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    2017年第3回定例会 一般質問

    9月21日の本会議で、佐藤佳一議員が以下の項目について一般質問を行いました。

    1. 新生児の聴覚検査について 【区長】
    2. おたふく風邪による難聴対策について 【区長】

     

     

    ◆7番(佐藤佳一) 日本共産党区議団の佐藤佳一です。
     新生児の聴覚検査についてと、おたふく風邪による難聴対策について質問いたします。
     最初に、新生児の聴覚検査についてです。
     新生児の1,000人に1人から2人の割合で難聴が発生すると言われています。新生児の聴覚検査は、大人の聴力検査のように音が聞こえたら手をあげて知らせるということができないため、検査では、防音室で眠っている新生児にヘッドホンのようなものをつけて、モニターを見ながら反応を調べます。新生児が痛みを感じるものではありません。そして、難聴が発見され次第、音声を介したコミュニケーションと手話、指文字などの視覚を併用した方法や、補聴器や療育など乳幼児に合った対応を保護者と相談しながら進めます。
     ところが、難聴の発見がおくれると、言葉を発したりコミュニケーションが充分できなくなることから、厚生労働省、産婦人科医会が、分娩した病院で入院中に検査を受けることを推奨しています。
     同医会がことし6月、出産を扱う全国2,400の医療機関を対象に調査した結果、2016年度の聴覚検査の実施は約85%でした。検査費用は平均約5,000円ですが、助成がなく、保険適用外のため、全額自己負担です。厚労省が2014年に全国市区町村を調べた結果では、公費助成をしている自治体はわずか6.2%でした。また、同医会の調査では、新生児全員に検査を実施している医療機関は、公費助成のある地域では88%だったのに対し、ない地域では50%程度にとどまっており、公費助成の有無で受診率に大きな差が出ています。同医会は、保護者が検査費用を負担と感じて受けないケースもあるとして、自治体に公費助成を求めています。
     以下、質問いたします。
     第1に、新生児聴覚検査の重要性についてです。
     新生児聴覚検査には、難聴の早期発見という重要な意義がありますが、区としての検査の重要性についてどのようにお考えですか。また、本来なら新生児全員が検査をすべきと考えますが、いかがですか。区の認識をお聞きします。
     第2は、受診率の向上についてです。
     厚労省は、2006年に、母子健康手帳に新生児聴覚検査の欄を設け、検査を推奨しています。昨年度の新宿区の受診率は約70%と、全国平均の85%を大きく下回っており、一刻も早く改善が求められます。
     立川市では、2005年から、約5,000円の検査費用のうち3,000円の費用を助成して検査を推奨しています。2016年度の市内での受診率はほぼ100%。里帰りなどの市外の出産にも償還払いで同額の3,000円を補助しています。異常が見つかった場合の再検査、精密検査には全額補助し、担当課長は、「市民の皆さんから大変喜ばれている」とのことです。
     厚労省や産婦人科医会の調査でも明らかなように、受診率の向上には公費助成が不可欠です。母子保健事業は、東京都内の区市町村で統一して行おうとの考え方から、新宿区は他の特別区と一緒に都に調整を要望しているとのことですが、都との話し合いはどこまで進んでいますか。また、今後実施される見通しはあるのか、お聞きします。仮に結論が出ていない段階でも、区で単独で助成し、受診率を向上させるべきです。
     第3は、生活保護世帯への助成についてです。
     現在助成をしている自治体では、少なくとも生活保護世帯の検査費用は同額の助成を受けられますが、新宿では助成がないため、生活保護世帯は全額自己負担となっています。負担を軽減するために予防接種などと同様に助成すべきです。お答えください。
     次に、おたふく風邪による難聴対策についてお聞きします。
     日本耳鼻咽喉学会は、9月5日に会見を開き、おたふく風邪ウイルスによる難聴(ムンプス難聴)に関して、2015年から2016年の間に少なくとも336人が、このムンプス難聴と診断されたとする大規模調査の結果を公表しました。
     ムンプス難聴は、おたふく風邪の原因であるムンプスウイルスが内耳に感染し急性発症する難聴で、治療で回復することが難しく、重症化する例が多くあります。同学会が全国5,565の耳鼻咽喉科医療施設を対象に行った調査では、ムンプス難聴と診断された336人のうち、詳細を把握できた314人を検討したところ、約8割に当たる260人に、非常に大きい声か補聴器を用いないと会話が聞こえない高度以上の難聴を発症しています。年齢別に見ると、10歳未満が151人と約半数を占め、20代から40代も82人に上りました。
     同学会は、接種率が3割と低いことから、関係学会・団体とともにムンプスワクチンの定期接種化を国に要望していくとしています。同学会乳幼児委員会の委員で聴覚学会の神田幸彦先生は、「110カ国が定期接種しており、先進国では日本だけが定期接種でない。防ぎ得る難聴をなくすには定期接種化が必要」と話しています。現に、定期接種にした国ではムンプス難聴は減少しています。新宿区では、2013年度から自己負担3,000円でワクチン接種への助成が始まり、2016年度までに生後11カ月から小学校入学前までの乳幼児1万9,659人に予診票を送付し、1万2,135人の61.7%が予防接種を受けました。
     以下、質問です。
     第1は、定期接種についてです。
     定期接種に踏み切れないのは、厚労省が無菌性髄膜炎などの副作用のリスクなどから慎重な対応をしているためです。財団法人予防接種リサーチセンターの調査では、おたふく風邪の予防接種延べ15万人当たり、副作用による重篤症例は2人でした。一方で、おたふく風邪にかかった1,000人のうち1人に難聴が発症し、前述の神田幸彦先生は、「ワクチンを打った副作用のリスクよりも、打たないで難聴になるリスクが高い。接種するときには副作用について説明することは当然で、その上で定期接種化をすべき」と強調しています。
     以上のことから定期接種すべきですが、区は、どのように考えますか。また、厚労省に定期接種化を要望すべきです。いかがでしょうか。
     第2は、予防接種の啓発についてです。
     現在、区では、生後11カ月の乳児に小学校入学前までに予防接種を受けるように予診票を送っていますが、接種するのは保護者の判断に委ねられています。ある程度時期が過ぎた時点で未接種の乳幼児には勧奨のはがきを送るなど、子ども家庭部や教育委員会と連携して推奨すべきです。また、成人向けに第2分庁舎の健康部や、本庁舎4階の医療保険年金課にポスターの掲示や、ホームページ、区報等に掲載して勧奨すべきです。また、医師会とも連携して、待合室にポスターを掲示するなど予防接種の啓発をすべきです。
     以上、お答えください。

     

     

    ◎健康部長(髙橋郁美) 佐藤議員の御質問にお答えいたします。
     新生児の聴覚検査についてのお尋ねです。
     初めに、新生児の聴覚検査の重要性についてです。
     早期に聴覚障害を発見し、適切なケアを開始することは、その後の言葉の獲得やコミュニケーション能力を育てる上で重要です。区としても、新生児聴覚検査は聴覚障害の早期発見のために必要であり、全ての新生児が受診することが望ましいと認識しています。受診率の現状は約7割ですが、乳幼児健康診査等、さまざまな機会を捉え、「耳の聞こえ方」を確認することの重要性を周知し、聴覚障害の可能性があるお子さんが早期に適切な医療や療育につながるように取り組んでおります。
     次に、受診率向上についてです。
     新宿区では、区外で出産される方も多いことから、利便性だけでなく広域的な検査体制の確保の面からも、妊婦健康診査と同様、都内統一での公費負担による実施が望ましいと考えています。他の区も同様な状況であることから、特別区では平成28年度に都内統一実施に向けた課題整備をしており、今後東京都に要望し、市町村等を含めた協議を行っていただく予定です。
     都内で独自に助成制度を実施している立川市と小金井市では、市外での出生児を含めた平成27年度検査実施率は、それぞれ48%、30%となっており、独自助成だけでは必ずしも高い受診率につながっているとは言えません。また、都内統一実施での検査や、必要に応じて精密検査、療育につなげる体制を構築すべきであることから、区での独自助成は考えていません。
     次に、生活保護世帯への助成についてですが、都内統一での実施方法を構築していく中で、費用負担についても適切に検討されるべきものと考えています。
     次に、おたふく風邪による難聴対策についてのお尋ねです。
     初めに、定期接種化についてです。
     おたふく風邪ワクチンについては、国の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で、より高い安全性についての議論が慎重に行われており、定期接種化に向け、引き続き検討されています。区としては定期接種化すべきと考えていますが、こうした国の動向を注視してまいります。
     次に、予防接種の啓発についてです。
     おたふく風邪ワクチンは任意接種であり、保護者が接種医からワクチンの効果と副反応について十分に説明を受けた上で接種を受けるかどうか判断する必要があるため、はがきによる一律の勧奨は適切ではないと考えています。
     接種医に対しては、医師会への説明会等でワクチンについて保護者へ丁寧に説明することをお願いしています。保護者には、これまでも区報やホームページ等で接種費用の助成について周知していますが、今年度新たに作成した予防接種スケジュール表も活用し、周知を進めていきます。
     区としては、幼児期での接種がより重要と考えていますが、成人へのおたふく風邪予防についてもホームページ等で周知していきます。
     以上で答弁を終わります。

     

     

    ◆7番(佐藤佳一) 答弁ありがとうございました。
     今回は難聴対策について質問させていただきました。検査の重要性や定期接種の重要性については、非常に区のほうも十分認識しているという答弁だったと思います。残念ながら提案のほうは受け入れられませんでしたけれども、今後より一層勧奨を進めていただきたいことを期待して私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)

    区議会活動 | 佐藤佳一

    2017.12.01 更新

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