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    2011年第4回定例会 一般質問 

    (一般質問の概要と答弁をアップしました。概要は議事録ができ次第訂正いたします)

     

    「新宿区健康づくり計画」とがん検診の受診率向上について 

     

    (質問)

    日本共産党の雨宮武彦です。「新宿区健康づくり行動計画」とがん検診の受診率向上について質問いたします。
    第1に「新宿区健康づくり行動計画」の素案について質問します。
    本計画は、2012年度から2018年度までの6年間の健康づくり計画です。素案では、国や都の計画と連動させたうえで、5つの大目標を設定し、それぞれ に現状分析・課題整理をしたうえで、中目標・小目標を決めて施策の方向と目標を示しています。5大目標は、現計画の3目標である「生活習慣病の予防」「食 育の推進」「こころの健康づくり」に、「がん対策の推進」と「女性の健康支援」を加えたもので、私たちの暮らしの全般にわたる見直しが求められており、そ れ故に並大抵の努力では目標に到達できないと感じました。まずは、計画の中味をどれだけ区民に知ってもらい、自らのこととして受け止め、自覚してもらうか が重要であり、計画素案の区民への説明は出発点だと思います。
    まず第1の質問は、区民への説明についてです。
    区民への説明は、「区長と話そう~しんじゅくトーク」で、第2次実行計画・高齢者保健福祉計画と一緒にわずか30分の説明で終わりました。この計画につい ては、5つの画面でごく簡単に説明され、あまり印象に残りませんでした。だからでしょうか、10回のトークで出された意見・質問は5人にとどまっていま す。パブリックコメントも3件だと聞いています。前回は、素案の地域説明会を独自に4回開催し、パブリックコメントは6件寄せられました。それと比較して も後退しており、区が本気で健康づくりに取り組むのか、まさに出だしの構えが問われています。こんなおざなりの説明でお茶を濁すのは、計画を答申された健 康づくり行動計画推進協議会のみなさんの努力も軽視するものではありませんか。
    区民一人ひとりがその必要性を認識し、自覚的に取り組んでもらっ てはじめて計画が生きたものになります。区民のみなさんに良く理解して頂き、実践してもらうためにも、それこそ乗り込んで行ってでも、説明し、説得し、そ の気にさせることが必要ではないでしょうか。そこのところを区はどう考えているのか、区の姿勢を問いたいと思います。
    第2に、健康を支援する環境づくりで、地域との連携・協働を強めることです。
    西新宿保健センターでは、柏木町会連合会・商店会・食育ボランティア等とともに「柏木健康アップサポーターの会」を45名で立ち上げ、健診のチラシ配布を はじめ啓発活動をともに進めていると聞きました。活動の範囲を広げるとともに、こうした活動に参加することで、本人・家族・周囲の方の自覚を助長し、ひい ては健康づくりをすすめる仲間づくりにもなり、モチベーションアップと継続につながると感じました。計画策定の趣旨である「健康を支援する環境づくり」を 体現しており、良い先例として紹介し、他の地域にも広げることが大事だと思いますが、いかがですか。
    第2に、がん検診の受診率の向上について質問いたします。
    新宿区の年間総死亡者数は、2009年現在、男女合わせて2,343人で、死因別に見ると、1位が癌で29,4%で、2位の心疾患、3位の脳血管疾患の合 計26.5%を上回っています。性別・世代別にみると、女性は50代では61%、60代が52%と過半数、男性も50代から70代は40%前後であり、が んによる死亡が増加しています。 一方、がん健診の受診率は伸び悩み、目標値を達成できていません。国ががん対策基本法を制定したこともあり、ようやく区 の計画にもがん対策が大きな柱として位置づけられましたが、要はどのように推進していくかです。
    福祉健康委員会が10月に視察した山形県酒田市で、私たちは大きな教訓を学んできましたので、その経験に基づき、以下質問します。
    1点目は、がん検診の普及啓発事業についてです。
    酒田市では、胃・大腸がんによる死亡率が全国や山形県と比べて高く、また胃・大腸がんの検診受診率が県のワーストであったことから、市と医師会や市民が一 体となった取り組みをして、大きな前進を果たしました。その要因のひとつが、普及啓発事業です。小学生を対象に、家族の絵と標語のコンクールに取り組み、 最優秀作品の絵と「ずっといっしょにいたいから かならずうけてね がんけんしん」の標語は、ポスターにしたりポケットティッシュに入れて配るなどして、 働き盛りの親世代の啓発に活用していました。また、話題作の新作映画の無料上映会にも取り組んでいました。新宿区でも映画の上映をしたり、子どもの絵や作 文もいろいろなテーマで募集していますが、作品をこのような動機付けに活用する点で、学ぶべきだと思いました。視察には区の担当課長もご一緒しましたが、 区として参考になったことをお聞かせください。
    2点目は、これが最も教訓になった点ですが、検診申込書で家族の状況調査をし、系統的に受診の向上を勧奨することです。
    酒田市では、申込書の中に家族のがん検診についての状況調査を入れて全戸に郵送し、返信用封筒も同封しています。回収率は65.4%にのぼり、調査回答 で、市の検診を受診する者、職場で受診する者、医療を受けている者、個人で検診を受けた者などを把握して、電算処理システムで管理していました。新宿区の がん検診は、過去3年間の受診者と勧奨対象年齢の方のみに検診票を送付しており、全世帯に受診を働きかけているわけではありません。加えて酒田市の取り組 みで優れていたのは、国民健康保険加入者で検診を受けていない人に対して保健師さんが戸別訪問をしていることです。がん検診、特定健診受診勧奨パンフを渡 しながら受診を勧め、不在時は郵送用の調査票を置いてくるという細かく徹底した取り組みをして、受診率を飛躍的に引き上げています。進んでいるところは、 行政の意欲と構えが違うなと痛感しました。
    この教訓に学び、新宿区でも、実態把握につとめ、戸別訪問で受診勧奨すればもっと受診率が向上すると考えますが、区長はどう思われますか。
    3点目は、働きざかりの方に無料クーポン券を送付することについてです。
    酒田市では、働きざかりの人たちが多忙を理由に検診率が低いため、2009年度から、40歳、45、50、55,60歳の方に無料クーポン券を送付しまし た。クーポン対象者はそれ以外の年齢の方と比べて4~5%受診率が高くなったそうで、今年度からは65歳の方も対象者にしていました。新宿区でも、乳が ん、子宮頸がんの受診率は無料クーポン券配布で3~5%上がっており、無料クーポン券が受診率向上に結びつくことが検証済みです。がん検診を全て無料化す るのが一番ですが、せめてがんによる死亡割合が高い働きざかりの国保加入者に無料クーポン券お送りし、がん検診を受ける人を増やす努力をすべきだと思いま すが、いかがですか、質問致します。

     

     

     

    (答弁・健康部長)

    雨宮議員のご質問にお答えします。
    「新宿区健康づくり行動計画」とがん検診の受診率向上についてのお尋ねです。
    まず、健康づくり行動計画を区民に理解していただき、実践してもらうための区の姿勢についてのお尋ねです。
    ご指摘のとおり、区民の方々に健康づくりを実践していただくためには、動機づけが重要であり、そのためにも、多くの区民にこの計画を知っていただくことが大切であると考えています。
    今 回の計画の説明会は、10回に及ぶ「区長と話そう~しんじゅくトーク」で行ったことにより、延419名の参加者が得られ、多くの方に計画の内容をお伝えす ることができました。また、今月の新宿区広報番組で健康づくり行動計画を取り上げるとともに、ふれあいトーク宅配便などで地域における普及啓発に積極的に 取り組んでまいります。
    次に、健康を支援する環境づくりで、地域との連携・協働を強めることについてのお尋ねです。
    ご指摘のとおり、西 新宿保健センターでは、今年度から新たな取り組みとして、柏木地区をモデル地域とし、町会、商店会、民生・児童委員、食育ボランティア等の方々のご協力を いただき、地域の皆様に「健康診査を受けて健康になりましょう」と呼びかける「柏木健康アップサポーター」の活動を開始したところです。
    「柏木 健康アップサポーター」は、健康づくりをPRするため、おそろいの黄色のTシャツや「かしわぎ健ちゃん」というシンボルマークなどをデザインし、ラジオ体 操や盆踊り大会等の地域行事に出向き、住民から住民へ健診受診の声かけをしながら、地域に健康づくり活動の輪を広げています。
    まだ、取り組み始めたばかりの活動ですが、大久保等ほかの地区の方々から、自分たちの地区でも同じような活動をしたいという声をいただいているところです。
    今後、健康づくり活動として、また、コミュニティの活性化や仲間づくりにもつながる活動として、他の地域に広げていきたいと考えています。
    次に、がん検診の普及啓発事業についてのお尋ねです。
    ま ず、酒田市のがん検診の普及啓発事業で参考とすべき点は何だったのかとのお尋ねです。酒田市では、胃がんで亡くなる方が多いという地域特性を踏まえ、平成 21年度から一定の年齢に達した方に対して、胃がん検診の無料クーポン券の配付を実施しています。区においても地域特性を踏まえた対策を実施することや、 行政や医師会、住民がともに考え一体となって取り組むことは重要であると考えます。
    また、酒田市で行ったように検診受診状況を把握したうえで 受診勧奨をしてはどうかとのことですが、酒田市の行った検診受診状況を調査するなどの取り組みは、実態把握の方法として有効であると認識しています。区で は、今年度、新たな取り組みとして、社会保険などの加入者約7万3千人の方を対象に、がん検診の申込みができる返信用はがきを組み込んだ受診勧奨はがきを 送付しました。
    その返信用はがきには、がん検診受診歴、受診場所などを尋ねるアンケート欄を設けています。
    今後も様々な手法を用いて、勤務先での検診を含めて区民の検診受診状況に関する実態の把握をするとともに受診率の向上に努めてまいります。
    また、戸別訪問での受診勧奨については、新宿区の地域特性を考えると効率的ではないと考えますが、今後も効果的な受診勧奨に努めてまいります。
    次に、働きざかりの方へ無料クーポン券を送付すべきとのお尋ねです。
    平 成22年度のがん検診の受診率は、平成21年度と比較し、すべてのがん検診で受診率が向上しました。また、がん検診の受診者数の増加に向けて、がん検診の 申込みができる返信用はがきを組み込んだ受診勧奨はがきの送付など新たな受診勧奨策を実施し、検診受診率の向上を図っています。
    クーポン券配付 の効果については、区においても、検診手帳を同封し、検診の重要性等を周知したことなどにより、若い世代の受診率向上に寄与したと認識しております。区で は、現在のところ、無料クーポン券の対象者や対象とするがんの種類を拡大する考えはありませんが、全国と比べて特に死亡率の高い、乳がん、子宮がん、大腸 がんについては、来年度も無料クーポン券を配付してまいります。

     

     


    区議会活動 | 雨宮たけひこ

    2011.12.01 更新

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