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    2012年第2回定例会 一般質問

     

    日本共産党新宿区議団の田中のりひでです。

    国民健康保険一部負担金の減免制度の拡充等について一般質問いたします。

    1961年、国民健康保険法第1条にうたわれている通り『社会保障及び国民保健の向上に寄与する』ための制度として、国保法が実施され、国民健康保険はそれまでの相互扶助の制度から憲法に基づき、国民の医療を受ける権利を保障する制度に生まれ変わりました。当時、国民の3割の2900万人にのぼった無保険者が解消され、日本は国民皆保険の国となりました。

    しかし、今日医療費の窓口負担が重いために、受診回数を減らすなどの受診抑制の問題が社会問題になっています。

    2009年2月24日に公表された人口問題研究所の「2007年社会保障実態調査結果の概要」の調査報告のなかの「医療機関の利用状況調査」では「過去1年間の間に医療機関に『健康ではなかったが行けなかった』とした人の行くことができなかった理由」について、『自己負担の割合が高い』と答えた人が38.4%にものぼっています。また、日本医療政策機構の2007年のアンケート調査では所得の低い人ほど受診抑制があり、年収300万円未満の世帯では、4割の人が「具合が悪くとも医者にかかれない」と深刻な実態が公表されています。

    さらに全国の医師、歯科医師10万3千人の団体である全国保険医団体連合会の2010年度受診実態調査では「この半年間に、主に患者の経済的理由から、治療を中断または中止した事例がありましたか」の設問に対し「あった」との回答が38.7%になっています。また、「この半年間に患者さんから、医療費負担を理由に検査や治療、投薬を断られた事がありますか」の設問には43.1%の人が「あった」と答え「この半年間に先生の医療施設では患者一部負担金の未収金がありますか」の設問には48.2%の人が「ある」と回答しています。

    こ れらの調査からも明らかなように窓口負担の重さは受診抑制だけではなく、一旦受診をしても経済的な理由から治療の中断などを余儀なくされています。さら に、医療機関にとってみれば経済的な理由で治療が行なえない、一方未収金によって経営的にも影響を受けることになります。

    医療費の窓口負担をどうするかは国民の健康をまもる上でも重要な課題になっています。引いては病院の未収金問題の解決にもつながるのではないでしょうか。

    2008年7月10日 「医療機関の未収金問題に関する検討会報告が公表されました。ここでは医療機関の未収金増加の主な要因として1つには生活に困っており、医療保険の自己負 担分の医療費を支払う資力はないまた、支払能力はあるが元々支払意思がないが上位に上げられています。これらの未収金を減らしていくためには第1に窓口一 部負担金減免制度の周知と活用、第2に生活保護の適切な運用、第3に無料低額診療事業の活用の重要性が指摘されています。この指摘は逆に受診をする国民の 側から見れば経済的理由による受診抑制や治療中断を防ぎ、国民の健康増進に貢献するのではないでしょうか。もちろん、3割の窓口負担の軽減や医療費負担の無料化が求められていますが、現行制度の中でも大いに改善が求められています。

    まず最初に無料低額診療事業について質問いたします。

    現 在、東京都内では47ヵ所の医療機関が実施し、新宿区では聖母病院が実施しています。失業者の増大やホームレスなど生活困窮者に対する取り組みとして強化 するように東京都に要求すべきと思いますがいかがですか。さらに「くらしと国保」のパンフレットにも「医療費がどうしても支払えないとき」の項で紹介して はどうでしょうか。

    次に国民健康保険の一部負担金の減免制度について質問します。

    区にも23区統一の減免基準に基づく要綱があり、国基準は生活保護基準ですが新宿区は100分の115という基準をもうけています。21,22年度は実績はなく、23年度実績としては一般減免が1件、東日本大震災の影響による減免が46件になっています。区はこれまでも100分の115から100の間にはいっている被保健者の人には該当すれば減免を適用し、適切に医療をうけられるように減免を受けていただきたいという立場をとってきたと思います。

    全国の中では大阪府東大阪市がこの制度の活用が多く行なわれています。東大阪市は「中小企業のまち」として知られているそうですが、長引くデフレの不況のもとで世帯の約半数余りが国保世帯だそうです。ここでの23年度の実績をみると申請件数が8997件、承認件数が8620件になっています。減免事由でみると収入の減少が703件約1948万円、その他で7917件2億1748万円になっています。

    東大阪市では減免にかかる基準として風水害などにより重大な損害を受けたときの他、事業又は業務の休廃止、失業等により収入が著しく減少したときの基準を前年中の当該世帯の構成員の総所得額の10分の6以 下に低下しさらに前年中の当該世帯の構成員の総所得金額の合計額が基準額以下であることとしています。また公的年金の受給者を有する世帯であり、かつ前年 中の当該世帯の構成員の総所得金額が基準額以下であることなどを定めています。まさに減免基準の内容が制度の活用に大きな影響を及ぼしています。

    そこで第一に新宿区の負担金減免の実績は現在の不況のもとで十分に機能しているとお考えですか、まだまだ潜在的には対象になりうる被保険者がいるとお考えですか。

    第二に、減免基準は自治事務であり新宿区の判断で決定できると思いますがいかがですか。

    第三に減免基準の拡大によって区民の医療費の負担軽減を図るべきと思いますがいかがですか。

    第 四に、立川市の事例にもあるように医療機関や公的施設にポスターの掲示やチラシなどをおくようにしてはいかがですか。国民健康保険法44条でうたわれた負 担金の減免制度はいまだに全自治体で実施をされておらず、国民の受診機会の保障と健康をまもる上でも急務の課題になっています。区民が安心して受診できる ためにも国民健康保険法の一部負担金の減免制度の拡充を強く要求して一般質問をおわります。

    ご清聴ありがとうございました。

     

     

    (答弁)

    田中議員の国民健康保険の一部負担金減免制度の拡充等についてのお尋ねにお答えします。

    まず、無料低額診療事業についてです。

    区は、失業者やホームレスなどの生活に困窮した方の医療の確保については、ご指摘の無料低額診療事業のほか、生活保護の医療扶助などにより、対応を図っています。

    この無料低額診療事業は、低所得者等に対する必要な医療を確保する役割を果たしていると考えていますが、国や東京都では、この事業の制度の位置付けについて、議論があるようですので、区としては、今後の動向を注視していきます。

    次に、「くらしと国保」のパンフレットで無料低額診療事業を紹介したらどうかというお尋ねです。

    本事業は、医療機関が独自の判断で実施している事業であるため、「くらしと国保」のパンフレットでの事業紹介については、医療機関側の意向を伺いながら検討してまいります。

    次に、国民健康保険の一部負担金の減免制度についてのお尋ねです。

    病院等にかかったとき、被保険者の方は一部負担金を支払うことになります。しかし、一時的に生活が非常に苦しくなり、病院等への支払いに困ったときに利用できるのが、一部負担金の減免制度です。

    まず、一般減免の実績についてですが、23年度の減免実績を見る限り昨今の厳しい経済状況の中で、本制度の潜在的な対象者は存在するのではないかととらえています。

    次に、新宿区の判断で減免基準を拡大することについてです。区の減免基準は、国基準よりも範囲が広い特別区統一の基準を踏まえて設定していることから、基準を拡大することは考えていません。

    ま た、立川市のような広報活動を行ってはどうか、というお尋ねです。事業周知の重要性については、十分認識していますので、今後、新宿区としてどのような広 報活動が効果的なのか検討を進め、必要な方にこの制度を安心してご利用いただけるよう、これまで以上に積極的な広報活動に取り組んでまいります。

    以上で答弁を終わります。

     


    区議会活動 | 田中のりひで

    2012.06.11 更新

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