政務調査費返還命令の撤回を求める申し入れ書
2007年4月4日
新宿区長 中山弘子 殿
日本共産党新宿区議会議員団
団長 田中のりひで
中山区長は、3月19日、日本共産党新宿区議会議員団(以下、日本共産党区議団という。)に対して、地方自治法第242条第9項の規定に基づいて政務調査費の一部返還命令を発しました。この返還命令は、3月12日の新宿区監査委員の「新宿区職員措置請求監査結果」(以下、監査結果という。)の勧告にもとづき出されたものです。
日本共産党区議団は、監査結果に関してはすでに3月17日付で「政務調査費(人件費)の一部返還を求めた監査結果についての見解」(以下、「見解」という。)において監査結果の不当性を指摘し、同「見解」は、3月19日に区長にもお示ししたところです。
「見解」でも述べたとおり、今回の監査は、恣意的に「疑念」をもちだし、条例や規則が守られているかどうかを基準に、事実にもとづき客観的に公正に実施されるべき監査のあり方の原点から逸脱したものです。
日本共産党区議団の監査結果に対する基本的立場は、「見解」のとおりですが、さらに以下の点を指摘し、中山区長に「返還命令」の撤回を求めるものです。
1.
日本共産党区議団は、監査委員の要請に誠実に積極的にこたえ、雇用した職員が調査研究補助業務に専念し、行っている業務内容やその実績を詳細に証明するため、保管する資料を提示し、勤務形態や成果物を資料として提出しました。2月6日付で資料1乃至10を、さらに3月5日付で資料11乃至12を提出しました。
資料11は、政務調査費で雇用した職員がおこなった一日ごとの主な業務内容の記録(「業務記録」)です。資料12は、新宿区内における日本共産党の日常の政党活動の業務は、日本共産党新宿地区委員会が雇用する9名の職員が遂行していたことを証する資料です。
これらによれば、A氏ら区議団の雇用した職員は調査研究補助の業務を遂行していたものであり、党の日常業務は別の地区委員会雇用の職員が行っていたものであることは明らかです。
しかし、監査結果では、追加した資料の事実認定が何ら示されておりません。何故事実認定から除外されたかの説明も一切示されておりません。このような監査の姿勢は誠実さを欠くものであり、疑問を禁じ得ません。
また、提出した資料中、税務署長への「異動届出書」の「事業の種類」欄に「政党事務局」との記載があったことが「会派と政党の別について明確な認識がなかったことをうかがわせる」として、判断結果の大きな根拠になっています。しかし、資料6の労働保険の「保険関係成立届」の「事業の概要」並びに「労働保険料申告書」の「事業又は作業の種類」には、「政党議員団事務」及び「政党区議団事務局」と明記されており、この点の事実認定もありません。提出した資料を全面的にとりあげるのでなく、一部のみをとりあげて「事実認定」し、同趣旨の別の資料に言及しない監査は、著しく公平・公正を欠くものと言わざるを得ません。
2. 監査結果は、「政務調査費が使途基準に反して使用されたことを推認させる一般的、外形的な事実を示された場合には、当該会派において、その推認を妨げるよう、保管する他の証拠書類等も用いて、使途基準に従って政務調査費を使用したことを明らかにすべきである。」としています。
今回の監査請求は、使途基準に反して使用したと推認させる一般的、外形的「事実」の具体的例示はありません。請求は、勤務実態や勤務状況や時間、また業務の成果や根拠を示させて、適切な使用であったか否かを判断し、不適切な使用については返還を求めているものです。
日本共産党区議団は、就業規則、雇用契約書、出勤簿により勤務時間や勤務実態を証明し、さらに税務署、社会保険事務所等の関係官庁への届出書類で賃金等支払いの事実を示し、「業務記録」により勤務状況を詳細に立証し、区議団ニュース等々の物的な成果物も提出したところです。
なお、政務調査の多岐にわたる多様な業務は、住民要求実現のために、区議会本会議や委員会における質問、議員が出席する各種審議会等での発言、提案した条例、予算修正案等に生かされていることは、提出した資料でも明らかです。事実認定では、これらについて調査検討した形跡も認められません。監査委員が、区議会の議事録や審議会の議事録を検証すれば、今回の監査に該当する期間中に、日本共産党区議団が5回条例を提案し、予算特別委員会で2回予算修正案を提出したこと、また、常任委員会や特別委員会で積極的に質問、発言したこと、その補助のために区議団雇用の職員が働いたことを知り得たにもかかわらず、これをしなかった姿勢も問題です。
3. 監査結果は、どのような事実が条例や規則のどの部分に反するのか、条例・規則のどの内容に照らして問題となる事実があったのかは全くふれていません。監査委員が「疑念」として指摘したのは、税務署長に提出した書類の「事業の種類」欄の記載が「会派と政党の別について明確な認識がなかったことをうかがわせる」とか、「議員団」の名称が、議会の会派と「党の機関」に共通しているから、「区議団事務局長」が雇用した時間内に党活動に係わる業務を行っていたのでは、とするものです。
しかし、職員が控え室に常駐勤務して調査研究の補助業務に専念して仕事をしているのに、いつどのように政党の業務に属する活動があったのか、使途基準に反する具体的事実の指摘は一切ありません。「区議団事務局長」の肩書きは対外的に身分を証明するために一般的に使用されており、これによって他の業務をやっていたと断定することはできません。このことは、区議会事務局も監査委員の聞き取りのなかで述べています。条例や規則では職員の肩書きについて禁止や制約はありません。
なお、上記の2つの理由については、すでに「見解」でその不当性と規約の解釈のあやまちを指摘したところです。あやまった解釈にもとづいてだされた結果を区長がそのまま受け入れることがあってはなりません。
4. また、今回の監査の検討は、一般に、同一の政党に所属する議員で会派が構成されると、会派の調査研究活動と政党活動等の別が外形的に判然としない場合がある、との認識から出発しています。最初から「疑念」なるものを勝手に作り上げていますが、日本共産党区議団は、雇用した職員の調査研究の補助業務と、日常の政党活動・後援会活動・選挙活動に係わる業務とを区別してきました。
監査請求でも、いつどこで政党の日常活動に係わる業務を行っていたなどの具体的事実が記載されているわけではありません。にもかかわらず、勝手な「疑念」を持ち出して、その「疑念」を払拭しなければ使途基準違反であると判断するのでは、判断する側の主観や意図によりいかようにも解釈が成り立つ余地が大きく、客観性に乏しいといわざるを得ません。
また、B氏について、調査研究に当たらない「会派の諸事一般を受け持っていた」と認定しているが、何が調査研究で何が諸事一般にあたるのかの説明もなく、これまた勝手な決めつけにすぎません。
なお、新宿区議会では、政務調査費の透明性を高め、区民への説明責任を果たすために、議論し合意をつくりながら、条例・規則・規程などを改正し、ルールづくりをすすめています。その合意を踏み越えた今回の一部返還命令は、区議会の自律的活動への行政の介入といえることを、指摘しておくものです。
5. 区長は、3月19日付の文書で、「地方自治法第242条9項の規定に基づく措置として」返還を命じています。同項は、「当該勧告に示された期間内に必要な措置を講ずる」ことを規定していますが、「必要な措置」とは、長その他の執行機関が、監査委員の勧告について調査も検討も加えず従うことではありません。
行政の長たる区長が決定するからには、当然区長として事実にもとづき、条例や規則に照らしてどうかの判断があってしかるべきと考えますが、命令の文書の区長の判断理由には、そのような検討を講じた内容は一切示されておりません。区長は、今回の監査結果を再検討し、返還命令を撤回することを求めます。
以 上 |