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日本共産党 新宿区議団 > 2015年第1回定例会代表質問
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    2015年第1回定例会代表質問

    2月26日の本会議で、田中のりひで議員が以下の項目について代表質問を行いました。

    ・区長の基本方針について

    ・区民の暮らしと中小業者の営業に対する支援策について

    ・保育園と学童クラブについて

    ・B型肝炎ワクチンの助成事業の創設について

    ・介護保険について

    ・生活保護受給者への支援について

    ・地域コミュニティバスについて

     

     ◆37番(田中のりひで) 日本共産党新宿区議団の田中のりひでです。

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     2015年新宿区議会第1回定例会に当たり、区長と教育委員会に対し代表質問を行います。
     まず最初に、区長の基本方針について伺います。
     先日、過激武装組織ISによって後藤さん、湯川さんの命が奪われました。お2人の御家族に心から哀悼の意を表明するとともに、ISの残虐非道なテロ行為を断固として糾弾するものです。
     今重要なことは、国際社会が結束してISに対処し、2014年8月の国連安保理決議2170が求めているように、外国人戦闘員の参加を阻止し、資金源を絶つなど、孤立させ、追い詰め、武装解除と解体に追い込むことではないでしょうか。
     参議院の予算委員会で小池晃参議院議員が、安倍首相の中東歴訪での一連の言動を指摘し、「そういう言動をとれば、2人の日本人に危険が及ぶかもしれないという認識があったのか否か」とただしたのに対し、首相は質問には答えず、「そういう質問をすること自体がテロに屈することになる」と答弁しました。「テロに屈する」の一言で異論を封じ冷静な検証を拒否する態度を改め、この間の政府の対応について、また、日本政府がなぜ救出できなかったのか、国民の前に明らかにすることが求められているのではないでしょうか。事件を二度と起こさないためにも、政府が情報を開示し、積極的に検証すべきと思いますが、区長の見解を伺います。
     また、安倍首相は、海外での自衛隊による邦人救出のために法整備を進めていくと述べるなど、憲法違反の武力行使を可能にしようとしています。今回の事件を利用し、海外で戦争する国づくりを進めるなどということは到底許されるものではありません。
     基本方針で区長は、平和事業について、「本年度は、終戦から70年、『新宿平和都市宣言』から30周年を迎えます。戦争というものがもたらす悲惨さを時間の経過によって風化させることがないよう、平和のつどいの開催や平和記念誌の発行などを通じて、平和の大切さや平和への思いを、世代を超えて共有していきたいと考えています」と述べています。
     しかし、安倍首相は、来年の参議院選挙後に国会で憲法の改正発議を行う意向を明らかにしました。その本丸は、憲法9条を変えて国防軍を創設することです。さきの施政方針演説の中でも憲法改正を打ち出し、この通常国会では集団的自衛権行使のための法制化が行われようとしています。しかし、共同通信が2月6日と7日に行った世論調査では、集団式自衛権の行使関連法案の今通常国会への提出については時間をかけるべきだという人が54.9%、そうした法整備は必要ないという人が15.6%に対し、妥当と答えた人は22.8%と少数になっています。
     終戦から70年、「新宿平和都市宣言」から30年だからこそ、区長として憲法9条を守る立場を明確にし、集団的自衛権の行使容認の「閣議決定」の撤回を政府に求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。
     区長は基本方針の中で、「昨年4月の消費税増税の反動などから個人消費などに弱さがみられ、また為替相場での円安による輸入価格の高騰など、区民生活への影響も出ています」と述べています。また、内閣府でのミニ経済白書「日本経済2014-2015」では、消費税増税の影響は、「駆け込み需要とその反動」だけではない、「消費税率引き上げによる物価の上昇は実質的な所得の減少をもたらし、将来にわたって個人消費を抑制する効果を持つ」とはっきり認めています。
     アベノミクスの根本の考え方は、「大企業や富裕層がもうかれば、その恩恵がいずれ庶民の暮らしに回る」というトリクルダウンという考え方です。円安と株高によって大企業は空前のもうけを上げ、内部留保はさらに積み上がり、285兆円に達しました。また、所得が10億円を超える超高額所得者は、この1年間で2.2倍に急増しました。一方、10月から12月期のGDP統計で働いている人の収入を示す雇用者報酬を見ると、前年に比べ実質0.5%減と、この1年間、一度も前年を上回ったことがありません。名目では2.2%の増加ですが、物価が上昇しているために賃上げが追いつかない状況です。また、厚生労働省毎月勤労統計では、実質賃金は昨年12月まで18カ月連続で減少を続け、総務省の家計調査でも勤労者世帯の実質日収入は15カ月連続の減少です。GDPの6割を占める個人消費が冷え込んだままでは、景気悪化から転換できないことは明らかです。2月8日付の読売新聞の世論調査でも、安倍内閣のもとで景気の回復を実感していないと答えた人は実に79%にも上っています。これらの統計や国民の実感から見ても、「アベノミクス」は既に破綻が明らかではないでしょうか。
     区長は、いわゆる「アベノミクス」をどのように評価しているのでしょうか。この際、先送りされた消費税率10%への増税にはきっぱりと反対すべきと思いますが、いかがですか。
     2月16日の区長会で、23区の2015年度国民健康保険料が確認されました。国保料の所得割率については若干引き下がったものの、均等割額については前年度4万3,200円から4万4,700円へと1,500円引き上がります。その結果、1人当たりの平均保険料は前年度年額10万3,103円から10万6,545円へと3,442円の値上げになります。シミュレーションでは、単身世帯で年収600万円以上の所得の高い層で保険料が多少下がるところがありますが、均等割が引き上がるため、所得の低いところでの値上げ幅が大きくなっています。例えば、年金生活で年金収入200万円の世帯、国の均等割5割軽減の対象世帯が、今年度国保料が7万3,056円から8万4,321円と1万1,265円の値上げ、また、若い夫婦と子ども1人の3人家族の給与年収200万円の世帯で国の均等割2割軽減対象世帯では、今年度16万216円が来年度18万2,307円と2万2,091円もの値上げになります。
     区長は、この値上げが区民生活にどのような影響を及ぼすとお考えですか。お答えください。区民生活に大きな影響を及ぼす国保料の値上げは撤回すべきと思いますが、いかがですか。
     基本方針の中で区長は区財政の確立に触れ、法人住民税の一部国税化についても反対の立場を明らかにしています。しかし、特別区民税が納税義務者数の増加などで伸びてはいるものの、景気動向の影響を受け、区民の所得がなかなか伸びない中では、大きく増加が見込めるものではありません。この間の特別区交付金などの増が区財政を支えています。その点では、法人住民税の一部国税化には断固反対すべきとともに、区財政に影響を与える法人実効税率の引き下げについても断固反対し、広く区民に広報すべきと思いますが、いかがですか。
     また、区として都区財政調整において、区の配分割合55%の拡大、都市計画税の特別区への税源移譲について国や都に働きかけるべきと思いますが、いかがですか。
     さらに、我が党がこの間要求している税外収入として、大型マンション建設の民間事業者に対する協力金制度の創設を行うべきです。マンション事業者に対し、保育園の設置要綱はつくられましたが、結果的に設置されなかったところもあり、今後の保育需要を考慮するならば協力金と両建ての制度にすべきと思いますが、いかがでしょうか。区長の答弁を求めます。

    ◎区長(吉住健一) 田中議員の御質問にお答えします。
     区長の基本方針についてのお尋ねです。
     初めに、IS、イスラミック・ステートによる日本人人質殺害事件に関して、政府が情報を開示し積極的に検証すべきとのお尋ねです。
     このたびの事件で、後藤さん、湯川さんの命が奪われたことは許しがたい残虐な行為であり、極めて残念なことと思います。国においては、今回の事件の検証も含め、二度と同じ事件が発生しないようあらゆる対応をしていただきたいと考えております。
     次に、憲法9条及び集団的自衛権についてのお尋ねです。
     憲法9条についてはさまざまな議論があると認識しています。また、集団的自衛権については、国の安全保障に係る重大な方針変更について、国民に対し必ずしも十分な説明がなされていないものと考えています。自治体の長といたしましては、今後の国会での議論を注視してまいりますが、憲法の原則である平和主義は維持すべきものと考えます。
     次に、アベノミクスへの評価と消費税率の引き上げについてのお尋ねです。
     国は、デフレからの早期脱却と経済再生の実現に向けて、大胆な金融政策や機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略による、いわゆるアベノミクスに取り組んでいます。内閣府の2月の月例経済報告によると、「景気は個人消費などに弱さが見られるが、緩やかな回復基調が続いている」としており、輸出や生産は持ち直しの動きが見られ、雇用情勢は改善傾向にあるとしています。今後は、アベノミクスの効果が賃金上昇へとつながり、消費拡大への好循環が実現するとともに、成長戦略の実行による持続的な成長の実現に期待するところです。
     消費税については、少子高齢化の急速な進展や、国・地方ともに厳しい財政状況のもとで持続的な社会保障制度を構築し、その安定財源を確保する観点から、税率の引き上げは必要であると考えますが、10%へのさらなる引き上げに当たっては、地域経済の厳しい現状を踏まえ、国・地方を通じて経済状況を好転させることが重要です。今回の先送りによって社会保障の持続可能性を確保するための改革が滞ることがないよう、全国市長会を通じて国に要請しています。
     次に、国民健康保険料についてのお尋ねです。
     国民健康保険は保険制度により運営されているため、加入者の方々には一定の保険料を御負担していただく必要があります。保険料改定に当たっては、加入者の皆様、特に低所得の方々への影響についても十分配慮する必要があると考えています。
     平成26年度の均等割軽減対象世帯の拡大に加え、平成27年度においてもさらに均等割額の軽減措置の対象となる世帯の軽減判定所得の見直しを行い、均等割軽減対象世帯を拡大します。国民健康保険が国民皆保険を守る最後のとりでとしての役割を今後もきちんと果たしていくためにも、今回の保険料改定は適切なものと考えています。
     次に、法人住民税の一部国税化についてのお尋ねです。
     平成26年度税制改正では、法人住民税の一部国税化に伴う地方法人税の創設と、その全額を地方交付税の原資とする見直しが行われました。
     法人住民税は、法人の地域での活動や、そこで働く人々を支えるためのさまざまな施策の財源として負担を求めているもので、これを地方自治体間の財源調整に用いることは、地方税の原則をゆがめるとともに地方分権に逆行するものと言わざるを得ません。特別区長会として、「税源偏在是正議論についての特別区の主張」を表明するとともに、国に要望書を提出し、法人住民税の一部国税化に対して反対の立場を明確にしています。新宿区としても、「広報しんじゅく」に区の主張を表明するなど、地方税財源の拡充に向けて引き続き要請してまいります。
     次に、法人実効税率の引き下げについてです。
     法人実効税率の引き下げは、平成27年度税制改正において、我が国企業の競争力を高めるための一環として実施されるものです。国・地方を通じた法人関係税収は、地方公共団体の行政サービスを支える上で重要な財源となっていることから、引き続き全国市長会を通じ恒久財源の確保を検討することなど、地方の歳入に影響を与えることがないよう要望しているところです。
     次に、都区財政調整制度における特別区の配分割合の見直しについてです。
     都区間及び特別区相互間の財源配分を決める都区財政調整制度は、特別区の自主性・自立性を高めるため、これまでも制度改正が行われてきました。住民に最も身近な基礎自治体として、今後さらなる権限の移譲とあわせて、区側の財源配分率を的確に反映させてまいります。
     また、都市計画税は特別区の区域において都税とされており、都は、これを財源とした都市計画交付金を各区が行う都市計画事業の一部に対して交付しています。しかし、その規模は都区の都市計画事業の実施状況に見合った配分割合となっていないことから、区の財政自主権の強化に向けて引き続き取り組んでまいります。
     次に、大型マンション建設事業者への協力金制度についてです。
     区は、平成22年度に「新宿区大規模開発等に伴う保育施設の設置に係る協力の要請に関する要綱」を制定し、300戸以上の住宅を建設する大規模開発等の事業者等に対して保育施設を設置するよう協力を要請し、開発計画申請時は必ず事前協議を行っています。現在は、大久保三丁目西地区、西新宿五丁目北地区及び四谷駅前地区などで、この要綱に基づき協議を進めております。
     整備用地や物件の確保が難しい新宿区においては、協力金制度ではなく、直接施設整備を要請する手だてが有効であると考えます。したがって、協力金制度の創設は考えていません。

     

    ◆37番(田中のりひで) 次に、区民の暮らしと中小業者の営業に対する支援策について質問します。
     国は、「消費喚起・地方再生型」予算などとして、「地域住民生活等緊急支援のための交付金」を2014年度補正予算に盛り込みました。この交付金には2つの型があり、「地域消費喚起・生活支援型」は、主に個人に対する直接の給付事業を対象とし、「地方創生先行型」は、「地方版総合戦略」の策定を前提とする「しごとづくり」などの事業が対象とされています。「地域消費喚起・生活支援型」は都道府県と市区町村に配分されますが、国から新宿区への直接補助分は約1億円、東京都を経由する補助も、プレミアムつき商品券等の発行を柱として、新宿区には約5,000万円の補助枠です。「地域消費喚起・生活支援型」では、これまでに私ども区議団が提案してきたプレミアムつき商品券等のほかに、住宅リフォーム助成等にも使えることが国会質疑で明らかにされており、低所得者向け助成事業も推奨されています。
     プレミアムつき商品券発行の経済効果は、過去、大阪府が15%のプレミアムつき商品券を80億5,000万円分発行し、推定消費喚起額35億5,000万円、経済波及効果は付加価値誘発額で14億円と推計。同じく神戸市は総額11億円分の発行で、消費喚起額7億円、生産誘発額11億6,000万円と推計しました。日本リサーチ総合研究所がことし1月30日に発表した金融経済レポートによると、世田谷区では区民以外も購入可能にして1日でほぼ完売、墨田区では量販店でも使えるようにして即日完売といった事例を紹介し、「地域住民の消費者ニーズに合わせたメニューづくりに向け、各自治体が前例にとらわれることなく創意工夫することが消費刺激効果を高めることにつながる」と結論づけています。
     区は、国の補正予算を受けて、地域飲食応援事業としてプレミアムつき飲食クーポンの発行を打ち出しました。これまでにない新たな事業であり、歓迎するものです。しかし、区民の暮らしをより一層支援するには、飲食に限定せず、物販やその他サービスにも使えるよう拡大することが必要です。消費喚起の効果を高めるためにも対象を拡大してはいかがでしょうか。また、この事業による経済波及効果を幾らと見込んでいるのか、お答えください。
     この交付金を活用した区のメニューには低所得者対策が見当たりませんが、どのような検討を行ってきたのか。今後、区独自の事業としてでも実施すべきと考えますが、あわせてお答えください。
     もう一つの「地方創生先行型」交付金は、観光振興にも使えるとされ、区は、この交付金で海外プロモーション事業助成として観光振興協会に1,700万円の補助金を出して、海外からの観光客の呼び込みを促進しようとしています。具体的にはどのような事業内容で、成果指標と目標値をどのように考えているのかお答えください。
     国は、「地方創生先行型」交付金活用の条件として「地方版総合戦略」の策定を条件としており、補正予算で実施した事業の成果を明らかにすることも求められております。区の補正予算でも総合戦略策定のため200万円が計上されていますが、策定に当たっては地域の事業者と消費者の把握も欠かせないものと考えます。来年度予算案では商店街の空き店舗対策に関する調査が計上されていますが、同時に無作為抽出3,000人の消費者にも意向調査を行うことは評価できるものです。この際、商店会の要望は、商店会長だけではなく個店の悉皆調査も実施し、今後の施策に活かすべきです。御答弁をお願いします。
    ◎区長(吉住健一) 区民の暮らしと中小企業者の営業に対する支援策についてのお尋ねです。
     初めに、国の補正予算を受けて実施する地域飲食応援事業の対象拡大についてです。
     区では、地域消費喚起策の一つとして、23区中1位から2位を争う飲食店数を有する新宿の強みを活かし、区内外の大勢の方に御利用いただける飲食にターゲットを絞り込むことにより区内消費喚起を促し、ひいては区内消費売り上げ拡大につながるものとして割引飲食券を発行することといたしました。
     次に、この事業による経済波及効果についてです。
     現在、割引飲食券を額面500円で30万枚発行する予定であり、少なくとも飲食券の発行総額である1億5,000万円以上の売り上げ効果があると認識していますが、本事業による経済波及効果は、今後利用者のアンケート調査等を踏まえ算出することになります。
     次に、低所得者対策に対するメニューの検討と独自事業についてです。
     地域消費喚起・生活支援型の実施事業については、消費喚起効果が高い事業を優先して行うよう国が推奨していることから、波及効果が大きいと想定される事業に的を絞って迅速に対応したものです。今回は国の補正予算を活用して緊急的に実施することから、今後、独自の事業として実施することは考えておりません。
     次に、海外プロモーションの事業内容についてのお尋ねです。
     新宿のまちは、各エリアそれぞれに魅力があり、歴史的蓄積や長年培ってきた文化の息づくまちであるとともに、都市としての機能を持つ多様性に富んだまちです。こうした新宿の多様な魅力を海外に積極的に発信し、多くの外国人観光客に区内を回遊していただくことで、地域や商店街の活性化につなげていきたいと考えています。そのため、多言語による動画とパンフレットを作成し、海外へのPRを行います。PRにつきましては、世界商店街サミットや都主催の展示商談会等の際に現地で活用するほか、新宿観光振興協会の会員企業による商談等の際に活用していただきたいと考えています。また、区の観光案内所やイベント等で広く放映するほか、ユーチューブなどのウェブも活用し、世界に発信していく予定です。
     次に、成果指標と目標値についてです。
     国では、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに訪日外国人旅行者数2,000万人を目指しています。東京都が調査した「平成25年度国別外国人旅行者行動特性調査」で訪問した場所の1位が新宿・大久保となっています。そうしたことから、成果指標は動画等を活用したプロモーション件数と外国人観光客数とし、目標値やプロモーション件数を平成30年までに50回、新宿を訪れる観光客数1位を保持し続けることとします。
     今後も新宿観光振興協会と連携し、新宿の魅力にさらに磨きをかけ、東京オリンピック・パラリンピック終了後も外国人観光客が何度も訪れたくなる、世界に選ばれる「国際観光都市新宿」を目指してまいります。
     次に、商店街に関する調査における個店の悉皆調査と今後の施策への活用についてです。
     今回の「商店街のにぎわい創出に向けた調査」では、商店街調査及び空き店舗オーナー調査並びに消費者動向調査の3種類の調査をそれぞれ対象者別に実施し、回収データの速報値を翌年度予算に反映すべく進めていく予定です。このうち商店街調査は、商店会としての意向調査を目的に実施するものであるため、会員の意見を十分に聞き取りながら商店会長に取りまとめていただくものであり、悉皆調査は考えておりません。
     また、調査結果については、御指摘のとおり今後の施策に十分反映させてまいります。

     

    ◆37番(田中のりひで) 次に、保育園と学童クラブについて伺います。
     第1に、待機児童解消についてです。
     4月の認可保育園・子ども園・保育ルームの第1次申し込みが12月12日に締め切られ、2月18日付で457名に不承諾通知が送られました。4月に認可保育園2所開設等で301名定員増となったものの、第1次申込者数も昨年比168名増で、不承諾通知も昨年の426名より30名ほどふえました。
     児童福祉法第24条第1項は、保護者から申し込みがある場合、区市町村は保育所で保育する責任があることを定めていますが、これでは責任を果たしているとは言えないと考えますが、区長の認識を伺います。
     また、ことし4月の待機児童は新定義、旧定義でそれぞれ何人になると見込んでいますか。この待機児童見込み数の評価についてもあわせてお答えください。
     区長の基本方針では、来年4月までに471名の定員拡大を図るとしています。認可保育園4園増設は歓迎しますが、年度途中でも緊急の対策が必要です。2月の文教子ども家庭委員会では、完成後の富久クロス居住者で(仮称)西富久子ども園利用希望者が当初の想定を上回る可能性があり、その際は新宿第二保育園の活用を検討するとの報告がありました。待機児童が多い現状のもとで、新宿第二保育園は今現在も保育園として使用している貴重な施設であり、引き続き区立保育園として存続させるべきと考えますが、区長の御所見を伺います。
     また、休園中の戸山幼稚園と、4月から休園になる戸塚第一幼稚園の2つの幼稚園についても、区立保育園として整備し活用すべきです。戸塚第一幼稚園は周辺地域に待機児童が多く、戸山幼稚園はJR新大久保駅に近く、交通利便性のよい場所にあります。2つの区立幼稚園を区立保育園として活用する決断を求めますが、いかがですか。
     緊急の対応と同時進行で、中長期的視野に立った対策も求められます。2月17日開催の次世代育成支援協議会には、子ども・子育て支援事業計画の素案作成段階の人口推計より1年後に行った推計では、さらに子どもの数が増加することが報告されました。特に牛込箪笥エリアは、来年度166人、2019年度は564人もプラスになる見通しです。去年5月に追加募集をかけた本年4月開設予定の事業者が年を越して1月にようやく決まり、開設は7月にずれ込んでいます。認可保育園開設事業者の募集をかけても株式会社も応募してこないという自治体も出てきています。保育士確保も厳しい中、賃貸物件を活用した私立認可保育園をふやす方針はそろそろ先行きが危ういのではないでしょうか。
     こうした中、港区は区立認可園整備を打ち出し、品川区長も区立園増設を検討すると表明し、来年度予算に区有地を活用して200人規模の認可園建設検討予算が盛り込まれました。区立保育園を整備して課題を解決する自治体が出てきましたが、新宿区も、特に待機児童が多い牛込箪笥地域に複数の区立保育園を整備し、待機児童解消を確実に進めるべきと考えますが、区長の見解を伺います。
     東京都の定期借地権利用による認可保育所整備事業は、都有地が一番条件がよく、国有地や民有地についても補助が拡大しました。どちらも都と区が各4分の1負担し、借地料の2分の1を5年間補助する制度ができました。国有地に関しては、借地料を一括して支払う一時金について路線価の2分の1を上限に補助もあります。牛込箪笥地域に活用可能な都有地・国有地はどこにどれぐらいあるのか、お聞かせください。
     公有地はなくても、マンションが増加して待機児が増加するのですから、民地はあるということです。都の借地料補助制度に区が上乗せしてでも民有地を借りて園庭のある私立園を整備すべきです。東京都に対しても来年度以降も補助を継続することも求めるべきと考えますが、区長の御所見を伺います。
     第2に、保育料についてです。
     新制度移行に伴い、基本的に値上げをしないことや、保育料算定の基礎を所得税方式から住民税方式に変更することで影響のある階層の方に激変緩和措置を講じることは評価します。そこで、以下質問します。
     1つ目は、第2子の保育料です。
     港区は第2子の保育料を認可・認証とも無料にすると発表しました。新宿の場合は、第2子は第1子の半額から7割です。現在、第3子は無料ですが、第2子についても無料化を検討し、少なくとも軽減割合を大幅に引き上げるべきと考えますが、いかがですか。
     2つ目は、認可外保育施設であるベビーホテル利用者に対する助成についてです。
     中野区は来年度から、東京都に届け出を出したベビーホテルを定期利用している方で、認可園を申し込んで入れなかった保育に欠ける児童の保護者に助成を開始します。中野区の担当者に聞きましたら、想定人数は40人で予算は1,500万円、公平性の観点から決断したと言っています。新宿区も中野区と同様の条件でベビーホテル利用者に助成すべきと考えますが、いかがですか。
     第3に、学童クラブについてです。
     4月からの学童クラブ定期利用申請者数は1,365人で、想定数1,345人を超え、オーバー館が27館中16館もあります。新制度で6年生まで利用可能になり、4年生の利用希望も全体で100人います。今後もまだ利用希望者が増加する可能性があります。区は、1年生から3年生までと、6年生までの配慮が必要な児童は定員にかかわらず全て受け入れるとしていますが、中町や本塩町では3年生までで定員を約1.5倍近く上回る希望者がいます。新たに開設される落四小内学童は、3年生まででほぼ定員に近く、4年生の希望者が10名以上利用できないことになります。保護者の中には、申し込みたいが、どうせ入れそうもないから諦めたという方もいますから、潜在的ニーズはもっと高いはずです。新たに条例を制定し、6年生まで利用できるはずなのに、希望しても利用できない館が多い、定員を決め直したのに1年生から3年生も定員超過になるのでは、何のために条例を制定したのかわかりません。区長は、この事態をどのように受けとめ、どう責任をとるのか伺います。
     私たち区議団は、このような事態になる可能性を指摘し、学童クラブの増設を求めてきました。区は、時間延長や学童クラブ機能つきの放課後子どもひろばにすれば、そちらに行くだろうと考え募集をしましたが、時間延長が27人、学童機能つきは16人の申し込みでした。私は、保護者の希望はあくまで学童クラブなんだと示す結果だと考えますが、区長はどのような評価をしているのか伺います。
     保育園の待機児童が深刻な牛込地域や落合地域では特に定員オーバーが顕著で、この地域では子どもの数が予想を上回って増加する見通しです。早急に児童館を増設しなければ、事態はさらに深刻になると考えますが、区長の見解をお伺いします。
    ◎区長(吉住健一) 保育園と学童クラブについてのお尋ねです。
     初めに、待機児童解消についてです。
     まず、児童福祉法に基づく区の保育実施の責任についてお答えします。
     区は、これまでも児童福祉法に基づき利用調整を行い、保育園等における保育を実施してきました。子ども・子育て支援新制度においても、これまでと同様に待機児童の解消を区政の重要課題と捉え、区としての責務を果たしてまいります。
     次に、待機児童数の見込みとその評価についてです。
     1次、2次を含めた新規入園の申込者数は1,827名となっており、全体では昨年よりも149名の増、待機児童のほとんどを占めるゼロ歳から2歳までの申込者数では150名の増となっています。一方、4月時点で新規に発生する定員枠は昨年を下回ることから、待機児童数の見込みについては引き続き予断を許さない状況であると考えます。
     区は、国の通知によった算定方法で待機児童数を算出しており、具体的な待機児童数が判明するのは4月中旬になる見込みですが、速やかな分析と評価を行い、必要な対策を機動的に講じていきます。
     次に、新宿第二保育園跡地施設を引き続き保育園として活用することについてです。
     新宿第二保育園は、本年10月に富久町市街地再開発事業「富久クロス」内に開設する(仮称)西富久子ども園に移行する予定ですが、4月入園の申込者数は前年の1.5倍となっています。さらに、富久クロスの開発事業者が昨年度実施したアンケートでは、10月以降に転入してくる入居予定者の保育ニーズが移転によってふえる定員枠に近い数となっています。
     新宿第二保育園の跡施設は、第二次実行計画ローリングで区有施設全体のあり方の検討とあわせて、行政需要や地域需要に応えられる施設活用の検討を行うこととしています。しかしながら、(仮称)西富久子ども園への入園希望が予定定員を超えることが見込まれるため、4月の待機児童の状況や富久クロスの入居予定者の直近の状況を分析した上で、新宿第二保育園の跡施設を子ども園の分園として暫定活用することについて検討していきます。
     次に、休園中の戸山幼稚園と休園予定の戸塚第一幼稚園を保育園として活用できないかとのお尋ねです。
     現在策定中の子ども・子育て支援事業計画の中で、区は、地域ごとの保育所整備率や将来人口推計などに基づき平成27年度以降の保育所整備目標量を定めています。戸山幼稚園が立地する地域については新たな保育所整備は予定していません。また、戸塚第一幼稚園については、近隣の高田馬場地域に平成27年中に2園の認可保育所が開設することから、保育園として活用する緊急性はないと考えます。
     次に、牛込箪笥地域に区立保育園を整備して待機児童解消を進めるべきとのお尋ねです。
     牛込箪笥地域については、区立あいじつ子ども園の整備や東五軒町保育園の定員拡大などにより、区立でできる対策は徹底した上で、手厚い特別保育に対応する私立認可保育園も整備し、昨年度からは緊急対策として株式会社の機動力を活用した私立認可保育園の整備を進めました。今後も、区立、私立の区別なくあらゆる手だてを尽くして、この地域の待機児童解消に取り組んでいきます。
     次に、牛込箪笥地域に活用可能な都有地・国有地はどれぐらいあるかとのお尋ねです。
     保育施設建設の適地については、民有地、公有地を問わず可能な限りの調査はしてきたところですが、これまでのところ把握できた適地はありません。
     次に、都の借地料補助制度に区が上乗せをすることと、家賃補助継続の要望についてのお尋ねです。
     区が昨年度から採用してきた賃貸物件活用型の保育所整備の手法であっても、更地に園庭のある保育園を建設することは可能であり、その一例として、本年4月に開設する(仮称)グローバルキッズ西落合園が挙げられます。
     都内では、土地の所有者が資産活用として建物を建て保育事業者に賃貸するという手法が多く、これまで保育事業者から借地料補助の要望が区に寄せられたことはありません。したがって、現時点では区の上乗せ補助等を検討する考えはありません。
     また、都が安心こども基金を原資として交付している賃貸物件への家賃補助については、今後も継続していくよう、全国市長会や特別区長会を通じて要望を上げているところです。
     次に、保育料についてのお尋ねです。
     初めに、第2子の保育料についてです。
     本定例会で上程している保育料徴収条例の改正案では、第2子の保育料の軽減割合を一律に第1子の半額に引き上げ、保育ルーム等の利用者も対象に加えるなど軽減措置を拡充するものとなっています。
     保育・教育の環境整備の一つとして経済的な支援の必要性は認識しており、負担軽減の一層の拡充については次世代育成支援施策全体の中で考えていきます。
     次に、ベビーホテル利用者に対する助成についてのお尋ねです。
     認可保育園等に入園できなかった方がやむを得ずベビーホテル等を利用している場合もあることは、区としても認識しております。しかし、ベビーホテル等の利用者に助成を行うには、児童福祉施設の基準に合致しない施設への利用促進と誤解されるおそれがあることや、利用状況の定期的な把握が困難なことなどの課題があります。したがって、区としては、一定の基準を満たす施設・事業者とその利用者への支援を継続し、保育環境の整備に努めていく考えです。
     次に、学童クラブについてのお尋ねです。
     定期利用の一括申請期間終了時点の4年生以上を含めた申請数は1,365人で、総定員の1,345人と同程度でしたが、16所で定員を超えた申し込みがありました。新たな試みである機能拡充する放課後子どもひろばや学童クラブ学校休業期間利用についても、一定の申し込みがありましたが大きな数字とはなっていません。低学年の多くの保護者が現段階では学童クラブを選択されたものと受けとめておりますが、今後、新しい仕組みの利用動向や評価を見きわめていく必要があると考えております。
     国も、特に高学年の児童の放課後にはさまざまな過ごし方があることに留意して、放課後子どもひろば等の活用も考えられるとしています。対象年齢の拡大を含めた増大する需要に適切に対応していくために、多様な放課後の居場所を整備していくことがますます重要になってくると認識しております。それでも、なお引き続き需要増が見込まれる地域については、学童クラブ定員の拡充を検討してまいります。
     なお、小学生の居場所としては、区立全小学校に放課後子どもひろばを開設しています。また、子ども家庭支援センターを初め、乳幼児親子や中高生の居場所も充実させてきているため、児童館の新設は考えておりません。

     

    ◆37番(田中のりひで) 次に、B型肝炎ワクチンの助成事業の創設について質問します。
     昨年の決算特別委員会でも、この問題については、私どもが取り組んでいる区政アンケートに、下落合にお住まいの女性の方から、「お隣の豊島区では全額助成されているので、新宿区でも助成してほしい」という要望が出されていることを紹介し、助成の実施を求めました。
     区は、法定接種と任意接種とでは健康被害が生じた場合の救済制度に大きな違いがあることから、国の法律に基づく制度に位置づけるべきであり、その上で区が実施すべきものと答弁しています。現在、23区内では豊島区医師会が2013年9月から全額助成を実施しています。ほぼ接種率は9割に達し、今のところ健康被害は報告されていないとのことです。また、渋谷区では2013年度から1回につき5,000円の助成を実施、1歳未満までで3回接種しますので1万5,000円の助成を行っています。品川区では2014年4月から1回につき3,000円の助成を実施しています。各区とも健康被害に対する対策などをとっていますが、品川区では、予防接種法の被害対象にはならないことから、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく副作用救済給付の対象になるとともに、区の特別区自治体総合賠償保険に加入していることから、区内契約医療機関で接種した場合は定期予防接種と同等程度の保障が受けられるそうです。したがって、区でもこのような対応をとれば、健康被害に対する救済措置を行うことができ、実施に足を踏み出せると思いますが、いかがですか。
     国の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会のことし1月15日の会合では、小児でのB型肝炎ワクチンの定期接種化に関して審議し、公費で接種を受けられるようにすべきとの意見で一致しました。厚生労働省は、早ければ2016年度にも実施する方針と言われています。
     既に新宿区内でも、当然B型肝炎ワクチンの接種を行う方もいます。現在接種対象のゼロ歳児が区内では2,400人になります。B型肝炎ワクチンの接種によって命が救われる、しかし、経済的な事情によって接種できない子どももいるのではないでしょうか。どの子の命も平等ですから、経済的な事情で接種を受けられないことがないように、区としても国の実施を待たずに即座に助成に踏み出すべきと思いますが、いかがですか。区長の英断を求めます。
    ◎区長(吉住健一) B型肝炎ワクチンの助成事業の創設についてのお尋ねです。
     まず、任意予防接種の健康被害に対する独立行政法人医薬品医療機器総合機構の医薬品副作用被害救済制度や特別区自治体総合賠償保険による救済措置についてのお尋ねです。
     例えば、公費負担による任意予防接種の副反応により死亡した場合には、医薬品副作用被害救済制度及び特別区自治体総合賠償保険により、予防接種法に基づく救済制度と同程度の補償があります。しかし、後遺症に対しては医薬品副作用被害救済制度の障害年金と特別区自治体総合賠償保険の障害補償一時金を合わせても予防接種法に基づく制度には及ばない状況です。
     次に、B型肝炎ワクチンの助成の実施についてのお尋ねです。
     B型肝炎ワクチンの予防接種について、国は、本年1月15日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において、早ければ平成28年度からの定期接種化に向けてワクチンの供給・実施体制の確保等の準備を進めるとのことです。区は、国の動向を踏まえ、今後のB型肝炎ワクチンの定期予防接種の実施に向け適切に準備してまいります。

     

    ◆37番(田中のりひで) 次に、介護保険について質問します。
     質問の第1は、介護報酬の引き下げへの対応と事業者への支援策についてです。
     安倍内閣が2月12日に2015年度予算案を国会に提出し、過去最大規模となる2.27%、2,270億円相当の介護報酬引き下げが提起されました。介護サービスの種別に下げ率が異なり、特養ホームは6%、老人保健施設は3%、認知症グループホーム5%、訪問介護4%、デイサービスは5%、小規模デイでは10%等と大幅な減額になります。
     私たち区議団は、早速区内の特養や老健などの介護施設を訪問し、現在の運営状況、報酬削減の影響見込み、行政への要望などを伺ってきました。介護職員不足を理由に、20床あるショートステイの半分の10床を閉鎖している施設、特養の受け入れを抑制している施設、人手が足りずに、利用者さんが楽しみにしている花見に行けなかった施設などがありました。人手不足ゆえに事業を縮小し、減った収益1,000万円分を給食業者をかえることで補った施設では、おいしい給食を継続して出してもらえるだろうかと心配していました。今でもこれだけ苦労している施設に報酬の引き下げが行われたら、さらなる利用の抑制と人材不足に拍車がかかり、介護現場の崩壊という危機が起こりかねません。介護報酬の引き下げは絶対にすべきではありません。
     区内の介護施設と介護の現場で働く人たちの現状を区長はどのように把握し、どう感じていますか。また、この機に全ての介護事業者を区として調査すべきと思いますが、いかがですか。そして、直ちに介護報酬の引き下げについて撤回を要求すべきです。
     第2に、介護事業者への経営支援についてです。
     私たちの調査では、国が報酬削減の根拠にしている収益率8%という施設はどこもなく、修繕の積み立てや当面の運営資金以外のいわゆる内部留保を持っている施設も全くありませんでした。それどころか、毎月360万円の地代を払い、建設時の借り入れを毎年1,500万円返済するなど、支出は重く、経営はとんとん、もしくは赤字、法人内の別施設から借り入れしているところもありました。また、消費税増税に食材費などのアップ分、光熱水費2割アップなど、経営を圧迫していました。ある老健施設では調子の悪い空調を更新したいが、4,500万円もかかるので見送った。この夏を乗り越えられるだろうかと困っていました。
     各施設は苦労しながらも、利用者のためぎりぎりのところで経営を維持しています。運営を維持し、介護現場の崩壊を防ぐためには、区としても可能な支援策を講ずることが必要です。区が賃貸している地代並みになるよう、民間の土地を借りている施設へ地代の補助をすることや返済金の一部を補助するなど支援すべきと思いますが、いかがでしょうか。
     また、老健施設の改修には公的な支援は一切ありませんが、特養の場合には東京都による経費補助があります。老健も特養も、ともに区民にとって必要な介護施設です。同様の支援がされるよう都に支援を求めるべきです。また、当面は区が支援をすべきです。いかがでしょうか。
     第3に、人員確保についてです。
     施設の利用者の平均年齢や介護度も年々高くなり、また、新しい施設はユニット式がふえ、都会ならではの問題ですが、複数階にまたがる施設も多いことから、求められる介護を行うためには人員配置は国基準の3対1では足りず、1.3から1.9対1と手厚くされている現状です。また、産休等の休暇、研修などの保障をし、安心して働けるようにする努力がされ、運営費に占める人件費割合は70%から80%台にもなり、国の基準である54%を大きく上回っています。この状況で介護報酬が実際に下がったらどうなるかお聞きしました。影響額は、施設の規模、種類によって異なりますが、ざっと年間1,200万円から3,000万円もの減収見込みです。介護職の処遇改善があったとしても「介護職だけ上げるわけにはいかない」「月給には手をつけられないからボーナスで調整せざるを得ない」「やりたくないが給与表を下げる方向で見直す」と、現場では国の言うのとは逆の事態が進行しそうです。介護職場は、介護職だけではなく栄養士、事務職、理学療法士など多くの職種がチームとなって運営をしているもので、介護職以外の方の給与が下がるようなことになったらチームワークを乱し、人材が流出しかねません。本当に介護職場の人材不足を解消しようとするのであれば、国に対し介護報酬とは別立てで全職種に対する処遇改善や人員配置加算のための交付金を出すよう求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。
     常に一定数の新しい職員を育成し、安定した運営ができるよう、毎年少しずつでも給料をアップさせたり、研修などを行いスキルアップを促すさまざまな努力をしていることもわかりました。割高な派遣会社にお願いしても、なれたころにはやめていき、安定した運営につながりません。東京都が行っているトライアル雇用の支援は介護の現場でも活かされていますが、離職等が対象という制限があります。無資格の非常勤の方でも、意欲がある人を施設が一から育てていくほうが人材として大いに役立ち、定着するそうですが、対象にはなりません。資格を取るための研修費用だけでも同じように支援があると助かるとの意見もありました。都に実施を働きかけるべきと思います。また、当面、区として区内の介護現場の人材確保のため補助をしてはいかがでしょうか。
     また、保育士確保のため、月8万2,000円まで借り上げ住宅の家賃を国、東京都、新宿区、事業者で支援するという施策は介護職場でも大変効果があると思います。国と都に求めるべきではないでしょうか。各施設で行っている住宅手当の支給を支援する上でも、当面区として1万円でも2万円でも支援をすべきではないでしょうか。お答えください。
     質問の第2は、第6期の保険料についてです。
     案の段階で6,700円としていた基準の保険料が5,900円として示されました。現在の5,400円から500円のアップです。今回、国の施策によって第1段階のみ若干保険料が下がりますが、その他の階層は全部値上げで、今でも高くて大変と悲鳴を上げている方々にとっては引き下げこそ必要です。
     まず最初にお伺いしますが、当初、消費税の10%を前提にしたものであるとはいえ、国は、保険料とは別の財源で低所得者対策を非課税世帯まで行う予定でした。このことは、国自身もこれ以上の保険料負担に限界があると認めたことではないでしょうか。国に責任を持って当初の計画どおり実施するよう求めるべきではないでしょうか。千代田区では、当初国が行う予定だった非課税世帯の第3段階までの保険料軽減策を実施するそうです。一番厳しい新2段階の部分までは少なくとも区として据え置くよう、一般財源を活用してでも対策を講じるべきです。区長の御所見を伺います。
     質問の3つ目は、低所得者へのサービス利用料の負担軽減策についてです。
     高齢者の暮らしは、年金の連続削減が行われ、消費税増税や物価高などで実質的に使えるお金は減っており、とりわけ低所得者の介護サービスの利用抑制が心配されます。23区中でも12区で利用者の負担軽減をしており、その対象は、訪問介護サービスのみのところから、多いところでは17のサービスでも5ないし7%の支援をしています。新宿区でも保険料第4段階以下の非課税世帯への独自の軽減策を実施すべきではないでしょうか。見解をお示しください。
    ◎区長(吉住健一) 介護保険についてのお尋ねです。
     初めに、介護報酬の引き下げへの対応と事業者への支援策についてです。
     区内の介護施設と介護の現場で働く人たちの現状については、介護サービス事業者協議会等を通じて現場の声に耳を傾けるとともに、昨年度実施した「高齢者の保健と福祉に関する調査」において、経営状態や人材確保状況に関する質問を行うなど、実態の把握に努めています。
     各事業所では、恒常的な人手不足や高い離職率といった厳しい状況にあると認識しており、人材確保に向けた職場環境づくりを行うなど、日々努力をされていると感じています。
     区としては、平成28年度に「高齢者の保健と福祉に関する調査」を予定しており、この中で改めて区内の介護サービス事業所を対象とした調査を行う考えです。また、国の介護事業経営調査委員会の調査等についてもあわせて注視してまいります。
     今回の介護報酬改定は、全体としては引き下げとなっていますが、中重度者の要介護者や認知症高齢者への対応を強化しつつ、介護人材確保対策として介護職員処遇改善加算を充実するなど、地域包括ケアシステムの実現と介護保険制度の持続可能性を見据えた改定であると考えています。このため、介護報酬の引き下げについて撤回を要求する考えはありません。
     次に、介護事業者への経営支援についてです。
     民有地の賃借に関する補助については、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設とも、平成21年度より都が事業者に対し定期借地権の一時金に対する補助制度を設けています。また、返済金の一部を補助することについては、事業者が福祉医療機構から借り入れする場合、東京都福祉保健財団の利子補給制度があり、既に多くの事業者が利用しています。こうした都や保健福祉財団の制度が活用可能なため、区では、民間の土地を借りている施設への地代及び事業者への借入金の返済に対する新たな補助は考えておりません。
     また、介護老人保健施設の改修に対する補助については、都への要望も含め、現時点では考えていません。
     次に、人員確保についてです。
     介護職員の処遇改善については、保険制度の仕組みの中で人件費は介護報酬内に位置づけるものとして、平成24年度の報酬改定の際、それまでの交付金から介護報酬の介護職員処遇改善加算として組み込まれました。そのため、別立ての新たな交付金の要望については考えておりませんが、今回の報酬改定では、喫緊の課題である介護職員の確保について処遇改善加算の充実が図られており、その動向を注視しています。
     また、区としては、人材確保の面で質の高い介護職員の定着が必要と考えており、区の事業として介護福祉士資格取得助成を行い、研修費用や受験料の助成を行っています。資格取得のための研修費用の支援は必要と考えており、都へ働きかけていきます。
     介護職員の借り上げ住宅の助成に関する国、都への要望については、来年度実施予定の保育事業者に対する助成などについて情報を得ながら動向を見ていきます。
     区による介護現場の人員確保のための補助や住宅手当の支給については現在考えていませんが、区としては、事業所における介護職員の処遇改善の取り組みが着実に実施されるよう、実地指導などに努めてまいります。
     次に、第6期の保険料についてです。
     今回の制度改正による低所得者層への負担割合の軽減は、消費税10%への増税が延期されたことに伴い、平成27年4月から第1段階の方を対象に一部実施となりました。また、平成29年4月の増税の際には完全実施として、第1段階から第3段階の方を対象に、さらに負担割合を軽減する予定です。
     区は、これまでも保険料段階については、所得状況に応じた負担割合の考え方に基づき、低所得者層へ配慮した国基準以上の多段階化を進めてまいりました。今回の一部実施の対象から除かれた第2段階についての負担割合は0.488としており、既に国が完全実施により想定する0.5よりも下回る保険料段階の設定をしています。
     次に、低所得者へのサービス利用料の負担軽減策についてです。
     区では、低所得者への負担軽減のため、国や東京都の補助事業である生計困難者等に対する介護保険サービスに係る利用者負担軽減事業を実施しています。また、区独自の施策としては、サービスの利用抑制につながらないよう、通所系サービス利用者で非課税世帯の方を対象に食費助成を行っており、利用者数は年々増加している状況です。
     区は、これらの事業により低所得者に対し一定程度の負担軽減が図られているものと認識しており、区独自の事業を拡充することは現在考えておりません。

     

    ◆37番(田中のりひで) 次に、生活保護受給者への支援について質問します。
     第1に、生活扶助費の引き下げについてです。
     政府は、2013年から3回に分けて史上最大規模の生活扶助基準の引き下げを決め、既に2回の削減が行われ、3回目が本年4月です。消費税が8%になり、円安で食料価格が高騰しているもとで、これ以上の削減は許されません。2回目のときに物価上昇分を加味してプラスしたとはいえ、わずか2.9%では消費税アップ分にも足りません。
     区長は、この間の生活扶助基準引き下げが受給世帯にどのような影響を及ぼしていると認識していますか。東京電力の電気代は東日本大震災以降大幅に上がり、輸入材料を原料とする各種の食料品や豚肉などが値上げの連続で、生活扶助費の大部分が食費と光熱費に充てられる生活保護世帯は音を上げています。基準の引き上げを国に求めるべきと考えますが、いかがですか。
     3回に及ぶ大幅引き下げの影響が最も大きいのが子どものいる世帯です。子どもの貧困対策の推進に関する法律が2014年1月17日に施行されましたが、引き下げは貧困対策に逆行しています。新宿区は、基準引き下げ後も就学援助の認定基準は改定前の基準に据え置いてきましたが、来年度も引き続きこの措置を行うべきと考えますが、見解をお聞かせください。
     第2に、住宅扶助と冬季加算についてです。
     政府は、生活扶助に加えて住宅扶助費と冬季加算の減額を行うことを来年度予算案に盛り込みました。東京23区の住宅扶助費は単身者は変わらず、複数世帯が変わると報道されています。2人世帯は6万4,000円で5,800円マイナス、3人から5人は変わらず6万9,800円、6人は5,000円増額とのことです。新宿区内では、複数といっても2人世帯が圧倒的に多いので、大部分が減額です。区の住宅あっせん事業に協力している不動産屋さんは、「6万9,800円ではせいぜい1Kか1DK。お母さんと中学生の息子が1つの部屋で暮らすうちもあって、本当にしのびない。いい部屋を紹介したくても7万円以下では無理。まして6万4,000円なんて実態に合っていない。住宅扶助は下げるのではなく上げてほしい」と言います。
     吉住区長は、政府の住宅扶助引き下げは妥当だとお考えでしょうか。私は、区民の適正な住まいを確保の観点から、引き下げを撤回し、引き上げるよう国に要望を出すべきだと思いますが、いかがですか。区内の住宅事情や家賃水準の認識とあわせてお答えください。
     生活保護世帯の居住水準が狭いことは、社会保障審議会生活保護基準部会でも議論になり、受給世帯においてより適切な住環境を確保する方策を検討することが必要であるとしています。住宅扶助は削減でなく増額が必要だと結論づけているに等しい内容です。政府の引き下げ案は基準部会の議論を無視するもので、その点でも大いに問題があると思います。
     区長も御存じのとおり、大久保地域では6畳に3畳程度の台所つきで安くて6万円台、それも目の前に隣家が迫り、一日日が当たらない老朽アパート。新しいワンルームマンションなら、居住スペースが4.5畳前後で6万円はするというのが相場ではないでしょうか。都営・区営住宅に入居している生活保護世帯とは雲泥の差で、みんな必死に申し込みしてもなかなか入れません。その上、オーナーの高齢化や相続税対策で古い木造アパートが建てかえられたり空き家になるケースもふえています。そこで、アパート・マンションを建てかえたりリフォームする際、区としてその費用の一部を助成し、区営住宅として借り上げる事業を行ってはいかがでしょうか。
     冬場の11月から3月まで、暖房代として月額3,000円を上乗せしている冬季加算を引き下げることは、受給者の命と健康を削るもので到底容認できません。政府は、減額の根拠として、冬の光熱費が一般世帯のほうが少ないことを挙げています。しかし、生活保護世帯の多くは断熱性に乏しい老朽アパートで、病気や高齢のため外出が困難で、日がな一日自宅で過ごすことが多く、暖房代が多くかかるのは当然です。知り合いの方は「電気代が月1万円を超えたから、食費は1日1,000円で抑えなければ」と言っています。これが健康で文化的な生活だと区長は思いますか。冬季加算引き下げを撤回するよう国に求めるべきと考えますが、いかがですか。削減が強行された場合、区独自に冬季見舞金を出すこと及び夏季見舞金を復活することを提案をいたしますが、あわせてお答えください。
     次に、生活保護受給者の支援を担当する保護担当課の体制についてです。
     新宿区の生活保護受給者は、昨年11月現在で9,147世帯、1万550人で、ケースワーカー1人当たり平均100.5世帯、多い人は120から126世帯を担当していると聞きました。2年前は105人を担当していると議会で答弁していますから、若干担当世帯数が減っているものの、国基準の80人は依然としてオーバーしています。
     知り合いの方は、担当がかわったと挨拶にくる以外は余り来ないと言っていましたが、実際に訪問する頻度はどうなっていますか。厚生労働省は、自立の助長のために月1回の家庭訪問等による就労指導と言っていますが、対象者への家庭訪問はできているのでしょうか。特に生活の確認や指導が必要な方もいますから、そういうところは月1回では足りないでしょうし、病気、入院、介護など頻繁な見守りや関係者が集まるケース会議もあったりで、かなりのハードワークになっているのではないかと思います。必要な人員を配置し、きめ細かく寄り添える体制を整えるべく、さらに人員を増員すべきと考えますが、いかがですか。
    ◎区長(吉住健一) 生活保護受給者への支援についてのお尋ねです。
     初めに、生活扶助費の引き下げについてです。
     今回の生活扶助基準の改定については、社会保障審議会生活保護基準部会の検証結果を踏まえ、年齢、世帯人員、地域差の3要素による影響を調整するとともに、平成20年以降の物価下落を勘案して見直されています。生活扶助基準の改定は、一般の低所得者世帯と均衡を図る適正な判断がなされているものと考えています。
     また、激変緩和措置として改定幅の限度が10%となるよう調整され、平成25年度から3年間かけて段階的に実施されているものです。
     さらに、2年目に当たる昨年4月の改定では、平成26年度の民間最終消費支出の見通しの伸び等も総合的に勘案し、プラス2.9%の改定率が盛り込まれました。本年4月に予定されている3年目の改定も同様の考え方により、現在国において改定作業が行われているところです。
     このように、改定に当たっては、民間最終消費支出の伸びや社会経済情勢等が考慮されるものであり、生活保護基準を引き上げるよう国に要請することは考えていません。
     次に、住宅扶助基準の改定についてです。
     住宅扶助基準の見直しについては、社会保障審議会生活保護基準部会の検証結果を踏まえ、現在、国において具体的な基準額や運用の詳細について検討が行われています。見直しに当たっては、各地域における家賃実態を反映し、最低居住面積水準を満たす民営借家を一定程度確保可能な水準としつつ、近年の家賃、物価の動向等も踏まえることとしています。
     都心区である新宿区の住宅事情においては、地方と比べ住宅費が高額となる傾向はありますが、これに見合う都心区としての基準が設定されていますので、住まいの確保はできるものと考えています。したがって、今回の住宅扶助基準の見直しの考え方では、考慮すべき点を十分踏まえており、国に対して引き上げを要望することは考えていません。
     次に、アパート・マンションの建てかえやリフォームにかかる費用の一部を助成し、区営住宅として借り上げる事業についてのお尋ねについてです。
     区営住宅の総戸数及び世帯数に対する割合は特別区の中でも上位にあり、今ある区営住宅を有効に活用してまいります。したがいまして、アパート・マンションの建てかえやリフォームにかかる一部の費用を助成し、新たにその住宅を借り上げて区営住宅を増設することは考えていません。
     次に、冬季加算の改定についてです。
     生活保護制度で保障される最低生活費については、国の責任において基準を定めており、一定の水準を保っていると考えています。冬季加算の見直しについては、社会保障審議会生活保護基準部会の検証結果を踏まえ、現在、国において具体的な基準額や運用の詳細について検討が行われています。見直しに当たっては、一般低所得世帯における冬季に増加する光熱費支出の実態や、近年の光熱費物価の動向等を踏まえて適正化するという考え方に加え、傷病・障害等により常時在宅しているなどの特別な事情がある場合に必要な暖房費が賄えないことがないよう、必要最小限度の額を別途設定することが示されています。
     今回の冬季加算の見直しの考え方では、考慮すべき点を十分踏まえていると考えていますので、国に対して引き下げの撤回を求めることや、区独自の対策は考えていません。
     また、区独自の夏季見舞金の支給は考えていませんが、夏季加算については都市部や地域の実情に合わせ新設するよう、国に対し東京都を通じ毎年要望しています。
     次に、生活保護受給者の支援を担当する保護担当課の体制についてです。
     家庭訪問の頻度については、世帯それぞれの状況に応じて決定しています。世帯の生活状況の確認や支援が特に必要な場合には、月1回以上の訪問となりますが、生活状況が安定したり就労するようになった場合には、3カ月から6カ月に1回以上の頻度となります。また、就労指導対象者への家庭訪問については、月に1回以上の場合もありますが、その方の状況に応じて3カ月に1回以上の家庭訪問を行う場合もあります。あわせて就労支援業務委託により就労支援員が家庭訪問を行い、日常の生活指導や就労体験への参加を促すなど、柔軟で粘り強い就労支援を行っています。
     次に、保護担当課への必要な人員の配置と体制を整えるためのさらなる人員の増員についてです。
     ケースワーカーの配置については、平成20年度以降急増する被保護者に対する23区の平均担当件数を上回らないことを基準に、これまでも増員を図ってきたところです。さらに、自立支援員等の専門非常勤職員の増員を図り、受給者のための適切な支援を補助することで、ケースワーク業務の補完・支援を行っています。今年度も専門非常勤職員5名の増員を図っており、今後も専門非常勤職員の活用を含め、適正な人員体制で対応していきます。
    ◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えをいたします。
     来年度も引き続き就学援助の所得基準を据え置くべきではないかとのお尋ねです。
     今年度については、生活保護基準の見直しの影響が及ばないよう、基準の引き下げが行われる前の所得基準で認定を行うことで配慮しているところです。現在の経済状況を踏まえ、また生活保護基準の見直しに当たって、国も「できる限りその影響が及ばないよう対応することを基本的な考え方とする」との方針を示しており、来年度も引き続き、今年度と同様の基準により実施をしたいと考えています。

     

    ◆37番(田中のりひで) 最後に、地域コミュニティバスについて質問をいたします。
     現在、23区中12区で地域コミュニティバスが運行されています。また、その他の区でも、豊島区では地域公共バス1路線について年間2,000万円を超える運行助成、葛飾区は地域乗合タクシー「さくら」という公共交通で区の運行依頼により事業者が運行、道路運送法第4条の乗合許可を受けハイエース9人乗車で運行し、年間約1,300万円の補助が行われています。
     これまで見てきたように、地域コミュニティバスの実施は、運行助成が行われなければ実施できないのが実態ではないでしょうか。そもそも黒字になるならば事業者が参入してくることも考えられます。したがって、区の役割が問われています。新宿区の運行助成を出さないという立場は、コミュニティバスは区税投入の対象ではないということであり、政策的な検討から一切除外をするという公共の果たすべき役割の放棄につながっているのではないでしょうか。
     落合第一出張所管内を例にとると、新目白通りにバス路線がない、また、新目白通りから目白通りへの坂道の上り下りが大変だとの声が聞かれます。この管内は、確かに地図上では円を描けば交通不便地域ではないかもしれません。例えば、新宿清掃事務所のお隣の高田馬場住宅から落合第一地域センターや聖母病院に行く場合、高齢者の足で20分はかかります。西武新宿線の高田馬場駅から下落合駅まで電車に乗り、そこからバスに乗って落合第一出張所へ行けばいいというのが交通不便地域ではないという考え方です。とても実態に合いません。新宿区の落合地域の観光資源をアピールする上からも、地域コミュニティバスの運行に取り組む意義は十分にあるのではないでしょうか。
     また、牛込地域では、旧東京厚生年金病院、現在のJCHO東京新宿メディカルセンターや国立国際医療研究センターへの通院に当たり、区民が不便を感じています。安心して医療を受けるためにも、また、夏目漱石記念館などの観光振興のためにも、地域コミュニティバスが求められています。この際、区長が落合地区や牛込方面のコミュニティバスの実現に運行助成の対応も含め取り組むべきと思いますが、いかがですか。御答弁をお願いします。
     また、関東バスが運行する東中野・高田馬場駅間のバスについても、中野区とも協力し運行助成を行うことで継続・充実を図るべきと思いますが、いかがですか。
    ◎区長(吉住健一) 地域コミュニティバスについてのお尋ねです。
     初めに、地域コミュニティバスの運行助成についてです。
     地域コミュニティバスの多くは地元自治体から運行助成を受けていることは把握しています。しかし、区内ではおおむね10分程度歩けば最寄りの駅やバス停に到着でき、著しく交通の利便性が低い地域はないと考えています。このことから、新宿WEバスについても運行助成は行っておりません。
     一方、地域住民からバス路線の運行について要望があった場合には、地域の方々との話し合いや、必要に応じてバス事業者へ運行を働きかけることなどを行っています。これらのことも含め、区は、自治体として公共の役割を果たしていると考えています。
     次に、落合地区や牛込地区におけるコミュニティバスの運行についてです。
     落合地区や牛込地区は、鉄道やバス路線が既に整備されていることからコミュニティバスを必要とは考えておりません。
     御指摘の病院や観光施設については、隣接する道路に路線バスが運行されており、今後必要に応じてバスの増便などをバス事業者に要望していきます。
     次に、東中野駅・高田馬場駅間のバスの運行助成についてです。
     東中野駅と高田馬場駅間のバス路線については、平成14年の運行開始に当たって、区はバス停周辺整備などの支援を行いました。区は運行助成は行いませんが、中野区と関東バス株式会社が継続的な運行が図れるよう話し合いをしていきます。

     

    ◆37番(田中のりひで) ただいま、私の質問に区長並びに教育委員会に御答弁いただき、大変ありがとうございました。
     いずれにしましても、ことしはやはり戦後70年、平和都市宣言30周年の年に当たる中で、この間の質問等々にもありましたけれども、平和をどう維持するのかが非常に問われる時代になってきているというふうに思います。そういう意味では、私たちの日常のまさに生活も、中山区長もおっしゃっていましたけれども、平和の上に立っている、平和だからこそ日常の生活の安定がやっぱり保障されるということでありますので、ぜひ吉住区長にありましても、この戦後70年、そして平和都市30年たって、私は、憲法を守り、9条を守り、平和政策を進めるために奮闘していただきたいと思います。
     いずれにしましても、細かい話は、介護保険等々の問題も含めまして、あすから始まる予算特別委員会で同僚議員が、何といいましょうか、準備もして今構えておりますので、私もそこに側面から協力をするということでやりたいと思います。
     これをもちまして私の代表質問を終わらせていただきたいと思います。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

    区議会活動 | 田中のりひで

    2015.06.08 更新

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