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    2017年第2回定例会 代表質問

    6月13日の本会議で、雨宮たけひこ議員が以下の項目について代表質問を行いました。

    1.保育園と学童クラブの待機児童解消策について 【区長】
    2. 新宿区内事業者の支援策について 【区長】
    3. 住宅施策について 【区長】
    4. まちづくり戦略プラン「エリア戦略」について 【区長】
    5. 教員の多忙解消と、中学校の部活動に対する支援について 【教育委員会】

     

     

    ◆38番(雨宮武彦) 日本共産党の雨宮武彦です。会派を代表して区長並びに教育委員会に質問します。
     この間のミサイル発射を繰り返す北朝鮮の行為は、国連安保決議、6カ国協議の共同声明、日朝平壌宣言にも違反する暴挙であり、厳しく抗議をするものです。国連安保理決議に基づく経済制裁の全面実施・強化や外交交渉によって、北朝鮮に非核化を迫るべきです。日朝平壌宣言の当事者である日本は、対話による解決の先頭に立つべきであり、関係各国と力を合わせることを求めるものです。
     さて、日経電子版6月1日付は、インターネットの世論調査の結果、内閣支持率が26.7%で、前回調査から25.4ポイント激減したと報じ、「加計学園」問題で政府に不満を持つ多くの人が回答に応じたため、異例の低支持率につながったのではと分析しています。森友学園問題に続き、安倍首相の「腹心の友」が理事長を務める加計学園問題でも、内閣府、首相補佐官、内閣官房参与の3ルートから文科省に圧力がかかった疑惑が明るみに出ました。野党は、関係者の国会証人喚問を求めていますが、政府はまともな理由も示さずこれを拒否しています。
     人の意見に耳を貸さず暴走するという点では、共謀罪法案の国会審議もそうです。憲法第19条で不可侵とされている国民の内心を処罰する、一般の国民が対象で、「テロ対策」ではないことが明らかになりました。国連の人権問題の特別報告者からも、「プライバシーと表現の自由への過度の制限になる」との強い懸念と質問の書簡が送られても、ただ抗議するだけ、質問には答えません。金田法務大臣の答弁は破綻しているのに、衆議院では数の力で強行採決しました。こうした安倍内閣の問答無用の国会運営が、そんたく政治と言われる恐怖政治の背景にあるのではないでしょうか。
     その安倍首相は、5月3日の憲法記念日に、憲法第9条に自衛隊を明記する改憲を行い、2020年に施行すると宣言しました。これまでの自民党改憲草案は、第9条第2項の国防軍をつくるとしていましたが、安倍首相の改憲案は、2項はそのままで、3項で自衛隊を明記するというものです。これは、第9条第2項の戦力不保持を死文化させ、無制限に海外での武力行使に道を開くものです。日本共産党は、安倍内閣による憲法第99条の公務員の憲法擁護尊重義務違反と国政私物化、戦争への道をストップさせるため、他の野党とも共同して全力をあげます。
     都政では、小池都知事が豊洲新市場の無害化は達成できなかったと議会で謝罪しながら、市場をどこにするかは明言しませんでした。汚染対策に860億円かけても無害化できず、深刻な汚染が残る豊洲新市場への移転はきっぱり中止し、築地で再整備すべきです。7月2日投票の東京都議会議員選挙は、この一連の問題やくらし、福祉を争点に闘われますが、日本共産党は政策を正面から訴えて頑張る決意を申し上げ、以下、質問に入ります。
     最初に、保育園と学童クラブの待機児童解消策について質問します。
     新宿区のことし4月1日現在の待機児童数は、新定義で27名で前年比マイナス31名、旧定義では178名で前年比マイナス104名でした。5月1日に下落合そらいろ保育園がオープンしましたが、待機児童は36人とふえています。豊島区は、この3年間で私立認可保育園を26園、1,800名分整備して、ことし4月、国の定義で待機児童がゼロになったと報道され、千代田区も昨年に続きゼロです。
     最初に、ことし春の待機児童の現状について区長の自己評価を伺います。
     認可保育園に入れず待機しているのにカウントされないかくれ待機児童に批判が集まる中、国は、待機児童の新しい定義について、ことし3月30日に検討を取りまとめました。国の新定義で新宿区の状況を分析すると、育休中の人と求職活動休止の人は、どちらも該当がゼロですが、聞き取りした上でカウントするかどうか判断する特定保育所希望者は70名程度、カウントされない地方単独施策利用者は83名で、内訳は、認証保育所利用者51名、定期利用保育利用者27名、今年度から都の基準を満たした施設に補助金が出るようになったベビーホテル利用者は5名とのことです。
     かくれ待機児童がかなり減少したことは評価しますが、希望する全ての児童の保育所入所を保証するのは自治体の責務です。特定の保育所希望の70名ですが、空きがあるのに利用しないというならいざ知らず、ゼロ、1、2歳児は定員いっぱいの状態なのですから、待機児童にカウントしないことは納得できません。
     また、定期利用保育は、37名の利用中、週5日利用が26名、4日利用が4名で、かつ一年を通して利用しているとのことですから、保育所入所の必要度が高い児童です。国の集計方法のいかんにかかわらず、新宿区としては、これら新定義でカウントされないかくれ待機児童も入所できるように認可保育園を増設すべきだと考えますが、いかがですか。
     区は、今年度当初予算で認可保育園8園、保育ルームから認可園へ移行が1園、地域型保育所2所、定員数で681名分をふやす計画です。この間、もっぱら賃貸物件を活用し私立認可保育園を整備してきましたが、物件や保育士確保などと困難な課題がある中、事業者が確実に手を挙げ、オープンまでこぎ着けられるかどうかなど、計画の進捗状況や見通しをお答えください。
     5月31日、政府は、待機児解消の時期を3年先延ばしする旨発表しましたが、達成時期を今になって勝手に先送りする政府と足並みをそろえる必要は全くなく、新宿区は来年4月の待機児童ゼロの目標を堅持し、必要があれば年度途中で補正予算を組んで実現すべきと考えますが、2018年4月に待機児をゼロにする見通しと決意をあわせて伺います。
     4月20日、小池知事が国の国家戦略特区の会議で、オフィスビルの事務室を保育室に転用しやすくするため、保育所の採光に関する建築基準法の規制を緩和するよう提案したと報道されています。保育室は床面積の5分の1以上の大きさの採光が必要ですが、隣り合う複数の部屋を一室とみなし、全体として必要な採光面積が確保できれば、窓のない部屋も保育室として使えるようにするというものです。区がこの間整備してきた賃貸物件を活用した私立認可園の中には、窓はあっても閉め切ったままで、外気と遮断されている施設もありますが、乳幼児を育む施設で窓がないというのは論外です。新宿区も国家戦略特区内に含まれますが、仮に規制が緩和されたとしても、こんな劣悪な環境の保育所を区内で整備すべきではないと考えますが、区長の見解を伺います。
     また、民有地を保育園として活用すれば固定資産税を免除する東京都の新たな支援策も活用し、子どもたちが外気に触れられる園庭のある保育園を整備すべきと考えますが、いかがですか。
     待機児童解消を民間事業者に依存するだけでなく、区みずからも区立保育園をふやすべきです。北区は、私立認可保育園をふやすとともに、1、2歳の低年齢を受け入れる区直営の「つぼみ保育園」をふやして、ことしも4所、179名分、区立で整備しました。新設園や退職補充等のために80名の公務員保育士を募集したところ、応募は500名以上殺到したとのことで、区立にすれば保育人材の確保も不安がありません。新宿区も区立園をふやして待機児童ゼロにすべきと考えますが、区長の見解を伺います。
     学童クラブの待機児童についても伺います。
     4月1日現在、定員1,485名に対して登録人数は1,671名で、昨年を61名上回りました。学童クラブの待機児童は、戸塚第二小学校内と西落合で7名、子ども総合相談センター6名など、12施設で1年生から3年生で定員がいっぱいのため、4年生から6年生の受け入れができない児童数が46名とあり、昨年比で15名増加しています。登録数が定員オーバーしている館は、昨年の17館をさらに上回り22館で、7割以上の館がオーバーしています。しかも1.5倍程度以上オーバーの館は本塩町、中町、早稲田南、上落合、中井の5館もあり、これらの館は4年生以上はほとんど利用できません。定員にゆとりがある学童は4年生以上も利用可能なのに、エリアによって利用できないところもあるのは公平性を欠くのではありませんか。区長は、その点についてどのようにお考えですか。
     保育園の待機児童を解消した千代田区、豊島区では、学童保育も待機児童はゼロと聞きました。豊島区は公設公営でスキップという児童施設を維持し、その中に学童クラブ専用室を確保しており、区直営で運営しています。両区とも毎年利用希望者が増加しており、施設のスペースを拡大するなどして対応し、待機児童を出さないと話しておられました。目黒区は、今年度予算で区立1カ所、私立2カ所、学童クラブを増設することで学童クラブの要望に応えています。一方、新宿区は、学童クラブ増設の要望は聞き入れず、学童クラブ機能付き放課後子どもクラブをふやしてきました。今年度、「ひろばプラス」実施小学校を20校にふやしても、学童クラブ希望者はふえています。この議論は何年もしてきましたが、「ひろばプラス」でお茶を濁しても学童クラブのかわりにはならないことは歴然としています。保護者の要望は、あくまで学童クラブだということを受けとめ、増設に踏み出すべきです。区長の見解をお聞かせください。

     

     

    ◎区長(吉住健一) 雨宮議員の御質問にお答えします。
     保育園と学童クラブの待機児童解消策についてのお尋ねです。
     初めに、ことし春の待機児童の現状に対する自己評価についてです。
     平成29年4月の入園申込者数は、昨年と比較して約130名ふえましたが、待機児童数は31名の減となり、一層の改善を図ることができました。これは、賃貸物件を活用した認可保育所の整備に加え、空き保育室型定期利用保育の試行など、保護者の就労等の状況に応じた保育定員を確保した成果と考えています。しかし、待機児童がなお27名いることを踏まえ、就学前児童人口の推移を見きわめながら、引き続き保育定員の確保に取り組み、保育園を希望する方が全て入園できるよう努めてまいります。
     次に、国の定義で待機児童とみなされない利用希望者も入所できるように、認可保育園を増設することについてです。
     区では、特定の保育所を希望している保護者について、自宅から通える範囲の保育園等にあきがある場合に待機児童から除いています。また、平成29年4月1日現在で定期利用保育を週5日利用する保護者の大半は、就労時間が8時30分から17時までの保育時間内におさまる方ですが、中にはもともと保育園等を申し込んでいない方もいます。区は、こうした利用実績を踏まえながら、引き続き保育ニーズに応じた保育所等の整備を進めていきます。
     次に、賃貸物件を活用した保育所整備の進捗状況や見通しについてのお尋ねです。
     今年度は東南地域1カ所、中央地域1カ所、西北地域4カ所の開設を目指しています。そのうち西北地域の2カ所については事業者決定を行い、東京都に計画承認申請を提出したところです。その他の案件についても事業者からの問い合わせを受けており、募集要件の内容を初め、宿舎借り上げ支援事業や保育士等キャリアアップ補助金等、保育人材の確保に有効な制度の案内をするなど、相談に対応しています。
     事業者の提案に迅速に対応しながら、確実に保育所を開設できるよう整備を推進してまいります。
     次に、来年4月の待機児童ゼロの実現についてのお尋ねです。
     区では、子ども・子育て支援事業計画を毎年見直しする中で、新宿自治創造研究所による人口推計や住民登録者数、認可保育所の申し込み実績等を活用し、「保育の量の見込み」である保育需要を算出しています。今年度は、この計画に基づき681名の定員拡大を行います。
     賃貸物件の活用を初めとする多様な手法により保育所の整備を着実に進め、従来からの計画どおり、平成30年4月の待機児童ゼロを目指してまいります。
     次に、規制緩和された場合の保育所整備についてです。
     子どもの健やかな育ちのためには、良好な保育環境の確保がとても大切だと認識しています。これまでどおり、事業者から提案された内容について、東京都の認可基準への適合性を確認するだけでなく、望ましい保育環境になるよう誘導していきます。
     次に、固定資産税を免除する東京都の支援策を活用した園庭のある保育園整備についてです。
     今年度も待機児童解消に機動的な対応をするため、賃貸物件を活用した整備を中心に行っています。この整備手法は、事業者が参入しやすく、保育需要の変化に柔軟に対応できるメリットがあります。この手法においても、外気に触れられるベランダや屋上などで夏の水遊びができる場所の確保を求めるなど、子どもたちが健やかに育つ環境整備に努めています。したがって、今後も賃貸物件の活用による整備を中心に行いますが、国や東京都の施策に注視して、有効な制度の活用も検討していきます。
     次に、区立園もふやして待機児童ゼロにすることについてです。
     区では、大木戸子ども園を初め、区立園においても定員拡大を行うほか、認証保育所の認可化や賃貸物件の活用などによる私立保育所を整備し、保育定員の確保に努めてきました。特に賃貸物件を活用する手法は、機動的に待機児童解消を図るという点で高い効果があると考えています。
     区は、今後も保育の質と人材の確保にも取り組みながら、民間事業者の活用を中心に保育所整備を進め、待機児童ゼロを目指してまいります。
     次に、学童クラブの待機児童についてのお尋ねです。
     区では、低学年及び障害等のある児童は全員受け入れつつ、4年生以上の児童は定員を上回った場合は待機としています。そのため、待機が予測される学童クラブの近隣の小学校で学童クラブ機能付き放課後子どもひろば「ひろばプラス」を実施するとともに、学童クラブの学校休業期間利用など、新たな選択肢をふやしています。平成29年度は、「ひろばプラス」を16所から20所に拡大したところ、区立学童クラブの待機児童の8割を超える児童が「ひろばプラス」や学校休業期間の学童クラブを利用しています。
     学童クラブは、保護者にかわって子どもを保護・育成する機能を持っています。「ひろばプラス」は、学校施設を活用し、遊びと学びの支援を行う放課後子どもひろばの特徴を活かしながら、おやつや出欠管理、連絡帳等、学童クラブで行っている保護機能を付加した事業です。両事業とも利用者アンケートで高い評価を得ており、子どもの成長段階や保護者の状況等に応じた多様な選択肢を提供することが大切であると考えています。
     今年度は、地域の学童クラブ需要を踏まえ、北山伏学童クラブの定員を20名拡大いたしました。今後も、定員を大きく上回る学童クラブについては、出席予定児童数の状況も見ながら、児童館内に優先的に利用できるスペースを確保することを考えていますが、必要な地域では学童クラブの確保方策も検討してまいります。

     

     

    ◆38番(雨宮武彦) 次に、新宿区内事業者の支援策について質問します。
     最初に、2016年度「新宿区産業と企業等の事業活動に関する調査」と、次期「新宿区産業振興プラン」の具体化について伺います。
     現在新宿区は、2018年度から2027年の10年間を見通す「新宿区産業振興プラン」の策定を進めています。これに先立つ2016年度「新宿区産業と企業等の事業活動に関する調査」、以下「調査」では、新宿区内の事業者の実情や悩みが浮き彫りとなる報告書がまとめられました。自社の「商品・製品・サービスの品質が高い」と答える一方で、「広告・宣伝・情報発信力」に課題があると認識していること、「事業継承」に多くの中小業者が悩みを抱えていることも印象的でした。区長は、この調査結果をどう捉えているのか。現在策定中の「産業振興プラン」と第一次実行計画にどう具体化されるお考えか、御所見を伺います。
     「調査」では、「広告・宣伝・情報発信力」、「事業継承」の課題が明らかになりましたが、以下、具体的に伺います。
     第1に、「広告・宣伝・情報発信力」についてです。
     新宿区商店会連合会が運営するホームページ「新宿ルーペ」は、加盟する店舗の紹介をするページで構成されており、NPO法人の協働提案事業として区が財政支援を行っています。「新宿ルーペ」は、4月のアクセス数は1万1,413件とのことで、「新宿ルーペ」の取り組みは評価するものですが、アクセス数や、ホームページそのものの魅力が物足りないという声もあります。「新宿ルーペ」は、協働提案事業者として残り1年となりましたが、現時点で区長はどのように評価されているか、アクセス解析の分析を含めお聞かせください。商店会連合会とよく相談し、協働提案事業から区の本格事業として発展させ、コンテンツの充実、個々の店舗のホームページ充実を含め、さらに魅力あるものとすべきと考えますが、いかがでしょうか。
     充実したホームページを必要としているのは商店だけではありません。さらに一歩進んで、「商品・製品・サービスの品質が高い」と認識している個々の事業者に対し、ホームページ作成を初めとする支援を行うことは喫緊の課題と言えます。23区でも豊島区、中央区、足立区、江戸川区、北区、江東区、台東区、練馬区が、個々の事業者のホームページ作成の助成金、作成支援を行っています。また、飲食店については、東京都多言語メニュー支援ウェブサイト「EAT 東京」を運営し、無料で支援を行っています。
     ただ、これも飲食店に限った課題ではありません。台東区では、外国人への販路拡大、情報発信を目的に、初めて外国語ホームページを開設する場合、作成及び開設にかかる初動期の費用を一部助成することも行っています。
     東京2020オリンピック・パラリンピックに向け、訪日外国人がふえることは商機の課題とも捉え、区として支援が求められています。その支援が、既存事業者はもとより、起業を目指す方の背中を押し、新宿区の産業の集積と経済の活性化を生むのではないでしょうか。個々の事業者に対し、外国語ホームページ作成を含めたホームページ作成支援を抜本的に強めるべきと考えますが、御所見を伺います。
     その際、ホームページの内容や技術的支援のため、この間、連携を深めている区内大学のみならず、新宿区内には全国最多の専門学校がありますから、そうした資源も活用し、連携を進めてはいかがでしょうか。新宿の産業や国際観光都市としての魅力を多くの方に知っていただくために、ホームページなどで情報発信をすると同時に、体感できる場の提供が大切です。
     「新宿産業観光フェア2016~しんじゅく逸品マルシェ」が、昨年11月13日、14日、新宿駅西口広場のイベントコーナーで開催されました。区内企業や関係団体による自慢の逸品販売のほか、新宿の見どころも紹介する観光コーナー、染色や印刷技術などの体験コーナーなど、非常に有意義なものでした。新宿を訪れた方が新宿の物産に触れ、買っていただける場を常時提供するため、関係団体、新宿観光振興協会とも連携し、例えば他県のアンテナショップのようなイメージで、(仮)新宿アンテナショップを開設してはいかがでしょうか。第一歩としては、「しんじゅく逸品マルシェ」の年複数回の開催、区役所1階や地下1階の一部のスペースを利用することから取り組んではいかがでしょうか。御所見を伺います。
     第2に、「事業継承」についてです。
     区発行の商店会情報誌「新宿商人」では、実際に事業継承した方のインタビューを毎回掲載し、問題意識を感じます。「調査」では、代表者が70歳を超える企業が約3割と経営者の高齢化が進み、廃業を予定している企業は14.4%に上ります。後継者候補がいる場合でも、企業存続に対しての意識が薄いといいます。廃業予定のうち、3割の企業は「業績がよい」と答えていますので、後継者さえいれば事業継続は可能です。国の委託事業として東京商工会議所が東京都事業引継ぎ支援センターを開設し、「次世代への事業引き継ぎに関するさまざまな課題解決を支援する公的相談窓口」として、2015年度、2016年度、それぞれ新規相談社数636社、679社、成約件数32件、41件と、比較的大きい企業で実績を上げています。
     ここで注目したいのは静岡県商工会議所で、国の委託事業として同様な取り組みを行っていますが、個人商店的な小規模事業者を多く手がける「後継者バンク」を立ち上げているのが特徴です。ここには、起業に意欲のある方を募り、2015年度から3年間の積み重ねで5月末現在143人の登録となりました。この間、事業継承者を探し、地元商工会議所に相談した7組の方が成約されています。
     NHKで報じられた旧清水市の乾物屋を継いだ女性起業家の方もその一人です。センターの次長にお話を伺いました。「せっかくの事業を自分の代で終わらせるのはもったいないが、後継者がいないという悩みは多い。どこに相談に行けばいいか悩んでいる方をどうすくい上げるか。情報は、税理士、会計士、金融機関が持っている。金融機関も融資先がどうなるか心配しており、新規顧客の開拓、地元経済の活性化にもつながる」とのお話でした。
     区の「調査」で課題となった、「事業継承」したい経営者と、意欲ある起業家を支援するため、東京都事業引継ぎ支援センターと連携を強めてはいかがでしょうか。また、高田馬場創業支援センターの体制を充実させ、「後継者バンク」をつくるなど、後継者候補の育成と、事業継承する意欲のある第三者に事業を譲り存続させることを事業の一つの柱とすべきと考えますが、御所見を伺います。
     次に、プレミアムつき商品券についてです。
     現在、スクラッチカードによる「新宿応援セール」が行われており、区民の皆さんに喜ばれています。一昨年度は国の交付金を活用した「地域飲食券」を実施し、産業振興課も「かなり好評だった」と評価しています。ことしの予算特別委員会でも複数の会派から質問があり、区長も一定評価されていましたが、今年度実施の計画はいかがか、国の予算の動向も含め伺います。
     一方、日銀の景況判断、消費動向は3期連続マイナスで、消費は冷え込んだままです。消費拡大は飲食業界に限った課題ではありません。23区中6区が実施しているプレミアムつき商品券を実現すべきと考えますが、区長の御所見を伺います。
     その際、量販店だけに使用が偏らないよう、地元消費分の割合を定め、地域経済の消費喚起に資するようにすること、区商連の負担に配慮し、事務手続からコーディネートまでできる委託業者をプロポーザルで選び、事業を実施してはいかがでしょうか。御所見を伺います。

     

     

    ◎区長(吉住健一) 新宿区内事業者の支援策についてのお尋ねです。
     初めに、「新宿区産業と企業等の事業活動に関する調査」結果と、施策の具体化についてです。
     昨年度実施しました「新宿区産業と企業等の事業活動に関する調査」では、それぞれの企業が抱える課題も多岐にわたっておりましたが、主なものでは経営者の高齢化が進んだこと、将来的に「廃業の予定」とする企業の割合が高いこと、また、「広告・宣伝・情報発信力」や、「人材の育成・確保」などに課題があることが見えてきました。一方で、社会や経済が急速に変化していく中、そうした変化を新たな事業機会と捉え、事業の見直しを行ったことのある企業は比較的経営状況がよいということもわかりました。
     こうした企業の抱える課題への対応と、企業の販路拡大や新たな価値創造への支援をあわせて行うことが、今後の支援では重要であると捉えています。今年度策定する新宿区産業振興プランでは、調査で得られた現状の課題を整理し、今後の環境変化を現時点で想定される範囲で示しながら施策の方向性を定めてまいります。
     また、現在検討中の第一次実行計画では、第三次実行計画から実施している「観光と一体となった産業振興」や「商店街の魅力づくりの推進事業」に加え、こうした企業の新たな事業展開に対する支援策を検討してまいります。
     次に、「広告・宣伝・情報発信力」についてです。
     新宿区商店会連合会の運営する「新宿ルーペ」については、商店街ホームページ活性化事業で協働事業としてNPOに委託をし、内容の充実を図っているところです。この間、個々の店舗の登録数も1,000件を超え、商店街でのイベントの情報や新宿応援セール等の区の事業の情報を掲載することで、ページ別訪問者数も、昨年4月の5,595件と比較して本年4月には1万1,413件と、ほぼ2倍に増加しています。また、新宿区協働事業の評価においても、5段階評価のうち2番目の「B」評価となっています。
     こうしたサイトの魅力は、利用者にとって有益な最新情報が得られるとともに、商店街や個店のPRにつながるものですが、そのためにはサイトの情報更新を適宜行うことが大切です。そのため、区では、協働事業期間の3カ年度で各商店街の基本情報と個店の情報の登録を進め、さらにそれぞれの商店会で更新ができるように支援をしているところです。
     今後は、協働事業終了後も引き続き商店街サポーターの活動などを通じて支援し、魅力あるサイトとして商店会の情報発信に努めてまいります。
     次に、「商品・製品・サービスの品質が高い」と認識している個々の事業者に対するホームページ作成支援についてです。
     区内の中小企業には、高い技術力を背景として高品質の商品・製品・サービスを提供している事業者がたくさんあります。そうした事業者が顧客拡大や販路開拓のために情報発信力を高めることは重要であると認識しています。
     このため、東京商工会議所新宿支部と連携して開催しているビジネス交流会で、「SNSの経営への活用方法とは」と題し、インターネットの最新情報やインスタグラム等の活用方法についての専門家によるセミナーを実施しました。
     また、インターネット上では信頼性や情報発信力が高い公的なポータルサイトに情報を掲載することも効果的であり、中小企業の受発注のマッチングやビジネスパートナーの開拓などを支援する情報ポータルサイト「ビジネスチャンス・ナビ2020」への登録を御案内しています。このサイトは、東京都や東京商工会議所、東京都中小企業団体中央会など多くの関係団体が参加する中小企業世界発信プロジェクト推進協議会が運営しているものです。
     今後は、ホームページの作成を含め、ICT技術を活用した中小企業の情報発信について、大学や専門学校との連携の仕組みや支援の方法等について検討してまいります。
     次に、新宿を訪れた方に、新宿の物産に触れ、買っていただける場を常時提供することについてです。
     昨年11月に初めて開催しました「新宿産業観光フェア2016~しんじゅく逸品マルシェ」には、2日間で約2万人の方が来場する盛況ぶりでした。新宿産業観光フェアの開催に当たっては、会場の確保に加え、御協力いただく出展者にも御負担をおかけすることになりますので、年1回の開催を考えています。
     今後は、常時買っていただける場の開設といった方法ではなく、新宿観光振興協会とも連携しながら、商品とともに新宿区の逸品を扱う店舗を協会ホームページ等で紹介するほか、パンフレット等を作成して、区内事業者の商品・製品を幅広く情報発信し、出展いただいた店舗に多くのお客様を誘導できるよう取り組んでまいります。
     次に、「事業承継」についてです。
     区内企業の経営者の高齢化が進む中、事業を継続したいと考える中小企業にとっては、後継者の確保は重要な課題となります。しかし、親族に事業を引き継ぐ後継者がいない場合などは、第三者による事業承継も選択肢の一つとして考えられます。
     区では、商店会情報誌「新宿商人」に事業承継の事例を掲載し、商店主に情報提供するほか、ものづくり産業の魅力発信を通じてものづくりを志す若者を引きつけるなど、「事業承継」につながるよう支援しているところです。
     御指摘の東京都事業引継ぎ支援センターは、国から委託を受けた東京商工会議所が運営していますが、中小企業のM&A支援経験の豊富な専門家が「第三者への事業の譲渡」の相談に応じ、民間のM&A支援会社への紹介等の支援も行っています。
     高田馬場創業支援センターに「後継者バンク」をつくることは考えておりませんが、今後は、区の支援に加え、東京都事業引継ぎ支援センターとの連携を強めて適切につなぐなど、事業を継続したいと考える中小企業を支援してまいります。
     次に、プレミアムつき商品券についてです。
     新宿区では、商店街における消費拡大を図るため、商店街消費拡大推進事業として「新宿応援セール」を実施しています。ことしで9年目となるこの事業は、商店会や消費者の評判もよく、商店街のキャンペーンとして定着し、新宿区商店会連合会からも継続して実施してほしいと要望されている事業であり、プレミアムつき商品券を実施する予定はありません。
     平成27年度には、国の地域住民生活等緊急支援のための交付金を活用した「初夏の大商業まつり」と「地域飲食応援事業」を実施しましたが、現時点ではこうした国の交付金の情報は把握しておりません。
     今後、こうした交付金事業が実施される場合には、新宿区商店会連合会とも十分に協議しながら、消費拡大に効果のある方法等を検討し、商店街や個店の活性化に取り組んでまいります。

     

     

    ◆38番(雨宮武彦) 次に、住宅施策について質問します。
     生活を営む上で第一の条件となる良質な住宅を確保することが、今、大変厳しくなっています。昨年度実施した「新宿区高齢者の保健と福祉に関する調査報告書」では、「現在の住まいで不便や不安を感じている」人が45.1%、不安の1位が「震災対策ができていない」、2位が「家賃・税金の負担が大きい」となっています。また、同じく昨年度実施した「新宿区障害者生活実態調査報告書」でも、「住まいに関してどのような支援を必要としているか」の問いに、「公営住宅への優先入居の拡充」が最も高く、精神・発達障害の方は「民間賃貸住宅の居住支援」も高いという結果でした。区として、所管を超えた総合的な住宅施策が求められていますが、最初に今後の住宅施策について区長のお考えを伺い、以下、具体的に質問します。
     第1に、居住支援協議会の設置についてです。
     いわゆる住宅セーフティネット法に基づく居住支援協議会の設置について、これまでも繰り返し提案してきましたが、昨年11月末時点で全都道府県と17区市町が設置しています。都内では、江東区、豊島区、板橋区、千代田区、杉並区の5区と調布市、八王子市です。豊島区は2012年に立ち上げ、空き家実態調査や空き家バンク、居住支援を行うNPO団体等への補助事業やセミナーの実施等、多彩な活動を行っています。杉並区は昨年立ち上げましたが、メリットは行政内部の福祉と住宅部門の連携、区と業界団体と居住支援団体との連携をより一層深めることのできること、現行の事業をより使いやすくするための検討や、要配慮者へ貸し出すための家主への支援強化策を検討する中で、空き家改修の補助事業を新たに始めたそうです。
     こうした居住支援協議会の取り組みに対し、国土交通省は、事業費、人件費等の必要経費として上限1,000万円の補助を行っているのに加え、今年度は新たな枠組みとして、住宅確保要配慮者向けに賃貸住宅の都道府県への登録制度、登録住宅のバリアフリー化や耐震改修費補助、家賃低廉化に要する費用と入居時の家賃債務保証料補助等の経済的支援、居住支援協議会等による住宅確保要配慮者のマッチング・入居支援が事業化されています。新宿区でも早急に居住支援協議会を立ち上げ、国の補助制度も活用し、区民の安全・安心の基本となる住宅確保事業を前進させるべきと考えますが、いかがでしょうか。
     第2に、特定住宅についてです。
     私たちはこの間、特定住宅の空き室の家賃分を区の税金で穴埋めしていることについて批判してきました。2011年度から始まった特定住宅制度は、ここ2年ほどの間に区民住宅から大量に切りかわり、空き室がふえ、6月1日現在、所有型4戸、借り上げ型43戸が空き室で、この43戸が1年間埋まらなければ、年間8,158万円を丸々区が支払うことになります。6月中には新たに19戸が定期公募となり、これも埋まらなければ、年間1億円を超える支出となります。
     区長は、ことしの予算特別委員会で、「税金の無駄遣いであるという御指摘ももっともだ。今後、どういうふうにすれば一番損害が少なく済むのか、あるいは適切な収入を得ていくことができるのか、そういう観点からまずは考えていかなくてはならない」と答弁されました。これ以上税金の無駄遣いとならないために、「一番損害が少なくて済む方法」、または「適切な収入を得ていくこと」をどのように検討され、今後どうされるおつもりでしょうか。
     募集方法の改善を行っていることは承知していますが、5年の定期借家で市場家賃の80%とはいえ定額家賃では、住宅に困っている、公営住宅を希望する区民には手が出せません。先ほどの区の調査結果にもあった、区民の要求に応え、経済的に困難な高齢者や障害者、ひとり親家庭等要配慮者へ特定住宅の一部を低廉な家賃で提供すべきではないでしょうか。
     また、住宅の耐震化支援事業を活用している区民へ耐震工事中の仮住まいとして提供することを提案してきましたが、検討はされたでしょうか。
     そして、所有型特定住宅の空き室については、オーナーは新宿区なのですから、区として今求められる施策に直ちに活用すべきと考えますが、いかがでしょうか。
     区民要求に沿った活用を行って、それでもなお空き室が出るのなら、オーナーとの契約見直しを検討することも必要ではないでしょうか。新宿区の特定住宅は、国制度である「地域優良賃貸住宅」により設置されたもので、その要綱には、設置から10年経過した物件については、空き室になり、入居募集のための処置を講じたにもかかわらず入居がなければ廃止できるとなっています。10年間、あらゆる活用を行ってもあいた物件は契約を解除し、あと5年間穴埋めのために使っていたかもしれない予算を家賃補助の拡充等に振り向けるべきではないでしょうか。
     また、現存する区民住宅の借り上げ型31戸分については、これまでの事態を考慮し、特定住宅には切りかえず、区民住宅として存続すべきではないでしょうか。区民からお預かりしている大切な税金を何の政策にも活きないような結果になる特定住宅制度は、もうやめるべきではないでしょうか。お答えください。
     第3に、区営住宅の改善です。
     平成29年4月1日現在、都から移管された住宅317戸のうち238戸は、お風呂の風呂がまと浴槽の設備を住民が入居時に自費購入している物件です。その浴槽設備が故障したら、自費で改修や取りかえをしなければならず、全部取りかえると40万円から50万円もかかるということです。区営住宅にお住まいの方にとっては大変困難なことで、お風呂は壊れたまま銭湯通いをしているという方もいるそうです。同じく自費扱いとなっていた公社住宅は、昨年12月、公社負担でリニューアルすることを決定しました。居住者の長年の要望に応えたものです。
     国は、ことし3月に閣議決定した住環境基本計画において、住宅の最低居住面積水準を満たしていない住宅の早期解消を定めています。この最低居住面積水準を満たす条件に、浴槽設備の設置が大前提になっており、浴槽設備が自己負担の区営住宅は最低居住面積水準を満たしていないということで問題です。
     現在、空き家になったところについては、新しい入居者に浴槽設備を用意させることなく、区が整備していますが、そのきっかけになったのは、10年ほど前に東京都の包括外部監査が、都営住宅の入居者に浴槽設備を自己負担させていることについて、「セーフティネットの機能を目指す都営住宅事業の本質に照らし問題がある」と指摘があり、都が見直したことに合わせて区も見直した経過があります。この包括外部監査の指摘の精神に照らせば、新入居者と同様に、現入居者に対しても改修や取りかえ時の費用負担を区が行うべきと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。

     

     

    ◎区長(吉住健一) 住宅施策についてのお尋ねです。
     初めに、今後の住宅施策についてです。
     住まいは、区民が生活を営む上での基盤であることから、区民が安心して住み続けられる住環境の整備が極めて重要だと認識しています。そのため、庁内に福祉部門、子ども家庭部門、健康部門などを含む横断的な新宿区住宅マスタープラン策定検討会議を立ち上げ、さまざまな視点から具体的な検討を行うとともに、専門的見地から検討いただくよう住宅まちづくり審議会へ諮問し、平成30年度からの10年間を計画期間とする第4次住宅マスタープランの策定に取り組んでいます。
     次に、居住支援協議会の設置についてのお尋ねです。
     今後増加が見込まれる、高齢者などの住宅確保に配慮を要する方が民間賃貸住宅へ円滑に入居できる環境を整備することは大変重要であると認識しています。
     区では、こうした住宅確保要配慮者への支援策として、地域で活動する不動産業団体と連携した住みかえ相談や、保証会社等と連携した家賃等債務保証料助成事業などを実施し、居住の安定化に取り組んでいます。
     今後は、住みかえ相談における不動産業団体の連携事業者の拡大や、家賃等債務保証料助成事業における保証会社との連携を拡大するなど、より効果的な施策を検討していきます。
     また、平成27年度には住宅・建築・福祉に携わる関係団体と区が意見交換を行い、総合的な施策を検討する場として「新宿区高齢者の住まい安定確保連絡会」を設置し、高齢者、障害者の住まいの安定確保を図り、団体や事業者等と連携しながら住宅確保要配慮者に対応しています。そのため、居住支援協議会の設置や、それを前提とした国の補助金の利用は考えていません。
     次に、特定住宅についてのお尋ねです。
     初めに、特定住宅の空き住戸に関する収入面の課題と、今後の対応についてです。
     特定住宅は、中堅所得者層の子育てファミリー世帯を支援することを目的として、15年間に限り供給している住宅であり、空き住戸を解消し、適切な収入を得ていくことが重要です。
     区では、これまでも入居促進策を進めており、平成29年4月からは特定住宅の入居要件を一部緩和し、区外からの転入も対象とするとともに、子どもの年齢要件を義務教育終了以前から20歳未満まで引き上げたところです。また、区外転入者が特定住宅の申し込みをできるようにしたこともあり、区外に向けてより効果的に特定住宅を周知するために、民間の賃貸住宅情報サイトに特定住宅の物件情報を掲載しています。このほか、平成29年6月には協定を締結している不動産業団体との意見交換会を実施しており、特定住宅の効果的な周知方法などの提案をいただき、改善に取り組んでいるところです。
     今後も、不動産業団体の協力も得ながら入居促進策を推進して、借り上げ型特定住宅の空き住戸を解消し、適切な収入の確保に取り組んでまいります。
     次に、特定住宅の空き住戸の一部を高齢者等の要配慮者などに提供することについてです。
     御指摘のような高齢者等の要配慮者に対しては、特に居住の安定を図ることを目的として、区営住宅に一定の枠を設けて住宅を提供しています。また、こうした要配慮者に対しては、これまでも住みかえ居住継続支援や家賃等債務保証料助成を実施し、居住の安定確保に取り組んでいます。
     一方で、特定住宅は、中堅所得者層の子育てファミリー世帯を支援することを目的として、15年間に限り供給している住宅です。そのため、特定住宅の一部を高齢者等の要配慮者に低廉な家賃で提供したり、建築物耐震化支援事業における仮住まいとして提供したりすることについては考えていません。
     次に、所有型特定住宅の空き住戸を他の施策に活用することについてです。
     所有型特定住宅については、建物の賃借料はかかっていませんが、空き住戸であることで特定住宅の設置の目的を果たせないことは課題であると認識しています。引き続き入居促進策を進める中で、その効果も踏まえつつ、今後、所有型特定住宅を他の施策に活用することも含めて総合的に検討してまいります。
     次に、特定住宅の契約解除や特定住宅制度の廃止等についてのお尋ねです。
     特定住宅は、中堅所得者層の子育てファミリー世帯を支援することを目的として、建物所有者と15年間の建物賃貸借契約を結んでいます。この契約は、建物一棟借り上げの場合に住戸単位での解除を想定していません。空き住戸以外の特定住宅や、同一建物にある区営住宅の使用者の継続居住などの使用者保護や、これまでに区立住宅制度に御協力いただいている建物所有者への配慮からも、直ちに特定住宅の契約を解除し、特定住宅制度を廃止することは考えていません。引き続き特定住宅の空き住戸解消に向けた入居促進策を推進することで、区民住宅は、今後もこれまでどおり特定住宅に移行し、適切な管理運営の確保に取り組んでまいります。
     次に、現入居者の浴槽設備の改修等に対する区の負担についてのお尋ねです。
     区営住宅等は、安全や衛生等を考慮し、かつ入居者にとって便利で快適なものとなるように整備するものであり、区営住宅等に浴槽・給湯設備が設置されることは大切であると考えています。
     区では、都営住宅の移管を受けて設置した区営住宅について、平成21年度から住宅設備改善事業として、空き住戸が発生した際に浴槽・給湯設備を設置してきており、平成21年11月以降の区営住宅募集からは、浴槽・給湯設備を備えた住宅を募集しています。
     空き住戸が発生した際に、区が浴槽・給湯設備を計画的に設置していく中で、入居者が自己負担により浴槽・給湯設備を設置していることは入居者同士の不公平感にもつながることから、今後、入居者が自己負担している浴槽・給湯設備の設置について、その負担のあり方を検討してまいります。

     

     

    ◆38番(雨宮武彦) 次に、まちづくり戦略プラン「エリア戦略」について質問します。
     新宿区は、まちづくり長期計画の一部であるまちづくり戦略プラン「エリア戦略」の原案について、5月20日から6月2日まで区内10カ所で地域説明会を開催しました。私も参加させていただきましたが、説明会では、当該地域に該当する「エリア戦略」のほかに、どの会場でも必ず説明されたのが新宿駅周辺、そして、次に多いのが高田馬場駅周辺と新大久保駅周辺でした。地元からは、離れた新宿駅や高田馬場駅より、むしろ地元の駅や道路のバリアフリーがどうなっているのかなどに関心が高い区民も多く、説明をされても意見の言いようがない区民からは、「マスタープランの各地域別まちづくりとのかかわりがよくわからない」、「基本構想と『エリア戦略』とのかかわりがわからない」などの声が出され、このままでは説明したという事実だけが残り、区民が置き去りにされてしまいます。
     今回策定されるまちづくり戦略プランは、従来なかったもので、この位置づけについて区長は、「『エリア戦略』では、まちづくりを先導する地区を選定し、地区ごとの課題解決に向けた取り組みを示します」と言われてきました。問題は、課題解決に誰が主体的に取り組むのかということです。説明会では、区民の方から、「区はどう動くのですか」、「どれぐらいの予算を考えているのですか」と質問されても、「予算は考えていない」、「区は誘導をする」と答えるだけです。課題は10年前から進まないものも含めて羅列してありますが、区が主体的に解決できることはほとんどなく、鉄道事業者や地権者が鍵となります。
     「エリア戦略」によれば、各エリアの推進方策として、四谷駅周辺、大久保・百人町、高田馬場駅周辺エリアでは都市再生緊急整備事業地域の指定活用を、新宿駅周辺では都市再生特別地区の活用としていますが、それぞれ指定や活用をすることで、どのようなことが可能になるのでしょうか。事業者や国・都・新宿区がどのような負担をするスキームが想定されるのか、駅ごとに想定されるケースを全てお答えください。規制緩和を民間主導で進め、開発が行われるときに、新宿区がさまざまな形で税金を投入する「エリア戦略」とはならないかが懸念をするものですが、区長のご所見を伺います。

     

     

    ◎区長(吉住健一) まちづくり戦略プラン「エリア戦略」についてのお尋ねです。
     まちづくり長期計画を構成する「エリア戦略」の原案では、駅周辺などを対象に区のまちづくりを先導する13のエリアを設定し、重点的な取り組みや推進方策などを示しています。
     地域説明会では、特別出張所ごとに、その区域内や近接するエリアと区内全域への相乗効果などが期待できる新宿駅周辺地区エリアについて説明しました。また、総合計画とまちづくり長期計画の関係などについては、体系や構成を示した図や表も用いながら、わかりやすく説明してきました。
     都市再生緊急整備地域については、既に指定されている新宿駅周辺地区に加えて、駅などを中心とした四谷駅周辺及び大久保・百人町、高田馬場駅周辺エリアとともに、飯田橋駅東口周辺エリアについても都市再生特別地区の活用を前提とした地域指定を目指すことを示しました。都市再生特別地区では、容積率制限の規制緩和などにあわせて道路や公園・広場などの公共施設を事業者による民間活力で整備していくことで、良好な居住環境の確保やにぎわいの創出、都市の防災性の向上などを図ることができます。
     今後、都市再生緊急整備地域が指定された全てのエリアでは、エリアごとの課題解決を図るため、地域住民や事業者、行政が連携し、都市再生特別地区を活用したスキームを検討していきます。

     

     

    ◆38番(雨宮武彦) 次に、教員の多忙解消と、中学校の部活動に対する支援について質問します。
     教員の多忙が社会問題となっています。2013年にOECD「国際教員指導環境調査」が、2014年に文部科学省「教職員の業務実態調査」が行われ、これを受けて2015年、文科省が「学校現場における業務改善のためのガイドライン」を策定しました。さらに2016年度、文科省は、10年ぶりに「教員勤務実態調査」を行い、その速報値によると、中学校では1週間当たり平均勤務時間は10年前より5時間12分ふえ、56%が過労死ラインを超えていました。そして、ことし4月、教員の負担軽減にもつながる、部活動指導員を位置づける「学校教育法施行規則の一部を改正する省令」が施行されました。
     政府の教育再生実行会議は6月1日、教員の負担軽減策を含む提言を安倍首相に提出しました。しかし、かけ声だけで中身も予算も伴わないのなら意味がありません。新宿区教育委員会としても対応が迫られている現時点に立って、以下、質問します。
     第1は、教員の勤務実態の把握と長時間労働の規制についてです。
     新宿区教育委員会は、教員の勤務実態を把握するため、この6月と秋の2回、サンプリングで文科省の調査と同じ項目で勤務実態調査を行おうとしていますが、まず、具体的調査方法についてお答えください。
     文科省の調査は、26の業務について30分単位でチェックしなければならず、その作業自体が大きな負担です。OECDや文科省の調査でも既に傾向は示されていますから、6月の調査だけでも対策を考えることは可能だと思います。2回目の調査は省略してもよいのではないでしょうか。
     学校現場にも、ノー残業デーの設定や、月の残業時間の上限を設ける動きもありますが、法改正などで長時間労働に歯どめをかけるよう国に働きかけると同時に、区教委としても取り組むべきです。いかがでしょうか。
     そうした対策を進める上でも、ICカードなどタイムレコーダーで勤務時間を把握し、改善を試みる自治体がふえています。愛知県の取り組みについては予算特別委員会でも触れましたが、北九州市では、超過勤務が月100時間を超えると産業医の面談を義務づけるなどしています。23区でも世田谷区、品川区が、既に導入しているICカードシステムを、今後は勤務時間の把握や統計に活用する検討をしており、港区、大田区も導入を検討しているそうです。新宿区でも導入してはいかがでしょうか。
     第2に、事務量の削減についてです。
     文科省の調査では、負担を感じる業務の1位が「国や教育委員会からの調査やアンケートなどの対応」で9割、2位が「研修会や教育研究の事前レポートや報告書の作成」で7割超と続きます。新宿区内の教職員組合も独自アンケートを行っており、「縮減または簡素化してほしいと思うことは何か」という質問に対して、1位が「休憩時間や勤務時間にかかる会議・業務」87%で、2位が「教育委員会からの調査への回答・報告書」78%、寄せられた意見としては、「平日の5日間では仕事はほとんど終わらず、土日のどちらかは必ず学校へ来なければならない。教育委員会からの文書は細かく、見づらく、わかりづらいと感じることが多い」、「期限が迫っている提出物が多く、一番大切な教材研究が後回しになり、勤務時間外に準備・打ち合わせをしている現状をどうにかしたい」など、切実な実態が組合ニュースで紹介されています。
     調査物や事務の多くは文科省や東京都教育委員会からのものであり、抜本的な改善を求めるべきですが、いかがでしょうか。特にこの間は、小学校における英語の教科化に向け、さまざまな調査や会議が負担になっていると聞いています。そうしたことも含め、区教委として、どのような事務量の削減が可能とお考えか。また、休憩時間や勤務時間にかかる会議等が行われているとしたら直ちに改善すべきと考えますが、いかがでしょうか。
     第3は、中学校の部活動に対する支援についてです。
     学校教育法施行規則の一部を改正する省令では、中学校等の活動の技術的な指導に従事する部活動指導員について、その名称及び職務等を明らかにすることにより、部活動の指導体制の充実を図るとしています。改正に関する通知では、「校長は、部活動指導員の部活動の顧問を命じることができること、また、教諭等の顧問を置かず、部活動指導員のみを顧問とする場合、当該部活動を担当する教諭等を指定し、年間・月間指導計画の作成、生徒指導、事故が発生した場合の対応等の必要な職務に当たらせること」などが明記されており、これまでの外部コーチ、有償ボランティアとは位置づけが違います。
     新宿区は、スクールスタッフ新宿の予算の中で、各学校が外部コーチをお願いしています。23区では、新宿区以外全ての区が独立した予算で外部指導員、コーチを確保していますが、中でも杉並区の「部活動活性化事業」が注目されています。専門性の高い民間のスポーツクラブや企業に練習指導を委託するもので、現在11団体と委託契約を結び、学校からの要望があれば区教委が委託団体に要請をし、指導員を派遣するため、学校が外部コーチを探したり事務的負担もありません。現在、23区中19校、45部活で活用され、経費は3,140万円とのことです。
     また、港区は、これまでの部活動外部指導員を昨年度実績で10校、71名配置し、経費は新宿区の倍以上の2,742万9,000円となっていますが、法改正に伴い部活動指導員の研修制度等を検討する予定で、板橋区も国のガイドライン等を踏まえた指針の改正を図り、来年4月、全校実施の予定です。
     また、北九州市は、この5月から部活動指導員15人を雇用し、平日の外部指導員の方に兼務で土日・祝日に勤務をしてもらい、顧問が不在でも部活動の指導や練習試合などへの引率ができるというものです。
     改正を受けて中体連は、公式試合への引率規定など見直しを始めています。技術向上や部活動の活性化は、何より子どもたちのためであり、保護者から期待の声が寄せられています。直ちに検討を開始し、具体的方針を出すべきです。いかがでしょうか。
     また、その検討待ちにするのではなく、可能な改善は直ちに実現すべきです。少なくともスクールスタッフ新宿とは独立した予算を確保し、杉並区方式で負担軽減を図ること、その際、新宿区は未来創造財団、レガスがスポーツ団体との関係が深く、他の事業でも区教委から委託実績もあるので、採用、研修も含めてレガスに委託してはいかがでしょうか。
     部活動指導員を雇用するには、これまで以上に予算が必要です。しかし、改正に伴う予算措置を国も都も示していません。財政措置なくして規則の改正だけで行っても絵に描いた餅になりかねません。国と都に強く要求すべきと考えますが、いかがでしょうか。
     第4は、少人数学級の拡充についてです。
     子どもと向き合う時間を確保するためには、1学級当たりの人数を少なくすることが決定的に重要です。答申を受けた安倍首相が「先生方が子どもたちと向き合う時間を確保し、一人ひとりに適切な指導ができる環境をつくることは重要」と言ったそうですが、そうであるならば、少人数学級を小学校1年生だけにとどめておくことは、もう許されません。国や都に一日も早い35人学級の完全実施を迫るべきです。区教委ができる対策として、区費講師のさらなる充実、加配を直ちに実行すべきではないでしょうか。これが教員1人当たりの負担を減らすことにつながります。
     以上、お答えください。

     

     

    ◎教育長(酒井敏男) 教員の多忙解消と、中学校の部活動に対する支援についてのお尋ねです。
     初めに、教員の勤務実態の把握と長時間労働の規制についてです。
     教員の勤務実態の把握については、区立幼稚園、小学校、中学校、特別支援学校の中から学校規模等を考慮して数校を選び調査を予定しています。調査内容は、基本的には文部科学省の調査に準ずる内容と考えております。
     御指摘のとおり、調査に当たっては、教員にとって一定の負担を伴うことになりますが、勤務内容を把握するために必要なことと考えています。調査の実施回数については、時期によって教員の勤務実態が異なることが予想されることから、時期をずらして2回の調査を予定しています。ただし、2回目の調査の内容については、1回目の調査結果を検証し、教員の負担も考慮して総合的に判断していきたいと考えています。
     次に、長時間労働の規制についてです。
     教育委員会では、平成21年度の学校事務効率化の検討結果を受けて、出張を伴う会議の縮減、調査・アンケートの精査を進めています。各学校では、定時での退勤日の設定や会議の精選等、学校の実態に応じた工夫を行っています。
     今回実施する勤務実態調査の結果から長時間労働の要因を検証し、学校と協議をしながら、解決に向けて教育委員会として行える努力を進めていきます。また、特別区の間で情報交換等を行い、より効果的な方策を模索するとともに、必要に応じて国・都への働きかけについても検討していきます。
     次に、ICカードシステムやタイムレコーダーについては、今後学校とも協議し、その必要性を検討していきますが、現時点では、各学校の管理職に対して勤務時間管理表等を活用した勤務時間の把握を促すなど、教員の勤務時間の管理に努めていきます。
     次に、事務量の削減についてのお尋ねです。
     教育にかかわる新しい課題のため、国や都からさまざまな調査・報告が求められていることについては承知しています。
     教育委員会では、これまでも学校イントラを活用した事務の効率化を進めるとともに、調査に必要な資料は部数をそろえて配付しています。また、国や都の調査においては、教育委員会で内容を一定程度整理した上で学校に調査依頼をするなど、学校の負担を減らすよう努めております。今後も学校の意見を聞きながら、学校の事務量が軽減されるよう、引き続き取り組んでまいります。
     なお、休憩時間については、各学校の管理職には、校園長会等の機会に休憩時間が適切に確保されるよう指導しています。今後も教員の適切な勤務環境が保たれるよう努めていきます。
     次に、中学校の部活動に対する支援についてのお尋ねです。
     現在、区立中学校では、文化系、体育系合わせて128の部活動が行われており、大会などの時期を除いて、ほとんどの部活動は週2日以上の休養日を設けています。また、各校から指導員の派遣要請のあった53部については、体育協会会員、新宿未来創造財団の人材バンク登録者などの外部指導員を配置しており、部活動支援について一定の効果を上げるとともに、教員の負担軽減が図られているものと認識しています。
     御指摘の中学校の部活動支援の検討については、スポーツ庁が平成30年3月末を目途に、「(仮称)運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」の策定を予定しているほか、東京都教育委員会も平成30年4月にガイドラインを策定する予定であることから、区としても、こうした国や都、他自治体の動向を踏まえつつ、今年度実施の部活動のあり方検討の中で、部活動への教職員のかかわり方や民間委託化、それに伴う国・都への予算要望なども含め、総合的に検討を進めていく予定です。
     なお、具体的な方針が決定するまでの間については、現行のスクールスタッフ制度を十分に活用し、学校の部活動支援と教員の負担軽減がより一層図られるよう取り組んでまいります。
     次に、少人数学級の拡充についてのお尋ねです。
     区費講師については、習熟度別グループやティーム・ティーチングなどの指導に当たり、個別指導や発展的な学習、補充的な学習を担当するとともに、校務を分担するなど組織運営の一端を担っています。さらなる充実、加配については、各校の活用状況を検証しながら検討してまいります。
     以上で答弁を終わります。

     

     

    ◆38番(雨宮武彦) 区長並びに教育委員会の答弁、ありがとうございました。
     1つ、住宅施策についてだけ意見を述べたいと思うんですが、居住支援協議会が、既に多くの区が実施しているわけですけれども、やはり国土交通省からもそういう具体的な国庫補助が出るということですから、もちろん住みかえ相談なんかをやっているんですけれども、やはりより効果的な方法として、こうした居住支援協議会等をつくって、やはり本格的な支援を私はすべきだというふうに思いますので、この点については意見を述べておきます。
     それともう一点、特定住宅の件ですけれども、予算特別委員会でも問題になりましたし、その前に、私もこの問題は意見を言いましたけれども、具体策がなかなか、区長もお認めになったように、税金の無駄遣い。1億円になってしまうということですから、そういった意味では、やはり今あいているものをどう有効的に活用するかというのも一つの方法だし、それがまた区民の皆さんにも納得していただいている方向だというふうに思うんですね。
     そういった視点では、一方では都市計画は耐震補強をどんどん進めようとしている。しかし、一時的に住むところがあれば、より一層進むわけですから、そういうところに、とりあえずは区の4戸ある部分を活用するということは、即できる可能なことだと思いますので、ぜひそういったことも、都市計画部のほうで一生懸命やっている耐震化の支援事業も、そういうものをより強化していこうという視点からも、そういうことも含めて私は検討すべきだというふうに思いますので、意見を述べて質問を終わります。
     以上です。ありがとうございました。(拍手)

    区議会活動 | 雨宮たけひこ

    2017.09.01 更新

日本共産党新宿区議団
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