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    2012年第2回定例会 代表質問

    日本共産党区議団の阿部早苗です。2012年新宿区議会第2回定例会にあたり、会派を代表して、区長並びに教育委員会に質問します。
    野田首相は、消費税増税を押し通すため内閣改造をし、自民党・公明党と国会の外で協議が行われています。どの世論調査でも、消費税増税に反対が5割・6割 という国民の声は聞かず、政党間の「談合」によって強行するなど断じて許せません。また、関西電力大飯原発の再稼働を今週中にも決定すると報道されていま す。科学的安全性の保障がない中での再稼働は論外であり、中止すべきです。消費税増税に反対し、原発再稼働を止めさせるために奮闘する決意を表明し、以下 質問に入ります。

     

     

     

    1. 生活保護行政について

    一部芸能人の親族の生活保護受給をめぐって報道が過熱しています。自民党が4月に10%の給付水準引き下げ案を発表し、小宮山厚生労働大臣が給付引き下げ と扶養義務強化の意向を示していることから、生活保護問題対策全国会議は、これには「政治的な動きが絡んでいる」と批判しています。
    小宮山大臣 は、親族が扶養できない「証明義務」を条件にする法改正の検討を表明しましたが、今でも親族に知られることを恐れて申請の足が止まっているのに、ますます 必要な方が申請できなくなるおそれがあります。また、生活保護受給者が精神的に追いつめられ命を絶つことも危惧されます。そもそも親族の扶養は保護利用の 要件ではありませし、民法の扶養義務も、成人になった子の親への扶養義務は、無理のない範囲で行うというものです。小宮山大臣の発言は極めて不適切であ り、発言を撤回して謝罪するよう求めるとともに、扶養義務強化の法改正をやめるよう、区長は国に対して意見をあげるべきです。区長の良識ある見解をお示し 下さい。
    生活保護制度でいま問題なのは、貧困率16%に対して保護率が1.6%、必要な人の10%しか補足しておらず、イギリスの9.3%、ド イツの9.7%に比べて極端に保護率が低いことです。格差と貧困が拡大するもとで、孤立死した札幌市の姉妹のような悲しい事例をなくしていくことこそ課題 です。改めて、生活保護をはじめとするセーフティネットの正しい理解と利用が図られるよう周知すべきではないでしょうか。お答えください。
    次に、簡易宿泊所の安全性についてです。
    5月30日夜、板橋区の簡易宿泊所で火災が発生し2名の方が亡くなったと報じられ、昨年の大久保のアパート火災の記憶がよみがえりました。築60年の老朽 旅館で、住居を喪失した生活保護受給者が板橋区の紹介で入居しており、消防設備の点検報告が消防署にされていなかったと報じられています。新宿区の福祉事 務所も、住居喪失者の相談のほとんどはまず簡易宿泊所を紹介していると思われます。相談者数と簡易宿泊所数、ベッド数など実態をお聞かせ下さい。
    大部屋でプライバシーがない、ダニや南京虫がいて痒くていられない等々の苦情をよく聞きますし、区内の簡易宿泊所も築年数を相当経過した建物が多そうで、 地震による倒壊も心配ですが、当面、板橋の火災の教訓を生かすうえで防火対策は急務です。区は、安全性について消防署に確認するなどして入居紹介している のでしょうか。これまでの区の対応と今後の対策についてお聞かせ下さい。

     

     

    答弁(区長)

    阿部議員のご質問にお答えいたします。

    生活保護行政についてのお尋ねです。

    はじめに、扶養義務強化の法改正についてのお尋ねです。

    現行の扶養義務の取扱いについては、民法の定める扶養義務者の扶養が生活保護に優先して行われるべきものとされていますが、生活困窮者が、その利用し得る資産や能力などを活用することを要件としていることとは異なり、保護の前提となる要件とはなっていません。

    例えば、夫の暴力から逃れてきた母子等の扶養義務者である夫に対し、扶養を求めることで、要保護者の自立を阻害する場合や、長期間家族と音信不通となっている場合は、扶養照会を省略する扱いとしています。

    このように、さまざまな場合がありますので、扶養義務強化の法改正については、慎重な対応が求められるものであり、法改正の動きを注視し、必要に応じ区長会を通して意見をあげていきます。

    次に、生活保護などのセーフティネットの正しい理解と利用の周知についてのお尋ねです。

    区 では毎年、民生・児童委員に対し、「生活保護のしおり」などを配付し、生活保護をはじめとするセーフティネットの周知を図り、身近な相談の中で、制度の案 内をしていただいています。また、生活困窮者の相談については、福祉事務所に電話や来所にて相談するよう、電力・ガス会社等関係機関に対し、周知を行って います。今後もあらゆる機会を捉え、セーフティネットの正しい理解と利用が図られるよう努めていきます。

     

    次に、簡易宿泊所の安全性についてのお尋ねです。

    はじめに簡易宿泊所等の実態についてです。

    平成23年度の住居喪失者の相談件数は、月平均約980件です。また、区内の簡易宿泊所等の数は、約20所で、定員は、約1000名です。

    次 に、簡易宿泊所等の安全性については、ケースワーカーが訪問の際に、避難口について、荷物を置いていないか、鍵がかかっていないか、また、喫煙所の場所、 消火器の配置等、建物の状況を適宜、確認しています。あわせて消防署の指摘事項等の有無を施設管理者やオーナーに確認しています。

    今後も、安全性については、消防署に確認を行うなどにより、不適切な運営をしていると思われる簡易宿泊所等には、入所依頼をしないなど、適切に対応してまいります。

     

     

     

    2.孤立死対策について

    今年に入って、「孤立死」「貧困死」の報道が全国で相次ぎました。この事態を受け、厚生労働省は5月11日、孤立死の防止対策について通知を出し、生活困 窮者に関する情報の一元化、関係団体との連携強化、ライフライン事業者との連携、分野横断的・総合的な窓口の設置など地域づくりの推進について示していま す。
    厚生労働省の補助金を活用した2010年度の調査報告の一つ、ニッセイ基礎研究所がまとめた「セルフ・ネグレクトと孤立死に関する実態把握 と地域支援のあり方に関する調査研究報告書」は、自治体への悉皆調査も含めて実態を把握し、課題を浮き彫りにしています。それによると、死後4日以上経過 して遺体が発見されたケースは全国で、65歳以上は年間15,600人、一日あたり40人にもなると推計され、要介護度が高い事例やフォーマルサービスの 関わりが多い事例ほど死後経過日数が短い傾向にあり、80%は医療や食事を拒み、食べ物やごみを放置するなど健康や安全を自ら損なういわゆるセルフ・ネグ レクト状態にあったと分析しています。そして、自治体における課題と支援体制について、年金や医療の問題、組織間の連携・強化、福祉部門相談窓口の一元 化、専門職の配置、専門家によるネットワークを指摘しています。
    同じく厚労省の補助金を使って、日本女子大の堀越栄子教授が新宿区の受託事業者 でもあるNPO法人アラジンとともに行った「家族(世帯)を中心とした多様な介護者の実態と必要な支援に関する調査研究事業」では、高齢者に限らず誰かの ケアをしているケアラーへの支援の重要性を説いています。私どもは、堀越教授にもお話をうかがいましたが、教授は10万人に1カ所程度の「(仮称)包括的 地域生活支援センター」と、3万人に1カ所程度の「(仮称)ケアラー支援センター」設置を提唱され、千葉県の中核地域支援センターやコミュニティソーシャ ルワーカーなどの取り組みを評価しておられました。
    区長は、5月15日の職員向けメッセージで孤立死問題に触れ、高齢者だけではなくより対象者 を広げて区民からの気づきやつなぎに対応できる「(仮称)新宿区いのちのネットワーク」の構築に向けて調整していると言われました。まず、新宿区内の孤立 死の実態をどのように把握されているでしょうか。また、「(仮称)新宿区いのちのネットワーク」とはどのようなものを想定されているのかうかがい、以下具 体的に質問します。
    第1は、総合相談窓口の設置についてです。この間の孤立死の事例を見ても、高齢者に限った問題ではなく、様々な問題を抱え経 済的に困窮している例もあります。北海道南富良野町では総合相談窓口体制を強化し24時間対応し、埼玉県行田市も福祉総合窓口を設置しました。大阪府豊中 市は小学校区ごとに福祉なんでも相談窓口を設置し、同時に、安否確認ホットラインを開設して「急に姿を見かけなくなった」など地域住民が気づいた際の連絡 窓口を設けています。新宿区では高齢者の事は高齢者総合相談センターが総合相談窓口になっていますが、さらに幅広い区民を対象とした総合的な相談窓口が必 要ではないでしょうか、お答えください。
    第2は、コミュニティソーシャルワーカー(CSW)の配置についてです。豊中市では、内閣府が2010 年に始めたパーソナル・サポートモデル事業を継続し、社会福祉協議会にCSW9人を配置し、支援が必要な人に寄り添い専門家が様々なサービスにつなぐ仕事 をし相談事業のアウトリーチが行われています。23区内では豊島区や足立区が実施しており、豊島区は社会福祉士などの資格を持つCSWを2009年度から 社会福祉協議会に配置しています。今年度は2名から6名に増員し、今後5年ですべての地域包括支援センターのエリアごとに各2名計16名を配置する計画と のことです。1人の人が抱える課題は多岐にわたる場合が多く、新宿区でも一人ひとりに寄り添い的確にサービスにつなぐCSWを配置してはいかがでしょう か。お答えください。
    第3は、保健師の体制強化についてです。ケアマネージャーや社会福祉士などから要望が強いのが、保健師の体制強化です。例 えば認知症などで支援が必要なのに拒否している方でも、保健師といういう資格は認知度も高く受け入れられやすいため、ケアマネジャーが訪問に同行してもら うケースも多いというのです。保健師は、赤ちゃんから高齢者まですべての世代に対応し、精神疾患の方の対応知識も有しています。医療・保健・福祉あらゆる 面で高い対応力を持つ保健師の増員が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
    第4は、あらゆる見守り事業の総点検と改善についてです。新宿区で は早くから高齢者の孤独死が顕在化し、全国に先駆けて高齢者の見守りにつながる施策を充実してきましたが、今起こっている事態を教訓に、事業の総点検と改 善が必要と考えますが、いかがでしょうか。以下、いくつかの施策について具体的に提案します。
    1つ目は、高齢者緊急通報システムの改善について です。現在新宿は、ひとり暮らし高齢者を対象とした高齢者緊急通報システムを消防庁方式で行っていますが、自分でボタンを押さなければならない消防庁方式 に対して、品川区が採用した民間方式の生活リズムセンサーは、トイレなどのドアに赤外線センサーをつけておくと1日何の動きも察知できなかった場合、自動 的に信号が送られ警備会社が電話で安否確認し、緊急事態には預かっている鍵で部屋を開けて救急車などで病院に搬送するというシステムで、火災警報器付にも なっています。北区では、本人がボタンを押すと24時間体制の民間事業者に情報が入り、看護師等の資格を持ったスタッフが119番通報を行う他、日常の健 康相談も受け、月1回スタッフからお伺い電話があるというものです。新宿区の高齢者緊急通報システムも、品川区や北区の例も参考にして改善すべきではない でしょうか。
    2つ目は、ライフライン事業者等との連携です。厚労省の通知でも、生活に困窮された方に関する情報を適切に収集する観点から、改め て電気・ガス・水道事業者等との連携強化を呼びかけており、事業者や民生委員等から寄せられた生活困窮者の情報を一元的に受け止める体制の構築を要請して います。新宿区でも改めてライフライン事業者と連携強化を図ると同時に、不動産業者が家賃滞納などで生活困窮者に気づいた場合に区へ連絡しセーフティネッ トにつなぐ体制の確立も必要ではないでしょうか。お答えください。
    3つ目は、区立住宅居住者への対応です。東京都は昨今の事態を受けて、都営住 宅居住者の安否確認に関する対応マニュアルを見直し、より迅速な情報収集と入室確認を行うこととしました。区立住宅においても都のマニュアルを参考に、た だちに対応策を確立すべきではないでしょうか。
    以上、区長の答弁を求めます。

     

     

    答弁(区長)

    孤立死対策についてのお尋ねです。

    最初に、新宿区内の孤立死の実態把握についてです。

    23区内の検案・解剖を警察署と連携して担当する東京都監察医務院に照会し、平成22年の新宿区民の検案件数471件、その内65歳以上の一人暮らしで亡くなられた方の件数153件、さらにその内自宅で亡くなられた方の件数126件と把握しています。

    次に、「(仮称)新宿区いのちのネットワーク」についてのお尋ねです。

    こ のネットワークは、これまでの一人暮らし高齢者に加えて、生活困窮者、障害者、母子家庭等何らかの課題をもった世帯が地域や行政のセーフティネットから漏 れることのないようなしくみを構築していこうというものです。具体的には「新宿区高齢者の権利擁護ネットワーク協議会」に「高齢者等見守りネットワーク推 進部会」を設置し、全庁横断的な関係各課、消防署、警察署も含めた関係機関とのネットワーク構築に向け検討を開始しています。9月を目途に体制を整え、幅広く見守りの輪を広げていきたいと考えています。

     

    次に、幅広い区民を対象とした総合相談窓口の設置についてのお尋ねです。

    区では、平成22年4月に地域の9か所の高齢者総合相談センターの機能強化を行い、人員体制もほぼ倍増しました。また、平成24年4月には基幹型高齢者総合相談センターの人員体制も整備し、高齢者の総合相談窓口としてしっかりと支援を行っています。

    今後、「(仮称)新宿区いのちのネットワーク」を検討する中で、地域住民等からの通報・相談窓口を明確にできるよう、組織的な検討も進めていきます。

     

    次に、コミュニティーソーシャルワーカーの配置についてのお尋ねです。

    区では、高齢者総合相談センターに認知症担当者や医療連携担当者を配置し、地域の中心的な相談機関、医療、介護、福祉のコーディネート機関として位置づけています。

    さらに、新宿区社会福祉協議会には、ふれあい訪問・地域見守り協力員事業において、専門相談員を7名配置しており、高齢者の方を訪問して日常生活に関する相談相手になり、必要な保健福祉サービスを紹介する等、自立した生活の支援をすでに行っています。

    今後も、地域に身近な高齢者総合相談センター及び新宿区社会福祉協議会が、支援を必要とする一人ひとりに寄り添い的確にサービスにつなぐ支援を行えるよう、コミュニティーソーシャルワーカーとしての育成に努めていきます。

     

    次に、保健師の体制強化についてのお尋ねです。

    高齢者総合相談センターでは、医療職の保健師または看護師を医療連携担当者として9か所へ各1名配置することとしています。また、基幹型の高齢者総合相談センターである高齢者福祉課では、保健師及び看護師が、認知症や介護予防の事業を担当し、全般的な高齢者相談にあたっています。

    また、保健所・保健センターでは、精神疾患や認知症、障害をお持ちで支援が必要な方々には、保健師が介護支援専門員と同行訪問するなど、協力し対応しています。

    これらの相談業務では、保健師、看護師が社会福祉士や主任介護支援専門員等と連携し、個々の状況に合わせて丁寧に対応しています。

    今後も、認知症の症状のある方、精神疾患のある方、支援を拒否している方への対応は、保健所・保健センターの保健師、訪問看護ステーションの看護師、介護事業者の介護支援専門員等、福祉、介護、医療の各部門が専門性を生かしつつ、総合的に対応してまいります。

     

    次に、見守り事業の総点検と改善についてのお尋ねです。

    区では、一人暮らし高齢者への情報紙「ぬくもりだより」訪問配布事業等、孤独死対策についても力を入れて取り組んできました。

    しかしながら、最近の孤立死の事件も踏まえ、区では、「(仮称)新宿区いのちのネットワーク」を9月 構築に向けて現在検討しています。検討の内容としては、これまで取り組んできた高齢者見守り事業等を改めて総合的に見直し、見守りの対象を高齢者、障害 者、生活困窮者、母子家庭等何らかの課題を持った世帯等へ広げるとともに、民生委員、町会、自治会等地域の関係団体に加え、東京都牛乳商業組合新宿支部、 東京都公衆浴場同業組合新宿支部等新たな協力事業者への拡大を図ります。関係機関との連携強化による見守り事業を推進します。

     

    次に、高齢者緊急通報システムの改善についてのお

    尋ねです。

    現在区では、常時注意が必要な身体上の慢性疾患等がある一人暮らし高齢者や一人暮らし等により常時注意を要する身体に重度の障害がある等を対象に、現在、民間警備会社による受信センター方式または、消防庁方式により緊急通報システムを提供しています。

    消防庁方式は緊急通報協力員の確保が困難なため、平成24年度から新規対象者は受信センター方式で対応しています。

    24時間体制の見守りシステムとして、高齢者では、受信センター方式と消防庁方式合わせて約600人の方が、障害者では、15人の方のご利用があります。

    シ ステム機器は、入札により設置する業者が決まるため、年度により設置される機種等が異なります。また、耐用年数経過後の更新方法など課題も見えていること から、緊急通報システムについては、今後に向けて検討を行っていきます。その際、様々な見守りシステムが開発されていることから、機種等についても研究し ていきます。

     

    次に、ライフライン事業者との連携強化と不動産業者との連携体制の確立についてのお尋ねです。

    区でも、今年度、改めて、東京電力新宿支社、東京ガス中央支店、東京都水道局新宿営業所と、それぞれ生活困窮者等の孤立死防止対策について話し合いを行い、生活困窮者と思われる方については、福祉事務所につないでいただくよう要請をしました。

    不動産業者との連絡体制については、「(仮称)新宿区いのちのネットワーク」の構築にあわせ、検討しています。

     

    次に、区立住宅居住者の安否確認に関する対応についてのお尋ねです。

    現 在、区立住宅居住者の安否確認については、住宅課で作成した「住宅管理緊急等対応マニュアル」に沿って、職員が居住者の親族や保証人、区が委嘱する住宅連 絡員等と連絡し確認を行っています。また、緊急を要すると判断した場合は警察、消防に連絡のうえ、開錠し室内を確認しています。

    しかしながら、より適切かつ迅速な安否確認ができるよう、入室確認基準についてマニュアルの見直しを行ってまいります。

     

     

     

    3.都区財政調整について

    今、世界と日本の経済は大変な局面にあります。とりわけ日本経済は、リーマンショックと大震災・原発事故の影響で大変なところへ、社会保険料の値上げなど もあり、区民の暮らしと営業はこれまでにないほど厳しい状況に直面しています。個人の生活が厳しくなって消費が落ち込み景気回復の見込みは立っていませ ん。区民税など税収も減ってきており、区としてこれまで以上に財源確保の努力が求められています。そうした観点から、区の重要な財源である都区財政調整に ついて以下質問します。
    2012年度都区財政調整協議は2月10日に都区が合意し、2012年度フレームが決まりました。ここ数年大幅に落ち込 んでいる税収がさらに減収となる厳しい見込みの中での協議となり、交付金総額、基準財政収入額、基準財政需要額とも前年より減額となりました。特別区交付 金いわゆる財調は、特別区の歳入の3分の1を占め、新宿区においても2010年度決算で約18%で特別区税に次いで大きな比重を占めており、区財政にとっ て極めて重要な財源です。
    基礎自冶体である市町村は、固定資産税、法人住民税、特別土地保有税は普通税としてすべて運用できます。特別区は、都 区制度改革の長年の運動の末、2000年の地方自冶法改正により都の内部団体から「基礎自冶体」と法的に位置づけられたものの、都が区に交付金を配分する という財政調整制度の根幹は変わらず、現在は、東京都がこれら3税を集め、都が45%、特別区が55%と配分されています。3税は「基礎自冶体」である特 別区固有の財源ですから、この立場で財調協議の交渉に臨むべきだと思いますが、都区協議ではいつも最期は都に押し切られて終わっているように感じるのは私 だけではないと思います。都が財布を握り区をコントロールするという主従関係を断ち切ることが今こそ求められています。区長はこの間の都区協議の交渉、財 調制度の到達点をどう評価し、今後どのように進めようとしているのかうかがいます。この際区民に実態を詳しく知らせ、区民と共に運動を広げていくことが重 要だと思いますが、併せてうかがいます。
    財調協議にあたって、特別区側は財政需要の積み上げを行い、基準財政需要額などを示して都と協議しま す。ところが、基準財政需要額は2009年度以降3年連続して臨時的圧縮が行われ、2011年度は「公共施設改築工事費等の年度事業量の臨時的圧縮」等と して484億2千5百万円の減額をしています。区側は常に財政需要を示し、都からは人員削減など内政問題にも口を挟まれる一方で、45%配分される都側は 一切財政需要を示す必要がなく、区民の税金で1メートル1億円かかる圏央道や、築地市場の豊洲移転を強行するなど旧態依然とした無駄遣いぶりです。オリン ピックの招致を口実に4096億円も基金を貯め込む財政力があるのなら、直接区民生活に係わる財調の財源をもっと区側に多くよこせと言っても良いのではな いでしょうか。区長の見解をお聞きします。

     

     

    答弁(区長)

    都区財政調整についてのお尋ねです。

    まず、都区財政調整協議の交渉と到達点の評価、また、今後の協議の進め方についてです。

    都区財政調整制度では、これまで一貫して特別区の自主性と自立性の一層の拡大を目指して協議に臨んできました。

    その中で、19年度の都区財政調整協議の結果として、12年の都区制度改革以降、7年ぶりに区側配分割合が52%から3%アップして55%に達したことは、特別区の財政自主権の拡充に繋がるものと評価しています。

    直近の24年度都区財政調整協議では、税収減など大変厳しい財源状況が見込まれる中、税制改正や事務配分の変更などの財源配分を見直す事由がないことから、財源対策が中心となりました。

    区 側としては、実態を踏まえた算定内容の改善など特別区が自主的に調整した内容で協議に臨み、結果、予防接種費や認証保育所運営費等事業費など、多くの区側 提案事項を反映できた点は評価できるものとなっています。しかし、区側が主張する都市計画交付金の見直しや特別交付金の割合の見直しなどは、合意すること ができませんでした。

    これら合意に至らなかった課題については、今年度も引き続き粘り強く協議を行い、区側の主体性が活かされる解決を目指してまいります。

     

    次に、都区財政調整協議について、区民に実態を詳しく知らせ、広く区民とともに運動を展開すべきとのお尋ねです。

    都 区財政調整制度は、地方自治法や地方税法の規定により、一般の市町村では自ら徴収する固定資産税、市町村民税法人分及び特別土地保有税を東京都が徴収し、 特別区間の調整を都が行い各区に交付する仕組みとなっています。このように特別な制度であるため、その内容については、「新宿区の財政」などで広報に努め ているところです。

    ま た、都区財政調整制度を含む特別区の税財政制度は、都区のあり方検討委員会で今後の検討課題の議論の推移を踏まえて整理することとなっています。ご提案の 区民運動については、今後、この委員会での整理の動向を踏まえつつ、適切な段階で他区との連携・協議等を含め、検討してまいります。

    次に、調整税の配分割合の見直しについては、子ども医療費助成事業費などの算定の充実や地域主権改革に伴う権限移譲事務の反映など特別区が主体的に算定の改善を図るとともに、都市計画交付金の見直しなども含めて、都に区側配分割合の見直しを求めてまいります。

     

     
     4.震災対策について

    4月18日、東京都は新たに元禄型関東地震および立川断層帯地震を被害想定の対象とした「首都東京直下型等地震に対する被害想定の見直し」を発表しました。新宿区内でも震度6強が想定される地域が圧倒的に増え、予防対策の強化が求められています。
    一方、都の見直しに用いた資料や根拠が明示されないことから、その正確性について疑問の声もあがっています。区では新たな想定の根拠となった資料などを東 京都からもらっていないと聞いていますが、早急に都から入手し、区独自のよりきめ細かい想定と対策を検討し、地域防災計画に活かしていくことが必要だと考 えますが、いかがでしょうか。
    2つ目に、耐震化の推進についてです。
    区が2010年度から11年度にかけて、建物倒壊危険度又は総合 危険度が5の地域を対象に行った「建築物等耐震化支援事業におけるモデル地区事業」の実施結果が5月の環境建設委員会に報告されました。実施結果を考察す るとともに、啓発と耐震化支援策の見直しをするとの方向が示され、これに基づき第2回定例会に補正予算が提案されています。補正予算の内容は、私たちもか ねてから耐震化が進まない原因だと指摘してきた無接道又は道路突出の旧耐震基準の建物に半額助成をするというものです。大きな前進であり、迅速に具体化し たことも含め大いに評価するものです。
    そのうえで、2点ほど改善を求めたいと思います。一つは、道路突出している家屋を建替えて突出のない適格 建物にする場合は、事業の目的が100%達成するのですから、全額助成して然るべきです。また、補強も建て替えもできず住めなくなった老朽家屋の取り壊し も防災上重要です。私どもは、今定例会に老朽空き家対策について条例提案しています。足立区・目黒区・練馬区では老朽家屋の解体に助成をしています。周辺 住民の安全を確保するために、新宿区も助成を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
    足立区は、空き家・老朽家屋対策を検討するため、昨年 度専任の組織を立ち上げ、17万5千棟の全数調査を2ヶ月半で行いました。新宿区も、空き家対策を視野に入れて、モデル地域だけに限定せず区内全域で耐震 化の調査を行い、無接道や道路突出が何件あるかなど悉皆調査をする必要があると思いますが、いかがでしょうか。
    3つ目に、公共施設の非構造物対策についてです。
    東日本大震災の際に九段会館の天井が落下し大惨事となりました。建物本体は倒壊しなくても、天井や空調・照明器具の落下、ガラスの飛散、什器・備品の転倒 等で、避難所に指定されている公共施設が使えないのでは意味がありません。震度6・7の想定で区有施設を再点検することが必要ではないでしょうか。もしこ れまで点検しているであれば、その結果もあわせてお聞かせ下さい。
    4つ目に、震災対策の普及・啓発についてです。
    区はモデル地区事業の結果から、啓発の見直しの方向性を示しています。耐震化がなかなか進まないのは、啓発が充分でなく動機付けが弱いという点では私たちも同じ認識を持っています。
    内閣府がHP上に2008年に作成した「防災シミュレーター」では、大地震が来た時の疑似体験ができるロールプレイゲームがあったり、わが部屋のチェック や揺れ方シミュレーションができたりと被害想定が実感できるようなWEBが用意されており、考えるきっかけになります。東京都の防災HP上の「家具転倒防 止対策の説明」のビデオでは、家具転倒の怖さと同時に対策の仕方について大変丁寧に解説しています。こうした優れた啓発ツールはもっと区民に紹介して視て もらい、区の制度とタイアップして周知できれば、耐震化が前進するのではと思います。
    区の危機管理課は78種類の防災ビデオやDVDを持ってい ますが、昨年度は、年間86件しか活用されておらず、HP上にもアップされていません。他の行政のHPにある啓発ビデオ等にもリンクできるようにし、利用 できるもの、効果があると思われるものは相互に有効活用できるようにすべきと思いますが、いかがでしょうか。
    最後に、東京都が区市町村の耐震化事業にもっと強力に支援することについてです。
    東海・東南海など大地震の危険性が高い静岡県は、県をあげて耐震化を支援しています。市町村の行う木造住宅への耐震化支援事業のほとんどに、国と共に県が補助を上乗せしています。これに比べて東京都の支援は遅れています。
    今年度の区の耐震化事業の予算約10億円のうち都支出金は約4億円ですが、その内9割以上にあたる3億7千万円が緊急輸送道路対策で、木造住宅の耐震化支 援は極めて僅かです。静岡県では木造住宅の耐震補強工事に県が最大30万円まで10分の10補助し、2010年度までの5年間で県内で8883件の助成実 績があります。一方東京都は、木密地域内のさらに整備地域だけに補助要件を絞っているため、同じ期間に301件しか実績がありません。東京都も首都直下型 地震の危険が高いのですから、静岡県並みに補助の水準をひき上げさせる必要があります。区単独でも23区共同でも、東京都に要望すべきと思いますが、区長 のご所見をうかがいます。

     

     

    答弁(区長)

    震災対策についてのお尋ねです。

    はじめに首都東京直下型等地震に対する被害想定の見直しを受けて、よりきめ細かな想定と対策を検討し、地域防災計画に活かすことについてです。

    新たな被害想定では、新宿区の被害が最も大きいのは東京湾北部を震源とする首都直下地震です。

    今回の想定では、ご指摘のとおり区内のほとんどの地域が震度6強となっています。この被害想定は、前提条件である風速や想定手法が変わっており、単純に比較することはできないため、東京都に対し、詳細なデータを早急に提供するよう要請しています。

    これに基づき、首都直下地震が発生した場合の建物倒壊や火災延焼など、地域の危険性を分析するとともに、本年9月に提示される東京都地域防災計画の修正素案とあわせ、ハード・ソフト両面から防災対策を検討してまいります。

    また、区は、これらの検討結果を受けて、平成25年度中に見直しを行う新宿区地域防災計画に反映させるとともに、区の総合的な災害対策の姿勢や体系を示す災害対策条例を来年の第一回定例区議会に上程する予定です。

     

    次に、耐震化の推進についてのお尋ねです。

    はじめに道路に突出した建物の建替えに対する全額助成についてです。

    ご 指摘の道路に突出した建物への耐震化助成については、昭和56年以前に建築された既存建物を対象としています。いつ起きるか分からない地震に対し、居住者 や周辺住民への危険性を軽減し、地域防災力を一日でも早く向上させるため、道路に突出している建物については、突出している部分を将来なくす旨の確認書の 提出を条件に、通常の1/2の額を補助するものです。

    新たな建物への建替えは、道路突出を解消する場合であっても、建替えに必要となる高額な費用を準備できる方が行うことから、ご提案の建替えに対する費用の補助は、考えておりません。

    次に、老朽家屋の解体助成についてのお尋ねです。

    区では解体を含め建物の適正な維持管理は、それぞれの建物の所有者が、自らの責務として取り組むことが基本であると考えていることから、解体への助成については、考えておりません。

    次に、区内全域での悉皆による耐震化調査についてのお尋ねです。

    平 成22年度と23年度に実施した耐震化支援事業におけるモデル地区事業では、総合危険度又は建物倒壊危険度が「5」の4地区を対象に事業を行いました。ま た、平成24年度から27年度にかけて実施するモデル地区事業は、区内全域ではありませんが、総合危険度又は建物倒壊危険度が「4」となっている15地区 を対象としています。この事業では耐震化の普及啓発と無接道敷地や道路突出の件数など地区の現況調査を行います。その中で空き家についても現況調査し、そ の調査結果を活用することで、耐震化支援事業を推進していきます。

     

    次に、公共施設の非構造物対策についてのお尋ねです。

    平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災後、区では緊急震災対策の補正予算を編成し、施設の耐震化の取り組みを進めるとともに、本庁舎や中央図書館 のガラス飛散防止や小中学校におけるテレビの落下防止、各施設のキャビネットの転倒防止など、建物の防災の観点から非構造物についての安全対策を実施して きました。また、対策実施後も各施設で庁舎管理者を中心に日常的な点検を実施してきたところです。

    平 成21年6月1日施行の消防法の改正により、本庁舎などの大規模施設は、従来の防火管理業務に加えて、震災時の安全確保の観点から防災管理業務が求められ るようになり、年1回の防災管理点検が義務付けられました。そこで、本庁舎については防災管理点検を実施していますが、他の施設においても施設管理の中 で、転倒防止などにも配慮しているところです。

    いずれにしても、大地震の際、避難所に指定されている公共施設は避難の拠点となることから、今後ともさらに各施設で転倒防止や安全対策を徹底してまいります。

     

    次に防災ビデオのホームページへのアップ及び他の行政のホームページにある啓発ビデオ等にもリンクして相互に有効活用できないかとのお尋ねです。

    今回、首都直下地震による東京都の新たな被害想定を受けて、耐震対策や家具転倒防止対策のよりいっそうの強化が必要となっています。

    このため、今後は、耐震対策や家具転倒防止対策などの防災ビデオ等の映像が区のホームページからも見られるよう整備を行ってまいります。

    また、内閣府のシミュレーションや都の啓発ビデオなども活用できるよう他の行政のホームページともリンクして効果的な防災対策の啓発に努めてまいります。

    東京都の区市町村への補助水準の引き上げに対する要望についてです。

    東 京都では、現在耐震化に係る経費について、助成を行った区市町村に対して、その一部を補助しています。東京都の補助対象区域や要件が限定されているため、 区域の拡大や要件の緩和など事業の拡充について検討するよう、東京都耐震改修促進行政連絡協議会等を通じて、今後とも東京都に働きかけていきます。

     

     

     

     

    5.介護保険について

    第1の質問は、4月に訪問介護生活援助サービスの報酬が改定された問題です。
    4月から、生活援助の時間が短縮されました。これに対して「ヘルパー派遣が短縮される」と全国で苦情が広がり、厚生労働省老健局老人保健課は3月16日付 「平成24年度介護報酬改定に関する関係Q&A」で、一律の上限を設けることは不適切との通知を出しましたが、一部で一律に時間短縮するケースが発生して います。川崎市・広島市・新潟市・大阪市などは、この内容を徹底する通知を出しています。
    質問の1つ目は、新宿区でも厚生労働省通知の内容を徹 底することについてです。利用者向け説明文書に謝った記載をしている事例が区内でもありますが、新宿区は、厚労省通知の内容を事業者・関係者に伝え、指導 をしているのでしょうか。未だであれば、早急にすべきだと考えますが、どうなっているかお答え下さい。
    生活援助の報酬改定は、当然の事ながら事 業者・ヘルパーの収入減に直結しています。私の知り合いの登録型で働くヘルパーさんは、4月から月1万円以上減収になったそうです。介護労働者の離職率は 依然として高く、入職率が追いついていません。報酬改定でさらに拍車がかかれば、労働力不足で制度の存続も危うくしかねません。
    質問の2つ目 は、安定的にサービス提供を続けるために、ヘルパーの収入減を回復する対策を講じることです。小規模事業所・登録型ヘルパーほど直接影響を受けるといわれ ます。介護サービス事業者ガイドブック「ハートページ」2012年版では、区内の67訪問介護事業所中、ヘルパー20人以下が6割、ヘルパーの多くが非常 勤だということがうかがえます。報酬改定の現場への影響を調査し、国に対して改善を求めるとともに、区としても支援策を講じる必要があると考えますが、区 長の認識をかうかがいます。
    質問の第2は、新たにスタートした「24時間定期巡回・随時対応型訪問介護看護」についてです。これは、一日複数回 の定期訪問と電話通報への随時対応で訪問介護と看護を提供する地域密着型サービスで、報酬は要介護度毎の月額定額制となっています。夜間対応もあることか ら、新宿区内では夜間対応型訪問介護サービスを提供してきた1事業者が、四谷・若松管内で事業を開始しました。
    この事業者は、昨年度7ヶ月間の モデル事業を実施し、その報告書が5月の福祉健康委員会に報告されました。利用者アンケートでは概ね好評だったようですが、収入に対する支出の割合が 1.33倍と大きく採算割れしており、これでどうして本格実施に手をあげたのか不思議なほどです。ニーズに応じてきめ細かく訪問し、困ったときいつでも来 てもらえるサービスは良いことだと思いますが、問題は、その理念を確実に実現できる報酬が確保されないことです。報告書の「今後に向けて」では、事業者の 工夫、利用者が多くいる狭いエリアに限定、提供サービスの限定という程度の方向性しか示していません。
    そこで区長にうかがいます。
    初 年度、区内3カ所60人の利用を見込んでいますが、事業の進捗や見込み達成の見通しはどうですか。「今後に向けて」では事業者の工夫といっていますが、事 業者を指定した責任上、区にも工夫と対策が求められると考えますが、何らかの検討はしているのでしょうか。特に心配なのは、「提供サービス量の限定」と いっていることです。採算のためにサービスが必要量提供されず、利用者の在宅生活が困難に陥るようでは新制度導入の意味がありません。ケアプランなどは区 がしっかり把握し、必要な指導をすべきと思いますが、やっているのでしょうか。始まったばかりの事業ですので、利用者・家族の声、利用できなかった方の 声、ケアマネージャーの意見等も聴取し、事業者とともに課題を明らかにして、国に改善を求めていくことが重要であると考えます、いかがでしょうか。
    また、定額報酬の中でサービスを必要なだけ提供するのが難しいことはモデル実施からも明らかであり、限度額をオーバーする方に区独自の支援が必要だと思い ます。新宿区が障害福祉サービスとの併用で優れていることは歓迎されていますが、障害者手帳のない要介護者は救われていません。新宿区でも、渋谷・港・千 代田のような上乗せの独自サービスの実施を求め、区長の答弁を求めます。
    質問の第3は、お泊まりディサービスについてです。
    お泊まり デイは、プライバシーや防災対策がお粗末で、事業の法的根拠も問題になり、国も検討の対象にあげながら対策を放棄した状態です。しかし、東京都は昨年4 月、「東京都における指定通所介護事業所等で提供する宿泊サービスの事業の人員、設備および運営に関する基準」をつくり、お泊まりデイの届出指導と公表を 始めました。新宿区内では3事業所が公表されていますが、未届け事業所がインターネットで広告を出し、利用者を募っている実態もあります。区内にお泊まり デイがいくつあり、未届の事業所が都基準のどの要件をクリアできないのか、区は把握しているのでしょうか。都基準は緩やかな要件しか課しておらず、それも できない施設では「たまゆら」の二の舞になりかねません。区がきちんと掌握し、必要な指導と援助をすべきと思いますが、いかがですか。
    新しい 「ハートページ」で、「施設が空くまで利用したい」「半年くらい預かってほしい」などと書かれたお泊まりデイの広告が目を引きます。このような広告が掲載 されることについて区長はどう思われますか。特別養護老人ホームやショートスティなどが不足し、同様のサービスを介護保険で提供する地域密着型サービスも 増えない下で、宿泊を伴うサービスが切実に求められているという実態を重く受け止め、介護保険の枠内の施設や宿泊サービスを増やすことを強く求め、区長の 見解をうかがいます。

     

     

    答弁(区長)

    介護保険についてのお尋ねです。

    訪 問介護の介護報酬改定に関しては、保険者である区として、平成24年3月に区内事業者向け説明会を開催しました。その中で、生活援助サービスの時間区分の 見直しについては、すべてのサービスを短縮しなければならないわけではなく、適切なケアマネジメントに基づき、現行のサービスの実施や生活リズムに合わせ た複数回の訪問が可能であること等を説明しました。そのほか、ケアマネジャーや訪問介護事業者団体が主催する連絡会でも同様の説明をし、周知徹底を図って います。

    報 酬改定の従事者への影響については、区としても介護サービス事業者協議会等を通じて現場の声の把握に努めるとともに、経営実態については、国の社会保障審 議会介護給付費分科会内の介護事業者調査委員会で予定されている調査結果を踏まえ、必要があれば改善を求めていきます。

     

    次に、24時間定期巡回・随時対応型訪問介護看護についてのお尋ねです。

    このサービスは、平成24年4月から介護保険サービスとして制度化され、区では24時間体制で在宅生活を支える重要なサービスと位置付けているところです。

    第5期介護保険事業計画では、区内に3か所、135人を見込んでおり、初年度では、60人を見込み、区内すべての地域で利用できるよう事業所の整備について努力していきます。

    区 の工夫ですが、事業者指定にあたっては、効率的に事業運営ができるようにサービス提供エリアを限定せず、事業者の柔軟な事業展開を認めました。また利用の 促進を図るため、制度の仕組みやサービス内容の周知のほか、事業実績や個別事例を蓄積し、利用者・家族にとっての利点や効果について、高齢者総合相談セン ターやケアマネジャーなどを通じて個別具体的な周知を行っていきます。

    サービス提供の把握については、このサービスは月額の包括報酬方式のため、提供内容や量について自由度が高く、必要なサービスが提供されない場合も考えられます。区では、今年度内に実地調査を行いケアプランの内容や提供実態を把握し、適切な運営を図ってまいります。

    制度の改善については、利用者・家族、ケアマネジャーや事業者から様々な機会を通じ、意見等を聴取して課題等の把握を行い、必要な改善を国に求めるなど、地域包括ケアを支える必要不可欠なサービスとして定着することを目指していきます。

    上乗せの独自サービスですが、区は、これまでも、回復支援家事援助サービスや認知症高齢者の介護者リフレッシュ支援事業などの様々な介護保険外サービスを 実施してきました。したがって、さらに、生活援助などの上乗せサービスを実施することは考えていませんが、今後も、区民ニーズの把握や事業内容を精査しな がらサービス提供に努めてまいります。

     

    次に、お泊りデイサービスについてのお尋ねです。

    区内で宿泊サービスを実施する指定通所介護事業所の数は、現時点で7事業所を把握しています。

    届出及び都基準に適合しているかの確認について法的強制力がないため、各事業所における都基準の適合実態は、把握することが難しい状況です。しかし、各事業所へは東京都への届出及び都基準を遵守するよう粘り強く働きかけを行っています。

    区では、事故発生時の報告取扱要領を改正し、宿泊サービス提供中の事故についても報告対象としました。また、7月には通所介護事業所を対象とした集団指導を実施し、都基準の説明と併せ、新宿消防署による防災対策の指導を予定しています。

    次に、介護サービス事業者ガイドブック「ハートページ」についてです。

    こ の情報誌は、民間の事業者が広告収入によって作成し、区は介護保険制度や区独自サービスについて情報提供し、編集協力を行っているものです。お泊りデイの 広告については、民間事業者間の契約に基づいた、自社サービスを宣伝する営業活動と認識していますが、今後は広告の掲載内容について事前に確認できるよう 要請していきます。

    宿泊を伴うサービスの整備については、第5期介護保険事業計画に基づき、宿泊機能を持った小規模多機能型居宅介護や単独型ショートステイの整備、在宅生活が困難な方のために公有地を活用した特別養護老人ホームの計画的な整備などを推進していきます。

     

     

     

     

    6.子ども・子育て新システムと待機児童解消、区立幼稚園廃止について
    初めに、子ども・子育て新システムについてうかがいます。
    3月30日、新システム関連3法案が国会に提出され、5月から審議が行われています。新システムには多くの問題点があります。第1は、自治体の公的責任を なくすことです。自治体は保育の必要度について認定を出すだけ、保護者は認定証を持って保育園を探し、探せず入所契約ができないと、仕事を続けることがで きません。入所調整もなく、必要な人が利用できなくても自治体は関知しませんし、待機児童の把握も難しくなります。第2は、多様な保育施設・事業者が乱立 する複雑な制度となり、幼保一体化ではなく幼保多元化であると指摘されています。第3は、幼稚園が総合子ども園になっても0~2歳の受け入れ義務はなく待 機児童解消にはなりません。
    区はこれまでも、新システムの市場原理的部分は慎重に対応しないと、待機児童がこれだけ出ている中で難しい。地域需要に応じた保育サービスの提供では区としての役割を果たしていかなければと言ってきました。
    今でも認証保育所は直接契約であり、保護者が何園も回ってエントリーしてもなかなか入れないのが現状ですが、新システムになれば、区のポイント制と違って 基準がないため、入園希望が競合した時に本当に困っている人が入れるとは限りません。保護者が選べるどころか選ばれる立場になるような事態が保育全般で起 こるということではないでしょうか。国会審議が行われている現時点で新システムをどう評価されているのか再度区長にうかがいます。また、その後国に対して 要望を出したのか、出したのであればその内容と回答もお聞かせ下さい。ただ見守るだけなく、国会を通過する前に政府に法案撤回を迫るべきと考えますが、い かがですか。
    第2に待機児童解消についてです。
    4月1日の待機児童数は新定義で98名、旧定義265名となり、一昨年が83名と164 名、昨年は92名と223名ですから、2年続けて前年度を上回りました。待機児童ゼロをめざしているにもかかわらず、なぜ2年連続で待機児童が増えたの か、区長のご所見をお聞かせ下さい。
    北区は、一昨年待機児童数が119名になったことを受け、緊急対策として400名の定員拡大を行い、待機児 童は昨年4月は38名、今年は33名となりました。400名のうち365名は認可保育園の拡大で解消したそうです。今後の保育需要を見込んで、来年度は区 立1園、再来年度も区立1園と私立1園を新設する予定とのことです。具体的には、都営住宅の建て替えの際に、元々あった保育園の定員を拡大したり、昨年新 設された私立保育園はJRの土地を借りられるよう区がコーディネートする等の工夫をしています。足立区でも、認可外に依存していた待機児童解消策を転換 し、今年に入って認可園を3園新設することを表明しています。
    新宿区は既存園の定員弾力化や区立園を建て替える際に民営化・大規模化を行い、認 証保育所の誘致等で定員拡大を行ってきましたが、高まる保育需要に追いついていません。この間特徴的なのは、3歳児の待機児童が、一昨年旧定義で7人、昨 年16人、今年は26人と増加していることです。認可保育園の増設を怠ってきたため、募集の枠が少ないことが原因ではありませんか。区は、第二次実行計画 の4年間で1000人規模の受け入れ枠を拡大する計画ですが、そのうち半分は認証保育所です。補助があるとはいえ認可園より高い保育料、園庭もなく施設基 準の低い認証保育所を増やすだけでは公的責任を果たしているとはいえません。認証保育所利用者の多くは認可園への転園を希望しています。
    新宿区 も、認可保育園の増設で待機児童解消をはかる方向に方針転換すべきです。それが1000人の待機児童解消という区長の公約を実現し、保護者の願いに応える 最短・最良の道ではないでしょうか。例示した他区の取り組みの感想も含め、区長のご所見をうかがいます。また、新宿区は、なぜ認可園ではなく認証保育所の 増設で待機児童解消を図ろうとするのか、その理由も明確にお答え下さい。
    待機児童がゼロになったとか大きく減っているのならまだしも、待機児童が増えているのに100人定員の戸山第三保育園を廃園にするのは矛盾しています。待機児童解消を一刻も早く実現するために戸山第三保育園を存続させることを改めて求めますが、いかがですか。
    第3に、区立幼稚園の5園廃止についてです。
    区立幼稚園の5園廃止計画は地域バランスと地域の需要と供給、という曖昧な選定方針しか示されていません。第二次実行計画のパブリックコメント等では区立 幼稚園PTA連合会を始め多くの保護者関係者から反対の声が上がっており、教育委員会の考えがよくわからない、説明責任を果たしていない、という声もあり ます。5園廃止方針は内部の区立幼稚園のあり方検討会で議論しただけで議事録さえないのですから、納得できないのは当然です。5園廃止はいったん白紙に戻 し、今後の新宿区の幼稚園、幼児教育のあり方を、保護者・区民・関係者と共にしっかり議論すべきと考えますがいかがでしょうか。
    現在、区内の私 立幼稚園に区内の子どもが828人、区立は761人通っています。3歳児保育、預かり保育等が充実している私立園にこれだけ通っているのは、幼稚園の需要 があるという証明です。就学前人口が増加する見込みもあり、区立幼稚園で3歳児保育、預かり保育を充実させれば5園を残しても定員充足率は上がります。新 宿区は小学校に併設する区立幼稚園を設置し、全国的にも先駆的な自治体による幼児教育を進めてきました。家から歩いて通える身近な幼稚園、低廉な保育料 等、区立幼稚園だからこそ区民ニーズは高いと考えます。区は第二次実行計画で「保護者が選択できる多様な保育環境の整備」を掲げていますが、区立幼稚園を 全園子ども園化の対象とせず、また5園は存続充実をさせることが多様な保育環境に資すると考えますが、区長のご所見をお聞かせ下さい。

     

     

    答弁(区長)

    「子ども・子育て新システム」と待機児童解消、区立幼稚園廃止についてのお尋ねです。

    初めに、子ども・子育て新システムについてです。

    現在、国会では、「子ども・子育て支援法案」、「総合子ども園法案」等の、子ども・子育て新システム関連3法案を審議中です。

    新システムは、「すべての子どもの良質な成育環境を保障し、子ども・子育て家庭を社会全体で支援すること」を主な目的としており、区の理念と同じ方向を持つものと認識しています。

    一方、保育の直接契約や株式会社の参入等について、様々な議論がなされていますが、具体的な政省令の提示がなく詳細が不明なため、評価できる段階にはないと考えています。

    国へは、これまでも、実施時期の明確化や具体的な中身の提示などを要望してまいりました。

    先 日も、四谷子ども園に文部科学大臣が視察に訪れた際、子ども家庭部長から、待機児童解消に取り組んでいる状況下では、区が主体的に利用調整していく必要が あることを強く申し入れました。また、区長が幼稚園を直接管理できるような法改正や、保育士と幼稚園教諭の職種の統合などについても、申し入れたところで す。

    今後とも、国の動向を注視しつつ、機会をとらえて必要な意見表明をしてまいります。

     

    次に、待機児童解消についてのお尋ねです。

    はじめに、なぜ2年連続で待機児童が増えたのかについてです。

    区では、待機児童解消対策を区政の最重要課題のひとつとして、計画事業と緊急対策の両面から取り組んでまいりました。平成15年度から平成23年度までに、1,391人の受入枠の拡大を行った結果、就学前児童人口に対する保育サービス利用児童数は、23区の中でもトップクラスになっています。

    しかし、全国的に男女ともに働き続ける世帯の割合が大きく上昇していることに加え、区では、待機児童のほとんどを占める0歳児から2歳児の数が着実に増えています。このような影響により、区が積極的に実施している待機児童解消対策が、このところの保育需要に追い付かず、2年連続で待機児童が増えていると考えています。

    また、3歳の待機児童が増えているということについては、特定の子ども園のみ希望するケースが多く見受けられるところであり、今後、計画的に待機児童解消対策を進めていくなかで対応していけるものと考えています。

     

    次に、待機児童解消を目指す手法についてのお尋ねです。

    区は、これまでも待機児童の解消を目指して、第一次実行計画期間中に、認可保育園、子ども園を中心とした受入れ枠の拡大を行ってきました。第二次実行計画期間中においても、認可保育園の建替えや子ども園の整備で受入れ枠の拡大を図っていきます。

    こ の様に、区は一貫して認可保育園、子ども園の整備を進めているところですが、認可保育園の建替えや子ども園の整備は、計画から開設までに複数年を要しま す。そのため、区は施設基準や職員配置が認可保育園とほぼ同等で、かつ、開所時間が長く、保護者の多様なライフスタイルに対応可能な認証保育所も併せて整 備することで、喫緊の保育ニーズへの早期対応を進めてきました。

    次に、戸山第三保育園につきましては、これまでも繰り返し答弁してきましたとおり、(仮称)国立国際医療研究センター内保育園を整備することにより、定員を拡充するほか、専用室型一時保育や病児・病後児保育の新規実施など保育サービスの拡充も図ることの意義は大きいと考えています。

    区は今後もこうした取り組みを着実に進め待機児童解消と保護者が選択できる多様な保育環境の整備に力を注いでまいります。

     

     

    答弁(教育長)

    教育委員会へのご質問にお答えします。

    「区立幼稚園のあり方の見直し」についてのお尋ねです。

    昨年実施した第二次実行計画のパブリックコメントにおいて「区立幼稚園のあり方の見直し」について様々なご意見をいただきました。反対のご意見もありまし たが、「区立幼稚園の定員割れの状況を見れば、見直しは当然」といった賛成のご意見や、「園を減らすのであれば、3年保育の園を増やしてほしい」といった ご意見もありました。

    また、新宿区立幼稚園PTA連合会に対しては、昨年の11月には主に幼稚園のあり方の見直しについて、昨年の12月には主に子ども園化について説明し、質疑応答を行いました。さらに、今年の2月には、両方のテーマについて、総括的に懇談会を実施しました。

    教育委員会では、現在、幼稚園の適正な園数や配置の検討を進めています。

    あり方の見直しの検討結果がまとまり次第、見直しの内容や適正な配置の考え方を公表するとともに、保護者をはじめ関係者の皆様に丁寧に説明してまいります。

     

    次に、区立幼稚園の全園子ども園化に関するお尋ねです。

    私は、保護者の就労の状況にかかわらず、就学前の子どもの成長と発達段階に応じた一体的な保育・教育が重要であるとの考えから、区長に就任以来、機会あるごとに区立保育園・幼稚園の子ども園への一元化の考え方を示してきました。

    平成23年2月の「新宿区子ども園化推進の基本方針」、平成24年1月の第二次実行計画でも、区立保育園・幼稚園の子ども園への一元化の考え方を重ねて示しています。今後とも、地域バランスや保育需要を踏まえて、教育委員会と連携しながら、区立幼稚園の子ども園化を進めていきます。

    また、現在、教育委員会は、区立幼稚園の適正規模化に向けた検討を行っているところですが、まさに保育・教育環境の整備・充実に関わるものであることから、その推移を見守っているところです。

     

     

     

    7.学校選択制について

    昨 年3月11日の震災と原発事故を経験し、私たちの考え方やライフスタイルは大きく変わり、命の尊さ、コミュニティの絆が再確認されています。地域では子ど もの安全をどう守るかが大人の責任として問われており、災害時の登下校時の安全対策が課題となっています。保護者や地域の方からは「選択制であちこちから 生徒がくるのでは見守れない」「電車通学の中学生もいて、帰宅困難者になるのでは」という声も聞かれます。震災直後の混乱と瓦礫の中を子どもの足で安全に 帰宅できる通学距離、避難所での子どもたちの生活、親同士のつながりや地域での顔の見える関係などを考えると、学校選択制はもう一度再検討すべきだと考え ます。教育委員会は選択制と災害の問題についてどのような認識をお持ちなのかうかがいます。
    杉並区が選択制を見直す決定をし、学校関係者・保護 者の間でも「新宿はどうするのか」大きな感心事となっています。私ども区議団は杉並区に行き調査してきましたが、担当者は、選択制により地域の行事への参 加が減るなど、保護者も子どもも地域との関係が希薄になる傾向があると語っておられました。それは新宿区でも同じではないかと思いますが、いかがでしょう か。人と人、地域の絆の大切さを再認識した今、学校選択制はその意味でも廃止すべきだと考えます。教育委員会の見解をお聞かせ下さい。
    学校をめ ぐる環境の変化という点では、35人以下学級の導入もあります。杉並区の選択制見直しもこれが大きな要因だったそうです。ご承知のように杉並区は、区独自 に120人の区費講師を配置し、他に先駆けて34人以下学級を実施し、6年生まで少人数学級が実現しています。すでに小学校3校が通学区域内の児童でいっ ぱいで、今後さらに選択できない学校が増えて、選択制度そのものが成り立たなくなっていると言っていました。教育委員会も杉並区の決断には注目されている と思いますが、この決定をどのように受け止めたかお聞かせ下さい。
    新宿区でも現実的な対応が迫られた結果、選択できない小学校や抽選時の兄弟姉 妹優先取り扱い廃止の決断がされました。新宿では児童数の増加もあり、杉並区よりもっと急激に選択できない学校が増えることが考えられます。選択できるこ とが前提の制度なのに、その前提がなくなる制度にいつまでも固執するのは理がありません。統廃合問題もそうでしたが、教育委員会が先を見据えて早めに廃止 の決断をすることが、後々の無用の混乱を避けるうえでも重要だと思います。新宿区における選択の余地について、教育委員会はどのような見通しを持っている のかお聞かせ下さい。
    杉並区では、制度開始から10年が経過したことを機に「杉並区学校希望制度検討会」を立ち上げ、見直しを決めました。検討 の中では、校長、PTA、学校支援本部、学校運営協議会など関係者のアンケートで、「廃止」と「見直し」が73%あったことを重視されたそうです。区の基 本方針のパブリックコメントでも「校長、副校長および教員の約7割が選択制を支持していない。慎重に受け止めてほしい」旨の意見が寄せられています。風評 によって児童・生徒の数が変わる中で、小規模校も大規模校もそれぞれの困難や課題に直面しています。自らの学校や地域の課題と正面から向き合う子どもを育 てたいと願い、学校関係者が寄せた意見を、教育委員会はもっと重視すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

     

     

    答弁(教育長)

    学校選択制度についてのお尋ねです。

    はじめに、学校選択制度と災害の問題についてお答えします。

    学校選択制度は通学区域外の学校を入学前に選ぶことができる制度ですが、小・中学校ともに原則は通学区域の学校へ入学することとなっています。また、小学校においては選択可能校を隣接する学校としており、災害時の登下校にも配慮したものとなっています。

    次に、学校選択制度と地域との関係についてのお尋ねです。

    学校選択制度を利用した方の地域活動への参加割合が若干低いことは、平成22年 度に学校関係者及び町会・自治会、育成委員会等も対象として実施した「学校選択制度に関する意識調査」の結果により承知しています。一方、同調査結果によ ると、地域の繋がりが薄れているか否かについては「そう思う」と「思わない」が相半ばしており、そう思う理由も、「居住形態の変化」「地域活動へ関心を示 さない」「学校選択制度」などに分散しています。そのため、学校選択制度により地域との関係が希薄になるとまではいえないと考えています。

    次に、学校選択制度は廃止すべきとのお尋ねです。

    意識調査の結果や、一斉学校公開の際の見学者数の推移等から、この制度は定着していると考えています。

    しかしながら、35人 以下学級の導入などの教育環境の変化に対応するため、昨年度、学識経験者、地域団体の代表者、保護者、学校長等の幅広いメンバーを委員とした教育環境検討 協議会を設置し、答申を受けました。この答申を踏まえ、教育委員会では、通学区域制度を基本とし、学校選択制度を維持する基本方針を策定しました。

    今後はこの制度を適切に運用してまいります。

     

    次に、杉並区における学校選択制度の見直しをどのように受け止めたかについてのお尋ねです。

    35人以下学級の導入、未就学児数の増加傾向など教育環境の変化は23区共通の課題であると考えます。

    このような課題を踏まえ、杉並区では、PTA役員や学校長を対象としたアンケート等をもとに、学校選択制度の一部を指定校変更制度に織り込んだ内容の見直しを行ったものと聞いています。

    一 方、新宿区では、学識経験者、地域団体の代表者、保護者、学校長等を委員とする協議会の答申に基づき、「特色ある教育活動」や「開かれた教育活動」など、 学校選択制度導入により推進された成果を今後も継続するため、学校選択制度を維持するとしたうえで、「選択できない学校の指定」及び「兄弟姉妹優先の廃 止」などを導入したものです。

    次に、学校選択の余地の見通しについてのお尋ねです。

    「選択できない学校」については、0歳からの学齢別人口の推移等に基づき見通しを立てているところです。今後は毎年、新入学児童の予定数や未就学児の傾向、また学校施設の利用状況等により適切に判断してまいります。

     

    次に、学校関係者が寄せた意見を教育委員会はもっと重視すべきとのお尋ねです。

    今 年度4月に公表した基本方針は、これまで実施した学校選択制度に関する調査等も参考に、学校関係者はもとより、学識経験者、地域団体代表、保護者など幅広 いメンバーを委員とした教育環境検討協議会の答申を受け策定したもので、関係者の意見を十分踏まえたものであると認識しています。

    教育委員会では、この基本方針に基づき、制度を運用し、未来を担う新宿の子どもたちによりよい教育環境を確保してまいります。

     

     


    区議会活動 | あべ早苗

    2012.06.11 更新

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