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    2012年第4回定例会 一般質問

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    障害者福祉の充実について

    (質問)日本共産党区議団のあべ早苗です。障害者福祉の充実について一般質問します。

    2014年の障害者権利条約批准をめざして関連法の国内整備が求められ、2011年7月に不十分ながら障害者基本法が改正され、障害者差別禁止法が来年の 通常国会に提出される予定となっています。この間全国で障害者自立支援法違憲裁判が提訴され、国は原告団と自立支援に代わる新法をつくる「基本合意」を交 わしました。また、自立支援法の改正をマニュフェストに掲げた民主党政権下で、障害当事者も多数参加した「障害者制度改革推進会議」が設置され、総合福祉 部会の総意で「骨格提言」がまとまりました。しかし、「基本合意」も「骨格提言」も反映せず、自立支援法の名前を変えただけの総合支援法が国会で成立し、 多くの障害者の怒りを買いました。

    質問の第1は、「基本合意」も「骨格提言」も無視した障害者総合支援法を区長がどのように評価するかです。重い障害を押して裁判を提起した方々の思いが結 実したはずの「基本合意」も、障害当事者を含む55人の委員の知恵を結集した「骨格提言」も反故にしたことに、私は心底怒りを覚えました。総合支援法に対 する区長の評価をお聞かせ下さい。

    第2の質問は、障害者差別禁止条例についてです。

    来年の通常国会に障害者差別禁止法の提出が予定されており、障がい者制度改革推進会議で議論され、差別禁止部会が意見をまとめました。総合支援法の二の舞 にさせてはならないと思います。同時に、地域から差別をなくしノーマライゼーションを実現するために、自治体レベルでも条例制定が進んでいます。さいたま 市は、「障害者の権利擁護等に関する条例」を昨年4月に一部実施し、今年4月に全部実施しています。市長のマニフェストが起点となり、学識の意見等をいれ て障害当事者・家族・施設職員等も参加する100人委員会で1年にわたり議論し、市民の意見聴取もしたうえで制定されました。基本構想なみの丁寧な制定過 程は、障害者と健常者の理解、障害者どうしの横の連携も作りだしたとのことです。条例ができたことで権利擁護センターが設置され、通学や通所の移動支援も 充実したと、担当者は語っています。

    新宿区には、障害者の差別をなくし、権利を擁護する基本的な条例がありません。障害者計画や個別の施策の充実をはかることは当然ですが、バックボーンとな る基本条例を制定し、ノーマライゼーション・ソーシャル・インクルージョンをよりいっそう促進すべきと考えます。区長のお考えをお示しください。

    質問の第3は、あゆみの家の土曜ケアサポートを円滑に実施するために職員体制を充実させることについてです。

    本年4月からあゆみの家が指定管理者制度に移行し、9月から新たな事業として「土曜ケアサポート事業」が開始されました。登録者は47名で、1日30人ま でを受け入れています。登録者の内訳は、あゆみの家通所者23名、その他施設から24名で、実際の利用はその他施設通所者が6割とのことです。食事もきざ み・流動食など多様で、プログラムも人により異なり、バスの送迎も顔ぶれによってコースが異なるなどきめ細かな対応をしているが、それにより職員の負担が 重くなり、平日の勤務に影響がでることをあゆみの家の保護者は心配しています。また、医療的ケアが必要な登録者が6名いて看護士も配置するのでシフトを組 むのも大変そうです。こうした現状はすでに区も把握しておられると思いますが、現状のままでいいとお考えなのでしょうか。受託事業者の事業計画に基づいて 指定管理料を設定しているのだから、やってみたら大変だからといって変更はしない考えなのでしょうか。お答え下さい。

    土曜ケアサポートの開始については指定管理移行前から保護者から懸念が表明されていましたが、不安が現実のものとなったわけです。半年経過して慣れたとは いえ職員のかなりの部分は指定管理を受けるに当たって新規採用した方々です。加重労働が原因で重大事故が起こったら区の責任が問われます。また、激務から 職員が辞めて定着しなければ利用者が不利益を被ることになります。看護士を含め職員を増員する方向で事業者と話し合い、指定管理料を増額すべきと考えます が、区長の見解をお示しください。

    質問の第4は、高次能機能障害者への支援についてです。

    区は、東京都の区市町村高次脳機能障害者支援事業を活用し、NPO法人VIVIDから提案のあった相談・ミニディサービス・セミナーを内容とする高次脳機 能障害者支援事業を協働事業として2009年・10年の2年間実施した後、昨年からは経常事業とし、同法人に委託しています。また、障害者センターでは支 援グループ「竹とんぼ」も活動していますし、昨年度実施した障害者生活実態調査では初めて高次脳機能障害者を対象に加え、今年度からの障害者計画や第3期 障害福祉計画には相談支援の充実が盛り込まれる等、一定の前進がはかられたことは評価します。そのことを前提に、以下質問します。

    第1に、高次脳機脳障害者支援事業の予算が、協働事業の2年目と昨年度は約500万円だったのに、今年度は437万円に減少している問題です。委託事業の 内容が変わらないのに委託費が1割以上減ったのはどのような理由からでしょうか。十分な支援ができるように最低でも減額はすべきでないと考えますが、いか がですか。

    第2に、ディサービスの回数をもっと増やすための場所の確保についてです。月2回のミニディサービスで状態が改善し職場復帰を果たした方もいるとうかがい ました。高次脳機能障害は訓練等によって失われた機能の改善が期待できる障害であり、回数をもっと増やし、毎週定期的に通えるようにすべきです。月2回特 別養護老人ホーム「けやき園」を借りての実施では、備品等を毎回タクシーで運び込むなどの負担もあるとうかがいました。東京都のハンドブックでは、葛飾区 が週4回のディサービスを区の施設で行っていると紹介されています。新宿区も区の施設を活用して高次脳機能障害者のためのディサービスが出来るようにし、 実施回数を増やすようにすべきと思いますが、いかがですか。

    第3に、地域活動支援センターについてです。第3期障害福祉計画では、精神障害者対象の地域活動支援センターが5カ所あり、身体・知的障害者については ニーズ把握のうえ場の確保、サービス整備を検討するとしています。高次脳機能傷害者のための場の確保とサービス提供も早急に検討して実施すべきと思います が、この点はどのように認識しておられるか、おうかがいします。

     

    (答弁)阿部議員のご質問にお答えします。障害者福祉の充実についてのお尋ねです。

    は じめに、障害者総合支援法に対する評価についてです。障害者総合支援法では、障害者自立支援法に引き続き、低所得者の利用者負担を無料とし、さらに、障害 福祉サービス、補装具及び介護保険法に基づく居宅サービス等に係る利用者負担を合算し、合計額が一定の額を超える場合に利用者負担の軽減が図られます。ま た、「制度の谷間」を埋めるべく、障害者の範囲に難病等が加わり、さらに、重度訪問介護の対象を肢体不自由者の他、知的障害者や精神障害者に広げる等の新 たな施策が順次施行されます。このことから、障害者の施策として、一定の進展があったものと認識しています。

    次 に、障害者の差別をなくし、権利を擁護する基本条例の制定についてのお尋ねです。 区では、障害の有無にかかわらず、それぞれの自己選択・自己決定が尊重 される地域社会を目指し、新宿区障害者計画・第3期新宿区障害福祉計画を策定しています。区では、現在のところ条例を制定する考えはありませんが、障害に 基づく差別はあってはならないという理念をしっかりと踏まえ、この計画を着実に推進していくとともに、国の障害者差別禁止法の検討状況についても注視して まいります。また、障害者虐待防止法に基づく障害者虐待防止対策等を含む、権利擁護の取組みについても推進していくとともに、今後も、あらゆる機会を通じ て障害者への配慮を行い、社会的・物理的障壁のない安全で安心な地域社会と、偏見等こころのバリアのない豊かな地域社会を構築していくために努力をしてま いります。

    次に、土曜ケアサポートを円滑に実施するために職員体制を充実させるべきではないかとのお尋ねです。当事業は9月22日より、指定管理者による新規事業として開始しました。現在、登録者47名であゆみの家23名、生活実習所18名、その他6名となっています。事業開始にあたっては、指定管理者と綿密な打ち合わせをし、安全を第一とする方針で運営しています。そのため、医療的ケアが必要な方の受入れは1回につき1名とし、看護師等の職員の負担軽減も図っています。一方、職員体制については、平成23年度と比較して、看護師1名を含む7名の常勤職員を増員しています。従いまして、現時点において、職員の更なる増員の予定はありませんが、今後も適正な労働環境が確保されるよう、指定管理者と充分な協議をしながら、事業実施に努めていきます。

    次に、高次脳機能障害者への支援についてのお尋ねです。まず、高次脳機能障害者支援事業の予算についてです。この事業は、平成21年度にNPO法人「VIVID(ヴィヴィ)」からの提案を受け、協働事業としてスタートしました。2年間の協働事業が終了した後も高次脳機能障害者への支援を引き続き継続するため、平成23年度からは区の委託事業に変更しました。その際に、過去2年間の実績を踏まえ相談事業の回数等を精査したことにより、委託料を減額しました。

    次に、デイサービスの回数を増やすための場所の確保についてです。現在、NPO法人「VIVID(ヴィヴィ)」のデイサービスは、月2回、第2・第4土曜日に行っています。

    一 方で、区立障害者福祉センターにおいても創作活動などを行う「高次脳機能障害者支援事業・竹とんぼ」を毎週金曜日に実施しておりますが、家族支援の取組み を充実させるとともに、保健センターや新宿区社会福祉協議会との連携の強化も図っています。このため、デイサービスの回数を増やす予定はありませんが、今 後も「VIVID(ヴィヴィ)」との連携を図り、高次脳機能障害者の支援に取り組んでまいります。

    次 に、高次脳機能障害者を対象とした地域活動支援センターの整備についてです。地域活動支援センターは区市町村が実施する地域生活支援事業の一つですが、事 業を実施する事業者については「障害者自立支援法に基づく地域活動支援センターの設備及び運営に関する基準」を満たすことが必要になります。今後、高次脳 機能障害者を支援していく拠点として地域活動支援センターの整備をしていく必要があり、この基準を踏まえ事業者に働きかけてまいります。

     

     


    区議会活動 | あべ早苗

    2012.12.03 更新

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