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    2017年第4回定例会 一般質問

    11月30日の本会議で、雨宮たけひこ議員が以下の項目について一般質問を行いました。

    1.選挙制度と投票率向上の方策について 【区長】【選挙管理委員会】

     

     

    ◆38番(雨宮武彦) 日本共産党区議団の雨宮武彦です。
     選挙制度と投票率向上の方策について一般質問します。
     9月28日、突然の衆議院解散により、10月22日投票で総選挙が行われました。余りに突然だったことと、小選挙区が1区と10区に分割された初めての選挙となったことで、選挙管理委員会、事務局の皆さん、選挙に携わった区職員の皆さんは大変な御苦労があったと思います。本当にお疲れさまでした。今後も公正・公平で正確な選挙と投票率向上のため、一層の取り組みを期待し、質問に入ります。
     質問の第1は、小選挙区制を廃止することです。
     今回の小選挙区の投票率は、新宿区は53.44%でしたが、全国は戦後2番目に低い53.68%で、9府県が戦後最低でした。安倍政権になってから、このような低投票率が続いています。安倍首相は、9月28日、臨時国会を開き、所信表明演説も代表質問もなく、森友・加計疑惑の審議も一切やらず冒頭解散という前代未聞の暴挙でした。こうしたことが政治不信を招き、低投票率の一つの原因になっていると言えるのではないでしょうか。
     選挙結果は、自公で3分の2以上の議席を占めましたが、自民党は小選挙区で得票率47%だったにもかかわらず、議席占有率74%になったのです。全有権者に対する絶対得票率では25%にすぎません。第一党が投票率に比べて獲得議席数の比率が大きくなる小選挙区制は、国民の投票を正確に反映していません。
     今回の選挙で、新宿区は1区と10区に分割され、有権者にとってもわかりづらく、無効投票が相当数ありました。人口数で分区する地域割りは混乱を招くばかりでなく、有権者の意思を無視し、地方分権の面からも問題があるのではないでしょうか。区の選管としても事務量が圧倒的にふえ、必要な人員もふえたと思います。一票の格差が起きるたびに区割りを変えなければならない、何より民意を反映しない小選挙区制は廃止し、投票者の意思を正確に議席に反映する比例代表を中心とした制度に変えるべきです。少なくとも今の小選挙区制は3人から5人の中選挙区制にすべきと思いますが、区長並びに選挙管理委員会の御所見を伺います。
     また、国に対し小選挙区制を廃止するよう要望すべきと思いますが、あわせて伺います。
     質問の第2は、投票率向上のための方策についてです。
     総務省は、投票環境の向上方策等に関する研究会を2014年5月に発足し、2015年3月に中間報告を公表しました。国政選挙、地方選挙を通じて投票率が低下傾向にある中、有権者が投票しやすい環境を一層整備し、投票率の向上を図っていくこと、有権者一人ひとりに着目したさらなる投票の機会の創出や利便性の向上に努めていくべきであるとし、次の3点を位置づけました。
     1つ、ICTを活用した投票環境の向上として、投票所における選挙人名簿対照のオンライン化、選挙当日における投票区外投票、2、期日前投票等の利便性向上として、商業施設等への期日前投票所の設置、期日前投票の投票時間の弾力的設定、3、選挙人名簿制度の見直しです。それらの実施は、公職選挙法と同施行令の改正により2015年7月の参議院選挙より適用されました。また、18歳選挙権や参議院選挙区及び定数の変更など、選挙制度の大きな変更が行われました。さらに、2016年9月、研究会報告を公表し、在外選挙人名簿登録の利便性の向上など3件を示しました。2015年参議院選挙では、選挙権年齢の引き下げを踏まえた大学・高等学校への期日前投票所、共通投票所の設置や、有権者の利便性の高い商業施設等への期日前投票所の設置、また移動が困難な有権者のための投票所等への移動支援や移動期日前投票所の設置など、地域の実情を踏まえ工夫した取り組みが全国各地で行われました。
     そこで質問ですが、総務省の投票環境の向上方策等に関する研究会の中間報告、研究会報告をどのように受けとめているのか、御所見を伺います。
     また、選挙管理委員会では、これを議題として議論したのでしょうか。したとすれば、どのような内容で、どう具体化されたかお聞きします。また、議論していなければ、早急に議論を開始し、来年の区長選、2019年の区議選、参議院選挙に向けて具体化をすべきと思いますが、いかがでしょうか。
     第3は、共通投票所を設置することについてです。
     投票日当日の投票は、通常、決められた地域の投票所でしかできませんが、共通投票所は、区内どこの地域に住んでいても投票できる制度です。秋田市では、秋田駅のイオンモール秋田で10時から20時、秋田大学で11時から17時を期日前投票所と共通投票所にしました。買い物ついでに家族連れや若い世代の投票者が多く、若年層の投票率向上に一定の効果があったとのことです。地方では幾つもの都市で実施しています。一番の課題は、二重投票をどのように防止するかです。それぞれ投票システムの改修や投票所の工夫などの問題を解決し、実施しています。
     私たちのところにも区民の皆さんから、「期日前投票はどこでもできるのに、投票日はなぜ決められた1カ所でしかできないんですか」「投票日に特別出張所や他の投票所でも投票できるようにしてほしい」といった要望が寄せられています。新宿区でも、ぜひ共通投票所の設置を検討し、できれば現在実施している全ての投票所と期日前投票所を共通投票所にすることが望ましいと思いますが、少なくとも期日前投票所を、投票日もそのまま共通投票所にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
     第4は、期日前投票所を商業施設に設置することです。
     豊島区では、商業施設として2カ所のデパートで期日前投票所を実施しました。西武デパート7階、東武デパート5階で行い、2016年参議院選では、期日前投票数2万9,412人のうち、2カ所のデパートの投票数が1万3,583人で46.1%を占め、2013年参議院選挙の期日前投票は2万2,628人でしたから、6,784人ふえています。2017年都議選は2万7,560人、うち1万4,469人、52.5%で、2013年都議選が1万5,594人でしたから、これも1万1,966人と大きくふえました。2カ所のデパートで区全体の期日前投票数の50%を超える状況になっています。新宿区とは地理的条件その他の違いはあるかもしれませんが、新宿駅にはデパートが集中してあり、そこで実施することで大きな話題になることは間違いありません。ひいては投票率の向上につながるのではないでしょうか。ぜひ検討し、実施すべきです。いかがでしょうか。
     第5は、期日前投票と選挙当日の投票で移動支援をすることです。
     新宿区も高齢者が多く、どこの地域も坂道が多く、バス停留所にも駅にも歩くのが困難な区民がいます。ワゴン車等を活用した投票所への移動支援を検討すべきではないでしょうか。今回の衆議院選挙のように雨が多かったりすると、高齢者や障害者はなおさら大変です。全国には無料送迎バスや公用車を巡回させた自治体もあります。コミュニティバスがあれば対応できますが、新宿区にはありませんから、せめて投票したい人が安心して投票所に行かれるよう検討すべきではないでしょうか。
     以上、答弁願います。

     

     

    ◎総務部長(針谷弘志) 雨宮議員の御質問にお答えします。
     選挙制度と投票率向上についてのお尋ねです。
     衆議院小選挙区制を廃止し、比例代表制中心に、少なくとも中選挙区制にするべきではないかについてです。
     現行制度につきましては、昭和63年のリクルート事件の発覚をきっかけに政治改革議論が高まった成果として、政策本位、政党本位の選挙制度を実現するために導入されたものと認識しています。しかしながら、先日行われた衆議院議員選挙では、区内において小選挙区が分割されました。そうしたことにより、地域の一体感の阻害、選挙事務の非効率などを招いていることについては、全国市長会として分割状態を解消する見直しを行うよう提言しています。
     また、現行制度は小選挙区制を中心に比例代表制を加味した小選挙区比例代表並立制が採用されているところですが、衆議院議員選挙の制度の改廃については、国民や有権者の立場を踏まえて、しっかりと国で議論することが重要であると考えております。

     

     

    ◎選挙管理委員会事務局長(木城正雄) 選挙管理委員会への御質問にお答えいたします。
     初めに、衆議院小選挙区制を廃止し、比例代表制中心に、少なくとも中選挙区制にするべきではないかとのお尋ねです。
     現行制度は平成6年に導入されたものですが、それ以前の中選挙区制では、同一政党の候補者間の争いが生じ、政策の争いというより個人のサービス合戦につながりやすいなどの指摘があり、現行制度に改正された経緯があります。この議論の過程で、政策本位、政党中心の選挙の実現を目指し、小選挙区に比例代表を加味した小選挙区比例代表並立制が採用されました。
     今回の衆議院議員選挙では、区内の小選挙区が分割されましたが、これまで全国市区選挙管理委員会連合会を通じて、選挙の負担軽減や自治体の一体感の阻害要因として分割の解消を国へ要望しています。
     こうした状況を踏まえるとともに、選挙制度の改廃などは国会で十分に議論することが重要であるとの考えから、現段階で小選挙区制の廃止を国に要望することはありませんが、今後も国の動向等を注視してまいります。
     次に、総務省の投票環境の向上方策等に関する研究会の中間報告と研究会報告に関する選挙管理委員会の議論などについてのお尋ねです。
     中間報告が平成27年3月に、また研究会報告が平成28年9月に発表されておりますが、その都度選挙管理委員会に事務局から報告するとともに話し合いをしています。これらの報告内容のうち、御指摘の共通投票所や商業施設等への期日前投票所の設置については、公職選挙法にも反映されましたので、法改正があった際にも再度御報告しておりますが、現在の新宿区の状況から考えて具体化していないのが現状です。
     次に、共通投票所の設置の検討や投票所と期日前投票所を共通投票所にできないかとのお尋ねです。
     共通投票所を設置する場合に、二重投票を防止するために、全ての投票所を専用回線で結ぶ必要かあります。期日前投票所の場合には特別出張所の区の専用回線を活用しているため、セキュリティやコスト面での問題はありませんが、当日投票所の場合には民間施設等も含むため、50カ所の投票所に全て専用回線を結ぶことは困難な状況にあります。また、総務省の報告には無線LANの使用などがありますが、実際に運用する場合はセキュリティ面で懸念があります。
     こうしたことから、共通投票所の設置、全国的に見て一部の自治体にとどまっており、特に大都市では設置している自治体がないのが現状です。しかし、共通投票所については、御指摘のとおり、有権者の利便性や投票率の向上対策としての観点もあることから、他自治体、特に大都市の自治体の動向等を注視し、研究してまいります。
     次に、期日前投票所を商業施設に設置することについてのお尋ねです。
     新宿区の期日前投票所は、有権者の利便性や地域バランス等も考慮し、区役所第一分庁舎及び各特別出張所に計11カ所設置しているところです。これは、区の面積や有権者数から見て、23区の中でも上位の水準にあります。
     一方で、期日前投票所を新たに開設するためには、名簿対照用の期日前投票システムを稼働する庁内LANの設置や、投票の秘密を守るためのスペース、投票箱や投票用紙を保管する場所の確保など、一定の条件を満たす必要があります。加えて、今回の衆議院議員選挙の状況から、混雑が集中することや、解散による急な選挙では確保できないことがあることもわかりました。期日前投票所を商業施設に開設するためには、これらの点を十分踏まえるとともに、当該施設における区民の方の利用状況などを研究する必要があると考えています。
     次に、期日前投票と当日投票の移動支援についてのお尋ねです。
     選挙の際に無料送迎バスや公用車を活用した移動支援を実施しているのは、主に山間部の投票所を統廃合した自治体などで、特に都市部での事例はないと聞いております。区では、期日前投票所を11カ所設置するとともに、当日投票所については児童が通う小学校区よりも多い50カ所で設置することにより、有権者の利便性の向上に努めているところですが、高齢化が進む中で、今後は大都市における事例などがあるかなど、必要性も含め研究してまいります。
     以上で答弁を終わります。

     

     

    ◆38番(雨宮武彦) 答弁ありがとうございました。
     なかなか地域性がありますので大変かと思いますが、私も改めて、総務省の事例集というのがあるんですけれども、大都市部ではやられていないというような例もありましたが、秋田市等では投票所が10カ所以上ある中でも、先ほど述べたような例が出ていますし、東京23区も、品川区が、例えば期日前投票所が15カ所あるんですけれども、これは大井町の駅前のアトレ大井町店で実際にやられました。また、江戸川区も7カ所ありますけれども、イトーヨーカドーの葛西店でやっている。足立区は北千住駅前が、これは再開発ビルですから、1階から9階まではマルイが入って、その上は区の施設ということですから商業施設とは言えないかもしれませんが、商業施設の中を活用して期日前投票所をつくったという例もありますので、ぜひ、この事例集等でも投票所の工夫だとか、先ほど言ったようなLANを引くとか、無線であるとか、いろいろな工夫をして、いかに皆さんに投票に来てもらうかという工夫をしておられるということのようですから、ぜひそういった意味から、新宿区の選挙管理委員会はいろいろな意味で小・中学校へ行ったり、高校へ行ったりということで、いろいろな取り組みをしているということは、熱心な取り組みをしているというのはよくわかっていますけれども、ぜひ国の総務省の大きな方向性が出る中で前向きな議論をしていただいて、少しでも区民が投票に行こうという気になるように頑張っていただければということで要望しておきます。
     以上で一般質問を終わります。(拍手)

    区議会活動 | 雨宮たけひこ

    2018.02.01 更新

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