、現役並みの所得がある方に、現役世代と同様の負担をお願いすることなどはやむを得ないことと思います。

 また、所得の少ない方や税制改正の影響を受けている方には、減額制度の継続や経過措置を設けるなど配慮されております。

 次に、混合診療についてですが、診療の中に少しでも保険外診療があると、保険適用の診療も含めて全額自己負担となります。現在でも例外的に混合診療として、臓器移植など高度先進医療は保険適用部分と保険外医療の併用が認められています。今回の改正は、内視鏡がん手術や抗がん剤等治験中の国内未承認薬を新たに加えるなど、保険適用の対象範囲を広げるものです。

 しかし、患者負担の軽減が図られる一方で、保険外医療の無制限な拡大も懸念されます。したがって、適切な医療の確保の観点から、その動向を十分注視してまいりたいと思います。

 また、国民健康保険制度については、これまでも全国市長会、特別区長会を通して、国に対し、その財政基盤の強化を要望しております。

 次に、国民健康保険料の引き下げについての御質問です。

 老年者控除の廃止と、公的年金等控除の見直しによる高齢者の方の保険料の負担増については、昨年特別区国民健康保険課長会において、国へ激変緩和措置を講じるよう要望書を提出し、国において平成18年度から2年間の激変緩和措置が設けられました。また、御指摘の平成19年度からの住民税率のフラット化による保険料への影響等に対しては、現在特別区独自の激変緩和措置の検討を行っているところです。一方で、税制改正の影響の少ない賦課方式の検討も進めております。

 国民健康保険料については、保険者負担医療費の2分の1を保険料で賄うという原則に基づき、23区統一保険料方式で算定しているものであり、現在でも既に多額の一般財源の繰り入れを行っているところです。したがいまして、保険料自体を引き下げることについては考えておりません。

 次に、保険料の一般減免制度及び医療費の一部負担金減免制度については、23区統一保険料方式を採用していることから、減免についても共通基準に基づき実施しています。減免の認定については、世帯の実収月額と基準額を比較して行うもので、実収月額を確認できる書類の添付等をお願いしているところです。これらのことから、区独自の保険料軽減措置は、困難であると考えております。

 次に、税制改正等がもたらす区民の負担増への激変緩和策についてのお尋ねです。

 税制改正等がもたらす区民負担の激変緩和については、低所得者層の負担増に対する激変緩和を基本として、平成18年度当初予算で私立幼稚園就園奨励補助や通所介護等食費助成などの負担軽減措置を講じています。

 また、今定例会に上程しています補正予算案におきましても、障害者自立支援法に基づく地域生活支援事業に、区独自の利用者負担軽減対策を取り入れています。平成19年度では、こうした取り組みを引き続き実施していくことに加え、新たに保育所保育料についても、負担軽減措置を導入することを検討しております。

 以上で、この項についての答弁を終わります。

改定介護保険法の実施に伴う高齢者の暮らしについて

 質問の第3番目は、改定介護保険法の実施に伴う高齢者の暮らしについて伺います。

 第1に、保険料についてです。

 本年4月より改定介護保険法が施行され、新宿区第3期介護保険事業計画も実施されています。昨年10月からのホテルコストの導入とあわせ、4月から保険料の値上げやサービス縮小などが実施されています。さきの区政アンケートでは、介護サービスを利用するお金がないのに、保険料だけ取られるなど悲痛な訴えとともに、介護保険料の値下げの要望が977人、53.4%。60代以上では6割を超えています。

 渋谷区では、第3期の保険料を決める際、保険料基準額は24.9%引き上げていますが、合計所得金額が250万円未満の層、保険料の5段階の方までは第2期と同額以下に抑えるよう、保険料率を独自に設定し、その一部に一般財源を投入して、高齢者の生活への影響を少なくする努力をしています。

 区長は高齢者の声に耳を傾け、生活の維持・安定のため、国へ国庫負担割合を30%にするよう改めて要求すると同時に、区の一般財源を活用し、区独自の保険料減額制度をつくり、その際、これまでの個別減額制度より所得基準や預貯金の基準については大幅に緩和し、申請手続の簡素化をすべきと考えますが、いかがでしょうか。

 第2に、要支援1・2や要介護1の方への対策です。

 今回の法改定で介護給付が増大したことを理由に、軽度の方から介護サービスの取り上げが行われています。認定作業が随時行われ、8月現在で要支援1は748人、要支援2は594人、計1,342人の方が予防プランの対象になっています。さらに、要支援に該当する可能性の高い経過的要介護者が約1,000人います。区の計画上は、要支援1・2該当者は今年度約4,300人になると推計しているように、かなり多くの方に影響が及ぼされることになります。

 1つ目は、軽度者へのヘルパー派遣についてです。

 新予防給付サービスは、月単位定額制となります。週1回程度ヘルパーの利用が必要と判断された要支援者の場合、月に1回しか利用しなくても1,322円支払わなければなりませんし、逆にその月が5週あって、5回利用しても同額の1,322円です。事業者にとっては単純に1回分ただ働きすることになります。介護度の軽い高齢者と、新予防給付を行う事業者、両者にとって矛盾のある使い勝手が悪い制度です。これでは安心して地域生活を送ることはできません。

 我が党は、今定例会に条例を提出しますが、家事等が困難で日常生活に支障がある介護度の軽い高齢者に対して、ヘルパーを派遣することで、地域の中で心身ともに安定し、自立した生活ができるようにすることが求められているからです。区独自でこのようなサービスを実施すべきと思いますが、区長の御所見をお聞かせください。

 2つ目は、予防プランの作成についてです。

 これまでケアプラン作成の報酬は、介護度に関係なく、1件当たり月9,112円でした。4月からは要支援1・2の予防プランは4,288円と半分以下になりました。予防プランは基本的に地域包括支援センターで作成することとなっていますが、数が多く対応できない場合や、利用者がこれまでマネジメントを頼んできた事業者にプラン作成を希望する場合などは、事業者のケアマネジャーが予防プランをつくっています。その場合、作成料は地域包括支援センターが作成した場合の9割、3,859円です。軽度の方でも手間ひまは同じようにかかるのです。

 来年4月以降は、要支援の件数はケアマネジャー1人当たり8件までと制限されます。このままでは、予防プランを作成してもらえないケアマネ難民が出てしまいます。国に対して予防プラン作成報酬の引き上げ、件数制限の緩和を求めるべきです。当面は、必要な報酬単価となるよう、区が助成をすべきです。お答えください。

 3つ目は、福祉用具貸与の継続・充実についてです。

 要介護1までの軽度者は、10月からベッドや車いす等の福祉用具が介護保険から外され、その結果、全額自己負担で借りるか購入しなければ利用できず、実質取り上げられようとしています。この事態に対して、8月14日厚生労働省から機械的に保険給付の対象外にすることがないよう求める事務連絡が出されました。現場で適正な対応が行われるよう、区が指導・徹底すべきと思いますが、いかがでしょうか。

 区は8月初旬、契約した業者の自立支援型ベッドをあっせんし、ベッドを継続利用している非課税世帯の方へ月に1,500円助成するとしました。私たちも要求していたことであり、これ自身は一歩前進と評価しています。しかし、契約した業者のベッドは手動で6段切りかえ、畳式タイプ、手すり1つ付きで月に2,360円というものです。マットレスを別にレンタルすると月に1,680円かかり、助成があっても月に2,540円の負担となります。

 港区はマットレスタイプで、非課税世帯の方は無料、その他の方は月に500円でレンタルできます。北区は月に3,000円を上限に、所得制限なしで助成、中央区も月上限3,000円の助成など表明されています。これらの区と比べると、当区の1,500円の助成額は十分とは言えません。助成額をふやし、所得制限を撤廃すべきではないでしょうか。お答えください。

 ベッドの各レンタル業者も工夫を行い、マットレス付き、ツーモータータイプで月3,000円、マットレス付き、サイドレール2本、手動3段切りかえで月2,800円などの商品も出ています。また、今まで使っているベッドを引き続き利用したい方もおり、実態に合わせた柔軟な対応が求められています。業者・機種を特定せず、新たに必要になった方も対象に広げるべきではないでしょうか。

 また、車いすについては、ケアマネジャーや本人、家族などが話し合うサービス担当者会議で必要と認められれば、保険適用になると言われていますが、取り上げが起こらないとは言い切れません。特に電動車いすは、1割のレンタル料で月に2,300円前後ですので、もし全額自己負担となれば、2万円を超える負担増です。ベッドと同様助成をすべきではないでしょうか。お答えください。

 第3に、リハビリテーションの充実についてです。

 今回の改定では、訪問看護ステーションからの理学療法士、作業療法士等の訪問回数制限が組み込まれています。医療制度改定でも150日、180日まででリハビリが打ち切られ始めています。東京都は、東京都地域リハビリテーション支援事業として、二次医療圏ごとにリハビリテーション支援センターを設置し、地域での充実をしようとしています。都の制度も活用し、各保健センター等を中心に事業を実施すべきではないでしょうか。お答え願います。

 最後に、改定介護保険法のもとで、このほかにもさまざまな問題が発生しています。制度変更に伴う高齢者や事業者の実態調査を本格的に行い、今後に生かすべきです。

 この項に対する区長のお考えをお示しください。

◎答弁:区長(中山弘子)

 改定介護保険法の実施に伴う高齢者の暮らしについてお答えします。

 まず、介護保険料についてのお尋ねです。

 第3期の保険料は、6段階から10段階への階層の多段階化や税制改正に伴う保険料の激変緩和、さらに区独自の低所得者への特別対策など、きめ細かな対応を行っております。

 なお、一般財源の投入は、保険料で賄うべき分を他に転化することになります。さらには、給付と負担の関係を不明確にし、繰り入れを恒常化してしまう恐れがあるので、一般財源を活用した区独自の保険料減額制度については適当ではないと考えております。

 また、財源の国庫負担割合の引き上げについては、介護給付費負担金を25%とし、調整交付金を別枠とすることを従来から全国市長会を通じて国に要望しております。

 次に、介護度の低い高齢者等に対して、ヘルパーを派遣することについてのお尋ねです。

 従来、介護保険において軽度者へ提供する家事代行型の訪問介護サービスは、体を動かさないことによる身体機能の低下を招き、本人の自立を妨げるおそれがあるのではないかと指摘されていました。今回の介護保険制度の改正では、制度の基本理念である自立支援を促す必要から、軽度者への保険給付を見直し、新たな予防給付が創設されました。また、区においても、制度改正の趣旨を踏まえ、これまで行っていた自立支援型家事援助サービスを見直し、回復支援家事援助サービス制度を創設しました。したがって、御提案の趣旨の家事援助の実施は考えておりませんが、今後も高齢者の生活実態を注意深く見守り、必要な支援を行ってまいります。

 次に、予防プランの作成についてのお尋ねです。

 区では、新規の要支援1・2の介護予防ケアプランの作成は、9カ所の委託設置の地域包括支援センターが主に行っており、原則として居宅介護支援事業者には委託しておりません。

 一方、更新で要支援1・2となった継続プランの作成については、利用者の混乱を避ける意味でも、従来担当していた居宅介護支援事業者のケアマネジャーに引き続きお願いをしています。また、委託が難しいケースなどは、区直営の地域包括支援センターが介護予防プランの作成を行っています。このように区が責任を持って介護予防プランの作成を行っていますので、いわゆるケアマネ難民は、区においては発生していません。

 このような状況から、御質問のような国への働きかけや区独自の助成は考えておりません。

 次に、福祉用具貸与の継続・充実についてのお尋ねです。

 軽度者に対する福祉用具貸与については、利用者の状態からは利用が想定しにくい不適正な事例が見受けられました。このため、原則として要介護認定の基本調査の結果を活用して判断することになりました。しかし、車いすについては、認定調査結果のほかに、移動の支援が特に必要と認められるものは、主治医の意見を踏まえつつ、サービス担当者会議等を開催するなど、適切なケアマネジメントを通じてケアマネジャーが判断できることになっています。

 区では、御指摘の事務連絡が出た段階で、適正な対応をするよう、ケアマネジャーの連絡会で話をしております。また、今後行う事業者実地指導で、ケアマネジメントの内容を確認していく予定です。

 次に、自立支援型ベッドについてのお尋ねです。

 区が行う自立支援特殊寝台の貸与は、経過措置の終了によりベッドを利用できなくなる軽度者の日常生活を支援する観点から、選択肢の1つとして実施するものです。業者・機種については、軽度者用特殊寝台をできるだけ低価格で提供するために特定いたしました。新たな対象者の拡大やベッド以外の福祉用具の貸与等については、実態を把握しながら検討しているところです。

 なお、電動車いすは、移動の支援が特に必要と認められる場合は、引き続き利用できますので、助成は考えておりません。

 次に、保健センターでのリハビリテーションの充実についてのお尋ねです。

 御指摘のとおり、ことしの診療報酬の改定により、訪問リハビリテーションや入院中のリハビリテーションの日数制限などが始まりました。医療としてのリハビリテーション終了後は、介護保険法に基づく通所及び訪問のリハビリテーションを御利用いただくことになります。

 区では、従来からリハビリテーションを保健センターで40歳以上の方を対象に実施してきましたが、老人保健法の改正に伴い、本年度から介護予防に重点を置いたリハビリテーションを保健センター1カ所で開始し、来年度以降は4カ所の保健センターすべてに拡大してまいります。

 また、老人保健法では対象者を40歳から65歳未満に限定している保健師と理学療法士による訪問リハビリを、区では年齢制限をせずに行っております。今後、これらリハビリテーションに従事する職員の研修等、都の地域リハビリテーション支援センターなどの活用を図ってまいります。

 次に、実態調査についてのお尋ねです。

 改めて高齢者や事業者の実態調査を実施することについては予定をしておりませんが、制度改正後の利用実態については、利用者から寄せられる苦情を初めとして、地域包括支援センターやケアマネジャー、介護モニターなどを通じて、的確に把握をしてまいります。

 また、事業所の状況は、介護サービス事業者協議会などを通じて聴取し、これらを今後の制度運営に生かしてまいります。

 以上で、この項の答弁を終わります。

障害者自立支援法への対応について

 次に、障害者自立支援法への対応について質問いたします。

 今回の応益負担により、作業所の通所回数を減らすとか、やめたいという意向が示されていると聞いています。施設に通所する障害者の御家族からは、日払い方式になり、大切な施設が運営困難でなくなりでもしたらそれこそ大変だし、休みがちな子は来ないでほしいといわれたら困るので、体調が悪くても行かせるようになったとか、負担がふえて、親亡き後の我が子の将来を考えると、心が暗くなり落ちこむと胸の内を聞かされて、私は胸がつぶれる思いがしました。

 自立支援法施行から半年が経過して、応益負担を初めとする諸矛盾が顕在化する中、8月以降だけでも大分県、仙台市、台東区、墨田区、浦安市などなど、自治体独自の利用者負担減免策が相次いで打ち出されています。主に法で定められた所得階層別の上限月額の引き下げや、作業所・通所施設の利用料無料化です。

 区長はこの間、障害者団体の集まりや直接の話し合いで当事者の訴えや意見をお聞きになったはずです。自立支援法が障害者とその家族に与えている負担増の深刻さについて、区長がどのように認識しているのか、これに対して自治体が次々と独自の軽減策を講じていることについて、どのように受けとめているのか、まず最初に伺います。

 利用者負担10%の導入で、公費負担が90%になった上、9月まで50%だった区の負担は10月から都と分担し、25%の負担になります。これにより、区の一般財源からの支出は、年間約1億7,000万円少なくなると伺っています。3月の予算特別委員会で、横浜市のように支援費制度のもとで無料の方を引き続き無料のまま据え置くには、1億8,000万円あればできると回答がありましたが、ほぼその額に匹敵します。

 区は、障害者福祉サービスと地域支援事業の合計の利用者負担を、障害者福祉サービスの法定上限月額にする軽減策を行うとしていますが、そもそも各所得階層別の上限までの負担に耐えられないという声が圧倒的なのです。区財政の現状からしても、もっと多くの障害者に効果が及ぶ積極的な負担軽減を図ることができるし、また、すべきだと考えます。

 日本共産党区議団は、本定例会に法で定められた本人負担の上限月額を50%にする条例を提案しますが、区長は全在宅サービスを3%にした上、上限月額を半分にした荒川区を初め、他区の例なども参考にして、約1億7,000万円を有効に活用した抜本的な負担軽減については検討しなかったのでしょうか。もし検討した上で今回の対策を決めたというのであれば、検討の経過、減った分の一般財源は何にどう使うのかもお聞かせください。

 第2に、10月からの本格実施に関連して2点伺います。

 1点目は、認定調査と支給量決定についてです。

 身体機能重視の106項目の質問で、果たして知的・精神の障害者は反映されるのか、この認定調査で区分が決められて、今までどおりのサービスが受けられるのだろうかという不安が障害者の中で広がっています。認定はあくまで国庫負担を決める基準であり、現実の支給量は区の裁量にゆだねられています。3月の予算特別委員会では、これまで妥当な基準で支給してきた、最大限努力していきたいと答弁していますが、この点は一歩たりとも後退させず、現行サービスと支給量を保障するよう、改めて求めます。また、国や都に対して、自治体の支給決定を尊重して支給量に見合う公費負担をするよう強く求めるべきではないでしょうか。お答えください。

 2点目は、地域生活支援事業を含めた4サービスの負担軽減についてです。

 港区では、障害福祉サービス、補装具、自立支援医療の3サービスを統合した上、地域支援事業を合算して所得別の上限月額にすると聞きました。京都市は、3サービスを統合し、独自の上限を定めている上、地域支援事業のガイドヘルパーは無料で実施するそうです。新宿区も統合して上限設定するというのなら、地域支援事業だけではなく、補装具と自立支援医療も加えるべきではありませんか。いかがでしょうか。

 次に、地域支援事業の日中一時支援事業の拡充についてです。

 知的障害者の親の会である新宿区手をつなぐ親の会から、中高生の障害児を中心とする放課後や休日の見守り、支援を行う日中一時支援事業を地域支援事業として実施する要望が区長あてに出されていることと思います。小学生までは学童クラブに通うことができますが、その後は行き場がありません。一日も早く実現すべきだと考えますが、区長の見解をお示しください。

 最後に、地域支援事業の国庫補助金についてです。

 200億円という少ない枠を決めておいて、その中から配分するという国のやり方では実態に合いません。全国市長会は、地域支援事業で十分な財政措置をと国に要望していますが、新宿区としても国に対して実績に基づいた補正予算を組むよう、要求すべきです。

 以上、障害者福祉に関する区長の答弁を求めます。

◎答弁:区長(中山弘子)

 障害者自立支援法への対応についてお答えいたします。

 初めに、障害者自立支援法が、障害者とその家族に与えている負担増の深刻さについての認識と、他の自治体が独自の軽減策を講じていることについてどのように受けとめているかとの御質問です。

 障害者自立支援法制定の趣旨の1つは、増大する福祉サービスの費用を皆で負担し合うという考え方です。サービスの利用者が利用したサービスの量や所得に応じた公平な負担を行うとともに、国と地方自治体が責任を持って費用負担を行うことで財源を確保し、必要なサービスの充実を図ろうとするものです。こうした中で、利用者の方にとって急激な負担増となるものについては、区として激変緩和策を講じてまいります。

 また、他の自治体がおのおのの立場から、利用者負担の軽減策を講じていることは承知しております。新宿区もこれまで、居宅介護サービスの利用者負担を低所得1・2の世帯について3%にすること、区立通所施設の給食費の負担を一般世帯まで食材費のみとするなどの軽減策を講じてきました。

 さらに、10月からは新たに地域生活支援事業に位置づけられる移動支援や日常生活用具について、利用者負担をすべての世帯について3%とするほか、地域活動支援センターの利用量については、すべての世帯について無料といたします。また、補装具についても、低所得1・2の世帯については、利用者負担を3%とするなどの激変緩和策を講じてまいります。今後とも、区内の障害者の方々の地域生活について、注意深く見守り、必要な支援について行ってまいります。

 次に、都の特定財源措置により、区の一般財源からの負担が少なくなる1億7,000万円の使途についてのお尋ねです。

 障害者自立支援法の施行による制度変更に伴い、その財源構成も大きく変わっています。現在の身体障害者保護費国庫負担金等が、国が2分の1、区が2分の1の負担であったものが、今回障害者自立支援給付費に変わり、国が2分の1、都が4分の1、区が4分の1の負担となったことにより、平年度ベースで1億7,000万円程度の一般財源の支出減が見込まれます。

 一方、居宅介護対象者等の障害程度区分ごとに算定される国庫負担基準額と、実際のサービス利用にかかる経費から算定した不足額も、およそ1億7,000万円と想定されます。また、地域生活支援事業における国庫補助金等の不足額も数千万円に及ぶと想定しています。

 したがいまして、御指摘のような1億7,000万円の歳入増を前提とした検討は行っておりません。しかしながら、区では障害者福祉施設の整備や運営、地域生活支援事業の充実など、今後も一般財源により区内の障害者のニーズに即した必要な支援の充実を図ってまいります。

 次に、現行のサービスと支給量を保障するようにとのお尋ねです。

 区は、障害者の方が住みなれた地域で継続して生活するために、居宅介護等のサービスが極めて重要なものであると認識しており、これまでも23区の中でも高い水準でサービスの支給量の決定を行ってまいりました。今後もサービスの支給量については、現在利用されている水準を下回らないように努めてまいります。

 次に、障害者福祉サービスと地域生活支援事業と補装具、自立支援医療を合わせて上限設定するべきとのお尋ねです。

 障害者自立支援法においては、自立支援給付の中で障害者福祉サービス、補装具、自立支援医療については別のものとして制度設計がなされています。区では独自の軽減策として、障害福祉サービスと地域生活支援事業の移動支援、地域活動支援センターなどの利用料については、共通のものとして上限管理を行ってまいります。また、補装具について、新たに低所得1・2の世帯の利用者負担率を3%とする経過措置を行いますが、補装具と自立支援医療を合わせて上限管理を行うことは考えておりません。

 次に、新宿区手をつなぐ親の会から出されている中高生の障害児等を対象とした日中一時支援事業を地域支援事業として実施してほしいとの要望についてのお尋ねです。

 新宿区手をつなぐ親の会から、中高生の障害児等が放課後等に活動する場の確保のために、区の空き施設の提供と事業運営費補助への要望が出されています。区としては、要望に添えるよう、必要な支援について検討してまいります。

 次に、区として国に対し、実績に基づいた補正予算を組むよう要望すべきとのお尋ねです。

 区では、障害者自立支援法の施行に際し、必要な事項については、区長会などを通じて国や都に対して要望してまいります。

 以上で、この項についての答弁を終わります。

保育園の待機児童解消策と民営化について

 最後に、保育園の待機児童解消策と民営化について質問いたします。

 新宿区は、2003年7月末に、2007年4月に保育園待機児童ゼロを目標とした解消策を発表し、施策を進めてきました。私どもの区政アンケートの中で、認可保育園の増設の要望は515人、28.1%、20代から40代の子育て世代では449人、35.6%となっています。この間、公私立の認可園で2004年度末に比較して、2007年度末には3,535人から3,640人と105人の受け入れ数の増加を図る定員拡大と、施設規模が変わらないもとで定員を超えた受け入れ、いわゆる弾力化を進めてきました。また、区長は就任以来、公立保育園の廃止と民営保育園の新設を進めてきました。区立薬王寺、北山伏、新宿第一の3つの保育園が廃止され、今後下落合、三栄町、高田馬場第一、中落合第一と4つの保育園の廃止が計画されています。

 一方、民営化園として原町みゆき保育園ができ、来年4月にはせいが保育園がオープンします。しかし、今後の計画を含め、30園あった区立保育園は23園、うち1園は指定管理者による運営となっております。区は、待機児童解消策として、認証保育所を4カ所誘致しています。さらに本年度2カ所開設されます。そのほかに区内にはベビーホテルなどの認可外保育園が17カ所ある中で、区が果たすべき役割はますます大きくなっています。

 区は現在、2007年度当初の待機児童数をどのように見込んでいるのでしょうか。旧定義、新定義、それぞれお答えください。また、これまでに廃園になった区立保育園が存続していたならば、待機児童解消がもっと進んでいたと思いますが、区長はどのようにお考えですか、見解をお示しください。

 そもそも保育園の待機児童解消を年度当初に設定することは、果たして子育て家庭の実態にこたえるものでしょうか。これまでの新・旧の両定義で待機児童数の実績を見ると、各年度当初4月1日時点では、2004年度は新定義で35人、旧定義で68人、以下同様に2005年度は35人、78人、2006年度では32人、66人です。しかし、年度末の3月1日時点ではどうでしょうか。2004年度は新定義で169人、旧定義で208人。2005年度は149人、184人、そして、今年度の9月1日では既に83人、105人となっています。年度途中で申し込んだが冷たく断られた、一時保育をお願いしようと思ったが定員いっぱいで断られた、認証保育では保育料が高く預けられないなど、年度途中に激増する待機児童を持つ各家庭の深刻な実態に対応できていません。年度当初の待機児童解消を目標にした現計画では、本当の意味での子育て支援にはなりません。

 本格的に年度途中で発生する待機児童を解消するためには、これまでの公立園の廃止を前提とした民設民営園の新設や認証保育所の増設ではなく、公立園を存続させ、新たに認可保育園の増設をこそ図るべきと考えますが、区長のお考えをお聞かせください。

 同時に、これまで区議会に7,000人を超える陳情署名が出されている無認可のつくし保育園の認可化は、待機児童の解消や病児・病後児保育など、保護者のニーズにこたえるものであり、関係機関に積極的に働きかけるべきと思いますが、いかがでしょうか。

 次に、高田馬場第一保育園の廃園、民営保育園の新設について伺います。

 先日、区長と区議会に高田馬場第一保育園の廃園に反対し、公立園としての存続を求める1,520名の陳情が出されました。こうした保護者・区民の声にどうこたえるのかが問われています。この間、横浜市、大東市など5市と練馬区、板橋区の2区で公立保育所の廃止民営化が裁判で争われています。ことし5月22日の横浜地裁は、2000年3月31日限りで4つの横浜市立保育所を廃止した処分を違法とする判決を言い渡しました。この判決では、保護者の保育所選択を公的利益として承認し、保護者の同意が得られない場合には、そのような利益侵害を正当化し得るだけの合理的理由と、これを補うべき代替的な措置が講じられる必要があると、基準を示し、行政の裁量権を逸脱・乱用したもので違法としたのです。区長はこの判決をどのように受けとめられたのか、お聞かせください。

 私はこうした観点から、この間区が進めてきた公立園の廃止と民営保育園の新設には違法の疑いさえあるのではないかと思わざるを得ません。横浜地裁の判決に基づくならば、高田馬場第一保育園は公立園としての存続を行うべきと思いますが、同時に今後の区立保育園の民営化について進めるべきではないと思いますが、区長のお考えをお聞かせください。

 以上で、私の質問すべてでございます。よろしくお願いいたします。

◎答弁:区長(中山弘子)

 保育園の待機児童解消策と民営化についてお答えします。

 初めに、2007年度当初の待機児童数についてのお尋ねです。

 待機児童の発生は、出生や転出入、保護者の就労状況等によって変化します。来年度の継続予定者数や新たな入園希望者数も未確定な現時点では、新旧定義による待機児童数の見込みを出すことはできません。

 次に、これまでに廃園になった公立園が存続していれば、待機児童解消がもっと進んでいたのではとのお尋ねです。

 薬王寺保育園、北山伏保育園が廃園となった平成16年度及び新宿第一保育園が廃園となった平成18年度における待機児童数は、前年度より減少しております。これは公立園を廃園したものの、既設園の定員等の拡大や民営化による新園設置等の待機児童解消策の効果があったからです。待機児童の発生は、区内全域に偏在しており、公立園をそのまま存続しても、待機児童の解消が図れるものではないと考えております。

 次に、年度途中で発生する待機児童を解消するためには、公立園を存続させ、新たに認可保育園の増設を図るべきとのお尋ねです。

 児童福祉法施行規則第40条において、保育の供給体制の確保に関する計画、保育計画を定める市町村は、毎年4月1日の待機児童数を基準とすることが規定されています。また、年度途中にいつでも入園が可能である状態を確保することは、年度当初において過剰な定員を抱えるとともに、それに見合った職員を配置することになるため、困難な状況にあります。

 したがって、区では年度当初を目標に待機児童解消を進めるもので、公立園を存続させた上での新たな認可保育園の増設は考えておりません。

 次に、つくし保育園の認可化に向け、区が関係機関に積極的に働きかけるべきとのお尋ねです。

 現時点でつくし保育園の設置者は、認可化の意向を持っておらず、区も事前の協議等は受けておりません。設置者の意向や既存園の配置状況、地域の保育需要からすれば、今現在関係機関に働きかける必要があるとは考えておりません。

 次に、横浜地裁における保育園の民営化に関する判決をどのように受けとめたかとのお尋ねです。

 この判決では、保護者に対して保育を受けるべき保育所を選択し得るという地位を、1つの法的利益として保障しています。しかし、一方で保育所の選択や当該保育所において保育を受ける利益というものや、当該保育所の廃止についての絶対的制約事由とまではしていません。また、必要とされる行政課題に対して、民営化でもって対処するということも1つの選択肢であり、民営化自体を違法とは判断していません。

 さらに、保育所の廃止については、設置者の政策的な裁量判断にゆだねられるもので、保護者の同意が得られない限り、その廃止が違法となるともしていません。行政の裁量権を逸脱・乱用したもので違法という横浜地裁の判決は、民営化までの準備期間の不十分さや保護者の十分な理解を得られなかったことに問題があったことによるものです。発表から四、五年を設け推進している新宿区の民営化計画とは異なるものと認識しております。

 なお、この裁判については、横浜市が控訴をしておりますので、その動向を注視してまいります。

 次に、横浜地裁の判決に基づくならば、高田馬場第一保育園は公立園として存続すべきとのお尋ねです。

 今回の高田馬場第一保育園の民営化計画は、老朽化した施設の耐震化に伴う高田馬場三丁目地区の施設更新にあわせ、公表から民営化まで約4年の期間を設けています。その間、懇談会等を定期的に開催し、保護者の意見や要望を聞きながら、十分な理解が得られるよう民営化を進めてまいりたいと考えております。

 また、今後の区立保育園の民営化においても、保護者の意見や要望を聞きながら、十分な理解が得られるよう進めてまいります。

 以上で答弁を終わります。

●近藤議員

 区長、御答弁ありがとうございます。今、5つの項目についての御答弁をいただきましたが、若干私どもの意に沿う部分もありましたけれども、おおむね残念ながら納得できない答弁があったというふうに思っています。特に新宿区は、財政状況が好転している、こういうもとでどういう施策をどのように進めていくのか、こういう点に関して、最初の御答弁では一定前進もあるかなと思いましたけれども、個々の暮らしや、また、介護や障害者、保育、こういった分野についてみますと、やはり本当に区民のために予算が使われる区政なのかなという点では、疑問が残ります。

 私は、この後設置されます決算特別委員会には入りませんので、今後は同僚の議員がこの問題等につきまして、徹底して論戦を図っていきたいというふうに思っていますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)




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