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日本共産党 新宿区議団 > 2016年第3回定例会 代表質問
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    2016年第3回定例会 代表質問

    9月15日の本会議で、佐藤佳一議員が以下の項目について代表質問を行いました。

    1.区長の政治姿勢と平和施策について

    2.新たな総合計画について
    3.新宿区都市マスタープランの見直しについて

    4.公共施設等総合管理計画について
    5.障害者施策の充実について

     大変遅くなりましたが、ご報告します!正式な会議録ではありませんが、概要をご紹介します。

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    (佐藤佳一議員) 日本共産党区議団の佐藤佳一です。2016年新宿区議会第3回定例会に当たり、会派を代表して区長並びに教育委員会に質問します。
     今年は例年に増して台風が日本列島に接近、上陸し東北、北海道など全国各地で甚大な被害が出ました。犠牲となられた方々に心から哀悼の意を表すとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。
     最初に、区長の政治姿勢と平和施策について伺います。
     初めに政治姿勢についてです。この7月は、参議院選挙とその直後に、都知事選挙が行われました。参議院議員選挙では、日本共産党は前回から得票数、得票率とも前進し、6議席を獲得。とりわけ32の1人区で野党と市民の共同で統一候補を擁立し「安保法制廃止、立憲主義回復、安倍政権打倒」という共通の大義を掲げてたたかい、11の選挙区で与党に競り勝ったことは大きな意味をもちました。一方で、改憲勢力が議席の3分の2を占めることになりましたが、安倍首相は、遊説で憲法を一切語っておらず、国民は改憲への「白紙委任」を与えたわけでは決してありません。選挙直後の会見で安倍首相は、憲法審査会で自民党改憲案をベースにしながら、改憲勢力で3分の2を構築し、憲法改定をすすめることを表明しました。自民党改憲案では、憲法9条2項を削除して「国防軍」を創設し、海外での武力行使を無条件で可能にすること。内閣総理大臣が「緊急事態を宣言」すれば、内閣が立法権を行使し、国民の基本的人権を停止するなど、事実上の「戒厳令」を可能にしていること。「公益及び公の秩序」の名で基本的人権を制限できる仕組みに変え、基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」とした憲法97条を削除することなどを明記しています。日本国憲法は第99条で公務員の憲法の尊重遵守義務について定めています。区長は、以前の議会で公務員の憲法遵守規程の質問に対して「憲法を遵守する」と答弁されました。区長は、こうした自民党の憲法草案と安倍政権の憲法改定についてどのような見解をお持ちか、お聞かせください。
     私は、議会派遣で8月9日長崎の平和式典に参加しました。区長も隣の席に居られ、初めての参加と伺いました。長崎の田上市長は、「日本政府は、核兵器廃絶を訴えながらも、一方では核抑止力に依存する立場をとっています」と指摘し、核抑止力に頼らない安全保障の枠組みである『北東アジア非核兵器地帯』の創設を」呼びかけました。また、被爆者の井原さんは「日本国憲法に反する『安全保障関連法制』を廃止し、アメリカの『核の傘』に頼らず、核保有国に『核兵器の先制不使用宣言』を働きかける」ことを訴えました。区長は、この2人の訴えについてどのような感想をもたれましたか、お聞かせ下さい。
     ジュネーブで開催された国連作業部会が8月19日、来年の国連総会に対し、核兵器禁止条約の締結の交渉を来年から行うように勧告する報告を採択いたしました。これまでも核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議はありましたが、2017年と期限を切ったのは、今回の勧告が初めてで歓迎するものです。今回の交渉開始を支持しているのは、国連加盟193カ国の過半数となる106カ国です。しかし、唯一の被爆国である日本は、作業部会での採決を棄権しました。こうした日本政府の対応は、長崎の平和宣言や被爆者の訴えにも反する背信行為であり新宿区も加盟する平和市長会議が進める核兵器使用禁止条約の締結を求める署名にも反する態度です。日本政府に厳重に抗議すべきと考えますが、お答えください。
     次に平和施策についてです。
     第1は、平和派遣についてです。今年は、22組の応募があり、選考の結果、7組の親子が長崎に派遣されました。応募数は、この10年間で、一番多かったのが29組、一番少ないのが17組でした。これまで派遣数を増やす提案に「内容を充実させたい」と被爆者の語り部など内容の充実がすすめられました。平和派遣も1986年の青年の10名から始まり、1988年から5組10名と青年が5名、2000年からは7組14名となり区民にも定着し30周年を迎えました。せっかく関心と熱意をもって応募しても参加できない親子がいることを改善するためにも、派遣を増やしてはいかがでしょうか。
     第2は、平和マップについてです。平和マップは、これまで平和のつどい、平和マップウオーキングなどの企画参加者や区の施設等で活用され、印刷した30,700部がほとんど配布されました。来年1月に内容を変更せず10,000部増刷の予定と聞きました。増刷するのであれば、内容を充実させてはいかがでしょうか。慰安婦問題などをテーマにした西早稲田の“女たちの戦争と平和資料館”、東京都観光協会のマップにも掲載されている大久保の“高麗博物館”、国立国際医療研究センター病院内にある“第五福竜丸”の模型など3カ所と戦争体験者や平和団体等から聞き取りを行って可能な限り史跡や平和関連施設等を追加して発行してはいかがでしょうか。
     第3は、戦争体験を継承することについてです。戦後から71年が経過し、戦争体験者、被爆者は高齢化しています。戦争を語り継ぐことは、平和の尊さを伝えていくためにも大変大事なことです。国立市では、国立市在住の被爆者から体験を引き継ぎたいとの要望と区として平和施策の充実をめざし、「くにたち原爆体験伝承者育成プロジェクト」を立ち上げ、昨年1月から今年の3月まで17回の研修を行い、20歳~70歳代の19名が伝承者として誕生しました。すでに市内の図書館、公民館で活動を開始し、千代田区、目黒区からも要請があり伝承者として活動しています。新宿区でも、戦争、原爆体験伝承者を募集して育成プロジェクトを開始してはいかがでしょうか。また、非核平和都市宣言30周年記念誌を2000部作成され、配布されています。この記念誌のなかに38名の戦争体験の証言が掲載されています。そうした戦争体験者に聞き取とりを行い、DVDなどアーカイブとして残し、生の言葉としてホームページにアップし、DVDを学校、図書館などに置き、貸し出し視聴できるようにしてはいかがでしょうか。さらに、1945年5月24、25日は、新宿区は大規模な空襲により多数の人が犠牲となりました。特に25日は、区史によれば消失家屋32,950戸、死者108人、負傷者605人の被害がありました。また、喜久井町の戦災者を供養する観音像は、5月25日に300人を超える人が避難したが焼夷弾で多くの方が亡くなったことから建立されたと平和マップに記載されています。この日を記憶に留めておく意味からも3月10日、8月15日と同様に平和への誓いを込めて黙祷をささげてはいかがでしょうか。
     第4は、原爆展の開催についてです。広島、長崎の両市は、全国の自治体等に向け、パネルや被爆した瓦や瓶などの資料貸し出しを行っています。広島市は国内原爆展を他の自治体との共催で1996年から始め、これまで40都道府県56都市で行われ、都内では、葛飾区と目黒区が2001年に行っています。原爆展を行っている広島文化センターの担当者に伺ったところ、2020年の東京オリンピックにあわせ東京の複数の都市で共催してやりたいとおっしゃっていました。新宿区でも毎年パネル展を行っていますが、より原爆の悲惨さや恐ろしさを伝えるためにも被爆した資料などを展示することは有効と考えます。新宿区でも広島市と共催で原爆展を行ってはいかがでしょうか。
     第5は、平和市長会議についてです。来年は、国連総会が行われます。先に述べた作業部会の勧告を受けて核兵器禁止条約の交渉の出発点になるかどうかが焦眉の課題となります。また、来年は4年に1度の平和市長会議の総会が行われます。総会には、ぜひ区長に出席していただきたいと思いますがいかがでしょうか。平和市長会議がすすめる核兵器使用禁止の署名は、平和派遣報告会、平和コンサートなど平和事業参加者にも配布され、総務課の窓口に置いていますが、各特別出張所や歴史博物館などの区施設にも置いて推進してはいかがでしょうか。以上お答えください。

    (吉住健一区長) 佐藤議員のご質問にお答えします。
     区長の政治姿勢と平和施策についてのお尋ねです。
     はじめに、政治姿勢についてです。
     自民党の憲法草案と安倍政権の憲法改定への見解についてですが、憲法改定には、国民全体の広範な議論を前提として、丁寧かつ慎重に検討が進められるべきものと考えます。
     次に、長崎の平和式典における長崎市長及び被爆者の方の訴えへの感想についてです。
     世界の国々が核軍縮のために団結し、核兵器の廃絶に向けて取り組みを進め、核兵器のない世界を作っていくことは、私も大変重要であると考えており、今月9日に実施された、朝鮮民主主義人民共和国の5回目の核実験についても、断固反対する旨の強い抗議文を同国国務委員会委員長あてに送付したところです。
     次に、ジュネーブの国連作業部会における日本政府の対応についてです。
     お示しの通り、国連作業部会は、核兵器禁止条約の交渉開始を来年から行うよう国連に勧告する報告書を、賛成多数で採択しましたが、その際、日本が安全保障上の理由で棄権したことについては、残念に思っています。広島市長が会長を務め、世界161か国・地域、7,132都市が加盟する平和首長会議では、国連総会に核軍縮交渉を実施するための作業部会を設置することを強く要請しております。区も、そこに加盟する一員として、新宿区平和都市宣言に基づき、今後とも、すべての国の核兵器の廃絶を全世界に訴えてまいります。
     次に、平和派遣の参加者を増やすべきとのお尋ねです。
     平和派遣に参加された方々の多くは、被爆地広島や長崎に行き、原爆被害の実態だけではなく、戦争の悲惨さや平和の大切さを周りに伝えていくことの意義を学んでいます。そして、平和派遣報告会での発表や、自主的に学校などで戦争の悲惨さや平和の大切さを伝えるなど、平和啓発の活動の輪を広げています。したがって、派遣者を増やすのではなく、むしろ自主的な発表の場の支援などにより、多くの人に戦争の悲惨さや平和の大切さを伝えていきたいと考えています。
     次に、平和マップについてのお尋ねです。
    新宿区平和マップは、ご覧になった区民の方それぞれが区内の戦争に関する史跡を辿り、平和への思いを深めて頂けるよう、区内を徒歩で巡るのに適切な、史跡を結んだ4つのコースを設定しており、好評を頂いています。現在の平和マップは、平和派遣参加者のOBで組織する「平和派遣の会」のメンバーや、区内で平和の活動をしている団体や個人の方などの意見を踏まえて作成していることから、可能な項目について検討し、充実を図ってまいります。
     次に、戦争体験を継承することについてです。
     戦争体験を継承するためには、自治体によってさまざまな手法がとられていますが、区では、平和展や平和派遣報告会、映画会等を通じて、幅広いたくさんの方々に、戦争の悲惨さと平和の大切さを伝えており、今後も継続して取り組んでまいります。また、平和都市宣言30周年記念誌では、38名の方から、戦争の恐ろしさと平和の有難さが深く心に刻まれるような、体験談や体験記、平和への思いをお寄せいただきました。これを、区民等の方々に広くご覧いただけるよう、区公式ホームページで公開しています。あわせて、学校・図書館等の区施設にも配付しており、閲覧可能となっています。また、DVDについては、教育委員会が後援し、区民の方が作成した、戦争体験のインタビュー動画も含んだDVDが、区立小・中学校と図書館に寄附されており、図書館では区民の方等に広く貸出しを行っています。
     次に、5月25日に黙とうを行うことについてです。
     区の施設において、長崎へ原爆投下された8月9日や終戦の日である8月15日、東京大空襲を受け、東京都平和の日となった3月10日に、戦災で亡くなられた方々を追悼し、世界の恒久平和を願って、1分間の黙とうを行っています。また、広島へ原爆投下された8月6日も含めて、区民の皆様に広報で黙とうの協力をお願いしています。平和を祈念して黙とうする日は、以上4日としており、今後も、現行の日数で継続してまいります。
     次に、新宿区でも原爆展を開催してはどうかとのお尋ねです。
     原爆の恐ろしさは、戦争の悲惨さと平和の大切さをより一層深く実感させるものとなっており、被爆地の悲惨な実態を区民等の方々に広く伝えることは大事であると考えています。近年の区の平和展においても、原爆の後遺症で亡くなった少女を描く「サダコと折り鶴ポスター」を、広島平和文化センターから借用して展示したり、長崎市長が代表を務める日本非核宣言自治体協議会から、原爆の実相を描いたポスターを購入して展示するなどしているところです。
     なお、被爆した現物資料については、広島・長崎ともに、保存状態の劣化が問題となっており、広島平和文化センターが所管する広島平和記念資料館の現物資料については、来年度以降、美術館・博物館に類する施設のみに貸出しを行うこととされました。広島市との共催による原爆展の開催については、現時点で予定がありませんが、今後の平和展においては、共催可能な方法について検討してまいります。
     次に、平和首長会議についてのお尋ねです。
     平和都市宣言を行った自治体の長として、平成29年度に行われる平和首長会議総会には、私自身も出席する予定です。また、平和首長会議が進める、核兵器禁止条約の交渉開始等を求める署名については、総務課窓口で配布しているほか、区ホームページでも協力を呼びかけており、リンク先の平和首長会議のページからは、オンライン署名や署名用紙のダウンロードも可能です。あわせて、平和事業の参加者にも署名用紙を配布し、協力をお願いしています。今後とも、多くの方に署名にご協力いただけるよう努めていきます。


    (佐藤議員)次に、新たな総合計画について伺います。
     新宿区は2018年度(平成30年度)からの10年間の総合計画を策定するため、基本構想審議会での議論を始め、同時に総合計画の一部となる都市マスタープランの見直し作業が都市計画審議会で行われています。
     第1に、議会の議決事項についてです。
     法律上、議会の議決を必要とする基本構想に加えて、現総合計画からは総合計画の基本的事項も議会の議決事項としてきました。ところが、第3次実行計画から議決事項である基本施策が5つの基本政策に置き換えられ、現在行われている基本構想審議会でも何の説明もないまま置き換えられた基本政策をベースに議論が進められています。本来ならば区長が示した5つの基本政策は、基本構想審議会にかけ議会で議決した上で総合計画の柱とすべきものと思いますが、現総合計画の基本施策は変えていないと言うのなら、新総合計画では何をもって議会の議決事項とするお考えなのかお聞かせください。
     第2に、現総合計画の総括についてです。
     基本構想審議会は7月からこの9月5日までに計3回開催されました。本来なら、これまでの総合計画についての総括と、この間の区民を取り巻く状況がどうだったのか、それを踏まえて新たな総合計画に何を盛り込むべきか、という議論が必要ですが、審議会ではそうした前提の議論がされないまま進んでいます。事務局である区の提案する個別施策も、全体像がいまだに示されず、また、現総合計画との対比もないまま小出しにされています。一方、都市計画審議会では、独自に現計画の到達を確認し、この間の変化と新たに取り組むべき課題は何かを最初の議論で出し合ってから審議をスタートさせています。
     現総合計画が始まった2008年度から現在までの間に、リーマンショックがあり貧困と格差が更に増大しました。災害では、東日本大震災と福島第一原発事故、熊本地震、ゲリラ豪雨の多発などがありました。新宿区内の動向としては人口減少から増加に転じ、就学前人口も増え待機児童問題や、学童保育の需要増、学校の教室不足などが起こりました。区民の中での貧困と格差の広がりは、住まいの貧困、医療・介護難民の問題を生み、子どもの貧困は大きな課題となっています。一方、現総合計画の下で進められてきた施設や事業の民間委託化、民営化、指定管理者制度の導入などにより、民間事業者に対する区の管理監督責任という新たな課題も生まれています。また、2011年4月からは自治基本条例も施行され、大きな前進もありました。こうした社会状況や区政を巡る変化と現総合計画の到達状況など、区長はどう総括されているのでしょうか。区民と基本構想審議会にその見解を示すべきと考えますがいかがでしょうか。
     第2に、新たな総合計画を策定するにあたり、盛り込むべき施策についてです。
     この間の変化を踏まえるならば、大地震やゲリラ豪雨などの自然災害から命とくらしを守る施策、認可保育園の量の拡大と質の確保、医療や介護の制度の更なる連続改変のもとで区民生活を守ることや民間委託などをしたサービスの質を維持すること、だれもが健康で文化的な最低限度の生活を営めるよう支援することが求められています。これらの施策について計画に盛り込むべきと考えますが、区長の見解を求めます。
     第3は、基本構想審議会に現時点で出ている個別施策の問題点についてです。
     1つ目は、区の役割と責務が不明確であるという点です。例えば、高齢者施策では、「自助力の向上」や「協働」「区民が主体的に地域の担い手となって」などという言葉を並べ、自助、共助がことさら強調されています。介護保険サービスの基盤整備では、施設を作れば保険料に影響を与える、給付と負担のバランスを充分に考慮をと、あたかも負担に耐えられなければ施設は我慢すべきと思わせる記述さえあります。
     総合計画は区の計画ですから、区の役割と責務を明確にし、区は何をなすべきかを明確にすべきです。行政にしかできない経済的支援なども明記すべきと思いますが、いかがでしょうか。
     2つ目に、区有施設を位置づけることです。例えば、高齢者の活動拠点となっていることぶき館や地域交流館も、子どもにとって大事な児童館も、施設名は一切出てきません。また、災害に強い体制づくりの施策のなかに、避難所として位置づけるべき小中学校や障害者センターなどの施設名もありません。現在策定中の「公共施設等総合管理計画」で、区は区有施設を減らそうと考えているから、総合計画では施設について極力記載しないことにしているのでしょうか、お答えください。区民に必要な事業との関係で切っても切り離せないのが施設です。施設をしっかり位置づけた計画にすべきと考えますが、区長の見解をお示しください。 
     3つ目は、基本構想と現総合計画で重視した「人権」「自治」「区民の参画」についてです。現総合計画の基本目標のうち「区民が自治の主役として、考え、行動していけるまち」「だれもが人として尊重され、自分らしく成長していけるまち」に関わる部分が新総合計画では見えてきません。文言としても「人権」「自治」「区民の参画」は消えています。新総合計画でも引き続き重視し、文言も使うべきではないでしょうか。
     2011年4月から新宿区の最高規範として「自治基本条例」を施行し、新たな課題も提起されています。新総合計画の施策に書かれないとしたら大きな後退です。「自治基本条例の推進」を施策に明記し、「人権」「自治」「区民の参画」に関する個別施策を掲げるべきと考えますがいかがでしょうか。
     第4に、基本構想審議会の運営についてです。
     これまで3回の会議を見ていると、委員が発言をしているのに意見を遮る、手を上げている人を指さないまま議論を打ち切るなど、意見の取扱いを含めとても熟議が保障されているとは思えない状況です。充分審議を保障するために、時間が足りないのであればその場で委員に諮って延長したり、会議の回数そのものを増やすなど、方法はいくらでもあります。他の審議会では普通に行われているこうした工夫や努力が、基本構想審議会でも行われるよう、事務局である区が配慮すべきではないですか。また、示されたスケジュールによれば骨子案の審議はたった1回で、パブコメを受けた後の答申案についてもわずか2回の審議で終了となっています。この程度の審議で足りるとは思えません。基本構想審議会の運営を改善し、充分な審議を保障するよう対応すべきと思いますが、区長の見解をお聞かせください。

    (吉住区長) 新たな総合計画についてのお尋ねです。
     はじめに、議会の議決事項についてです。
     基本構想では、基本理念とめざすまちの姿、6つの基本目標などが、議決を経て定められています。基本構想については、今後も引き続くものであることから、今回の新たな総合計画策定の際に見直すものではありません。
     また、第三次実行計画では、重点的に取り組む施策を5つの基本政策として体系化していますが、それぞれの事業は、議決を経て定められた現在の総合計画の施策体系にも対応しています。
    現在、基本構想審議会では、新たな総合計画に盛り込むべき施策の方向性について、5つの基本政策をベースにご審議いただいているところです。来年には、基本構想審議会から答申をいただく予定であり、答申で示される施策の方向性を元に、新たな総合計画の策定を進め、基本政策や個別施策などの基本的事項について議会に上程いたします。
     次に、社会状況や区政を巡る変化と現総合計画の到達状況についてどう総括しているのかについてです。
     現総合計画が始まった平成20年度以降、リーマンショックによる景気後退、東日本大震災による甚大な被害、猛暑や寒波などの異常気象、新たな感染症の流行など、区民生活に大きな影響を与える出来事が起こりました。このような状況の中、現在の総合計画の期間においては、減災社会の実現に向けた災害に強い逃げないですむまちづくり、待機児童解消対策を初めとする子育て支援、高齢者や障害者が安心して暮らせる基盤整備や社会参加の促進などに取り組むとともに、緊急経済・雇用対策や緊急震災対策など、喫緊の課題に迅速かつ的確に対応することで、区民生活を支えることができたものと考えています。
     次に、新たな総合計画に盛り込むべき施策についてのお尋ねです。
     第1回基本構想審議会では、審議を進めるためのベースとなる5つの基本政策と個別施策を体系化して示しています。「基本政策Ⅰ 暮らしやすさ1番の新宿」では、健康寿命の延伸、子育て支援、教育の充実、セーフティネットなどについて、「基本政策Ⅱ 新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」では、建物の耐震化や不燃化、災害に強い体制作り、安全・安心などについて、「基本政策Ⅲ 賑わい都市・新宿の創造」では、都市基盤の整備、みどり、環境、産業振興、観光、文化歴史、スポーツなどについて、「基本政策Ⅳ 健全な区財政の確立」では効果的・効率的な行財政運営などについて、「基本政策Ⅴ 好感度1番の区役所」では、窓口サービスの充実や地方分権の推進などについて、それぞれ示しています。
     このように、基本構想審議会での審議のベースとなる5つの基本政策は、区民生活を支えるための様々な施策が体系化されています。このため、計画に盛り込むべきとご指摘の施策については、同様の分野の個別施策の中で審議されるものと考えています。
     次に、区の役割と責務を明確にすべきとのお尋ねです。
     区では、新たな総合計画の策定にあたり、策定方針を定めています。この策定方針では、5つの視点を示しており、そのひとつに「区民等と行政、それぞれが果たすべき役割が見える計画とする。」があります。また、現在の総合計画でも個別目標ごとに「各主体の主な役割」として区民、地域組織、教育・研究機関、事業者、区の役割を明記しています。このため、新たな総合計画においても、区を含めたそれぞれの主体の役割と責務について明記することを考えており、今後、基本構想審議会でご議論いただく予定です。また、区は何をなすべきか、行政にしかできない経済的支援なども明記すべきとのお尋ねですが、これらについても、基本構想審議会でご議論いただくものと考えています。
     次に、区有施設を計画に位置付けることについてのお尋ねです。
     基本構想審議会では、審議を進めるためのベースとなる5つの基本政策を示しており、そのひとつ「基本政策Ⅳ 健全な区財政の確立」の中で、区有施設の長寿命化と有効活用などについてご議論いただく予定です。このため、区有施設については、この基本政策Ⅳの中で方向性を示すこととなります。なお、公共施設等総合管理計画との関係で、新総合計画に区有施設を記載しないということはありません。
     次に、「人権」「自治」「区民の参画」に関する個別施策を掲げるべきとのお尋ねです。
     はじめに「人権」についてです。
     「基本政策Ⅰ 暮らしやすさ1番の新宿」では、高齢者、障害者、子ども、女性、若者など、区民一人ひとりが尊重され、誰もが自分らしく安心して心豊かに暮らすことのできる地域社会の実現をめざしており、それぞれの個別施策において「人権」に関する視点が含まれています。
     次に「自治」と「区民参画」についてです。
     「基本政策Ⅰ 暮らしやすさ1番の新宿」の「個別施策10 地域の課題を共有し、ともに考え、地域の実情に合った区政運営の推進」では、区民が自治の主役として考え行動しながら地域課題に取組み、解決していくことをめざしています。また、「基本政策Ⅴ 好感度1番の区役所」の「個別施策3 地方分権の推進」では、区民に最も身近な基礎自治体である区の自治権拡充をめざすとともに、自分たちのまちは自分たちで築いていくという自治のまちづくりをめざしています。このため、「人権」とともに、「自治」と「区民の参画」に関する視点についても含まれています。なお、個別施策の内容については、現在、基本構想審議会で審議されています
     次に、基本構想審議会の運営について、審議時間の延長と回数を増加し、充分な審議を保障すべきとのお尋ねです。
     基本構想審議会では、審議の時間を1回2時間としておりますが、資料を事前に送付し、事務局からの説明を極力簡潔に行うなど、2時間の中で、できるだけ多くの時間をかけて審議していただけるよう配慮しています。
     また、委員の皆様には、審議会の開催に限らず、いつでもご意見をいただけることとしています。いただいたご意見については、審議会において全ての委員に書面で配布させていただき、審議会でのご発言として計画に反映できるようにしています。このように、時間内に発言できなかった場合や、ご欠席の場合においても、発言ができる機会を保障しています。今後も、基本構想審議会において活発な意見が交わされますよう、円滑な会議運営に努めてまいります。


    (佐藤議員)次に、新宿区都市マスタープランの見直しについて伺います。
     都市マスタープラン(以下、都市マス)の見直しについては、都市計画審議会(以下、都計審)で「都市マスタープラン等検討部会(以下、部会)」が設置され、7月と8月に2回の部会が行われ、9月6日の都計審で最初の議論が行われました。それまで出された全ての意見について部会で取り上げ丁寧に議論され、さらにその議論の内容について都計審に報告、意見交換され、事務局からは都市マス見直し骨子(以下見直し骨子)が出されました。12月までに骨子案を作成、パブリックコメントや地域説明会を行うとしていますが、以下、取り入れるべき視点を、提案し、質問します。
     第一に全体の構成についてです。
     都市計画審議会では、「新宿区都市マスタープランの見直し及び新宿区まちづくり長期計画の策定について」として議論されています。今回は、初めての取り組みとして、従来の都市マスだけではなく「まちづくり戦略プラン」を策定し、この2つをあわせて「まちづくり長期計画」とするとしています。しかし、都市マスには「部門別まちづくり方針」と「地域別まちづくり方針」が示されるものであり、部会で「『都市マス』と『まちづくり戦略プラン』の関係や位置づけを示してほしい」との意見もありましたが、あえて、「まちづくり戦略プラン」を策定することの意味と目的、めざす方向性についてお聞かせください。事務局がまとめた見直し骨子からすると、国内外からの観光客が増加しているとして、「賑わい都市新宿の創造」が押し出されています。現行の都市マスでは、めざす都市の骨格の考え方の一番はじめに来るのが、「新宿駅周辺を、国際的なにぎわい・交流を創造する中心とします」で、「将来の都市構造」も最初に新宿駅が位置づけられています。今回の都市マス見直しにあたっては、目指すべき将来の都市像、目指す都市の骨格の考え方の中心に区民のくらし、住みつづけられるまちということを第一に位置づけ、目指す都市構造についても、区民のくらしを最優先に位置づけを引き上げるべきと考えますが、区長のご所見を伺います。
     第二に、住まいについてです。
     部会では、「部門別まちづくりの方針」の中の「住宅・住環境整備の方針」について「こども、障害者、高齢者、外国人等に優しい住まいづくりについて、方向性は良い、さらに充実を」との意見が出されています。この間、私ども区議団は、居住支援協議会の設置で、「住宅困窮者」を支援することを軸として、区営住宅の増設、家賃助成の充実、公的保証人制度の創設、都市型軽費老人ホームや低所得の方も利用できるサービス付き高齢者住宅の増設、宅建協会との連携などを提案してきました。2016年度からの住生活基本計画では、住宅確保が困難な世帯の居住安定確保に向けた新制度の必要性が明記されています。現在の「こども、障害者、高齢者、外国人等に優しい住まいづくり」についての到達点をどう評価しますか。2018年度から始まる次期住宅マスタープランに向けた検討状況と併せお答えください。都市マス見直しにあたっては、先ほど述べたような、私どもの提案について盛り込むべきと考えますが、いかがでしょうか。
     また、空き家対策について、見直し骨子では防犯面からのアプローチに終始していますが、国土交通省が低所得者向けの住宅に空き家を活用する制度について来年度通常国会に関連法案の提出を目指すとしていることなども注視し、住生活基本計画で謳われる空き家の活用について検討することも明記すべきと考えますが、ご所見をお聞かせください。
     第三に、防災についてです。
     今回の見直し骨子では、高度防災都市の実現ということが位置づけられたことは、共感できます。この10年では東日本大震災がありました。首都直下地震は、30年以内に起こる確率は7割という、中央防災会議の指摘は、今日明日大地震が起こってもおかしくはないという切迫感をもって受け止めなければなりません。
     部門別まちづくりの方針の内容について、部会での議論では、防災まちづくり方針で「東日本大震災後の見直しとしては、内容が弱い。命を守る姿勢を災害前発災後について明確に示すことが必要である」との指摘がありました。9月5日行われた基本構想審議会では、委員から「熊本のような震度7の地震が連続して起こった場合を想定する必要がある」「がけ擁壁の助成要件を緩和する必要がある」等、具体的な意見が出されました。
     この間、私ども区議団は、建築物等の耐震化について、除却費用の助成、建て替えへの助成、所得制限の撤廃、既存不適物件への対応、がけ擁壁への助成拡大などを提案してきました。新宿区としても、所得制限の撤廃、既存不適格物件に対しての要件緩和、がけ擁壁への助成拡大をしてきましたが、耐震化の目標を達成はしているものの、「耐震性が不足した住宅が多く残されている」「がけ擁壁は改修が進んでいない」などの認識を示しています。
     そこで区長に伺います、この10年の震災対策の到達点についてどう評価されているのか、都市マスの見直しにあたっては、首都直下地震の切迫性に鑑み、除却費用の助成、建て替えへの助成、がけ擁壁への助成の抜本的拡大を明記し、建築物等の耐震化の促進を最優先に取り組むべきと考えますが、ご所見を伺います。また、熊本地震で起こったような震度7の地震が連続して起こった場合や現在の耐震基準の有用性の検証や、隠れた活断層など最新の知見を取り入れていくべきと考えますが、ご所見を伺います。
     第四に、道路整備についてです。現行の都市マスでは将来の都市構造の「軸」として幹線道路整備が位置づけられています。一方、新たに就任した小池都知事は、都知事選中に道路問題に取り組む住民団体からの公開アンケートに回答し、「地域住民の合意、地元区市町村や区市町村議会の動向、自然環境への影響という観点で、優先整備路線に位置付けるかどうか、見直しが必要な路線もある」との認識を示し、大胆な見直しも示唆しています。今回の都市マスの見直しにあたっては、道路整備について、すでに優先整備路線とされている夏目坂通りなどの道路も含め、都市計画道路についても区民目線で見直していく必要があると考えますが、ご所見をお聞かせください。

    (吉住区長) 新宿区都市マスタープランの見直しについてのお尋ねです。
     はじめに、「まちづくり戦略プラン」を策定することの意味と目的、方向性についてです。
     今回策定する「まちづくり戦略プラン」は、都市マスタープランと併せて、新たな「まちづくり長期計画」として策定するものです。都市マスタープランの見直しでも、継承する「将来の都市像」である『暮らしと賑わいの交流創造都市』の着実な実現のため、重点的に推進する取組みを示します。「まちづくり戦略プラン」は、「課題別戦略」と「エリア戦略」で構成します。「課題別戦略」では、区内全域を対象に『防災』と『にぎわい』に関する取組みを、「エリア戦略」では、まちづくりを先導する地区を選定し、地区ごとの課題解決に向けた取組みを示します。「課題別戦略」と「エリア戦略」それぞれの取組みには、ハードとハードを支えるソフトの面から示してまいります。こうした「まちづくり戦略プラン」を含む『まちづくり長期計画』を新宿のまちづくりのロードマップとして、持続的に発展する新宿のまちづくりに取り組んでまいります。
     次に、都市マスタープランの見直しにあたり、「将来の都市像」や「めざす都市の骨格の考え方」、「将来の都市構造」についてのお尋ねです。
     ご指摘の、区民のくらしや住み続けられるまちについては、現在の都市マスタープランの「将来の都市像」である『暮らしと賑わいの交流創造都市』のなかで、実現を目指すまちの一つとして描いており、今回の都市マスタープランの見直しにあたっても継承してまいります。
     「めざす都市の骨格の考え方」や「将来の都市構造」は、「将来の都市像」を実現するために欠かせない都市の施設や機能の基本的な考え方などを示しており、今回の見直しの対象としています。このため、区民のくらしや住み続けられるまちの位置付け等についても、都市計画審議会で検討していただいているところです。
     次に、都市マスタープランにおける住まいについてのお尋ねです。
     現行の都市マスタープラン策定以降の社会情勢などの変化により、待機児童の解消や高齢化の進展に伴う居住の問題、外国人住民の増加など新たな課題が発生していると認識しています。
    このため、都市マスタープランの見直しでは、子育て環境やバリアフリーの対応、外国人への支援等をさらに推進することが必要であることから、「住宅・住環境整備の方針」に、新たな項目として「子ども、障害者、高齢者、外国人等にやさしい暮らしづくり」を追加することにしました。また、次期住宅マスタープランの策定についても、同様な認識のもと、住宅まちづくり審議会において、検討を進めていただいているところです。ご提案については、都市マスタープラン見直しの検討を進めていくうえで、参考とさせていただきます。
     次に、都市マスタープランにおける空き家対策の取組みについてのお尋ねです。
     都市マスタープランの見直しにあたり、増加する空き家への対策については、良好な住環境を形成していくため、「安心して暮らせる住まいづくり」として、都市計画審議会の中で検討していただいているところです。区では現在、「空家等対策計画」の策定に向けて、空き家等の実態調査を行うとともに、関係団体との意見交換などを実施し、空き家の現状や課題の把握と整理を行っています。今後は、都市マスタープランの見直しにおいても、実態調査の結果を踏まえ、「空家等対策計画」と整合を図りながら、実態に即した方針の内容を検討してまいります。
     次に、この10年の震災対策の到達点についてのお尋ねです。
     区民の生命と財産を守るため、建築物等耐震化支援事業を平成16年度から開始し、耐震化の普及啓発と耐震改修への助成に取り組んできました。また、擁壁及びがけ改修等支援事業については、平成21年度から3年間かけて実施した現地点検調査結果を踏まえ、それまでの安全化指導に加え、平成24年度からコンサルタント派遣と改修工事への助成を開始しました。住宅の耐震改修については、平成18年度からの10年間の目標を1,000戸とし、助成を受けて耐震改修したものが1,241戸あります。また、木造住宅で、助成を受けずに耐震改修したものが79件、建替え及び除却を行ったものが101件あることを把握しています。擁壁等については、約3,500箇所の現地点検調査結果に基づく安全化指導等により、助成を受けて改修したものが3件、助成を受けずに改修したものが63件、補修したものが72件となっています。こうしたことから、住宅や擁壁等の耐震化は着実に進んでいるものと評価しています。
     次に、建築物等への助成の抜本的拡大と、耐震化の促進を最優先に取り組むべきとのお尋ねです。
     区は、首都直下地震発生の切迫性が高まる中、スピード感を持って高度防災都市の実現に取り組んでいます。都市マスタープランの見直しにおいても、「災害に強い、逃げないですむ安全なまちづくり」について、建築物や擁壁等の耐震化の更なる促進を、都市計画審議会の中で検討していただいているところです。また、ご指摘のような建築物の除却や建替え及び擁壁等への助成については、他区と比べても手厚い支援制度であるとともに、きめ細かく多様な支援メニューを整備していることから、助成の拡大は現在のところ考えていません。
     次に、熊本地震に伴う現在の耐震基準の検証や地震に関する最新の知見についてのお尋ねです。
     震度7の地震が連続して起きた熊本地震については、国土交通省が「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」を設置しており、今後検証結果を踏まえ、耐震性の確保や向上方策について検討していくとのことです。また、今年6月に、国土交通省が公表した、南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動の影響と対応策などがあり、今後も研究が進められていくとのことです。区としては、こうした地震に関する検証状況や最新の知見について情報収集に努めるとともに、都市マスタープランの見直しにあたっては、国等の動向を注視しながら、策定を進めてまいります。
     次に、優先整備路線を含めた都市計画道路の見直しについてのお尋ねです。
     都市計画道路の整備は、交通ネットワークの形成や通過交通の安全性の向上、歩行者環境の改善、災害時の延焼遮断帯の形成など、都市の骨格や機能の形成に必要不可欠なものです。このことから都市計画道路は着実に整備する必要があるものと考えます。都市マスタープランの見直しにあたり、夏目坂通りなど優先整備路線を含めた、都市計画道路のあり方については、改めて都市計画上の位置付けと整合を図ったうえで、パブリックコメントや地域説明会などにより、広く区民から意見を伺い、策定してまいります。


    (佐藤議員)次に、公共施設等総合管理計画について質問します。
     新宿区は今年3月にまとめた「施設白書」をベースに現在「公共施設等総合管理計画」の策定作業を行っています。計画策定に向けて助言を得るための「有識者会議」を立ち上げ、9月2日の第2回有識者会議には計画の骨子案が示されました。私たちは第2回定例会で施設白書の問題点を指摘しましたが、この間の有識者会議の議論や示されている骨子案、また新宿区と同様に東洋大学PPP研究センター所長の根本祐二教授がかかわって公共施設の計画・方針を策定している神奈川県秦野市と目黒区を視察した結果等をふまえ、以下質問します。
     第1に、人口予測と財政見通しについてです。
     施設白書では、計画をつくる理由として「人口減少・少子高齢化の進展、新宿区の特性である単身化の進行により行政サービスや地域社会全般への影響、公共施設の利用者数や行政需要に変化が生じる・・」ことから、「施設の統廃合や多機能化などにより将来の施設需要への適切な対応が必要」としています。しかし、大前提である新宿区の人口は自治創造研究所の試算によると、2030年まで増加、以降は少しずつ減りますが2060年時点でも2010年より多いのです。一般的に言われている少子化による人口減は新宿区には当てはまりません。この現実から見て行政需要、施設需要はどう「変化」するとお考えなのですか。
     施設白書で示された、施設更新に係る将来予算不足額1年度あたり13億円の算出はあまりにも現実と乖離しています。更新費用試算に用いた総務省ソフトは、改修・建て替えの㎡あたり単価が1種類しかない全国一律の数字であり、地方の町や村と新宿区が同じであるはずがありません。また総務省ソフトは、建設から30年目に大規模改修し60年目に建て替えると仮定したものですが、実際はその間に長寿命化計画に基づいたメンテナンスを行っていることは加味されていません。13億円という数字は全く参考にもならない数字と考えますが区長はどう受け止められていますか。目黒区も今後40年間の更新経費試算を総務省ソフトで行っていますが、同時に今後10年分については区施設課が持っている独自のデータを積み上げた試算も行っています。総務省ソフトによる10年分の試算と比べると約30億円も少ない試算になっています。新宿区も施設課の持っているデータでリアルな試算を行うべきと考えますがいかがでしょうか。
     有識者会議は、現在の全国的な傾向である「人口減、財政難」を前提に、今後も何十年後も当然その傾向が続くのだからこんなに施設を持っていてはダメだ、などと、どこの自治体の話をしているのかと思うような議論に終始しています。しかし、新宿区は先ほど述べたように人口減にはあたらず、財政も2015年度決算を見ると、実質単年度収支は3年連続黒字、歳入総額は過去最高の1991年に次いで2番目に多く、財政調整基金の取り崩しは7年ぶりにゼロとなり大変好調です。区長は現在の新宿区の財政状況をどう捉え、40年50年後の新宿区の姿をどう想定されているのでしょうか。伺います。
     第2に、骨子案の第3章、計画の基本理念と基本方針についてです。
     基本理念は、「次世代に負担を残さず、」をまず冒頭で強調し、その後に「誰もが安全に、快適に利用できる公共施設の管理を実現します」と、当然のことが書かれています。第2回有識者会議では、「40年後に区民から『何でこんな施設あるんだろう』といわれないように」、「50年100年先のことを考えて。将来の区民が困らないように」等々の発言が相次ぎました。「次世代に負担を残さない」をかけ声に、現在そして近い将来の区民は我慢しろと言われているようですが区長はこの点どうお考えですか。
     基本方針はもっとあからさまです。基本方針1「施設からサービスへ発想を切り替える」として、「区民にとって必要なのは施設ではなくサービスです」「必ずしも区が施設を保有しなければならない、身近になければ公共サービスが実現できないということではありません」といい、民間への移管、統廃合、共用化、複合化、多機能化、様々な言い方をしていますが、要するに、区有施設の削減です。骨子案には「施設総量削減目標」という項目があり、まだ数字は入っていませんが、財源不足額を解消するために施設数をいくつ削減するのか、床面積を何㎡削減するのか、素案で書き込まれることになっています。総務省がその数字を求めていることは承知していますが、あまりにも現実的ではない不足額の解消のために、それぞれ目的や特性、歴史的経緯がある区有施設を一律床面積で減らすことを目標にすることは全くナンセンスではないでしょうか。国の意向に沿った計画をつくろうとしていることは明らかであり、区民不在の計画といわざるを得ません。区長はどのようにお考えですか。
     また基本方針2では「効果的・効率的な施設・インフラ等の管理を実現する」として「PPP/PFIの導入」が示されましたが、第2回定例会では「他自治体の導入状況について情報収集し、導入については計画策定の中で慎重に検討」と答弁しました。どちらの自治体の状況を情報収集し、どう慎重に検討したのでしょうか。秦野市では、学校と公民館と消防署を併せた複合施設をPPPで行うとして募集しましたが応募が無く、学校と公民館だけの募集に切り替えたそうです。また、保健センターに郵便局を入れて戸籍謄本や住民票の交付事務も委託し、便利になるとのふれこみでしたが、謄本は本人以外取れないなど、利用者は目標の5分の1程度で、とても成功しているとは言えず、むしろ駐車場不足が深刻化したそうです。こうした事例もふまえてお答え下さい。
     第3に、骨子案の施設類型別基本方針についてです。
     高齢者活動交流施設であることぶき館・地域交流館・シニア活動館と生涯学習館については「特定の世代や活動を目的とした施設からより幅広い区民が利用可能な施設に転換」するとして、まさに本来の目的を投げ捨て、さらにどちらも統廃合を検討することになっています。単なる貸し部屋施設にするおつもりでしょうか。また、地域図書館については「区民の利便性及びIT化の進展をふまえ、あり方と施設総量を検討」とありますが、地域図書館を減らすということでしょうか。今年3月に策定された「新宿区立図書館基本方針」では、6つの方針を掲げ、「区民が集う図書館」「子どもの成長を応援する図書館」など地域図書館は身近に通えることが大前提になっています。気軽に立ち寄り、たくさんの本棚を眺め、本との出会いがある、子どもたちが知りたいことを求めて司書さんの力を借りて「わかった!」を積み重ねる、これが図書館の役割です。根本氏は無人図書館や移動図書館を提唱していますが、IT化が進展して本の貸し借りが家にいながらできれば図書館というハコはいらない、などという考えがあるとしたら、それは新宿区教育委員会の方針と相反する、公的責任を放棄したことになると考えますがいかがでしょうか。今後の地域図書館をどうするのかも合わせて区長と教育委員会に伺います。
     第4に、骨子案に対する有識者会議で出された意見についてです。
     この骨子案に対し委員は口々に「さらなる削減を」と迫りました。委員長である根本氏は「私案」を示し、区役所本庁舎・分庁舎/地域センター/小学校/中学校だけを区有施設として残し、他の施設はこの4つに集約するか、民間移管か廃止、というとんでもない内容です。根本氏は、区の骨子案に対し、「これ総務省に持って行くと『こんなこと聞いてない、もっと長いスパンでどうするのか』と突き返される」、「地域図書館は学校に入れればいい」、「学校統廃合すぐやれとは言わない、でも同窓生が20人じゃかわいそうでしょ」、「最寄りの郵便局や銀行まで500㍍以内に居住の割合が新宿区は89%、全国平均は51%、こんなに新宿区民は便利だという数字。地方から見るとぜいたくな悩み、これで「施設無くすな」と言ったら浮世離れしたことを言っている、となる」等、総務省の考え方を押しつけ、新宿区と新宿区民に対する暴言を繰り返しました。こうした有識者の意見を取り入れて計画を策定することは許されません。区長と教育委員会はこうした有識者会議での議論をどのように受け止められていますか。
     区は、4名の有識者の選定については各分野からバランスを取って選定したといいますが、増井玲子氏は根本祐二氏が所長を務める東洋大学PPP研究センターのリサーチパートナーですし、千葉商科大学の斎藤香里氏はこれまでも根本氏と一緒に相模原市の公共施設マネジメント検討委員会やさいたま市提案型公民連携制度検討委員会等の委員を務め、小松幸夫氏も建築とはいえ施設のマネジメントが専門で、「公共施設マネジメントハンドブック―「新しくつくる」から「賢くつかう」へ」という本の監修者であり、鎌倉市公共施設再編計画策定委員を務めています。明らかに同じ考えを持つ4人が同じ方向を向いて「削減を!」と大合唱しているのです。しかも「支所がこんなに必要なんですか?」と特別出張所のことを言い、「障害者施設のことはよくわからないけど、学校みたいなものなら民間でもできるんじゃないですか。重度は大変だから東京都にやってもらったら」「都営住宅があるのに何で区営住宅があるんですか?」等々、審議を聞いていると、新宿区のことや行政の制度のことをどれだけわかって議論しているのか、と憤りさえ感じました。事前のレクチャーはしなかったのか、どのような観点で有識者の人選をしたのか、お答え下さい。
     第5に、公共施設の今後のあり方についてです。
     私たちは適正な管理と将来予測も含め区民ニーズに基づく整備が必要と考えます。今足りない認可保育園、学童クラブ、特養ホーム等は増設すべきです。また、メンテナンスをしてもなお老朽化がすすんでいる施設については計画的に建て替えを行うべきです。例えば牛込第一中学校は建設から55年、区内中学校で3番目に古い学校です。大規模改修を行わずつぎはぎの増築を繰り返し老朽化は深刻です。建て替えを行うべきではないでしょうか。
     第6に、区民への周知と合意形成です。
     計画は今年の4月から検討を始め、11月の第3回有識者会議に素案の案が示され、すぐに政策経営会議で素案を決定、12月にはパブコメと地域説明会を行います。区民の財産である施設のあり方について、このような短期間で、有識者の意見と、区内部の検討だけで素案をつくり、策定の最終部分だけ区民に意見を聞くのは区民参加を保障しているとは到底言えません。しかも公共施設等総合管理計画を、2018年度からの新たな総合計画より先につくってしまうと上位計画である総合計画が公共施設等総合管理計画に縛られてしまうのではないでしょうか。公共施設管理計画は今年度で決定せず、少なくとも次期総合計画の検討と合わせて、来年度も区民のみなさんと議論を深めるべきと考えますがいかがでしょうか。 以上、答弁を求めます。

    (吉住区長) 公共施設等総合管理計画についてのお尋ねです。
     はじめに、人口予測と行政需要の変化についてです。
     日本社会全体では人口減少の局面に入っているものの、都心回帰により、現在区の総人口は増加し続けており、2015年の国勢調査結果では33万4千人となっています。しかし、区の将来人口推計では、2030年まで人口増加は続くものの、その後減少する見込みです。
     年齢区分別人口割合をみると2030年からは0歳~14歳までの年少人口と、15歳~64歳の生産年齢人口の割合の低下が目立ち、高齢者人口、特に75歳以上の割合が大きく上昇する見込みです。世帯の種類においても高齢単身者の割合が上昇する見込みとなっており、社会保障関連サービスの需要が大幅に高まることが予測されます。また、新宿区公共施設等総合管理計画策定にかかる有識者会議でも指摘されているとおり、将来的な年少人口の減少に伴い、小中学校の統廃合が必要になることも予測されます。さらに、区民のライフスタイルの多様化・複雑化やICT化の進展なども今後の行政需要に大きな影響を与えると認識しています。
     次に、区有施設にかかる将来更新費用と将来予算不足額についてです。
     公共施設等総合管理計画では、区有施設にかかる将来更新費用を推計し、それに対する予算確保可能額との比較から出た将来予算不足額を踏まえ、それを解消するための対策を講じることが必要です。将来更新費用の推計にあたっては、区独自で推計するのではなく、各自治体間の比較ができることを重視し、総務省が推奨している公共施設等更新費用試算ソフトを用いており、現在の規模の施設を今後も維持していくと仮定した場合の将来更新費用を把握しました。また、予算確保可能額は、社会経済状況等の様々な変動要因がある中で、国から直近5か年度の平均が適当であることが示されたことから、最近5年間に支出した普通建設事業費の平均額を用いたところです。将来予算不足額は、仮定条件を当てはめて推計した予測数値ですが、公共施設等総合管理計画では、将来の不足額にどのように対応していくのかという視点が重要であるため、一つの指標として捉えています。
     次に、現在の区の財政状況についてのお尋ねです。
     27年度決算では、一般財源収入の増により、財政調整基金からの繰り入れを行わず10億円を皆減し、また各種特定目的基金からの繰入金を23億円圧縮することができました。しかしながら、特別区税などの一般財源は、景気の変動に大きく左右されやすいことから、増収が見込まれるときこそ、積極的に基金へ積立てるなど、将来の経済変動や災害等が発生した時でも、良質な区民サービスを提供できるよう備えることが重要であると考えています。我が国の経済は足踏み状態が続き、また、さらなる税源偏在の是正措置による影響が危惧されるなど、区財政を取り巻く環境は、依然として先行き不透明な状況にあります。こうした中、子育て世代、高齢者や生活困窮者などへの支援、高度防災都市化に向けた災害に強いまちづくりや更新時期を迎える区有施設への対応など、増大する行政需要に的確に対応する必要があります。今後の財政運営については、区政運営を支え、着実に必要な施策を展開するために、区民視点で、引き続き、不断の行財政改革に徹底して取り組む必要があると認識しております。
     次に、40年50年後の区の姿をどう想定しているかについてです。
     区の人口予測でもふれましたが、区の将来人口は、2030年まで増加しその後減少する見込みです。また、年少人口と生産年齢人口は2030年~35年頃から減少過程に入り、高齢者人口が大きく増加していくことが想定されています。一方、区民意識を見ますと、これからも新宿区に住み続けたいという人は8割以上で、区民の居住意向は高く、通勤・通学など交通の便の良さ、買い物のしやすさ、医療機関が多いといった生活の便利さを新宿区の暮らしやすさにあげている人が多くなっています。また、現在子どものいない18歳~39歳の若者の8割以上が「子どもを持ちたい」と回答しています。こうした区民意識も踏まえ、区は、平成27年度に「新宿区人口ビジョン・総合戦略」を策定し、区の目指すべき将来の方向性を示したところです。方向性の一つは、若い世代が安心して子育てをすることができるまちです。子育てしやすい環境の下、出生率が向上することで、将来の少子高齢化による年齢構成のバランス変化が緩やかなものとなり、持続可能なまちとなることを展望しています。
     もう一つは、「新宿」の強みを活かし、誰もが住みたい、住み続けたいと思えるまちです。多様性、賑わい、文化・歴史といった新宿区の魅力を発信し、誰もが新宿区に住みたい、住み続けたいと思えるまちとなることを展望しています。しかしながら、人口減少・少子高齢化の進展や区の特徴である単身化の進行により行政サービスや地域社会全般への影響が想定されることから将来に渡り区としての適切な対応が求められると認識しています。
     次に、公共施設等総合管理計画骨子案の基本理念についてです。
     公共施設等総合管理計画は、区有施設の維持管理・建替・統廃合・長寿命化などを総合的かつ計画的に行うための基本的な方針を定めるものです。施設の耐用年数を考えると、長期的な期間をとらえる必要があります。今後の区の将来展望を見据えた上で、安全な施設利用の確保はもちろん、持続可能な財政運営を確保すると同時に、サービスの質を維持し、高めていくことが重要です。そのため、計画の骨子案では、基本理念として、「次世代に負担を残さず、誰もが安全に快適に利用できる公共施設の管理を実現します」としています。
     次に、基本方針1で示す「施設」から「サービス」へについてです。
     区は、計画策定の参考とするため、施設利用者と一般区民を対象に調査を実施しています。調査の中で、今後の区有施設のあり方の方向について聞いていますが、「同様の機能を持つ施設の統廃合を進める」を実施すべきとする回答は、施設利用者でも56.8%、一般区民では80.2%と高い数値を示しています。一方、「他の行政サービスを削減してでも、現在の施設を維持する」を実施すべきとする回答は、施設利用者でも半数を割る45.3%、一般区民ではわずか22.2%となっています。
     老朽化が進む区有施設すべてを現在と同じ数・規模で建替えることは困難です。こうした調査結果も踏まえ、「施設」から「サービス」へ発想を切り替え、施設の複合化や共用化、民間サービスの活用など様々な方法を検討し、区民にとって必要なサービスの質の維持・向上を図ってまいります。
     次に、基本方針2に示すPPP/PFIの導入についてのお尋ねです。
     公共施設の整備におけるPPP/PFIの導入に関しては、既に国から、一定規模以上の事業では、PPP/PFIの導入を優先的に検討すべきことを要請されています。区では、他区の導入状況について情報収集を行うとともに、国等が主催するPPP/PFI導入の優先的検討に関するセミナーなどにより、他自治体の取組状況についても情報収集を行っているところです。本区においては、国が導入を優先的に検討すべきとしている対象の施設が少ないため、同様な自治体の取組を参考にしながら、必要に応じてPPP/PFIの導入を検討してまいります。
     次に、施設類型別基本方針についてのお尋ねです。
     はじめに、高齢者活動・交流施設と生涯学習館についてです。
     ことぶき館、シニア活動館、地域交流館などの高齢者活動・交流施設は、施設の多くが老朽化しており、供用開始から30年以上経過した施設の割合は、延床面積ベースで81.9%です。
    すべての施設を同規模で建替えることが困難な中、大規模な改修や建替えに際しては、民間によるサービス供給の状況を勘案しながら施設の統廃合を検討していきます。高齢者活動・交流施設については、少子高齢化の進展に伴い地域で必要となるサービスも変化することから、地域住民による相互の支援活動や、健康づくり・介護予防のための地域拠点化も考えてまいりす。生涯学習館も、老朽化度が非常に高く、30年以上経過している施設の割合は85.3%です。施設の大規模な改修や建替えに際して、他の施設との機能統合を図り、統廃合を検討していきます。このように、世代別、目的別施設から転換したり、または機能統合することにより、サービスの維持・向上に努めてまいります。
     次に、地域図書館についてです。
     現在、区立図書館全体では老朽化度が比較的高く、供用開始後30年以上経過した図書館の割合は、69.0%となっています。今後、維持管理・改修費用が増大することが予測される中、地域図書館の大規模な改修や建替えに際しては、行政需要、地域需要、財政状況などを総合的に勘案し、施設の総量について検討していく必要があると考えています。
     教育委員会へのご質問にお答えします。
     はじめに、今後の地域図書館のあり方についてです。
    区立図書館は区民の教育と文化の発展に寄与するため、図書館資料の収集と提供、参考調査や読書案内等の支援サービス、講座講習会等の集会行事サービスなど地域社会の知識基盤としての役割を果たしています。一方、電子書籍などの非来館型のサービスへのニーズやインターネットでの図書館資料の検索及び予約等の利用の増大など利便性へのニーズも高まっています。新宿区立図書館は、来年3月に開設予定の下落合図書館を含めると11館1分室のネットワークで区内全域をカバーしていますが、老朽化の進行が課題となっています。IT化ですべての図書館サービスを代替えすることはできませんが、将来、地域図書館の大規模な改修や建て替えの際に、新宿区立図書館基本方針や公共施設等総合管理計画を踏まえて、地域図書館のあり方を検討していきます。
     次に、有識者会議の議論をどう受け止めているかについてです。
     教育委員会では、平成24年3月に策定した適正規模・適正配置等に関する方針や、平成27年10月に策定した「区立幼稚園のあり方の見直し方針」に基づき、新宿の子どもたちにとってより良い教育環境の確保に努めています。また、区立図書館については、「新宿区立図書館基本方針」に基づき、区民にやさしい知の拠点を使命とした様々なサービスの向上に取り組んでいます。
     教育委員会としては、これらの方針を踏まえ、今後もより良い教育環境の整備に努めるとともに、有識者会議での議論についても、区有施設マネジメントに必要な長期的な視点でのご意見として受け止めております。
     次に、牛込第一中学校の建て替えに関するお尋ねです。
     ご指摘のとおり、牛込第一中学校については増築を繰り返し老朽化しているのは認識しています。また、昭和40年以前に建設された小中学校は39校中19校と48.7%を占めています。そのため、公共施設等総合管理計画が策定された後、教育委員会として、将来の児童生徒数の動向に留意しつつ、施設の耐用年数や設備状況を踏まえ建替えや複合化の可能性を含めて総合的に検討してまいります。
     次に、公共施設等総合管理計画への区民参加についてです。
     公共施設等総合管理計画の策定にあたっては、区民との情報共有や合意形成を行いながら進めることが重要です。区では、施設白書で明らかになった区有施設にかかる現状と課題を区民の方と共有するため、公共施設フォーラムを開催しました。また、区政モニター第1回会議でモニターの皆様からご意見をいただいたほか、新総合計画策定のための区民討議会のテーマの1つとして設定しご意見をいただきました。昨年度、区は、計画策定の参考とするため、区民意識調査の中で、区有施設のあり方に関する意識を調査したところですが、今年度は、区有施設の利用者を対象としたアンケート調査を実施しています。今後は、本年11月に公共施設等総合管理計画の素案を作成し、10か所の地域説明会及びパブリック・コメントで幅広く区民の方のご意見を伺った上で、今年度末に計画を策定してまいります。
     次に、公共施設等総合管理計画と新総合計画との関係についてです。
     今年度策定する公共施設等総合管理計画は、区有施設等の総合的かつ計画的な管理に関する基本的な方針を定めるものであり、区のまちづくりに関する最上位計画である新総合計画と連動し整合性を図るものと考えています。公共施設等総合管理計画に基づく具体的な個別施設の検討は、新総合計画に定められる施策の方向性に沿って行い、その検討結果は新総合計画の下に位置づけられる新実行計画に反映させていくこととしています。


    (佐藤議員)次に、障害者施策の充実について質問します。
     7月26日、相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で19人の入所者の命が奪われ、職員を含む27人が重軽傷を負う衝撃的な事件が起きました。そして8月15日には、東京メトロ・銀座線の青山一丁目駅ホームで盲導犬を連れた視覚障害者が線路に転落し、電車にはねられて亡くなるという事故が起きました。亡くなられた方とご家族に心からお悔やみを申し上げるとともに、負傷された方の一日も早い回復を願ってやみません。二度とこのような事件や事故が起きないよう社会全体で取り組むことが必要です。
     「津久井やまゆり園」の事件の翌日、全国手をつなぐ育成会が「障害のあるみなさんへ」というメッセージで「障害があるからといって 誰かに傷つけられたりすることは、あってはならないこと」と、発信しました。事件の容疑者は、「障害者はいなくなればいい」と言っていわゆる優生思想的発言を繰り返していると報じられていますが、人の命は等しく尊いものであり、人の命の価値をはかり優劣をつけることは許されません。
     事件発生以降、安倍首相からは、事件の究明や再発防止策については言及があっても、事件の根底にある優生思想や障害者差別は間違っていると明確に発信することはなく、それどころか自民党の山東昭子元参院副議長の発言など障害者差別の助長につながりかねない発言もあり、その後の報道では、容疑者に措置入院歴があったことから「精神障害者による犯行」とのイメージが拡散され精神障害者が「同じように見られやしないか」と不安にさいなまれていると、精神障害者の置かれている厳しい現実を伝えています。区民のみなさんからも、「安倍首相は、優生思想や障害者差別に対して毅然とした態度を表明すべき。」「新宿区長にも明確なメッセージを発信してほしい。」との声が寄せられています。
     第1の質問は、事件を受けての区の対応についてです。
     まず区長に伺いますが、区長は、「津久井やまゆり園」の事件でどのようなことをお感じになったでしょうか。区長自身が優生思想や障害者差別を明確に否定するメッセージを発信すると同時に、安倍首相に対しても求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
     この事件以降、不安になっている障害者のみなさんに対して、精神面でのフォローが必要と思いますが、とりわけ精神障害者のみなさんに対しては保健師が面談を行うなどの対応が必要ではないでしょうか。区としてどのような対応をしてきたのか、今後の方針もあわせてお聞かせください。
     第2は、新宿区として障害者差別解消のための条例制定についてです。
     国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法制度の整備の一環として、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」いわゆる「障害者差別解消法」が制定され、今年4月1日施行となり、新宿区としても更なる取り組みが求められている中で今回の事件が起こりました。7月に行われた第1回新宿区障害者施策推進協議会の議論では事件より前でしたが、地域に残っている差別的な意識は地域の取り組みの中で無くしていくことが重要との発言がありました。国立市では「しょうがいしゃがあたりまえに暮らすまち宣言」を行い、八王子市は「障害のある人もない人も共に安心して暮らせる八王子づくり条例」を制定しています。新宿区としても障害者施策推進協議会に諮るなどして障害者差別解消のための条例を制定することを検討してはいかがでしょうか。
     第3は、手話言語法制定に向けた取り組みについてです。
     手話言語法制定を求める意見書は、全国の自治体で採択され、新宿区議会も23区では最後の2014年第4回定例会で採択しました。今年の6月8日に「全国手話言語市区長会」設立総会が開かれ、250の市区長が入会し、61の市区長が総会に出席しています。23区では千代田、港、文京、世田谷、練馬の区長が会員となっていますが、新宿区長も入会し、手話言語法の制定に向けて積極的に国に働きかけるべきと考えますが、区長の手話言語法に対する認識とあわせてお答えください。また、手話言語条例は全国52自治体で制定されていますが、新宿区でも制定に向けて検討してはいかがでしょうか。
     第4は、鉄道駅ホームのホームドア設置を促進することについてです。
     全国に約9500ある駅のうちホームドア設置駅はわずか665駅で、国交省が2020年を目標に優先設置を求めている10万人以上が利用する約250駅では、3割程度の77駅にとどまり、新宿区内駅の整備率も駅で64.3%、列では56.7%です。早急な整備が求められています。JR新宿駅16列のホームすべてが未整備なのをはじめ、15駅45列の未整備ホームに2020年を待つことなく早急にホームドアを設置するよう国や鉄道事業者に働きかけるべきと考えますが、いかがでしょうか。
     第5は、インクルーシブ教育システムの推進についてです。
     「インクルーシブ教育システム」とは、国連「障害者の権利に関する条約」が掲げた障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みのことで、障害のある者が教育制度一般から排除されることなく個人に必要な「合理的配慮」が提供されることが必要だとするものです。文部科学省も2012年に報告書をまとめ、来年度予算の概算要求でもインクルーシブ教育システムの推進として新規で15億2千9百万円を算定しています。
     質問の1つ目は、特別支援教育の充実です。新宿区でも今年度からすべての区立小学校にまなびの教室が開設され、9月1日現在225人が利用しています。中学校の通級指導学級には19人が通っており、まなびの教室と合わせて利用者は244人です。一方で、まなびの教室や通級指導学級利用者以外にも支援の必要なお子さんには特別支援教育推進員が派遣されますが、対象の児童・生徒数は今年9月1日現在小学校276人、中学校26人、小中合わせて302人で、2014年度218人、2015年度は265人、から大幅に増えています。特別支援教育推進員の配置は今年度30人、来年度は32人となる計画ですが、現状は1クラスに対し週2時間程度しか派遣できていないのが実態で、対象者が急増していることを考えれば来年度も2人の増では到底足りません。現在、東京都は中学校へのまなびの教室設置に向けてモデル実施を行っており、本格実施となれば新宿区でも需要が増すことは必至です。この際、各学級担任がどの程度派遣を要望しているのかアンケートを行い、その要望に応えるには推進員が何人必要なのか調査し、それに見合った来年度以降の推進員の増員計画を立てるべきと考えますが、いかがでしょうか。
     2つ目は、療育に対する助成です。様々な障害を持つお子さんが療育を受けることで、より良い生活が送れる可能性が広がります。療育を受けられる施設は、重度重複などのお子さんは都立療育センター、発達障害のお子さんは区の子ども発達センター、また、民間のカウンセリング等に通う方もいます。しかし、療育は健康保険の対象外なので月々数万円の負担をされている方がいる一方で、経済的理由で療育が受けられないお子さんもいます。「合理的配慮」の観点からも、保護者の経済状況によって受けられる障害のある子どもの将来に差が出ることのないよう、少なくとも低所得世帯のお子さんの療育に対しては助成を行うべきと考えますがいかがでしょうか。以上、答弁願います。

    (吉住区長) 障害者施策の充実についてのお尋ねです。
     はじめに、「津久井やまゆり園」の事件を受けての区の対応についてです。
     理由もなく、多くの尊い命が犠牲になったこの事件を耳にした時に、人間が人間を殺害することの残虐さに深い悲しみと驚きを感じました。亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、決して癒えることのないご家族の苦しみを思うと、今でもやりきれない思いで胸が締め付けられます。また、心身に大きな傷を負われた方々が、一日も早く回復されることを心から祈っております。障害の有無に関わらず、全ての人は、かけがえのない存在です。区は、これまでも一人ひとりが大切にされ、安心して生活できる地域社会の構築を目指し、障害者差別解消に積極的に取り組んでまいりました。障害者が尊厳を持って生活できる地域社会の実現に向け区長として取り組む決意をしっかりとお示しします。国や都に対しても、さらなる障害者理解の促進と障害者差別解消の推進を求めていきます。
     次に、この事件以降、不安になっている障害者に対する区の対応と今後の方針についてのお尋ねです。
     区では、事件後すぐに障害者福祉施設に対して安全管理の徹底と、必要に応じて利用者・職員へ精神面の支援を行うよう要請いたしました。また、8月に行われた障害者団体との懇談会においては、私が直接関係団体の方々へ、これからも安心して施設を利用していただけるよう努めてまいりたいとお話ししたところです。さらに、窓口相談や訪問時には、担当保健師や担当ケースワーカーが、障害者やその家族の精神面について、十分に配慮し、不安を少しでも解消できるよう対応しています。今後も区が開催する障害者施策関係の会議や事業者、施設利用者・保護者との懇談会等の機会を通じて課題や情報の共有を図りつつ、障害者の人権を守り、安心して暮らせる環境整備に努めてまいります。
     次に、障害者差別解消のための条例制定についてのお尋ねです。
     障害者差別解消法の施行により、理念が共有化され、国、自治体、事業者の取り組むべきことが明確になり、既に様々な取り組みが行われていることから、区独自の条例制定は考えておりません。区では、障害を理由とする差別の解消を推進するために職員が適切に対応できるよう、職員対応要領を策定し、取り組んでいます。また、今年5月には障害者差別解消支援地域協議会を立ち上げ、10月には、情報の共有や相互の情報交換を行い、地域の関係機関のネットワーク化を進めてまいります。また、障害者差別解消についてわかりやすく説明したチラシを作成し、区が実施するイベント等で配布する等、周知を行っていきます。こうした取り組みを通じ、障害者差別の解消の推進を着実に進めてまいります。 
     次に、手話言語法制定に向けた取り組みについてのお尋ねです。
     手話は音声言語と対等な言語であり、聴覚障害者の方同士や聴覚障害者以外の方との相互のコミュニケーションを図るための重要な手段であります。そうした認識のもと、区では、全国手話言語市区長会の設立総会に担当職員を派遣するなど、各自治体の取り組みや、国の手話言語法制定に向けた情報を収集しています。市区長会の入会については検討中ですが、手話言語法が早期に制定されるよう、国に対して働きかけてまいります。
     次に、新宿区における手話言語条例の制定に向けた検討についてのお尋ねです。
     区では手話を言語として普及、研究することのできる環境を作るためには、自治体間で格差が生じないよう国として法整備を行うことが重要と捉えており、条例を制定することは考えていません。区はこれまでも手話言語の普及啓発として、手話の研修・講習会の開催、手話通訳者の育成や聴覚障害者交流コーナーを設置する等の取り組みを行ってきました。今後も手話を言語として使いやすい環境の整備に努め、手話を使用して豊かな生活を営むことができるよう、こうした取り組みを充実させていきます。
     次に、鉄道駅のホームドア設置を促進することについてのお尋ねです。
     ホームドアは、障害を持つ方だけでなく、誰にとっても、安全確保のために極めて有効な施設です。このため、区は、鉄道事業者に対しては、ホームドア設置に係る意向調査を行うとともに、早急に設置するよう働きかけているところです。ご指摘のとおり、現在、ホームドアについては、区内42駅の内、15駅45列が未設置となっています。国や都は、一日の利用者数が10万人以上の駅を優先し補助対象としていることから、区も、利用者数10万人以上の駅で、来年度からの本格的な補助の実施を検討してまいります。
     区としては、駅の利用者数の多寡にかかわらず全ての駅でホームドアを設置すべきと考えており、今後、国や都に対しては、利用者数が10万人未満の駅でも同様に補助が受けられるよう、他区と連携を図りながら要望してまいります。
     教育委員会へのご質問にお答えします。
     インクルーシブ教育の推進についてのお尋ねです。
     ご指摘の通り、特別支援教育推進員の派遣対象の児童数は、年々増加しています。推進員の派遣は、保護者の希望に基づき、各学校が必要性を判断して申請しますが、対象児童の中には常に隣にいて指導しなければならない児童もいれば、ほんの少し声掛けするだけで良い児童もおり、推進員の果たすべき役割や関わり方、支援が必要な時間も様々です。
     一方、今年度からまなびの教室の開設に伴い、各小学校に「特別支援教育専門員」1名が新たに配属されました。この専門員は、まなびの教室の運営に携わるのが主な業務ですが、まなびの教室が開催されない週3日間程度は学校内の他の児童の支援にあたることができ、現在も特別支援教育推進員と協力しながら、児童への対応にあたっています。このような状況を踏まえ、平成29年度は特別支援教育推進員を予定どおりに増員しながら特別支援教育専門員との連携を強化し、学校等の意見も聴取しながらその効果を検証したうえで、必要に応じて適切な支援体制を検討していきたいと考えています。
     次に、療育に対して助成を行うべきというお尋ねです。
     障害のある子ども達が、豊かに成長し、発達をするためには、適切な時期に適切な療育を受けることが大切であると考えています。療育は、子どもの個別の状況に応じて行われるもので、医療保険制度によるデイケアや児童福祉法に基づく児童発達支援・放課後等デイサービスなど多様な制度と手法によって取り組まれています。 区では、医療保険制度によるものについては、子ども医療費助成により自己負担はなく、また児童福祉法のサービスについても、自己負担1割のところ3%の自己負担となるよう軽減策を実施しています。そのため、医療保険や児童福祉法のサービスに該当しない療育プログラムについては、費用助成を考えておりません。

    区議会活動 | 佐藤佳一

    2016.12.01 更新

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