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    2018年第2回定例会で沢田あゆみ議員が一般質問を行いました

    6月13日の本会議で、沢田あゆみ議員がいのちと人権を大切にする性教育の推進と、区立小中学校における混合名簿促進等、LGBT・SOGIの対応について一般質問を行いました。
     *正式な会議録ではありませんが、概要をご紹介します。

    (沢田あゆみ議員) 日本共産党区議団の沢田あゆみです。
     私は、いのちと人権を大切にする性教育の推進と、区立小中学校における混合名簿促進等、LGBT・SOGIの対応について質問します。
     私は、地域の中で10代20代の若者が望まぬ妊娠で悩みや苦労を抱えている事例を見てきました。また、私の知っている青年が、中学性の時にスカートの制服や女子であることを押しつけられてとても嫌な思いをしたという話を最近になって聞きました。私は、当時の学校ではまだ対応が不充分だったろうと大変申し訳なく思い、今回の一般質問は学校における性教育やLGBT等の対応について取り上げることにしました。
     先日、私は、「にんしんSOS新宿」を運営されている区内NPOの方にお話を伺ってきました。このNPOは、10代20代の若者を対象に妊娠や性の問題などの相談を電話・メール・面接で行っており、代表の方は区内で保育士や子ども家庭支援センターの相談員として子どもたちに係わる中で必要性を感じ、「にんしんSOS新宿」を立ち上げたそうです。保育園や行政の職員を対象とした研修の講師も事業としてされていますが、性教育の中でLGBT(性的マイノリティー)、SOGI(性的指向・性自認)についても正しい知識を教えていく事が重要だと強調されていました。
     「にんしんSOS新宿」への相談は区民に限りませんが、2016年12月から今年の4月末までの実績は新規相談が294件で、年齢がわかっているうち12歳から20歳が137人と圧倒的に10代が多く、まともな性教育を受けてこなかったために性に関する知識が間違っているかほぼ皆無で、安易に性行為に及び望まぬ妊娠をするケースや、妊娠したのではないかという不安に陥るケースが多いそうです。また、出産するより中絶するケースの方が身体的ダメージとともに「生まれてくるはずの命を消してしまった」という心のダメージが大きく、フォローが必要なのだそうです。
     一方で、区のホームページでも若者を中心に梅毒などの性病が急増していると注意喚起しており、2012年都内報告数が297件だったのが2016年は1673件うち新宿区内の医療機関からの報告が619件、2017年は1788件うち新宿区内665件で、特に女性は2006年から2016年で16倍に増えていることも深刻で、性病蔓延防止対策としても性教育の推進は不可欠です。
     しかし、この間の性教育を巡っては学校現場の授業内容に対する政治介入があり、2002年いわゆる東京都立七生養護学校事件ではその後、介入した都議と都に賠償命令が下ったにもかかわらず現場の萎縮は続き、今年の3月にも足立区立中学校での性教育に介入する質問が都議会で行われており、言語道断です。介入する側の「寝た子を起こす」論に対して一般社団法人「日本家族計画協会」理事長の北村邦夫医師は、「習っていないからこそ大胆になってしまう。性教育には、寝ているのではなく目を覚ましている子の目をもっと見開かせようという意図もある。実は性的マイノリティの問題なども含め示していくことで、性交開始年齢が遅くなるデータもある。」と指摘しており、日本産婦人科医会も「遅くとも中学卒業までに学校で、性交、妊娠、出産、望まない妊娠を避けるための行動、避妊、性感染症、人工妊娠中絶についての知識を提供し、自分たちで考え行動することができるように性の健康教育を行う必要がある」と訴えています。以下、質問に入ります。

     第1は、いのちと人権を大切にする性教育の推進についてです。
     性教育で子どもたちに正しい知識を身に付けさせることは、いのちと健康を守る上でも欠かせない事であり、相手を尊重する事を教える性教育は、すなわち人権教育です。区と教育委員会も、保健体育の時間などで区の保健師が授業を行うなど、重要な取り組みが行われていることは評価していますが、それで充分かと言えば、中学校でも在学中に妊娠するなどの事例があるという実態を考えると、早い時期から実態に即した取り組みが必要と考えます。以下の具体的質問に教育委員会、子ども家庭部、健康部など関係する所管それぞれからお答えいただきたいと思います。
     1つ目は、子どもたちや若者の性の実態をどのように把握しているか、ここ数年で中学生が妊娠したケースを何件把握しているかお答えください。
     2つ目は、どのような時期にどのような性教育が行われ、LGBT・SOGIについてはどのように教えているのでしょうか。中学生や、早い場合は小学生から性交経験があるという現状から見て、学習指導要領の記述にとらわれることなくもっと早い時期から性交や避妊の事を教えるべきと考えます。実態に即したより良い性教育を進めるため、教育委員会、子ども家庭支援センター、男女共同参画課、保健予防課など、関係機関で協議の場を設置し、実態と課題の共有、性教育の実践について授業内容の研究を一緒に行ってはいかがでしょうか。秋田県では中学生や高校生に対し、医師などによるきめ細かい性教育を行ったところ、10代の人工妊娠中絶率が減少したということです。新宿区としても医師会に協力をお願いするなどして、医師による性教育を行ってはいかがでしょうか。

     第2は、区立小中学校における混合名簿促進等、LGBT・SOGIの対応についてです。
     文部科学省は、2010年と2014年の通知発出に次いで、2015年4月「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について」の通知を発出しました。また昨年、宮崎市では保護者が集めた約1万人分の要請署名が県教育委員会に提出されたことを受け、県立学校や市町村に学校の出席簿の並びを男女別で分けないよう通知を出しました。男女で分けない混合名簿を採用するのは男女共同参画の観点からも当然のことですが、LGBTなどでそのことによって心を傷つけられる子どもがいることを考えたら人権問題であり、早急な改善が求められます。
     東京都が「東京オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例」を制定するとして、LGBT等を理由とする差別の解消と理解促進を都道府県で初めて条例化するため、この6月にパブリックコメントを行い9月の都議会に提出する方針です。こうした動きも踏まえ、以下、具体的に質問します。
     1つ目は、文科省の通知は、教員や保護者・児童生徒にどのように周知されているのでしょうか。通知から現在までに相談・申し出は何件あり、実際に対応したケースは何件あったかお答えください。
     2つ目は、混合名簿の実施状況です。1999年度は小学校31校中12校だったのが2000年度は14校に、2001年度は18校まで拡大していました。中学校は1999年度13校中ゼロだったのが2000年度1校、2001年度2校と少ないけれど徐々に増えていました。教育指導課では昨年末に調査を行ったと聞いていますが、現在の実施状況はどうなっているかお答えください。混合名簿について、男女共同参画やLGBT等を所管する子ども家庭部としてはどのような見解をお持ちでしょうか。区教委が自発的に調査を行うからには何らかの考えや方向性があっての事と思いますが、区教委として混合名簿を推進すべきではないでしょうか。以上、答弁願います。

    (高橋郁美健康部長) 沢田議員のご質問にお答えします。
     いのちと人権を大切にする性教育の推進と、区立小中学校における混合名簿促進等、LGBT・SOGIの対応についてのお尋ねです。
     はじめに、子どもたちや若者の性の実態をどのように把握しているかについてです。
    保健センターで、妊婦健診を受診していない妊婦や要支援家庭等が把握された場合は、保健師が個別対応しています。こうした保健師活動の場や、HIV抗体検査前のカウンセリングの場などを通じて、性感染症や望まない妊娠に悩む若者の実態に接しており、様々な支援の必要性や適切な保健指導の重要性を認識しています。
     次に、ここ数年で中学生が妊娠したケースを何件把握しているかについてですが、中学生の妊娠届出や相談事例はありません。
     次に、どのような時期にどのような性教育が行われているかについてです。学校からの要請に基づき、保健師が学校へ出向き、命の大切さや自分自身を大切にすること、交際相手とのコミュニケーションのあり方や性感染症予防等について、対象年齢に合わせた健康教育を行っています。
     次に、LGBT・SOGIについてはどのように教えているかについてです。今年度、中学生については、男女共同参画社会の実現を目指すとともに、多様な生き方を認め合う社会づくりに向け、講座を実施します。若者に向けては、性の多様性に関する講座などを実施する際に、区内の高校や大学にチラシを配布するなど参加を呼び掛けています。
     次に、実態に即したより良い性教育を進めるために、関係機関で協議の場を設置することについてのお尋ねです。保健師等の相談活動の中で得られた、若者の性の悩みや性感染症等の課題については、現在も、必要に応じて、関係機関と連携を図りながら解決に向け取り組んでいるところです。
     次に、医師会に協力をお願いするなどして、医師による性教育を行うことについてです。若者が性に関する正しい知識を身につけられるよう、性感染症予防等について医師会と協力して、講演会等を通じて啓発してまいります。

    (橋本隆・子ども家庭部長) 次に、混合名簿に対する子ども家庭部の見解についてです。
     混合名簿については、人権尊重を基盤とした男女平等教育を推進するための一つの方法と考えます。なお、その使用については、各学校において、学校運営の観点から、判断がなされるものと考えます。

    (山田秀之・教育委員会事務局次長) 次に、子どもたちや若者の性の実態をどのように把握しているかについてのお尋ねです。
     現在、小・中学生に対して性に関する具体的な調査は行っていませんが、各校では、児童・生徒が心身の発育・発達に関する悩みや不安を学級担任、養護教諭、スクールカウンセラー等に相談しやすい体制を整え、個々の実態を把握しております。  次に、ここ数年で中学生が妊娠したケースを何件把握しているかについてのお尋ねです。過去5年において、区立中学校の生徒が妊娠をしたという報告はございません。
     次に、どのような時期にどのような性教育が行われているかについてのお尋ねです。
     小学校では、第4学年の体育科保健領域の中で、体の発育・発達について理解するとともに、自分と他人に違いがあることに気付き、それらを肯定的に受け止めることが大切であることについて学習しています。中学校では、第1学年の保健体育科保健分野の授業の中で、性的関心の高まりと異性の尊重について、異性の心や体の違いなどを理解し、互いを尊重し良好な人間関係を作ることの大切さを学んでいます。また、性情報への対処として、信頼できる情報を正確に判断し、責任ある行動を選択することの大切さも学習しています。
     次に、LGBT・SOGIについてはどのように教えているかについてのお尋ねです。
     各学校では、LGBT・SOGIについて人権教育の一環として捉えており、それだけを取り上げての指導は行っていません。児童・生徒が自分らしさを発揮し、生き生きと学校生活を送ることができるようにするためには、教員がLGBT・SOGIに対する正しい理解と認識を深めることが大切であると考えています。教育委員会では、昨年度、人権教育の一環として教員向けにLGBTを取り上げた研修を行っています。児童・生徒に対する相談体制の充実を図るとともに、児童・生徒の個々の悩みや不安を受け止め、教員が正しい知識に基づき、きめ細かな対応ができるよう努めています。

    区議会活動 | 沢田あゆみ

    2018.06.30 更新

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