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日本共産党 新宿区議団 > 2017年第4回定例会 代表質問
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    2017年第4回定例会 代表質問

    11月29日の本会議で、あざみ民栄議員が以下の項目について代表質問を行いました。

    1. 次期総合計画等について 【区長】
    2. 民泊について 【区長】
    3. 高齢者福祉と介護保険について 【区長】
    4. 国民健康保険について 【区長】
    5. 健康づくり行動計画について 【区長】
    6. 教育ビジョンについて 【教育委員会】

     

     

    ◆19番(あざみ民栄) 日本共産党新宿区議会議員団のあざみ民栄です。2017年第4回定例会に当たり、会派を代表して区長並びに教育委員会に質問します。
     10月22日投開票で総選挙が行われ、与党が3分の2以上の議席を占める結果となりました。日本共産党は、残念ながら、議席後退となりましたが、市民と野党の共闘勢力は前進しました。東京1区では、統一候補が勝利しました。この結果は、安全保障法制の廃止と安倍政権のもとでの9条改定反対、森友・加計疑惑の徹底追及等が国民の願いであることのあらわれです。
     先日、会計検査院が森友学園の国有地売却値引きについて、国がごみ量を過大に算定した可能性を示し、安倍政権の責任が厳しく問われています。
         〔「そうだ」と呼ぶ者あり〕
     日本共産党は、市民と野党の共闘を発展させ、安倍暴走政治をストップさせるため頑張る決意を申し上げ、質問に入ります。
     初めに、次期総合計画等について質問します。
     新宿区基本計画(素案)と新宿区まちづくり長期計画(素案)に対するパブリック・コメントが8月25日から9月25日まで実施され、10カ所の地域説明会が行われました。区は、この結果等を踏まえて総合計画(案)を決定し、今定例会に「新宿区総合計画の基本的な事項」の議案を上程しています。趣旨を計画に反映した意見は基本計画22件、まちづくり長期計画は73件ありましたが、素案からの基本的な考え方は大きくは変わらず、地域自治や人権尊重、子どもの貧困を含む格差と貧困の解消、高齢化への対応などは、やはり不十分であり、重ねて検討を求めるものです。
     また、総合計画等を上位計画とする実行計画及び個別計画の策定が進められていますが、大もとの総合計画(案)に区民要求を充分に取り入れることが実行計画や個別計画を充実させることにつながるのですから、その点でも総合計画(案)の改善が求められます。
     ここでは、以下3点に絞って伺います。
     第1に、学童クラブの充実についてです。
     学童クラブ事業は、本来認可保育園と同様に家庭にかわる子育て施設として法律に基づいて運営される施設です。しかし、現在、新宿区は、年々高まる学童クラブニーズに対し、まともな定員拡大も行わず、代替としてひろばプラスの拡大という小手先の対応に終始しています。基本計画(案)には、「子どもの居場所づくり」の中で放課後子どもひろばと同列に扱われています。そのため、第一次実行計画(素案)には増設計画も定員拡大の目標さえありません。基本計画(骨子案)に対するパブリック・コメントでは、学童クラブの増設について26件もの要望が寄せられ、基本構想審議会でも議論になりました。
     新宿区学童保育連絡協議会がことし行ったアンケートでは、「区に求めたいこと」の上位に「4年生以上の待機児解消」、「学童クラブの新設、増設」があがっています。定員オーバー率が高まっていた西落合学童クラブでは、今年度落合第三小学校と落合第六小学校にひろばプラスができましたが、オーバー状態は変わらず、保護者などからは何とかしてほしいと声が上がっているとのことです。多くの保護者が望んでいる学童クラブそのものをふやしてほしいという願いを区長はどのように受けとめておられますか。
     基本計画の個別施策「安心できる子育て環境の整備」に「学童クラブの充実」の項目を起こし、「学童クラブの定員拡大、増設」を盛り込むことを改めて求めますが、いかがですか。
     第2に、住宅施策についてです。
     現行の住宅マスタープランの設定目標に「最低居住面積水準未満の住宅の割合を減らす」という目標がありますが、減らすどころか2003年の11%が2013年は24.6%となっており、大きく後退しています。こうした状況について区長はどう思われますか、お答えください。
     区民意識調査では、「新宿区から転居したい」理由の1位は「家賃・地代が高いから」であり、広いところに住みたくても区内の家賃相場では水準未満の住宅しか借りられない現状が浮き彫りになっています。高齢者や障害者の計画策定のための調査でも、住宅確保の要求は非常に高くなっています。しかし、次期住宅マスタープラン(素案)--以下「住マス素案」と言う--は、住みかえ相談や保証会社等をあっせんし、家賃等債務保証料を助成するなど、これまでの延長線上の取り組みにとどまっています。
     都市マスタープランのパブリック・コメントでは、「住みかえ相談を利用したが物件はなかった。オーナーが障害者や高齢者等の入居制限をしているので、相談だけでは問題は解決しない」と厳しい御意見もありました。
     実際、昨年度の住みかえ相談件数306件に対し、成約数は19件のみでした。住マス素案には「住みかえ相談によるサポート体制の強化」とありますが、どのように改善されるのでしょうかお答えください。
     私たちが再三政策的活用を求め、区長も税金の無駄遣いとお認めになった特定住宅の空き室問題についても、住マス素案には何ら触れられていません。
     先日、以前区民住宅に住んでいたひとり親家庭の方から、「特定住宅になり家賃が上がって払い切れないので転居したが、その後特定住宅は空き室だらけと聞いて頭にきている。空いているなら、少し家賃を下げて困っている人に貸せばいいのに」という怒りの御意見をいただきました。
     区立住宅として確保している住宅を空き室にし、税金を垂れ流し続けるのは、高い家賃を払っても新宿区に住み続けたいと願う区民に対する背信行為であり、到底許されません。
         〔「そうだ」と呼ぶ者あり〕
     早急に特定住宅の住宅確保困難な区民に対する新たな活用について検討し、実施することを求めますが、いかがですか。
     また、基本計画と都市マスタープランそれぞれに住宅施策の充実として区営住宅の増設、家賃補助の充実を盛り込むことを改めて求めますが、いかがですか。
     第3に、LGBT等性的指向・性自認により困難を抱える区民への支援についてです。
     私は、さきの決算特別委員会の総括質疑でも取り上げましたが、人権・多様性の尊重の一環として、こうした皆さんへの支援や連携が新宿区に求められていると考えますが、基本計画(案)は素案と変わらず、個別施策「女性や若者が活躍できる地域づくりの推進」の中の「男女共同参画の推進と多様な生き方を認め合う社会づくり」に潜り込んでいる状態です。これでは、新宿区が力強く取り組むという姿勢は感じられません。
     一方、第三次男女共同参画推進計画(素案)では、事業として性自認や性的指向等についての意識啓発、相談窓口の周知、NPO等との連携による支援の充実が具体的に盛り込まれました。個別計画が積極的な取り組みを行うとしているのですから、基本計画にはせめて「施策の方向性」として「LGBT等性的指向・性自認により困難を抱える区民への相互理解と権利擁護」といった項目出しをすべきと考えますが、いかがでしょうか。
     以上、答弁を求めます。

     

     

    ◎区長(吉住健一) あざみ議員の御質問にお答えします。
     次期総合計画等についてのお尋ねです。
     初めに、学童クラブの充実についてです。
     学童クラブは、保護者にかわって子どもを保護・育成する機能を持っています。「ひろばプラス」は、学校施設を活用し、遊びと学びの支援を行う放課後子どもひろばの特徴を活かしながら、おやつや出欠管理、連絡帳等、学童クラブで行っている保護機能を付加した事業で、両事業とも利用者アンケートで高い評価を得ています。
     基本計画の施策の方向性では学童クラブの充実を図るとしており、多様化する家庭環境や子どもの成長段階に合わせて放課後の居場所が選択できるよう、総合的に推進してまいります。
     今年度は、地域の学童クラブ需要を踏まえ、北山伏学童クラブの定員を20名拡大いたしました。
     今後も定員を大きく上回る学童クラブについては、児童館スペースの活用による専用スペースの拡大や教育委員会との協議により新たなスペースを確保するなど対応してまいります。
     次に、住宅施策についてのお尋ねです。
     最低居住面積水準未満の住宅の割合についてです。
     居住面積水準は世帯人数に応じた床面積で、健康で文化的な居住環境の質をあらわす重要な指標です。これまで世帯人数の変化等、ライフステージに応じた住みかえの支援として、子育てファミリー世帯を対象に転居助成を実施するとともに、良好な居住環境を目的とする新宿区ワンルームマンション等の建築及び管理に関する条例や長期優良住宅認定制度により最低居住面積水準以上の住宅の供給を誘導してきました。
     しかしながら、新宿区での利便性を優先した居住の選択や世帯人数の変化等により、御指摘のとおり、最低居住面積水準未満の住宅に住む世帯の割合が平成15年の11%から平成25年の24.6%と、10年間で13.6ポイント増加しています。
     このため、ライフステージの変化に伴う住みかえの支援策として、従来の施策に加え、不動産取引や民間賃貸住宅に関する情報提供、相談体制の充実を図ることにより、良好な居住環境の向上を目指してまいります。
     次に、住みかえ相談についてのお尋ねです。
     住みかえ相談は、高齢者や障害者など住宅を探すことが困難な方に民間賃貸住宅をあっせんする制度です。高齢者等が円滑に住みかえ相談から入居に至るためには、相談者の希望にかなう物件が見つけやすく、オーナーも安心して貸し出せることが大切です。
     このため、住みかえ相談において、住み替え促進協力店からの物件を紹介することにあわせて、オーナーが安心して貸し出しできるよう家賃等債務保証料助成を実施しています。
     本年10月からは、希望にかなった物件がより多く見つかるよう、国が指定した不動産流通機構の検索サイトや多くの不動産会社が活用している不動産流通推進センターの検索サイトを活用し、相談者に紹介しています。
     今後は、家賃等債務保証料助成について、保証会社や保証内容等の拡充を検討してまいります。また、オーナーに対し、高齢者等の入居の機会の確保について不動産業団体と連携し、さまざまな機会を捉えて啓発を行ってまいります。
     次に、特定住宅の新たな活用についてのお尋ねです。
     特定住宅は、中堅所得者層の子育てファミリー世帯を支援することを目的としていますが、現在、空き住戸が生じ、特定住宅の設置目的を十分に果たしていない状況にあります。これまで区内在住要件や子どもの年齢要件を緩和するとともに、民間の賃貸住宅情報サイトを活用した物件情報を発信するなど、入居促進策を進めてきました。
     今後は、新たな入居促進策として子育てファミリー世帯の共働き率の増加に伴い、世帯所得の上昇傾向があることから、入居希望者の対象拡大を図るため、現在の所得制限の引き上げを検討してまいります。
     また、入居時に必要な連帯保証人の選任や敷金に負担感を感じる方もいます。入居時の負担感を軽減するため、連帯保証人にかわるものとして、保証会社を利用する家賃等債務保証制度の導入を検討します。この導入に伴い保証料が生じることから、敷金についても見直しを検討してまいります。
     こうした入所促進策を進めることで、特定住宅の空き住戸の解消に取り組んでまいります。
     次に、区営住宅の増設と家賃補助の充実についてのお尋ねです。
     区営住宅については、総戸数や世帯数に対する割合が特別区の中でも上位にあり、今ある区営住宅を有効に活用してまいります。
     また、家賃補助については、区内で安心して住み続けられるように子育てファミリー世帯等を支援する「民間賃貸住宅家賃助成」を実施しているほか、立ち退きを求められた高齢者等を支援する「住み替え居住継続支援」を実施しています。このため、区営住宅の増設と家賃補助の充実を基本計画と都市マスタープランに盛り込むことは考えていません。
     次に、基本計画の施策の方向性に「LGBT等性的指向・性自認により困難を抱える区民への相互理解と権利擁護」といった項目出しをすべきとのお尋ねです。
     基本計画の施策の方向性では、「性には多様性があることを認め合い、理解不足や偏見による差別を解消させるよう人権教育や啓発活動の促進に努めるとともに、当事者が安心して悩みごとを相談できる体制の充実を図っていきます」としています。
     性の多様性への理解・啓発を推進し、当事者や御家族等の関係者が安心して相談できる体制を充実させていくことで、御意見の主旨に沿った施策が推進されるものと考えています。
     現在策定中の第三次男女共同参画推進計画は、基本計画の個別施策である「女性や若者が活躍できる地域づくりの推進」の実現を目指した分野別計画であり、そのビジョン及び視点は、個別施策の目指すまちの姿・状態から設定したものです。

     

     

    ◆19番(あざみ民栄) 次に、民泊について質問します。
     全国初の条例化で注目を集めている「新宿区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例案」--以下「条例案」と言う--が今定例会に提出されました。
     質問の第1は、条例案第11条「住宅宿泊事業の実施の制限」についてです。
     条例案では、区内面積の34%を占める住居専用地域では、月曜日正午から金曜日正午まで住宅宿泊事業をすることができない、つまり、週末のみ営業可能との制限をかけ、それ以外の地域は制限がありません。
     区長は、10月12日の民泊問題対応検討会で、厳し過ぎるルール設定、あるいは合理的な説明のつかない規制によって無届けの違法民泊が潜在化していくことを防いでいかなければならないと述べています。
     新宿区と同様に違法民泊に悩まされてきた京都市は、観光閑散期の1月・2月のみ住居専用地域で営業可能とし、それ以外の地域は今後検討するようです。
     パブリック・コメントでは、区から住居専用地域での禁止ができないと説明されたが、国に確認したら、ゼロ日制限が可能と言われた、騒音等で困っており、できれば禁止してほしい等々の意見が寄せられています。
     昨年から国家戦略特区制度を活用して一定地域で民泊を許可してきた大田区は、区の面積の27%を占める住居専用地域、工業専用地域、工業地域で民泊を全面禁止する内容の条例案を第4回定例会に提出予定とのことです。新宿区でも区民の住環境を守るために住居専用地域は全面禁止にすべきです。また、マンションが多い商業・近隣商業地域や駅に近い第一種・第二種居住地域は、民泊が多数存在すると考えられます。この地域にも区民は多数居住しており、一定の日数制限が必要だと考えますが、いかがですか。
     質問の第2は、条例案第13条「建物又は土地の提供者等の責務」についてです。第13条は、建物や土地を提供する者は、その建物や土地で住宅宿泊事業を行っていいかどうかを賃貸借契約書に記載するように努めることを求めています。この点につき、検討会では、都庁の不動産業課が賃貸借契約の条文の記載方法を、民泊の内容を入れるように義務づけるということを1度指導してもらえば、賃貸借契約書の大概が変わるという趣旨の発言がありました。東京都に協力を求めるとともに、区としても土地・建物賃貸借契約書のひな形や書式を独自に作成して不動産業界に活用を促してはいかがでしょうか。
     質問の第3は、人員体制についてです。
     条例案では、第13条の建物・土地提供者の責務である賃貸借契約やマンションでの民泊事業の可否を規約等に記載する努力義務は条例公布の日から、民泊の届け出事務は来年3月15日から施行されます。体制の強化を急がなくてはいけません。
     先日、福祉健康委員会が視察した京都市は、20人の職員体制で臨み、昨年実態調査を行い、それでも不明な施設についてはJTB西日本に委託をして調査し、仲介事業者にも聞き取りを行い、実態の解明を急いでいます。
     新宿区は、4,000を超すと言われる民泊の実態把握ができておらず、これでは条例が施行されても、届け出したものは受け付けるが、そうでないものの指導ができないのではありませんか。条例に基づいた指導を徹底できるように、施行前に実態把握が必要です。来年度の組織改編待ちにせず、健康部、都市計画部、環境清掃部、消防署、警察署など検討会に参加した機関の連絡体制を構築し、今から必要な人員を配置すべきではないでしょうか。
     また、事業者の相談、宿泊者や近隣の苦情や相談を受け付ける窓口設置が必要ですが、条例案は住居専用地域で区役所が閉庁している土日の営業を認めており、実態に即して夜間・土日に起こる問題にも対処できる体制を整備する必要があると考えますが、どのように準備されているのか伺います。
     質問の第4に、予算の措置についてです。
     住宅宿泊事業法の実施に伴い、区には多大な事務負担が生じます。第3回定例会では、職員増員や労働者派遣、外部委託等を検討すると答弁されましたが、いずれにしても適正に事業を遂行するための予算はきちんと確保しなければなりません。国や都から補助金等はあるのでしょうか。少なくとも都区財政調整で算定するよう求めるべきと考えますが、いかがですか。
     また、法定外目的税についても検討すべきと思いますが、いかがですか。
     以上、答弁を求めます。

     

     

    ◎区長(吉住健一) 民泊についてのお尋ねです。
     初めに、住宅宿泊事業の実施の制限についてです。
     住宅宿泊事業について、区域を定めて実施期間を制限することに関しては、国土交通省が実施可能日を「ゼロ日」として全面禁止区域を設けることは、法で想定していないと説明しています。
     区としては、生活環境の悪化の防止のためには一定の制限が必要と考えますが、規制強化により無届け出のケースが増加をすることを危惧しています。
     これらを考慮し、全面禁止の区域を設けるのではなく、都市計画法で良好な住居の環境を保護するために定められている住居専用地域について期間制限をすることとしました。
     また、商業地域、近隣商業地域及び住居地域は、旅館業法の許可を取得して営業が可能な地域です。そのため、住宅宿泊事業の制限を行うのではなく、今回の条例により、ルールにのっとった住宅宿泊事業の適正な運営の確保を図っていきます。
     次に、建物又は土地の提供者等の責務についてのお尋ねです。
     住宅宿泊事業法に基づく届け出の際、その住宅の所有者等が賃貸を行うにあたり、事業を行う旨の承諾をしていることも届け出事項として法令で定められており、区はその書類確認も行います。
     このことから、条例案では、他人に建物、または土地を提供する場合、賃貸借契約の締結の際に、住宅宿泊事業の実施の可否について明記することを努力義務として定めました。
     一方、当事者間で取り交わす不動産の賃貸借契約は取り決め事項が多様であるため、賃貸借契約書のひな形や書式を区で独自に作成することは困難と考えます。
     このため、国土交通省が作成している「賃貸住宅標準契約書」の内容に住宅宿泊事業の実施の可否に関する事項が示された場合は、国や東京都の所管部署、区内の不動産業関係団体と情報共有し、区民に対して内容の周知を行っていきます。
     次に、人員体制についてのお尋ねです。
     初めに、民泊の実態把握についてです。
     京都市では、平成27年度に民泊の実態調査を行いましたが、現在は行政指導が強化されたこともあり、該当物件のサイトによる場所の特定がほとんどできない状況と伺っています。
     区の苦情件数は平成27年度から年々増加し、10月末で延べ601件となりましたが、最近は職員が何度現地を調査しても営業者側が連絡を絶つケースが見られ、委託調査を行っても把握は困難と思われます。
     区は、今回の条例制定及び来年6月15日の法施行に向け、区民、事業者、宿泊者へ、わかりやすいリーフレットやルールブックを作成・配布し、制度の周知を図るとともに届け出の促進に努めます。
     一方、違法民泊に関しては多くの苦情や相談があり、旅館業法違反として指導監督していますが、住宅宿泊事業の届け出住宅についても現地確認及び指導監督等の事務が発生します。これらの対応を適切に行い、違法民泊の潜在化を防ぐためにも、民泊対応の窓口となる健康部衛生課の職員体制等の充実が必要と考えています。
     さらに、旅館業法の改正が今後予定されており、無届け民泊に対して立入検査等の創設や罰則規定の強化がなされることから、警察等関係機関と、より緊密に連携して対応していきます。
     次に、苦情・相談受付窓口については、国が設置するコールセンターの機能も活用し、担当部署で地域の現地指導につなげる体制整備を行います。
     夜間や土曜日・日曜日に問題が起きた場合の体制についてですが、住宅宿泊事業者は周辺住民からの苦情等に適切かつ迅速に対応することが義務づけられています。届け出住宅には標識の掲示も規定されており、さらに条例案で所在地、連絡先などを公表することとしており、今後、区ホームページ等で閲覧できるようにする予定です。
     このように、住宅宿泊事業者が夜間や土曜日・日曜日にも適切に苦情等に対応できる体制を整えるほか、無届け民泊については、警察等関係機関と連携して適切な対応をしていきます。
     次に、予算の措置についてのお尋ねです。
     初めに、国や都からの補助金等についてですが、現在、国や都から補助金の交付についての見解は示されていません。
     また、法定外目的税の徴収については、区が独自に徴収することは考えていませんが、引き続き都の検討状況を注視していきます。
     なお、区が住宅宿泊事業法を適正に運営していくためには、財源確保も重要な課題の一つと考えているため、今後、補助金の交付や都区財政調整での算定等について、区の事務量に応じた適切な財源配分を国や都に要望していきます。

     

     

    ◆19番(あざみ民栄) 次に、高齢者福祉と介護保険について質問します。
     第1の質問は、介護予防・日常生活支援総合事業--以下「総合事業」と言う--についてです。
     第3回定例会で私たちが総合事業の報酬単価引き上げと精算方法簡素化等を求めたのに対し、区長は、有資格者による訪問介護相当サービスと生活支援員による生活援助サービスの差別化を図ると答弁されましたが、昨年来要望してきた有資格者による訪問介護相当サービスの単価引き上げについては回答がありませんでした。
     国は2012年、2015年と2回連続して介護報酬を引き下げ、介護事業者の経営は厳しさを増しています。区が昨年実施した「高齢者の保健と福祉に関する調査」でも、訪問介護事業者の65.5%が経営状態が厳しいと答え、総合事業に取り組むために必要なことでは、81%が事業採算性の検証と答えています。
     あるヘルパー事業者は、「高齢者総合相談センターに頼まれて仕方なく受けているけれども、処遇改善加算がなかったらやっていられない」と怒っています。
     このままでは介護事業者がサービスを提供しなくなり、「差別化」しようにも、比べるべき一方のサービス提供者がいなくなるのではありませんか。改めて訪問介護相当サービスの報酬単価引き上げを求めます。明確に答弁願います。
     ところで、総合事業では、高齢者総合相談センターの職員が要介護認定か、基本チェックリストにするかを判断します。基本チェックリストと判断すれば、基本チェックリストと聞き取りシートに質問内容を記載し、総合事業に該当していれば区役所に書類が上げられ、区が決裁する仕組みです。
     ことし8月末現在の総合事業該当者で最も多い若松町高齢者総合相談センターが102人、逆に少ない箪笥町高齢者総合相談センターが9人です。要介護認定者に対する事業対象者の割合は、若松7%に対し、箪笥0.77%で、9倍の開きがあります。この差は、高齢者総合相談センターに相談した最初の時点で要介護認定か、基本チェックリストかの選択段階で生じると考えますが、区長はこの要因はどこにあると分析しているのかお答えください。
     大阪市では、基本チェックリストだけだと医療的な視点が十分確保されないとして、主治医の意見書で、「認知症高齢者の日常生活自立度」と身体介護の必要性についての「障害高齢者の日常生活自立度」の2つの判断を行い、さらに市のサービス検討会議にかけて他職種の専門的視点から判定を行うスキームを構築しています。市の担当者は、「要支援者のケアプランを全部民間事業者にお願いしていることもあり、判断の基準を明確に示す必要があった」と言っています。
     私たちはこの間、基本チェックリストはやめて、従前どおり全員介護認定を行うべきと主張してきました。再度そのことを求めますが、いかがですか。
     そうしないなら、少なくとも高齢者総合相談センター窓口で応対した職員個人の判断に委ねる制度はやめ、医師の意見書や集団での検討会などを取り入れて判断基準を明確にし、誰が見ても客観的で公平だと思えるスキームに改善すべきです。区長の見解を伺います。
     質問の第2は、介護基盤整備についてです。
     第7期介護保険事業計画(素案)--以下「計画素案」と言う--では、富久町の国有地跡に予定されている以外に新たな特別養護老人ホーム増設計画がありません。計画素案では、「施設サービスは1人当たりの給付が高額」で「保険料に影響を与えることとなり、給付と負担のバランスを考慮する必要がある」特別養護老人ホームの「入居待機者の動向を踏まえ、在宅生活が困難になったときのセーフティネットとして機能する施設整備計画を進める」としています。
     要するに、しばらく様子を見ておこうという姿勢です。高齢者も家族も在宅での生活を望んでいますが、それが困難だから施設入所を希望するのです。
     私の知り合いは、特別養護老人ホームに入れないため、区外のサービスつき高齢者住宅や遠くの有料老人ホームに入所しています。有料老人ホーム、軽費老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅等の特定施設で介護サービスを受けている方は、昨年度末で1,380人もいて、特別養護老人ホーム入所者1,098人を282人も上回っています。
     特定施設の介護保険サービスは、1日当たりの支給上限が介護度別に定められており、特別養護老人ホームなどの施設に比べて自己負担が多く発生しますし、補足給付もありません。施設サービス給付は高額だといって特別養護老人ホーム増設をセーブすれば、入れない人は有料老人ホームなどで自己負担せざるを得ないことになります。これでは保険あって介護なしです。意識的に特定施設の利用に誘導することが区の方針なのでしょうか。第7期中に特別養護老人ホームを増設する計画に変更するよう強く求めます。区長の見解を伺います。
     質問の第3は、次期保険料についてです。
     計画素案では、保険料の余剰金である介護給付準備基金が約15億円あり、保険料抑制に使うとしています。それ自体は当然ですが、問題は、なぜ15億円も保険料の余剰が出たかです。第6期の保険給付見込みは689億円で、第1号被保険者の3年間の負担分はその22%で、約152億円です。15億円の余剰とは、見込みより実際の給付が10%少なかったということです。保険料は3年に1度の見直しであり、第1号被保険者の年齢を考えれば、できるだけ見込みと給付に差が生じないようにすべきだと思いますが、この点についての区長の認識をお聞かせください。その上で、第6期で給付が想定より10%少なかった要因をどのように分析しているのかお答えください。
     ところで、第6期で第1号被保険者が給付総額の22%を負担していたのが、第7期は23%に引き上げられました。1%は7億円強で、介護給付準備基金の残15億円の半分近くに当たります。15億で1人当たり幾ら下がり、1%で幾ら上がるのかお聞かせください。
     新宿区は第6期の保険料を16段階に多段階化するなどして低所得者の負担を抑える努力をしてきましたが、そうした努力に水を差す国のやり方は許せません。国に対して第1号被保険者の負担割合を少なくとも、もとの22%に戻し、その分を国が負担するよう要望すべきと考えますが、いかがですか。
     以上、答弁を求めます。

     

     

    ◎区長(吉住健一) 高齢者福祉と介護保険についてのお尋ねです。
     介護予防・日常生活支援総合事業における訪問介護相当サービスの報酬単価引き上げについてです。
     有資格者である訪問介護員による訪問介護相当サービスは、現在、身体介護に要する時間に応じてサービス費の設定区分を3区分としています。このうち、食事や入浴介助などの身体介護に要する時間が最も短く、利用者負担も低い区分に利用が集中しています。
     こうした利用者の偏りを解消するとともに、緩和した基準による生活援助サービスとの役割分担を明確化し、利用者のサービス選択制の確保と利便性の向上を図られるよう、サービス費の設定区分の変更を現在検討しています。
     次に、基本チェックリストについてのお尋ねです。
     御承知のとおり、基本チェックリストは、訪問型サービス及び通所型サービスのみ利用する場合に、要介護・要支援認定等を省略して迅速にサービスを利用できるようにするためのツールです。
     一方、本人の心身状況等を聞き取りのみで把握するため、本人の主張と実態とが乖離し、過剰なサービス提供により本人の自立を阻害することも想定されます。そのため、高齢者総合相談センターで基本チェックリストを使用する際は、区独自の聞き取りシートも活用し、詳しい状況や支援が必要な原因や背景も必ず確認をしています。
     また、区で独自に作成している「介護予防ケアマネジメントマニュアル」には、要介護・要支援認定を行うか、基本チェックリストを使用するかを適切に判断できるよう複数のパターンを示し、振り分け方法を明確化した表を掲載しています。
     これに基づき、新規申請、継続申請のそれぞれの場面において事業の趣旨や目的を説明し、本人の希望するサービス内容や生活実態を十分に把握し、さまざまな社会資源等での対応が可能かどうかの見きわめも行った上で基本チェックリストを使用しています。
     こうした状況の中で、高齢者総合相談センターによって使用割合が異なることはありますが、いずれも一人ひとりの状況に応じ対象者に寄り添った適切な対応の結果と考えます。
     また、サービス利用開始に当たっては、本人及び家族、ケアマネジャー、サービス事業者3者によるサービス担当者会議を開催し、身体状況に関する情報や課題の把握を行い、よりよい支援に結びつけています。今後も高齢者総合相談センターと情報共有を図りつつ、基本チェックリストは十分な説明を行った上で使用してまいります。
     次に、介護基盤整備についてのお尋ねです。
     御指摘のとおり、第7期介護保険事業計画(素案)での特別養護老人ホームの建設は、現在整備を進めている富久町国有地のみとなっておりますが、特別養護老人ホームの整備は、これまでと同様に重要な課題であると認識しています。事業運営に見合う広さの土地があった場合は積極的に活用に向けた検討を行っており、特定施設の利用に誘導する方針はありません。
     建設に向けては、一定規模を有する土地が必要になりますが、当区では、国有地や都有地等の公有地の活用を前提に調査や検討を進めています。特別養護老人ホームの建設にふさわしい候補地が活用可能となった場合には、整備計画としてお示しします。
     次に、次期保険料についてのお尋ねです。
     介護保険は3カ年ごとに必要な給付費を見込み、それをもとに保険料を算定する制度であり、見込みと実際の給付費の差が少ないことが望ましいと考えています。
     第6期計画での給付費が見込みより少なくなった要因としては、認知症高齢者グループホームと小規模多機能型居宅介護の各1所が未整備となったこと、2割負担導入や補足給付の改正、総合事業の開始など、各種の大きな制度改正があったことから、策定時点で与えられた条件での見込みと実績との差が生じたものであると考えています。こうしたことから、給付費全体では差異がある状況ですが、適切に見積もった結果の余剰金であると捉えています。
     次に、第1号被保険者の負担割合と介護給付準備基金についてのお尋ねです。
     現段階の試算では、22%から23%への変更による影響額は、介護保険料基準額月額で約300円程度です。また、介護給付準備基金を15億円投入した場合、約600円程度の抑制効果が見込まれます。
     今回の負担率の改正は、政令に基づき第1号被保険者と第2号被保険者の構成比率により負担のバランスを見直すものであり、安定的な制度運営を図るために必要なものであるため、国に対し変更取り消しを要望する考えはありません。
     また、国の負担割合については、法定負担分25%を確実に交付するとともに、各保険者間の高齢者数や所得状況による不均衡を是正するための財政措置は、これまでの調整交付金とは別枠で対応するよう、全国市長会や特別区長会を通じて要望しています。

     

     

    ◆19番(あざみ民栄) 次に、国民健康保険について質問します。
     第1に、国民健康保険料の負担についての認識です。
     東京23区は、比較的低い保険料の自治体でしたが、給与年収400万円の4人世帯を例にとると、2017年度国民健康保険料は年41万8,000円、1999年度が年16万円だったことと比較すると、2.6倍となりました。とりわけ2017年度は、1人当たり平均で前年度比7,300円増、11万9,000円に値上げされ、過去10年間で最大の値上げとなりました。収入が200万円の65歳以上74歳未満の年金生活の御夫婦では、収入の17%にも達するほどです。こうした結果、人口100万人以上の都市の中で、保険料額は低いほうから2位だったのが高いほうから京都市に次ぐ2位へとはね上がりました。区長は、国民健康保険加入者の構成・世帯収入に対し、国民健康保険料負担の重さをどう受けとめておられるのか見解を伺います。
     第2に、国と東京都の財政支援についてです。
     2018年度からの国民健康保険の都道府県単位化にあたり、政府は3,400億円の交付金を与えますが、「国民健康保険料の負担感を緩和するには1兆円が必要」との全国知事会の要望に対し、全く不十分な金額です。東京都の財政支援の後退も深刻です。区市町村の国民健康保険に対する独自補助は1990年代、1人当たり8,000円から9,000円ありましたが、2015年度現在は1,700円しかありません。
     一方、厚生労働省は、9月に2018年度からの都道府県単位化による急激な国民健康保険料の上昇を防ぐため、市区町村による法定外繰り入れを当面容認する姿勢を示しました。法定外繰り入れを「計画的に解消・削減すべき」という立場から、各地の試算で国民健康保険料の大幅上昇が示されたのを受け、激変緩和のため容認せざるを得なくなったのです。特別区長会が昨年12月26日、制度改正に当たり激変緩和と財政措置等を国に申し入れていますが、国民健康保険料の大幅な値上げが現実となりかねない今、国と東京都にさらに強く財政支援を求めるべきと考えますが、いかがですか。
     第3に、新宿区の対応についてです。
     今月21日、東京都国民健康保険運営協議会が行われました。同日諮問・答申された標準保険料率は府中市が最高で、約5万5,700円、1.6倍等であり、「これほどの値上げは聞いたことがない」「このまま市民に示せない」と自治体関係者に激震を与えています。
     新宿区においても、2018年度仮係数に基づく1人当たり国民健康保険料額と2016年度法定外繰り入れ後の1人当たりの保険料との比較をすると、増減額はプラス4万536円、136.05%と大幅な値上げです。12月に行われる診療報酬改定によっては、さらなる値上げもあり得ます。この事態を区民はどこまで知っているでしょうか。国民健康保険運営協議会を開き、適時情報提供を行っている自治体もあります。介護保険は、説明会等で保険料を含めた次期計画案を提示し、区民に意見表明する機会を設けています。制度が変わり、国民健康保険料の大幅な値上げが予想されるもと、区民への情報提供はどうされるおつもりかお答えください。説明会などで直接意見を聞くとともに、区民意見を運営協議会で反映させるべきと考えますが、いかがでしょうか。
     大阪府堺市は、2011年、市民生活に配慮し、一般会計からの法定外繰り入れにより国民健康保険料を引き下げ、その後も値上げしないよう法定外繰り入れを行っており、来年度以降もそれを維持するそうです。
     東京都は2018年度、国民健康保険料値上げ抑制のための法定外繰り入れはしないとしていますが、東京都に法定外繰り入れを求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
     また、新宿区として来年度の新しい保険料率を盛り込んだ条例改正の提案に当たっては、法定外減免や区民1人当たり1万円の保険料引き下げを目指し、法定外繰り入れを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
     第4に、特別調整交付金についてです。
     国民健康保険の都道府県化に当たっては、「保険者機能の強化」が求められ、東京都は国民健康保険財政を「健全化するため」、全国に先駆けて国民健康保険料の「差し押さえ件数」、「差し押さえ割合」と保険証を取り上げて発行した資格証明書の数を区市町村に競わせ、特別調整交付金の大半に当たる40億円を与える制度を2014年に設けました。
     被保険者数10万人以上の区市で差し押さえを100件行うと1,000万円、300件で2,000万円、500件で4,000万円を収納率向上の成績評価として交付金を与えるというものです。
     このため、都内の自治体では国民健康保険料の滞納処分による差し押さえが急増する異常事態になっています。
     新宿区では昨年度349件の差し押さえがあり、2,000万円の交付金となります。全国的に見ても、差し押さえ件数に対して交付金を出すのは4都県のみで、差し押さえ割合と資格証明書発行割合に対して交付するのは東京都しかありません。
     都内では2014年度の国民健康保険料滞納世帯が60万7,224世帯、全加入世帯の25.7%であり、62自治体中60自治体が滞納処分・差し押さえを実行し、2万1,502件、76億3,403万円が差し押さえられました。
     区は、差し押さえについて納付相談の機会をふやして生活支援を行うことが目的だと説明されていますが、私はむしろ、ここまで高くなってしまった国民健康保険料を区民が支払える金額に引き下げることこそが必要と考えます。東京都に対し、特別調整交付金を廃止し、その財源を国民健康保険財政の安定化と国民健康保険料引き下げに使えるよう求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
     以上、答弁を求めます。

     

     

    ◎区長(吉住健一) 国民健康保険についてのお尋ねです。
     初めに、国民健康保険加入者の構成・世帯収入に対しての保険料負担についてです。
     国民健康保険は、保険料と制度的に定められた公費を財源として事業運営を行うことが基本となっています。
     また、国民健康保険の被保険者には低所得者が多いことから、所得や生活状況に応じて保険料の軽減や減免のほか、徴収の猶予を行うなど、適正かつ公平な負担となるよう配慮がなされています。
     国民皆保険と質の高い医療水準が、相互の支え合いによって持続していくために、保険料の負担は必要なものであることを、被保険者の方々に御理解いただくことが大切であると考えています。
     次に、国と東京都に対して、さらに強く財政支援を求めるべきとのお尋ねです。
     国民健康保険の被保険者は高齢者が多く、1人当たりの医療費が高い一方、低所得者が多いため、保険料負担能力が低いという構造的課題を抱えています。
     このような状況を踏まえ、保険料負担の緩和を図るため、これまでも特別区長会を通じ、国及び東京都に対して財政支援を求めてきましたが、今後も必要に応じて要望していきます。
     次に、区民への情報提供と区民意見の運営協議会への反映についてです。
     来年度の保険料については、東京都が算定・公表する標準保険料率を参考に、今後、区において案を検討し、決定することになります。決定に当たっては、国民健康保険運営協議会に諮問し、被保険者を初め、保険医、被用者保険及び公益の代表として区議会議員等さまざまな立場を代表する委員から意見を伺っていきます。したがって、説明会等を開催して意見を聴くことは考えていません。
     被保険者を初め、区民の方々には国民健康保険運営協議会の資料や会議録をホームページ等で公表するほか、区報等で保険料に関する情報提供を行っていきます。
     次に、東京都に対して保険料引き下げのための法定外繰り入れを求めるべきとのお尋ねです。
     既に特別区長会を通じ、東京都に対して、安定的な財政運営ができるよう、国民健康保険制度改革における激変緩和措置及び低所得者等に対する保険料軽減策等の実施を要望しています。
     このため、さらに東京都に対して保険料引き下げのための法定外繰り入れを行うよう要望することは考えておりません。
     次に、法定外減免や法定外繰り入れを行うべきとのお尋ねです。
     来年度の保険料率案の検討にあたっては、一般会計からの法定外繰入金の解消の方向性を踏まえながら、制度改正に伴って保険料負担の急激な変化が生じないよう配慮していきたいと考えています。
     また、保険料の減免や軽減措置については現行の制度の中で対応するものと考えており、法定外の減免については、現在検討は行っていません。
     次に、東京都の特別調整交付金を廃止し、その財源を国民健康保険財政安定化と保険料引き下げに使えるよう求めるべきとのお尋ねです。
     都道府県の特別調整交付金は、保険者による国民健康保険事業の健全化に資する事業の実施状況や災害などの特別な事情等に着目して配分されるものです。
     東京都の特別調整交付金のうち、差し押さえ件数を指標とした配分については、適正な保険料収入を確保するための事業の実施状況に応じて配分するもので、各保険者の徴収努力を促し、収入の確保に資するものと認識しています。
     したがって、差し押さえ件数を指標とした特別調整交付金の配分の廃止や、財源を保険料の引き下げ等の目的に振りかえるよう求める考えはありません。

     

     

    ◆19番(あざみ民栄) 次に、健康づくり行動計画について質問します。
     「健康づくり行動計画」の素案が発表されました。基本方針と目標では、気軽に健康づくりに取り組める環境が整備され、区民が暮らしの中で意識せずとも健康づくりを実践でき、こころも身体も健康に暮らし続けられるまちを目指すことを掲げています。その実現のために、以下、具体的に質問します。
     第1に、「健康を支える社会環境の整備」についてです。
     質問の1つ目は、スポーツセンター、コズミックスポーツセンターの利用時間延長です。7月に行われたしんじゅく若者会議では、「区の施設を利用するにも、遅い時間では利用できない」「ボルダリングをしているが、子育て中のママが利用できる支援を」という意見が出されました。新宿区もスポーツセンターやコズミックは10時まで利用できますが、中野区の中野体育館は午後9時までだったのを午後11時45分まで延長し、さらに7・8月は午前9時の開始を午前7時に繰り上げ、多くの区民に喜ばれているそうです。この例も参考に、仕事帰りの区民など幅広く利用できるように利用時間延長を検討してはいかがでしょうか。
     コズミックスポーツセンターのプールは、8月のみ朝8時から利用できますが、7月も含めた夏季に、2カ所のスポーツセンターで朝7時から利用できるようにしてはいかがでしょうか。それには、指定管理者との契約変更が必要となりますが、区が財政的支援を行って区民のニーズに応えるよう検討すべきと考えますが、いかがですか。
     2つ目は、スポーツセンター、コズミックスポーツセンターでの託児の実施です。レガス新宿の行う一部の講座では託児がありますが、子育て中の保護者が利用できるよう場所を確保し、保育士等を配置して託児を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
     3つ目は、新宿区内には多数のスポーツジム、フィットネスクラブ等があり、早朝から深夜、24時間利用できるところもありますが、利用料が高いのが現実です。区立のスポーツ施設は偏在しており、不公平感は否めません。区民が身近な場所でスポーツを楽しめるよう、民間施設利用に対する補助を検討してはいかがでしょうか。
     第2は、こころの健康づくりに関連した自殺対策についてです。
     日本は自殺大国と言われ、自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)は、183カ国中、下から18番目です。日本の自殺率は減少傾向で、昨年度全国で17.3人に対し、新宿区は22.1人と高く、20代の自殺率は全国27.2人に対し、新宿区は28.5人となっています。新宿区では、若者の自殺、特に女性が多いのが特徴です。
     神奈川県座間市で起きた9人の若者の殺害・死体遺棄事件では、自殺願望のある若い女性にSNSを悪用して接近したと報道され、社会に衝撃を与えましたが、悩みを抱えたときに相談できる公的窓口の充実が必要だと感じました。区では、若者向けに6種類のパンフレットや3つのイベントを行い啓発してきましたが、さらなる対策の具体化について、以下4点伺います。
     質問の1つ目は、「自殺対策計画」の策定です。
     昨年4月、自殺対策基本法の改正により、地方自治体にも「自殺対策計画」の策定が義務づけられましたが、いつ、どのようなスケジュールで策定を進めるのでしょうか。計画には、特に若者対策を重視すべきと考えますが、いかがでしょうか。
     2つ目は、相談窓口の周知とSNSの活用です。
     東京都やNPO団体などが深夜、または24時間、こころの相談窓口を開設していますが、認知度が36.3%と低く、広く知らせる必要があります。SNSを使った窓口の紹介など、あらゆる機会を捉えて周知すべきではないでしょうか。また、悩みを気軽に打ち明けられるツールとしてSNSの活用は、鹿児島や長野県がLINEによるこころの相談を行い、鳥取県も検討しています。新宿区でもSNSを活用した相談を検討してはいかがでしょうか。
     3つ目は、ゲートキーパーの養成とフォローです。
     自殺の危険やサインに気づき適切に対応するゲートキーパーの養成講座の受講生は、10年間で2,417人となりました。健康づくり計画にゲートキーパーの養成目標を掲げ、同時に現在多くが受講したままになっていますが、講演会の案内や区の自殺対策の情報提供などを定期的に行い、フォローすべきではないでしょうか。
     4つ目は、自殺未遂者、自死遺族への支援です。
     堺市は、2009年に「自殺対策推進計画」を策定し、精神保健課いのちの応援係を6人体制でつくり、2015年から22の救急病院と警察・消防と自殺未遂者の対応で連携し、本人・家族の同意を得て訪問・支援を行っています。
     また、精神保健センターが自死遺族を訪問して話を聞くなど、心のケアを行っています。区でも救急病院、警察、消防と連携して自殺未遂者、自死遺族への支援を検討してはいかがでしょうか。
     以上、お答えください。

     

     

    ◎区長(吉住健一) 健康づくり行動計画についてのお尋ねです。
     初めに、スポーツセンター、コズミックスポーツセンターの利用時間延長についてです。
     両施設ともに指定管理者により管理運営されていますが、区としては、施設を利用する方が安全かつ安心して利用できることが最も重要だと考えています。利用時間を延長するためには、人員の十分な配置、施設メンテナンスの問題等、さまざまな条件を整える必要がありますので、現在のところ、利用時間の延長は考えていません。
     次に、7月を含む夏季に2つの施設のプールについて、朝7時から利用できるようにすべきとのお尋ねです。
     御指摘のとおり、コズミックスポーツセンターでは、8月に限り、朝8時からプールの利用を可能にしていますが、施設全体の利用時間延長と同様、現在のところ、規模を拡大する考えはありません。
     次に、スポーツセンター、コズミックスポーツセンターを子育て中の保護者が利用できるよう、託児の場所を確保し、保育士等の配置を検討すべきとのお尋ねです。
     現在、スポーツセンターでは託児は実施していませんが、生後5カ月のお子さんから、親子一緒に楽しめる体操などのプログラムを実施しています。
     また、コズミックスポーツセンターで実施している託児つきのプログラムでは、幼児体育室を託児専用の場所とし、保育士による託児を行っています。
     託児場所を常設し、保育士等による託児を実施することは難しい状況ですが、利用者の方の御要望等も参考にしながら、より多くの子育て中の保護者の方の御利用につながるよう、プログラムの選定等に工夫をしてまいります。
     次に、民間のスポーツ施設利用に対する補助についてのお尋ねです。
     御指摘のとおり、区内には多くの民間スポーツ施設があります。現在のところ、民間施設利用に対する補助を実施する予定はありませんが、今後、スポーツ施設を利用しやすい環境づくりについて研究してまいります。
     こころの健康づくりに関連した自殺対策についてのお尋ねです。
     初めに、自殺対策計画の策定についてです。
     区は、今後、国から提供される「自殺対策計画の手引き」や地域の実情に応じた「地域自殺対策政策パッケージ」等を参考に、平成30年度に検討を開始し、パブリック・コメントを経て平成31年度中に策定する予定です。
     また、若者対策を重視した計画についてですが、検討に当たっては、若者の自殺者の現状を踏まえ、自殺予防に関して若者の支援を行っているNPO等の意見も聞きながら検討していきます。
     次に、相談窓口の周知とSNSの活用についてです。
     区は現在、こころの相談窓口を案内する手段として、区ホームページへの掲載のほか、チラシ、ポケットティッシュの配布を行っています。
     また、困りごと・悩みごと相談窓口一覧、若者向けの相談窓口リーフレット等を特別出張所や図書館、漫画喫茶等に配布し、周知を行っています。配布物には、QRコードを載せ、さらに詳しい情報が得られるよう工夫をしています。
     区としては、若者が気軽にアクセスできる手段としてSNSやLINE等が有効であることは認識しており、今後、区のフェイスブックやツイッターを活用した相談窓口の周知について検討してまいります。
     また、相談は、本人と直接電話や面接により、きめ細やかに対応していく必要があるため、SNSを活用した相談については考えておりません。
     次に、ゲートキーパーの養成とフォローについてです。
     区は、一人でも多くの区民や区の職員が、自殺予防に関する正しい知識を得て、悩みを抱えた人を相談窓口につなげていくことを主な目的として、養成講座を実施しているところです。
     養成したゲートキーパーへの情報提供等のフォローも必要と考えておりますが、現時点では、ゲートキーパーをふやしていくことを優先課題として取り組んでいます。
     次に、自殺未遂者、自死遺族への支援についてです。
     区は、学識経験者、医療・福祉の関係機関、警察・消防、NPO等の委員で構成した「自殺総合対策会議」を設置し、自殺未遂者や自死遺族支援についても検討しており、関係機関相互のネットワークの構築を図っています。
     また、自殺未遂者支援に取り組んでいる区内の大学病院と情報交換等も行っており、引き続き支援方法等について検討してまいります。

     

     

    ◆19番(あざみ民栄) 次に、教育ビジョンについて質問します。
     教育ビジョンは、11月27日まで素案に対するパブリック・コメントが行われ、来年2月の教育委員会で決定される予定です。この間行われた地域説明会の参加者は何人で、それ以外の説明会をどのように行い、何人参加したのでしょうか。パブリック・コメントは何人から何件あったかお答えください。また、現場の教員の意見を聞く機会をどのように設け、どのような意見があったのかお答えください。
     教育ビジョンは、決定までに2カ月以上あります。あらゆる機会を捉えて意見を聴き、取り入れるべきと考えますが、いかがでしょうか。
     教育ビジョンが初めて策定された前回と比べて、子どもと学校を取り巻く環境は厳しさを増し、子どもの貧困、教員の多忙などが社会問題となっています。素案には、そうした課題が盛り込まれた点を大いに評価し、さらに充実するため、2点に絞って提案します。
     第1は、「教員の多忙」解消です。
     新宿区教育委員会がことし6・7月に行った「教員の勤務実態調査」に続き、同時期に東京都が行った調査も結果が発表され、いずれも文部科学省の昨年の調査を上回る長時間労働の実態が明らかになりました。東京都教育委員会は、公立中学校教員の7割、小学校や高校も3割が過労死ラインを超える在校時間となっている現状から、過労死ライン超えゼロを目標に、来年2月までに働き方改革の計画を策定する予定です。
     「平成29年度新宿区教育委員会の権限に属する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価(平成28年度分)報告書」で、評価委員の3人中2人が教員の多忙化について指摘し、「教育委員会からのアンケートや調査等に対応することも教員にとっては大変である」「新学習指導要領の実施と、それに伴う教員の多忙化が今後の課題」などと総括しました。
     新宿区教育委員会は、プロジェクトチーム設置のための準備会を立ち上げましたが、参考になるのは、ことし3月に出された全国都道府県教育長協議会第4部会の研究報告と、愛知県教育委員会の「教員の多忙化解消プラン」です。
     研究報告と愛知プランは共通点が多く見られますが、愛知プランは、より踏み込んで、2019年度までに過労死ライン超えの教員の割合を全校種ゼロにしつつ、新たな目標を2017年度中に設定するとし、具体策では、出退勤管理の電子化、解錠時間・施錠時間の設定や閉校日の設定。業務改善については、「教員の本来的業務」を精査するための洗い出しを行い、教育委員会が実施する会議、調査、研修、研究指定校の廃止などゼロベースで見直すという大胆なものです。
     国に対する要望も課題ごとに具体的です。教員は、制度上残業代がなく、昭和41年当時の勤務実態をもとにした教職調整額で対応されていますが、実態に見合った制度となるよう要請することや、教職員定数の改善について35人学級編制の法制度化による少人数学級の推進などを要請していくことが明確にされています。
     愛知プランのように、時間外在校時間について過労死ライン超えゼロはもちろん、年度ごとの数値目標を教育ビジョンに明記すべきではないでしょうか。
     具体策では、ICTを活用した出退勤管理です。校長・副校長が教員の勤務実態を客観的に把握できれば、適切な声かけもできます。会議、調査、研修、研究指定校の見直しも不可欠です。少なくとも時間外にかかる会議は禁止し、会議や研修も情報伝達的なものは1カ所に集めて行う必要はなく、ネット会議などICTを活用すれば、往復の出張時間と経費が削減できます。研究指定校も教員が準備に追われ、本末転倒なことになっていないでしょうか。愛知のようにゼロベースでの見直しが必要です。定時退庁日やお盆休みなど完全休業日の設定、一定時間以降の留守番電話への切りかえなどを実施し、保護者・地域への啓発を行うことも必要です。これらを来年度から実施すべく検討してはいかがでしょうか。
     根本的な解決のためには、国の制度を変えていくことが不可欠ですが、素案の表現では不十分です。教職調整額の時間外勤務手当への変更も含めた抜本的な見直し、全学年少人数学級の実施等を国や都に求めることを明確にすべきではないでしょうか。
     第2に、主権者教育の位置づけを高めることです。
     地域説明会で、「素案では主権者教育の内容が少ない。自治基本条例の教材が学校現場で使われていないのではないか。子どもたちが身近なことから考えることが大事だ」という指摘がありました。
     この間、新宿区自治基本条例が制定され、昨年の参議院選挙から18歳選挙権が施行されました。学校現場でさまざまな取り組みがされていることは承知していますが、新たな教育ビジョン個別事業の「主権者教育等の推進」に自治基本条例を活かした主権者教育を位置づけるべきではないでしょうか。
     神奈川県教育委員会は、県立高校でシチズンシップ教育の一環として取り組んできた「政治参加教育」を発展させ、18歳選挙権施行に伴い、「小・中学校における政治的教養を育む教育指導資料」をことし3月作成し、例えば中学2年生では、身近な地域の防災について、行政の資料や地域の人の意見とともに、地方議会がどのような対策をとろうとしているか調べる例や、中学校3年生は「国民の生活と政府の役割」をテーマに職業体験などの学習を振り返り、働く意味を考えると同時に、労働者を守る法制度や労働組合についても学ぶといった例が示されています。
     新宿区でも、このような資料を作成し、選挙管理委員会や行政機関、弁護士など、外部講師のメニューもあわせて提供することで「主権者教育」の取り組みをサポートすることが必要と考えますが、いかがでしょうか。
     以上、お答えください。

     

     

    ◎教育長(酒井敏男) 教育ビジョンについてのお尋ねです。
     初めに、教育ビジョン素案に対するパブリック・コメントなどの実施状況についてです。
     教育委員会では、10月に決定した素案に対し、区民等からの意見を聞く機会としてパブリック・コメント等を実施してまいりました。
     区内10カ所の地域センターで開催した地域説明会では、計96名の参加があり、また小学校と中学校のPTA会長向け説明会では20名の参加がありました。そのほかに、幼稚園PTA連合会会長会・副会長会、スクール・コーディネーター連絡会定例会、地区青少年育成委員会会長会では素案を説明し、意見を聴く機会を設けてまいりました。
     なお、パブリック・コメントでは、16名1団体の方から計117件の意見をいただきました。
     さらに、現場の教員の意見を聴く機会としては、教育ビジョン策定に当たり、校園長会や副校園長会だけでなく、教務主任会、生活指導主任会にも意見書の提出を求め、学校現場が捉える子どもの現状と課題や家庭・地域との連携・協働による学校づくりに向け学校現場でできることなど、多くの意見をいただいています。
     今後は、こうした機会でいただいた意見を踏まえ、必要な修正・見直しを行った上で、来年2月の教育委員会定例会で教育ビジョンを策定してまいります。
     次に、「教員の多忙」解消についてのお尋ねです。
     教育委員会では、時間外在校時間が過労死ラインを超えるなど、長時間労働が常態化することは望ましいことではないと受けとめています。
     今後、教育委員会の事務局職員と学校の代表で構成するプロジェクトチームを設置し、過労死ラインを超える状況の解消や年度ごとの数値目標などのあり方も含め検討していきたいと考えております。
     教員の業務改善などについては、教育委員会としても重要な課題と認識しています。
     教育ビジョンは、教育目標を達成するために、今後10年間を計画期間として新宿区の目指す教育と、その実現のための施策や事業を総合的に、かつ、体系的に明らかにするもので、明記する内容には限りがありますが、引き続き重要な課題と認識し、取り組んでまいります。
     次に、「教員の多忙」解消の具体策についてです。
     先ほど述べたプロジェクトチームは、「勤務環境の改善に向けた具体的な取り組み」、「教員の意識改革」、「取り組みの実効性を担保する仕組みづくり」といった視点から検討を進めていくことを考えています。
     御指摘の「教員の多忙」解消の具体策としての会議のあり方や定時退庁日、完全休業日の設定、留守番電話の活用、保護者・地域への啓発などについても、さまざまな視点から検討することになると思われます。今後対応していく具体的な内容を今年度中に取りまとめ、対応可能なものから順次実施に移し、教員の業務改善に取り組んでまいります。
     なお、研究指定校については、教育委員会とともに研究を進めるもので、効率的な運営に努めており、計画段階から教員が主体的にかかわることを大切にし、計画的に進めています。指定校のサイクルについても校長会と協議して、見直しをしています。また、研修においては、参加者が主体的に参加する形態を推進しており、相手と直接協議したり議論することを大切にしています。
     次に、教職調整額の時間外勤務手当への変更も含めた抜本的な見直しについてです。
     教職調整額は、教員について、その職務と勤務態様の特殊性に基づき、時間外勤務手当のかわりとして法律で定められたものです。教職調整額が教員の勤務実態に見合ったものであるかという議論があることは認識しておりますが、国の動向を注視してまいります。
     次に、教員の負担軽減の一環として、全学年での少人数学級の実施等を働きかけるべきではないかについてです。
     現在、区立学校の小学校1年生は原則35人で1学級を編制しており、小学校2年生と中学校1年生についても、都の学級編制基準に基づき、可能な限り35人編制を行っています。
     少人数学級の推進については、児童・生徒に質の高い教育を提供する上で有効なものと考えていることから、引き続き国や都に働きかけを行ってまいります。
     次に、新たな教育ビジョンの「主権者教育等の推進」に自治基本条例を活かした主権者教育を位置づけることについてのお尋ねです。
     公職選挙法の改正により選挙年齢が引き下げられ、中学生にとって選挙が身近なものになったことから、新たな教育ビジョンでは個別事業として「主権者教育等の推進」を掲げています。
     現在、学校では選挙管理委員会の方を招いて、外部講師による出前授業の取り組みを行っています。中学校の生徒会役員選挙では、選挙管理委員会の協力を得て、実際の投票箱や投票記載台を使用した投票を行っています。こうした体験とも関連づけ、自治基本条例パンフレットを活用し、第3学年社会科公民的分野で地方自治の仕組みについて学習を進めています。
     御指摘については、パブリック・コメントでいただいた他の意見とあわせて検討いたします。
     次に、新宿区でも資料を作成するなどして主権者教育の取り組みをサポートすることについてです。
     中学校社会科副読本「のびゆく新宿」では、地方自治や区政の働きについて、自分たちが住む地域の事象を通して具体的に調べることができるよう、新宿区の区政の資料を掲載しています。
     また、区内小・中学校に「自治基本条例パンフレット」を配布する際には、教科と学習単元を具体的に示し、学習指導要領との関連を図りながら積極的に活用するよう周知しています。
     今後は、新学習指導要領改訂に合わせた社会科副読本の改訂を行うとともに、各学校における外部講師の活用状況についての情報を共有するなど、各学校の取り組みを支援してまいります。
     以上で答弁を終わります。

     

     

    ◆19番(あざみ民栄) ただいま区長と教育委員会から御答弁をいただきました。ありがとうございました。
     一部には前向きな答弁もあったような気がいたしますが、全体としてはもう一度議論したいなというものが多くあったと思います。
     たくさんできないので1点、ここには直接の答弁はなかったのかなというふうに思うところがありまして、最初の総合計画等のところの学童クラブなんですけれども、私は多くの保護者が望んでいる学童クラブそのものをふやしてほしいという願いはどう受けとめていらっしゃるのかという質問をしたんですけれども、保護者アンケートなどはどちらも高い。「どちらも」というのは、「ひろばプラス」も学童も高い評価だということだったり、あとは定員オーバー状態が大きいところについてはスペースの拡大をしていくという、これまでどおりの答弁しかなかったなと。私はそのものを、学童クラブそのものをふやしてほしいという願いがあるというふうに思っていますので、それについてはどう受けとめていらっしゃるのかというのをもう一度お聞きしたいと思います。

     

     

    ◎子ども家庭部長(橋本隆) 学童クラブの増設要望についてのお尋ねでございますが、確かに実行計画の素案のほうでいただいたパブリック・コメントの中には、議員から御指摘がございましたとおり、学童クラブの増設についての御意見をいただいているところでございます。
     そちらのほうにつきましては、私どもといたしましては、先ほど区長も御答弁をさせていただきましたが、子どもの居場所づくりというところで「放課後子どもひろば」「ひろばプラス」事業、そして学童クラブ、あるいは児童館等多様な選択肢を用意して、保護者の方がお子様のいろいろな成長段階、あるいは家庭環境に応じて多様な選択をできるという選択肢を広げてまいる。そういうところで学童クラブの充実を図っていきたいというふうに考えております。

     

     

    ◆19番(あざみ民栄) 今の答弁は、まさに本当にすりかえというふうに私は思わざるを得ないんです。
     質問でも言いましたけれども、法律に基づいて保育に欠ける子どもを、児童を預かる施設として位置づけがされた学童クラブそのものを増設、定員拡大をと望んでいることに対して、「放課後子どもひろば」ですとか児童館というのは違うんです。それを一緒くたにして、そういう多様な選択肢を提供することが学童クラブの増設を望む人たちへの応えというのは全く間違っているというふうに改めて思いますので、そこは本当に--まあ、私は区長にその願いの受けとめを聞きたかったんですけれども、本当にまた別な機会を捉えて、この問題、議論をさせていただきたいと思います。
     以上で代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

     

    区議会活動 | あざみ民栄

    2018.02.01 更新

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