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    2018年第4回定例会で近藤なつ子議員が代表質問を行いました

    11月29日の本会議で、近藤なつ子議員が以下の項目について代表質問を行いました。

    1. 区長就任にあたっての所信について 【区長】
    2. 漱石山房記念館について 【区長】
    3. 区立小中学校体育館等の空調設備の設置について【区長】【教育委員会】
    4. コミュニティバスについて 【区長】
    5. 学童クラブの増設について 【区長】
    6. 学校給食の無償化について 【区長】【教育委員会】
    7. 国民健康保険料について 【区長】

      正式な会議録ではありませんが、概要をご紹介します。

     

     日本共産党新宿区議団の近藤なつ子です。私は、2018年第4回定例会にあたり会派を代表し区長並びに教育委員会に質問いたします。
     第4次安倍内閣発足後、「口利き」疑惑、「政治とカネ」をめぐる問題、国会答弁立往生など閣僚のスキャンダルが後を絶ちません。責任は本人にとどまらず、閣僚を任命した安倍首相にあります。その安倍政権は財界の求めに応じ、データ偽装で論拠が総崩れになっている出入国管理法改定案の審議を打ち切り数の力でまたもや昨日衆議院で強行採決におよび、またアメリカ言いなりに沖縄県の民意を無視し辺野古新基地建設を推進し、首都東京の米軍横田基地にオスプレイを正式に配備し、憲法9条の改定で戦争する国にしようとするなど、国会軽視、人権・平和・民主主権破壊の姿勢は到底容認できません。このような安倍政権を一刻も早く退陣させるため、私たちは市民と野党と力をあわせ全力で奮闘する決意を述べ、以下質問に入ります。
     
    1. はじめに、区長就任にあたっての所信について伺います。
     区長は先の区長選挙で2期目の当選を果たされ、26日に今後4年間の区政運営にあたっての所信を表明されました。私ども日本共産党は、区民と共に野党6党が支持してたたかう初めての区長選挙を行いました。残念な結果ではありましたが、のざわ哲夫候補が掲げた公約には大きな反響がありました。私たちは、この公約を実現する立場で今後も奮闘する決意です。以下所信について伺います。
     1つ目は区民生活の視点での施策についてです。所信で区長は、「これからも、区民に最も身近な基礎自治体として、地域の実情に即した施策を展開し、区民生活の現場で起きている現実を受け止め、地域課題に的確に対応することで、誰もが住みたい、住み続けたいと思える、持続的に発展する新宿のまちの創造に向けて、今後4年間、全力で取り組んでまいります」と言われました。私は、この言葉には共感するものですが、区長は選挙戦で区民生活の視点からの政策論争を避け、今回の所信でも、新宿駅周辺地域の「新宿の拠点再整備方針」に基づいた各種計画には前のめりで推進することを語っていますが、区民意識調査で常に上位にある高齢者福祉についてはすでに計画されている特別養護老人ホームなどの計画等を並べただけで、いま現在、減り続ける年金、増え続ける医療・介護の負担で不安を大きくしている高齢者の現状や、こうした高齢者に手をさしのべる取り組みについては触れられませんでした。新宿区の財政力を活かして、ギリギリの生活で必要な介護サービスを利用することが出来ない区民が、安心してサービスを利用できるよう負担を軽減したり、高すぎる国保料の据え置きや引き下げなど区民生活を支援する施策こそ行うべきです。区長の見解を求めます。
     2つ目に消費税10%増税との関連です。区長は来年10月からの消費税10%アップを前提とした上で、「引き続き区民や中小業者への支援をしていく」と述べられましたが、一体何を行うのですか。消費税10%への増税は内閣参与の職にある人からさえも中止すべきとの声が上がっています。区長も区民生活にマイナスの影響があると考えているのならば、国に中止を求めることが最も区民の願いに応えることではないでしょうか。ある家族経営の店のご主人は「複数の税率を扱ったり、キャッシュレスなんて対応できない。もう10%になったら店をやめるしかない」と言っていましたが、地域にとってなくてはならない商店や中小企業が本気で廃業まで考えている状況なのです。現状でも大変な区内の商店・中小企業に対して、事業継続につながる具体的な支援を行うべきですが、どのような支援策をお考えなのでしょうか。また区長が消費税率アップを前提とし公契約条例を制定するというのなら、公共サービスの現場で働く方や中小企業支援のため、景気の落ち込みが懸念される来年10月までに施行しなければならないと思います。いつ提案されるのでしょうか、伺います。
     3つ目に、区民の表現の自由を守り、人権を守る施策についてです。区長が所信で一言も触れられなかった「公園のデモ規制」は、区長選挙の争点の1つになり、選挙中も多くの区民から撤回するべきとのご意見をいただきました。改めて「デモの出発地として使える公園の基準の見直し」を撤回することを求めますがいかがですか。また、ヘイトスピーチ解消条例制定についても言及されていません。区長は、第3回定例会の代表質問で、「都の制定する条例や、これに基づく公の施設の利用制限の基準も参考にしながら、検討してまいります。」と明確に答弁され、決算特別委員会では、『隣り合う都施設と区有施設の使用基準が違うことはあってはならない』という趣旨の答弁を区長自らされています。そうであるならば、都の人権条例の施行は来年4月ですから、それに対応する新宿区の条例も来年4月施行が必要であり、ヘイトスピーチ解消条例は来年の第1回定例会で提案をしなければ間に合いません。区長はどのようにお考えか、お答えください。
     4つ目に、65歳以上区民の個人情報の警察への提供についてです。
     区長は、特殊詐欺対策として10月15日、3万1838名分の個人情報を警察に提供しました。これを活用した警察の戸別訪問による注意喚起と、自動通話録音機の貸出により被害者ゼロを目指すとしています。この本人同意のない個人情報の提供は法に反するプライバシー侵害の行為であり、今からでも中止すべきです。いかがですか。本来、特殊詐欺対策の注意喚起と自動通話録音機の普及は、警察にお任せではなく、区が自ら取り組むべき施策です。自動通話録音機の貸出しは10月16日から11月15日までの1ヶ月で予約台数を入れて175台の設置となっていますが、もっとスピードを上げなければなりません。そのためには、いま民生委員等が配布しているチラシと申込み用紙を活用し、危機管理課だけではなく、高齢者がターゲットだと分かっているのですから高齢者に関わる担当課はもちろんのこと消費生活就労支援課などを含め一斉に周知すべきではないでしょうか。本気で特殊詐欺対策をやるのなら補正予算を組み2000台でも3000台でも自動通話録音機を貸出しすべきです。ご所見を伺います。
     5つ目に、保育園の待機児童解消についてです。区長は所信で「保育所の整備と定員拡充に取り組」むと述べられましたが、現在の民間ビルの一区画を利用した整備や物件の所有者と保育園運営事業者とのマッチング事業だけでは計画通りに進まないことは明白です。公有地などを確保し区立保育園を増設するのが最も確実な方法ではないでしょうか。区長は待機児童ゼロを具体的にどうやって実現しようとお考えかお答えください。
     6つ目は、障害者施策です。区長は所信で生活実習所について「その機能の拡充について検討を進めてまいります」と述べられましたが、一体どのような機能拡充をするつもりなのかお聞きします。また、利用対象者が確実に増えることが想定されており、多くの関係者が求めているのは生活実習所の増設です。区立障害者センターの並びにある戸山1丁目の国有地は7年間も未利用であり、この土地を取得すれば生活実習所の増設もグループホームなど様々な施設を合築することも出来ます。積極的に国に要望していくべきではないでしょうか。区長の見解を求めます。
     最後に、区長が今回の選挙で公約の緊急課題として掲げた「東京2020大会を区民のレガシーに」、に関連してお聞きします。区長が公約で言われている「レガシー」とは具体的に何を指しているのか伺います。私たちは、東京2020大会をきっかけに、多くの区民にスポーツの素晴らしさを感じてもらい、気軽にスポーツに親しむことが出来る環境を整備することが大事だと思っています。そのためには施設使用料や照明料などの軽減が必要です。今年度つくったスポーツ施設整備基金、通称「スポーツレガシーニコニコ基金」を活用して、屋外運動場の夜間照明のLED化を実施してはいかがでしょうか。あわせて施設使用料や照明料などの軽減を実施し、区民がニコニコとスポーツできるようにすべきと考えますが、区長の見解を求めます。以上、答弁願います。

    【吉住健一区長】 近藤議員のご質問にお答えします。
     区長就任にあたっての所信についてのお尋ねです。
     はじめに介護保険における負担軽減についてです。サービス利用においては、低所得者に対して利用料、食費及び施設の居住費を軽減する施策を実施しています。また、ひと月のサービス利用料が限度額を超えた場合に、所得に応じた高額介護サービス費を支給しています。加えて、区の独自施策として非課税世帯の通所介護利用者の食費を軽減しています。さらに、介護保険料についても、非課税世帯に対して国の基準よりも負担割合を低く抑えて設定しています。
    こうしたことから、一定の負担軽減が図られているものと認識しております。
     次に、国民健康保険料の据え置きや引き下げなどの施策についてです。
     国民健康保険の被保険者には高齢者が多いことから、健全な財政運営のもと、必要な医療給付を確保していくことが区民生活を支えるうえで重要です。持続可能な保険制度を維持するため、法定外の一般会計繰入金の縮減・解消を図り、保険料の急激な上昇とならないよう配慮しながら、適正な保険料負担を求めていくことが必要であると考えます。したがって、保険料の据え置きや引き下げを行うことは考えていません。
     次に、消費税率の引上げについてのお尋ねです。少子高齢化の急速な進展や国・地方ともに厳しい財政状況の下で、国民が安心し、希望が持てる社会保障の実現が求められています。こうした中、持続的な社会保障制度を構築し、その安定財源を確保する観点から、段階的に消費税率を引き上げることは必要であると考えています。しかし、消費税率の引上げは、地域経済に対して影響を与えることが懸念されるため、低所得者に対する支援や経済状況に応じた中小企業への配慮が必要であると考えています。
     次に、来年10月の消費税10%へのアップを前提とした、区内の商店・中小企業に対しての事業継続につながる具体的な支援策についてです。
     消費税率の引き上げは消費への影響も少なからずあることから、地域経済に対する影響が懸念されているところです。国は、消費への影響を最小限にとどめるため、生活必需品への軽減税率の導入を決定しました。これに加え、消費税率引き上げ前後の消費を平準化するために、自動車や住宅購入への負担軽減策、中小小売業でのキャッシュレス決済時にポイント還元を行う新たな手法による支援、プレミアム商品券の発行など、消費喚起対策について様々な検討を進めています。こうした状況を踏まえ、区はこれまでの中小企業支援、商店街支援の各施策を着実に実施することに加え、国や東京都の動向を注視しながら、消費喚起に対する景気対策が具体的に示された時点で、新宿区の特性に応じた実効性ある対応策を速やかに検討・実施していくことで、商店や中小企業の事業継続につながる支援を進めてまいります。
     次に、来年10月の消費税10%へのアップを前提とした、区内の商店・中小企業に対しての事業継続につながる具体的な支援策についてです。
     消費税率の引き上げは消費への影響も少なからずあることから、地域経済に対する影響が懸念されているところです。国は、消費への影響を最小限にとどめるため、生活必需品への軽減税率の導入を決定しました。これに加え、消費税率引き上げ前後の消費を平準化するために、自動車や住宅購入への負担軽減策、中小小売業でのキャッシュレス決済時にポイント還元を行う新たな手法による支援、プレミアム商品券の発行など、消費喚起対策について様々な検討を進めています。こうした状況を踏まえ、区はこれまでの中小企業支援、商店街支援の各施策を着実に実施することに加え、国や東京都の動向を注視しながら、消費喚起に対する景気対策が具体的に示された時点で、新宿区の特性に応じた実効性ある対応策を速やかに検討・実施していくことで、商店や中小企業の事業継続につながる支援を進めてまいります。
     次に、公契約条例の提案時期についてのお尋ねです。
     公共サービスの調達にかかる労働者の労働環境の確保をより推進するため、庁内に11月13日、検討委員会を立ち上げ、公契約条例の制定も視野に入れた新たなルールの研究を開始いたしました。今後、区内事業者等の意見を聴きながら、平成31年度中の条例制定に向け、引き続き検討してまいります。
     次に、区民の表現の自由を守り、人権を守る施策についてのお尋ねです。
     初めに、「デモ出発地として使える公園基準の見直し」についてです。今回の「デモ出発地として使用できる公園の基準」に関しましては、表現の自由と住民の生活環境を守ることの両立を図ったうえで見直したものであり、基準の撤回は考えておりません。
     次に、区におけるヘイトスピーチ解消条例についてどう考えているかとのお尋ねです。
     ご指摘のとおり、都において、本年10月15日に、あらゆる人がいかなる種類の差別も受けることがなく、多様性を尊重する国際都市の実現を目指すため、不当な差別的言動の解消への取り組みを含んだ「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」が公布されました。この都条例において今後定めることとされている、公の施設の利用制限の基準については、現時点では示されていません。区としましては、都が定める公の施設の利用制限の基準を参考にしながら、区における基準づくりについて検討してまいります。
     次に、65歳以上の区民の個人情報の警察への提供についてのお尋ねです。
     本事業では、事前に全高齢者に郵送して個人情報の外部提供を停止する意思を確認するとともに、警察に名簿提供後も、高齢者から連絡があれば、警察に赴き速やかに名簿から削除するなど、十分にプライバシーに配慮しながら、法令に基づき実施しています。現在までのところ、警察官が戸別訪問した世帯から苦情はありません。実際に戸別訪問をした警察官からは、「区民の方から『裁判所から訴訟を開始するというはがきが来ていることを相談したら、詐欺であると分かり安心することが出来た』など様々な相談が寄せられている」との声や「自動通話録音機を設置して感謝された」との声を聞いています。今後も個人情報保護に万全の体制を図りつつ、本事業を進めてまいります。
     また、引き続き自動通話録音機を広く貸出すために庁内連携を図るとともに、地区町会連合会や民生委員協議会、高齢者総合相談センターなどの高齢者を支える多くの方々との連携を図りながら、必要とする全高齢者世帯に自動通話録音機の貸出しを行ってまいります。
     次に、保育園の待機児童解消についてです。
     区では、区立園の定員拡大を進めるとともに、平成30年4月には、区有施設である薬王寺児童館等合築施設に私立認可保育所を整備しました。保育所の整備が可能な公有地について、引き続き情報収集に努めてまいります。待機児童ゼロに向けて、今年度は5月に開設したほっぺるランド上落合のほか、新小川町複合施設建設に伴う私立認可保育所や、民有地マッチング事業による賃貸物件を活用した保育所など、5か所の整備を進めています。今後も、認証保育所の認可化や定期利用保育の拡充、既設園の定員拡大、大規模開発に伴う保育所の設置要請など、あらゆる手法を用いて待機児童解消に取り組んでまいります。
     次に、生活実習所の機能拡充及び戸山1丁目の国有地についてのお尋ねです。
     生活実習所の入る牛込保健センター等複合施設については、現在、東京都が施設の北側区道の勾配を約8%にした場合の区道の形状及び工事に伴う施設への影響について調査を行っており、調査結果を踏まえ、拡充内容について検討してまいります。
     戸山1丁目の国有地については、現在も国の行政財産であり、今後の処理方針については、決定時期も含めて未定であると確認しています。今後とも国の動向を注視してまいります。
     次に、東京2020オリンピック・パラリンピックのレガシーについてです。
     東京2020オリンピック・パラリンピック開催を契機として、スポーツの一層の普及や障害理解の促進、また、ボランティア意識の醸成や文化芸術の振興など、大会開催後も多くの区民や子どもたちの記憶とともに将来にわたって継承される心の財産がレガシーであると認識しています。お尋ねの「スポーツ施設整備基金」も、スポーツ施設の整備によって、区民がこれまで以上に身近な施設でスポーツを楽しむことが大会後のレガシーとなることを目的として設置した基金です。本年度は新宿スポーツセンターにおいて、空調設備設置など大規模改修を行います。来年度以降も、計画的に施設整備工事を実施することとしており、屋外施設照明のLED化についても、既に検討課題としているところです。また、施設使用料については、受益者負担の考え方を基本としていますので、現時点では軽減は考えていませんが、照明料については、今後、LED化を実施した際には電気料の節減が図れることから、軽減を検討してまいります。


    2.(近藤議員) 次に、漱石山房記念館について質問します。
     最初に、漱石山房記念館をめぐる資料紛失事故への対応と、再発防止についてです。
     質問の第1は、資料のずさんな管理についてです。
     漱石山房記念館の開設にあたって神奈川近代文学館からお借りした8点の資料が紛失した事故は、本来2ヶ月などで返却する約束だったものを7年近く返さなかったどころか、一部紛失していたというもので、神奈川近代文学館から昨年10月11日に指摘されて区ははじめて自覚したようですが、借り受けた新宿区文化観光課は当時の公文書をすべて廃棄しており、いつ何を借りたのかも把握できない、ずさんな管理が露呈しました。資料を提供し貸し出して下さった相手に対する敬意と感謝が決定的に欠けていたことがこの問題の根本にありますが、区長はなぜこのような事故が起きたとお考えでしょうか。なぜここまでずさんな管理がまかり通っていたのか、その原因についてお答えください。
     質問の第2は、再発防止についてです。
     過去にも新宿区は、歴史博物館をめぐって1989年に夏目家からお借りした漱石の印鑑紛失に始まり、1998年展示中の資料盗難、2002年林芙美子の書簡を区の職員が窃盗のほか、漱石の「道草」草稿や借用資料、埋蔵文化財も無くなっていることが判明し、当時「再発防止対策委員会」が設置され報告書がまとめられましたが、今回その教訓はまったく活かされていませんでした。当時の「再発防止対策委員会」は区や財団の職員だけで構成されていましたが、今度こそ再発防止に本気で取り組まなければ信頼回復はできません。私たち区議団は、外部の専門家を入れた第三者委員会の設置を求めてきましたが、区長は、「運営学術会議において検討するとの意思が表明された」と言われていますが、そもそも第三者委員会は区長の意思と責任において設置されるべきもので、運営学術委員会が決めることではありません。しかも運営学術委員会には紛失事故を起こした担当部の職員が委員として入っており、そこで検証することはできません。ましてや第三者委員会の代替にはなりえません。
     区長は、あくまでも第三者委員会を設置する考えはないのでしょうか。もしそうだとしたら、今回の紛失事故を軽く考え、本気で再発防止に取り組む気持ちがないと言われても仕方がない事態だと思います。そうでないなら、区長は第三者委員会を設置すべきです。改めてお答えください。
     質問の第3は、問題解決に対する姿勢についてです。
     今回の事故は、神奈川近代文学館からの指摘で発覚したものですが、問題は資料紛失だけではありませんでした。昨年、開館直後の9月27日に神奈川近代文学館などの非承認データを勝手に公開していたことが指摘され、10月11日に借用資料の未返却について、10月17日には書斎の「複製品の目的外使用」のため写真撮影禁止の指摘を受けています。
     昨年12月のオリンピック・パラリンピック・文化観光等特別委員会(以下、オリパラ委員会)で私は、書斎の写真撮影が禁止になっていることに関して、何か問題が起きているのではないか、運営学術委員会に相談すべきではないかと指摘しました。今年の4月25日には神奈川近代文学館の求めに応じて「新宿区立漱石山房記念館の整備に係る諸課題に関する報告書」を提出し、事実関係を認めていたにもかかわらず、議会に対しては今年の6月26日まで報告をせず、事故の発覚から8カ月以上も隠ぺいしていたことになり、運営学術委員会にも6月までこの件について一切報告していませんでした。誠実さに欠ける対応だと言わざるをえません。区長は一連の問題について逐次報告を受けていたということですが、直ちに議会に報告させなかったのはなぜなのでしょうか、お答えください。
     次に、漱石山房記念館の運営についてです。
     質問の第1は、事故再発防止とも関連する資料のリスト化についてです。
     16年前の当時の事件を報道した朝日新聞の記事には「新宿歴史博物館 漱石の草稿など27点行方不明 資料管理なおざり 購入時のリスト不十分」との見出しで、区のリストについては「簡単なリスト」でしかなく、「道草」の68枚の草稿については1枚1枚の内容が分からず保管場所も明記されていない不完全なものだったため、岩波書店の「漱石全集」と1枚1枚照合して初めて足りない部分が確認できた。「詳しい内容をカードに記さないと、問題が起きる」という声がすぐに挙がった。と報道されていました。
     当時の歴史博物館事故再発防止対策委員会の出した報告書でも、少なくとも収蔵資料のカード化、リスト化と並行し、資料をパソコンに入力しデータベース化し検索を容易にすることなどの方針を決めていますが、私が先日、歴史博物館での資料整理状態を確認してきたところ、「簡単なリスト」とカード化はされていましたが、そのカードには資料の写真が添付され、寸法や収蔵場所、実物かどうかなどの簡単な記載しかなく、詳しい内容が書かれたカードはほとんど確認できず、データベース化もされていませんでした。漱石山房記念館の情報検索システムの内容が貧弱なことは言うまでもありません。
     資料をどう扱うべきか、どう整理すべきかという問題を曖昧にせず、文化財や絵画、文学など各分野の専門家に意見を聞いて徹底的に改善すべきです。漱石山房記念館はもちろん、歴史博物館も含めて、改めて完全なリスト化とカード内容の充実、及びデータベース化を早急に行うべきと考えますがいかがでしょうか。
     質問の第2は、企画・展示などの力量の問題です。
     開館から1年余が経ちました。指定管理者である未来創造財団は、漱石山房記念館条例で謳われた事業を着実に行い、記念館そのものを適切に運営していかなければなりません。それは、区と財団とが交わした基本協定や仕様書通り実行されているかで判断されるものですが、この間、企画書を作成するスキルが足りず企画展が実施できなかったことや、年間スケジュールが明確にされていなかったことなど、基本的な館の運営が出来ていない状況が少なからずありました。
     先月、オリパラ委員会で愛知県半田市の新見南吉記念館を視察してきました。館に配置された市職員の学芸員だけで展示の企画を行い、ニュース作成その他の企画もこなしていました。新美南吉に対する深い愛情と学ぶ姿勢や館の運営に対する強い熱意を感じました。漱石山房記念館も学芸員さえ配置すれば運営できるというものではないということは、この間の様々な問題が示しているのではないでしょうか。
     区長は、この間の漱石山房記念館の運営について、どのように評価されているのでしょうか。企画展が予定通り実施できなかったことなどについては、何が問題だと思われますか。このままでは、資料の整理から企画力も含めて、世界の文豪、夏目漱石の名を冠するにふさわしい記念館とは言い難い状況が続くことになりかねません。区の責任で夏目漱石に対する識見のある方を館長に配置するなどして、抜本的に改革する必要があると思います。区長の見解を求めます。以上、答弁願います。

    【吉住区長】 漱石山房記念館についてのお尋ねです。
     初めに、漱石山房記念館をめぐる資料紛失事故への対応と再発防止に関する資料の管理についてです。
     今回ご指摘の資料は、平成23年度に「漱石山房の復元に関する基礎調査報告書」を作成するために神奈川近代文学館から借用したもので、同館の収蔵資料を撮影した写真を貸し出し用として複製したポジフィルムと紙焼き写真です。当時はこれらの借用資料は、通常の展示資料や収蔵資料とは異なる管理をしており、台帳の作成やデータの管理、情報共有を行っていませんでした。
     次に、再発防止についてです。
     現在は、借用資料の紛失を受けて、管理台帳を作成し借用から返却まで管理するルールを定めるなど、再発防止策を講じました。ご指摘の第三者委員会については、10月に開催した漱石山房記念館運営学術委員会にご提案し、ご議論いただきました。各委員からは、この委員会自体が外部の専門家や区民も加わった組織であり、再発防止の徹底が重要であるため管理方法をマニュアル化して共有するなど、当委員会で再発防止対策をとりまとめ神奈川近代文学館や議会にお示しすることで信頼を回復していくことに努めていくといったご意見をいただき、委員会としての結論となりました。このことを受けて、区としては改めて第三者委員会については設置しないことといたしました。
     次に、問題解決に対する姿勢についてです。
     平成29年10月に神奈川近代文学館から貸出資料の返却に関する申し入れがあり、過去の文書ファイル等の捜索も行ったところ、一部確認できないものがありました。この件に関し、30年1月に同館と協議した結果、捜索を続けること、一連の問題に関する報告書を提出するよう求められたため、その作業を進め、4月25日付けで「新宿区立漱石山房記念館の整備に係る諸課題に関する報告書」をまとめ、送付したところ、5月24日に受理の連絡を受けました。このため、6月26日のオリンピック・パラリンピック・文化観光等特別委員会へ報告したものです。
     次に、事故再発防止とも関連する資料のリスト化についてです。
     ご指摘の新宿歴史博物館の確認用リスト及び資料カードについては、収蔵資料の受入時の状況、受入先、受入価格、分類、収蔵場所など、収蔵資料を適切に管理するとともにお問い合わせなどに対応するために作成しているものです。そのため、事務管理に必要な情報に集約しており、平成14年度の歴史博物館の事故による再発防止対策を講じてからは、これらのリスト及びカードにより定期的な点検を行い、適切に管理を行っています。また、これを契機に重要資料を中心に詳細な情報も付加したデータベースを作成し、お問い合わせなどにも的確に対応しています。また、漱石山房記念館においては、パソコンデータ及び確認リストにより適切に管理を行っています。こうしたことから、今後も現在の資料カード、確認用リスト及びデータベースにより、適切に収蔵資料の管理を進めてまいります。
     なお、漱石山房記念館の情報検索システムについては、来館者に漱石の作品鑑賞や学習、調査等に利用していただくため情報公開用に作成したものであり、現在、平成29年度までに受入れた資料約200件を入力して公開しています。このシステムに関しては、手紙や原稿などの資料を読みやすく転記する翻刻欄を大きく表示していることにより、入力できない資料では空欄となるなど、資料の情報量が少ないとのご指摘をいただいております。その他の資料に関して、さらに詳しく入力できるものについては、現在、未掲載の画像や資料情報等の追加を進めているところです。今後も、収蔵資料の適正な管理と保全を進めるとともに、公開用データベースの充実を図り、漱石に関する情報発信に努めてまいります。
     次に企画・展示などの力量の問題についてです。
     漱石山房記念館は、昨年9月24日の開館から多くの来場者があり、平成29年度は目標を上回る来場者数を得ました。また、平成29年度漱石山房記念館指定管理者評価委員会での全体評価は4段階の3で良の評価をいただいています。こうしたことから、館の運営は一定の評価はいただけているものと考えています。ただし、今後、魅力のある資料の収集や展示ができるよう、記念館としての質の向上を図るために、区としても記念館との連携を強化してまいります。
     また、予定していた特別展が実施できなかったことについては、開館前後の業務の集中により、学識経験者との十分な調整ができなかったこと、指導・助言を受ける時間が取れなかったことが原因と考えています。現在は、区と記念館、学識経験者の三者が十分にコミュニケーションをとって進めています。記念館の館長については、学芸員としての資格を持ち、区民向けの講座なども担当し、わかりやすい解説で好評を得ています。引き続き、実務経験の少ない学芸員を指導し、行政施設を管理する責任者として、適切な記念館運営を担えるものと期待しています。今後も、地域の方や来館者に愛される記念館を目指してまいります。


    3.(近藤議員) 次に、区立小中学校体育館等の空調設備の設置について、区長と教育委員会に質問します。
     第3回定例会で我が会派の質問に対して区長は、まず牛込第一中学校体育館で整備を進め、他の学校についても整備方法等について教育委員会と十分調整すると答弁し、教育委員会は、8月に牛込第一中学校でエアコン設置の調査を行い、各学校の設備等も調査して、武道場を含めた学校体育館へのエアコン設置方法等について検討すると答弁しました。先ず、8月に実施した牛込第一中学校の調査結果と課題等があればお聞かせください。またそれ以外の学校の調査の進捗状況や結果についてもお答えください。
     今年の夏を経験し、東京23区では体育館のエアコン設置が一気に加速しそうです。中央区・文京区が完了したのに続き、設置が進んでいる台東・千代田・港区に加え、江東・豊島・荒川も来年中の設置を予定し、品川区はできるだけ早期の設置予定とのことです。この間設置が進んでいる台東区に聞いたところ、12校にガスヒートポンプ式の空調を設置して費用は1棟平均2200万円、工事期間は2ヶ月程度とのことでした。港区もガスヒートポンプ式で1棟3000万程度、工期は1ヶ月半から長くて3ヶ月必要で、卒業・入学で体育館を使う春休みは工事しないでほしいというのが学校側の要望だと言っていました。電源確保の工事をするとさらに費用がかかるのではとの問いには「ガスなので始動の時に電気が必要なだけで、そんなに工事の必要はない」と言われました。
     都議会第3回定例会で日本共産党都議団が提案した「東京都公立学校施設の冷房機器の整備促進に関する条例案」は残念ながら否決されましたが、我が党の代表質問に対して小池知事は補正予算を編成するなど緊急的な対応を行い区市町村を支援すると答弁し、11月16日、都財務局は12月補正予算で区市町村の小中学校屋内体育施設の空調設備設置に81億円の補正予算を組むことを公表しました。都は、来年夏までに稼働させるため独自に補助制度を新設するといっており、そのために補助率を上げたとのことです。対象は538棟を予定しているとのことで、予算額から換算すると1棟当たり1500万円程度の補助が見込まれます。都は申請が多ければ補正規模を増やす意向とききました。
     国の11月補正予算が全会一致で成立しましたが、その中には学校の緊急重要安全確保対策としてブロック塀対応の259億円と熱中症対策としてのエアコン設置のための822億円の予算が含まれています。文科省の学校施設環境改善交付金は、申請しても1回も活用できなかったと台東区の担当者が言っていましたが、今回補正予算が新たについたので活用のチャンスは拡がったと思います。
     区長は所信で、2020年度を目途に体育館の空調整備を進めるとしています。これは、全て2020年度実施なのか、それとも2019年から2020年にまたがって整備をすることなのかうかがいます。2020年の夏は7月24日から9月6日までのオリンピック・パラリンピックで開会式・閉会式とマラソンが新宿区内で行われます。当然それまでには全体育館のエアコンの工事を完了させるものと思っています。
     区長選中の演説で吉住区長は、見通しの立ったところから順次導入していきたい、多めにみているが20億から25億円かかると見積もっているとおっしゃっています。私どもが周辺区に聞いた限りではそこまではかからないと思われますし、何より東京都の補助内容も示され、区の負担はかなり軽減されます。新宿区も来年夏までに稼働させること、どんなに遅くとも2020年夏には全校の体育館に空調設備を設置することを求め、区長の見解をうかがいます。以上、答弁願います。

    【吉住区長】 区立小中学校の体育館等の空調整備の設置についてのお尋ねです。
     私は、この度の選挙において、熱中症対策や災害時の避難所機能を向上させるため、区立小中学校体育館等への空調設備の整備をお示ししました。整備スケジュールについては、現在、各学校の立地条件等を踏まえて教育委員会と調整しているところであり、平成31年度から順次取り組み、2020年度を目途に全39施設の整備が完了できるよう、進めてまいります。
    【酒井敏男教育長】 教育委員会へのご質問にお答えします。
     区立小中学校体育館等の空調設備の設置についてのお尋ねです。
     牛込第一中学校は、全校給食を体育館で実施する学校として、8月に調査を実施し、既に室外機設置場所の確保等を終えており、実施に向けて大きな課題はないと認識しています。また、その他の学校は現在、職員により調査を進めており、個別施設の調査結果を取りまとめる段階にはありませんが、2020年度までの全39施設の整備を目指し、引き続き、平成31年度中に空調設備を設置する体育館等の選定に取り組んでまいります。


    4.(近藤区議) 次に、コミュニティバスについて質問します。
     新宿区は2005年に地域活性化バスの導入について検討し、四谷地域でバスの停留所の位置や運行ルートなど検討しましたが、区が補助金を出さない限り採算がとれないことがわかり導入を断念しました。これ以降も、区議会の複数の会派からコミュニティバス運行の要望が繰り返し出されましたが、その都度区は、区内では10分程度歩けば最寄りの駅やバス停に到着できるから、著しく交通の利便性が低い地域はないと拒否し続けてきました。
     一方、この間コミュニティバスを運行している区は23区中16区となり、7割の区が実施しています。新宿区をとりまく千代田・港・文京・渋谷の4区が実施していますが、いずれも公共交通網は新宿同様に発達しており、著しく交通の利便性が低い地域はないと思われます。港区はスタート時に比べてバスのルートも本数も増やしました。区の担当者は「2004年に2路線で実験的に実施して、区民の評判が良かったので2010年に7ルートに増やし、区民と区内で働く人の不可欠な交通手段となっています。コミュニティバスは電車や都バスが走っていない裏道を走らせ、バス停は高齢者の負担を考慮して300㍍ごとに設置しています。バスの本数も増やしたので待ち時間が少なくなったと区民にはたいへん喜ばれています。」と言っています。赤坂に住んでいる知人は「病院や買い物に行く時も、図書館に行く時もバスを乗り継いで行きます。もう毎日のくらしに欠かせない私の足になっています。」と、コミュニティバスを利用して溌剌とした日々を送っている様子を語ってくれました。コミュニティバスの実施は、区長が所信で述べている「暮らしやすさ1番の新宿」や「健康寿命の延伸」を実現する大きな手段になり、フレイル予防や筋力アップにもつながると思いますが、いかがですか。
     先日都バスに乗ったら、大久保通りの大久保2丁目と新宿社会保険事務所前のバス停・200㍍くらいの短い1区間ですが、シルバーカーや杖を持った高齢女性が3人も利用していました。戸山ハイツ生協やサントクで買い物した後1区間だけバスを利用する方もよく見かけます。大久保通りは都バスがあってシルバーパスが利用できるから、一人で外出できますが、バス停まで10分も歩くとなったらそうできない人が多いと思います。高齢化は待ってはくれません。新宿区はいつまで「10分程度歩けば」と言うのでしょう。この未実施の理由は見直し・撤回すべきと考えます。区長の見解をうかがいます。
     もう一つの実施しない理由である「採算性」についてですが、ほとんどの区は当然財政的に支援して実施しています。多い区でも1億7千万円程度あればできるのです。新宿区の財政力からして十分に負担できます。コミュニティバスの実施は、区長が所信で述べた「地域の実情に即した施策を展開し、区民生活の現場で起きている現実を受け止め、地域課題に的確に対応する」ことだと思います。区長の英断を求めます。以上、答弁願います。

    【吉住区長】 コミュニティバスについてのお尋ねです。
     ご提案の新たなコミュニティバスについては、著しく交通の利便性が低いとは言えない新宿区において、採算性の問題など、これまでの様々な議論も踏まえ、導入する考えはありません。高齢者が様々な場所に出かけることは良いことですが、高齢者のフレイル予防のためには、歩くことと筋力トレーニングが重要であり、そのためにも高齢者が安心して街歩きを楽しんでいただけるよう、バリアフリーの道づくりや腰掛防護柵の設置など、人にやさしい道づくりを進めてまいります。


    5.(近藤議員) 次に、学童クラブの増設について質問します。
     新宿区はこれまで保育園の待機児童解消のためには認可保育園の増設を行っていますが、学童クラブはニーズが高まっているにもかかわらず、この4年間1つの増設も行いませんでした。それどころか、吉住区長の1期目就任直後から、前年に緊急対応として落合第四小学校内に導入した「学童クラブ機能付き放課後子どもひろば」を全区に広げ、現在23小学校で実施し、810名が登録しています。「学童機能付き」といいながら、実際は学童クラブの設置基準を満たさない施設を学童クラブの「代替」と強弁し、増やしてきましたが、学童クラブの登録は減るどころか増え続け、定員オーバー状態はさらに悪化しています。区長はこうした現状をどう受け止めておられますか。2期目のスタートにあたり、改めて、学童クラブが保育園と同様に児童福祉法に基づく「心身共に健やかに育成されることを保障する」事業であることを認識し、「切れ目のない子育て支援」を実践して頂きたいと思います。区長の学童クラブに対する認識を伺います。
     法律に基づき制定した「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例」で定める、1人当たりの面積基準1.65㎡に照らして定員オーバーしている学童クラブは7月1日現在、30カ所中25カ所と制定時よりも更に増え条例違反が顕著になっています。また、1つの支援単位「おおむね40人以下」を「当分の間60人以下」とする経過措置も未だに継続されています。定員オーバー解消と1支援単位を「おおむね40人以下」に改正し、法律と条例に基づく学童クラブ事業の実施を求めますがいかがですか。
     2倍近い定員オーバー状態が続いていた中町学童クラブについては、今定例会に細工町高齢者在宅サービスセンター内に移転し定員40名から100名に拡充する提案がされました。保護者はじめ関係者の長年の要求であり、私達も繰り返し増設を求めてきましたので、一歩前進と評価するものです。しかし、現在の登録は76名ですが、4年生以上は待機児になるので入れたくても申込みをしていない家庭もありますし、3年生以下であっても定員オーバー状態を理由に登録しなかった家庭もあること等を考慮すると、100名はゆとりのある数字ではないと考えます。よって、中町学童クラブはそのまま残したうえで、細工町を新設してはいかがでしょうか。来年度以降の予測と併せてお答えください。
     次に、学童クラブの定員オーバー解消の具体化についてです。中町学童クラブは1.9倍のオーバー率を理由に対策が取られます。区は定員オーバー率がどれくらいになったら定員拡充の対策を取るのでしょうか。その基準、考え方をお示しください。特に現在、1.88倍の本塩町、1.82倍の四谷第六小学校内と早稲田南町、1.67倍の西新宿は具体的な対策が必要と考えます。例えば、本塩町は近接する「四谷駅前地区第一種市街地再開発事業」の新宿区持ち分を活用、早稲田南町は合築施設である閉鎖中の区営住宅部分を活用、西新宿は隣接の都営角筈アパート跡地を活用してはいかがですか。来年度の登録人数の予測も含めて、今後の定員拡充の取り組みについて伺います。
     港区は新宿区と同様にこの10年ほど就学前人口が増え続け、保育園の増設と同時に、学童クラブも増設による大幅な定員拡大を行っています。昨年度は3カ所220人、今年度は3カ所140人、来年度再来年度あわせて港区基本計画で500人定員拡大が計画されています。新宿区も学童クラブのニーズに対し学童クラブそのものを増やして定員オーバー状態解消を行うべきと考えますがいかがでしょうか。そして、切れ目のない子育て支援の実践として、保育園から学童クラブへの継続性を意識することが重要であり、今後保育園と学童クラブを一体的に整備する事業者を募集して頂きたいと思いますがいかがですか。江東区は「マンション建設計画の事前届出等に関する条例」で一定規模以上のマンションに「教育施設及び児童福祉施設等」の設置を求めていますが、ここには学童クラブも含まれており、実際に設置されたマンションもあるそうです。こうした例も参考にしてはいかがでしょうか。以上、答弁願います。

    【吉住区長】 学童クラブの増設についてのお尋ねです。
     初めに、学童クラブに対する認識についてです。
     学童クラブ事業は、保護者が就労等により昼間家庭にいない小学生に、放課後、児童館等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、健全な育成を図るものです。区では、利用要件のある小学3年生までの児童と障害等のある児童は6年生まで定員を超えても受け入れています。こうした対応は、児童福祉法に基づく学童クラブ事業の本旨にのっとったものです。
     次に、法律と条例に基づく学童クラブ事業の実施についてのお尋ねです。
     学童クラブの定員は、学童クラブ室の面積により設定していますが、登録者数が定員を大きく上回る学童クラブについては、児童館スペースの活用による専用スペースの拡大や、教育委員会との協議により小学校内に新たなスペースを確保するなどの対応をしているところです。設備の基準については、「学童クラブ事業を実施している時間帯を通じて専用しなければならない。ただし、利用者の支援に支障がない場合は、専用に限らない」とされていることから、学童クラブ利用のピーク時に、児童館等のスペースを専用利用することとし、柔軟な対応をしているものです。また、支援の単位については、40人ごとに支援員を配置しており、施設や出席の状況に応じて、40人を超えた単位での支援もあることから、当面の間60人としているものです。
     次に、中町学童クラブを残したうえで、細工町を新設してはどうかとのお尋ねです。
    中町学童クラブは、児童館スペースが限られていることから、このたび、細工町へ移転することとしたものです。7月1日現在の登録は76名で、来年度の利用予測を91名と推定していることから、定員を100名としています。これまでの学童クラブ室を児童館として利用することにより、小学生の放課後の居場所を増やすことができ、ご家庭の状況に合わせて選択していただけるものととらえています。
     次に、学童クラブの定員オーバー解消の 具体化についてのお尋ねです。
    学童クラブの登録者数が定員を大きく上回る学童クラブについては、それぞれの状況に応じて、児童館スペースの活用による専用スペースの拡大や、教育委員会との協議により小学校内に新たなスペースを確保するなどの対応をしており、一律の定員オーバー率による対応といった考え方はありません。今後の定員拡充については、各学童クラブの来年度の利用予測や現在実施している「次世代育成支援に関する調査」の結果を踏まえ、子ども・子育て支援事業計画に示して、対応してまいります。実施場所については、区有施設に加え、民間マンション等も含め、検討してまいりたいと考えております。また、保育園と学童クラブの一体的整備については、具体の提案があれば、検討してまいります。


    6.(近藤議員) 次に、学校給食の無償化について区長と教育委員会に質問します。
     私ども区議団は、これまでも繰り返し学校給食の無償化を提案してきました。昨年、文部科学省が全国の自治体を対象に実施した「学校給食費の無償化等の実施状況」および「完全給食の実施状況」についての調査結果が、今年7月に発表され、2017年度に学校給食費の無償化を小中学校ともに実施している自治体は1740自治体のうち76自治体4.4%、小学校のみ無償化を実施しているのが4自治体0.2%、中学校のみ無償化を実施しているのが2自治体0.1%、あわせて4.7%の自治体でした。一部無償化・一部補助を実施しているのは424自治体24.4%で、無償化または一部無償化・一部補助を実施している自治体が約3割を占めました。無償化を開始した目的は「食育の推進、人材育成」「保護者の経済的負担の軽減、子育て支援」「少子化対策、定住・転入の促進、地域創生」などで、無償化による成果としては、児童生徒に残食を減らす意識の向上が見られることや、保護者が安心して子育てできる環境を享受できていること、学校・教職員の給食費の徴収や未納・滞納者への対応負担の解消などがあげられました。
     幼児教育の無償化は、来年10月実施に向けて準備が進められていますが、少なくともこれまでの保育料は、食事も含めて保育であるという考え方を基に所得に応じて保育料が決められてきました。学校給食はまさに教育の一環であり、憲法第26条第2項には「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は、これを無償とする。」とあります。憲法の主旨からも、学校給食の無償化は本来国として実施すべきで、区として国に求めていくべきではないでしょうか。また、国が実施に踏み出さない下でも、区が独自に実施するべきではないでしょうか。既に就学援助によって無償となっている児童・生徒が25%ですから、新たに必要な経費は5.1億円です。新宿区の財政力をもってすれば実現可能です。全国では3割の自治体が無償化や一部補助を実施しているのですから、子育てナンバーワンを標榜する新宿区として、少なくとも多子世帯の給食費補助など一歩踏み出すべきと考えますがいかがでしょうか。答弁願います。

    【吉住区長】 学校給食の無償化についてのお尋ねです。
     区ではこれまでも、新宿区総合教育会議において、子どもの貧困は、率先して取り組む課題との認識を教育委員会と共有し、就学援助の拡充等を実施しています。現在、経済的な理由により給食費の負担が困難な保護者に対しては、就学援助で適切に対応していることから、現段階で無償化を国に対して求めていく考えはありません。また、区独自に学校給食の無償化や多子世帯の給食費補助を実施する考えはありません。

    【酒井教育長】 教育委員会へのご質問にお答えします。
     学校給食の無償化についてのお尋ねです。
    学校給食の実施に要する経費については、学校給食法の規定に基づき、食材料費だけを給食費として保護者に負担していただいています。学校給食は、食育の生きた教材として教育の一環を担うものですが、一方で食事の提供という側面もあるため、適正な受益者負担の観点から、現段階で学校給食の無償化を国に対して求めていく考えはありません。
    また、現在、経済的な理由により給食費を負担することが困難な保護者に対しては、就学援助で適切に対応していることから、区が学校給食の無償化や、多子世帯の給食費補助を独自に実施する考えはありません。


    7.(近藤議員) 次に、国民健康保険料について伺います。
     第一に、国民健康保険料(以下、国保料)の負担についての認識です。
     新宿区を含む特別区の国保料は、人口100万人以上の自治体と比較すると、低い方から数え2位だったのが、今や京都市に次いで高い方から2位になってしまいました。39歳以下の額面給与400万円の4人世帯を例にとると、統一保険料から離脱した千代田区、中野区、江戸川を除き2018年度国保料は年42万6千円で昨年から8千円も負担が増えました。統一保険料の特別区20区は、これから5年間ほぼ同額の値上げが予定され、私ども区議団が毎年行っている区政アンケートで「もう限界」との声も寄せられています。政府の試算は、国保料の負担は、中小企業の労働者が加入する「協会けんぽ」の1.3倍、大企業の労働者が加入する組合健保の1.7倍という水準です。先に述べた39歳以下の額面給与400万円の4人世帯が「協会けんぽ」に加入した場合、保険料負担は年19万8千円ですから、実に2倍以上の格差が生じています。そこで区長に伺います。国保加入者の構成、世帯収入に対し、負担の重さをどう受け止めておられるのか、ご所見を伺います。
     第二に、公費負担の増額と「均等割」の廃止についてです。
     国保料は年度内に支払われる給付費を予測し加入者に割振られます。保険料が高くなれば滞納世帯が増え、それがさらに保険料を押し上げるという悪循環に陥っています。1984年の国保法改定により国庫負担が削減され、国庫負担率は80年代の約50%から20%に低下し、国保料を押し上げています。「均等割」の全国徴収額は約1兆円ですから、「国保料の負担感を緩和するには1兆円が必要」との2014年の全国知事会要望を実現すれば均等割分は無くせます。わが党は、11月1日に「高すぎる国民健康保険料(税)を引き下げ、住民と医療制度を守ります」との政策を発表し、公費負担を1兆円増やすことと法律で必ず徴収することが義務付けられている「均等割」を廃止することで「協会けんぽ」並みに引き下げることを提案しました。子どもの数が多いほど保険料があがる「均等割」がこの間、問題視され、全国知事会は、国に対して「平成30年度国の施策並びに予算に関する提案・要望」の社会保障関係の中で「子どもに係る均等割保険料軽減措置の導入や国定率負担の引上げ等様々な財政支援の方策を講じること」、全国市長会も今年6月6日「国民健康保険制度に関する提言」で「子どもに係る均等割保険料(税)を軽減する支援制度を創設すること」と「均等割」の見直しに踏み込んでいます。そこで区長に伺います。国に対し公費負担を1兆円増やすこと、及び「均等割」の廃止を求めるべきと考えますが、ご所見を伺います。
     第三に、新宿区の対応についてです。
     新しい保険料率を盛り込んだ条例改正に際し、私たちは法定外減免や、区民1人あたり1万円の保険料引き下げをめざし、法定外繰入を行うべきと提案しましたが、検討の状況についてお聞かせください。特に、今年度は仙台市、旭川市、ふじみ野市、富士見市、赤穂市など全国的に多子世帯の独自軽減に踏みだす自治体が増えました。都内でも昭島市、東大和市に続き、清瀬市が実施に踏み切りました。厚生労働省は「都道府県化」実施後も、「一般会計の繰り入れは自治体の独自判断でできる」「生活困窮者への自治体独自の軽減は問題ない」と答弁しています。生活困窮者の法定外減免拡大と、せめて第2子以降の全額免除を実現すべきと考えますが、区長のご所見を伺います。以上、答弁願います。

    【吉住区長】 国民健康保険料についてのお尋ねです。
     はじめに、国民健康保険被保険者の構成、世帯収入に対する負担の重さについてです。
    国民健康保険の被保険者は、高齢者が多く一人当たりの医療費が高い一方、平均所得が低いことから、公費や、被用者保険からの交付金による財政支援が行われています。
    また、一定所得以下の世帯については、均等割の軽減措置が行われ、平成29年度には約40%の世帯が該当するなど、一定の配慮が図られています。しかし、今後の高齢化による医療費の増大など、厳しい状況を踏まえ、被保険者のさらなる保険料負担の軽減を求めて、特別区長会や全国市長会を通じ、国による財政支援の拡充を求めていくことが必要であると考えます。
     次に、国に対して、公費負担の増額と均等割の廃止を求めることについてです。
     国民健康保険は、負担能力に応じた応能割とともに受益に応じた応益割との適切なバランスにより、被保険者全体で制度を支えることとなっています。保険料の均等割については、応益割として平等に負担する観点から必要なものであり、国に対して廃止を求めることや、そのための財政支援拡充を求めることは考えていません。
     次に、法定外減免や保険料引き下げのための法定外繰入の検討状況についてです。
     一般会計からの法定外繰入により、区独自に減免制度を設けることや、保険料の引き下げを行うことについては、被用者保険に加入している被保険者等との負担の公平性の観点からも、検討することは考えていません。
     次に、生活困窮者の法定外減免拡大と第2子以降の全額免除についてです。
     生活困窮者については、条例による減免制度のほか、徴収の猶予など、生活の状況に応じて適切に対応していくものと考えています。したがって、さらなる減免の拡大は考えていません。また、区では、子育て世帯の負担軽減を図るため、子どもに係る均等割保険料の軽減制度の創設を、特別区長会や全国市長会を通じて要望しています。したがって、区単独での、第2子以降の全額免除は考えていません。

    区議会活動 | 近藤なつ子

    2019.01.04 更新

日本共産党新宿区議団
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