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    2020年第1回定例会 川村のりあき議員が一般質問を行いました

    2月20日の本会議で、川村のりあき議員が以下の項目について一般質問を行いました。
    1.加齢性難聴対策とヒアリングループの普及について
     *正式な会議録ではありませんが、概要をご紹介します。


    ◆(川村のりあき議員) 日本共産党新宿区議会議員団の川村のりあきです。加齢性難聴対策とヒアリングループの普及について伺います。
     この間、加齢性難聴については、議会で取り上げてきましたが、直近でも、私自身、2019年3月の予算特別委員会や2019年9月の決算特別委員会、また会派として2019年第2回定例会代表質問で取り上げ、昨年4月24日には施策推進のため直接厚生労働省への聞き取りにも参加してまいりました。高齢化社会の進展する中、65歳以上で約45%、80歳以上で80%の難聴の方がいるとされ、聞こえのバリアフリーへの取り組みは急務です。同時に、難聴対策に取り組むことが認知症対策につながることは、2017 年7月、国際アルツハイマー病会議(AAIC)において、ランセット国際委員会は認知症の「予防できる要因の中で、難聴は認知症の最も大きな危険因子である」と指摘しています。このことは、2017年に改定された新オレンジプランにも反映しており、難聴の早期の診断及び対応、補聴器装用による活発なコミュニケーションにより発症予防が期待されます。そこで区長に伺います。加齢性難聴への対策について重要性をどのように認識されていますでしょうか、ご所見を伺います。
     次に、補聴器の支給と助成について伺います。
     第一に、支給箇所を増やすことです。
     現在、両耳聴力が70デシベル以上など重い難聴でなければ国制度の障害認定をもとにした補聴器購入補助が受けられませんが、WHOは41デシベル以上の場合に補聴器の使用を推奨しています。新宿区が障害認定に達しない加齢性難聴の方に対し行う補聴器の現物支給は貴重な取り組みです。2018年度実績は405件で、2017年度369件2016年度311件と比較して伸びています。一方、支給が区内1か所でしかできず昨年9月の決算特別委員会で改善を求めたところ、次年度に入札を復活するため調整するという答弁がありました。入札にあたって、支給箇所を増やす改善を求めますが、ご所見を伺います。
     第二に、両耳装用を前提とした支給に制度を改善することです。
     現在、片耳分の支給となっていますが、補聴器先進国のデンマークでの両耳装用率は82%、次いでドイツが75%と両耳装用が世界の常識といえます。両耳装用は、1. 音の方向感や距離感を得やすく日常の危険を回避しやすくなる。2. 騒がしい中でも聞き取りやすくなる。3. 耳への負担が少なく疲れにくくなる。4. バランスの良いより自然な音を聞くことができる。5. 補聴器をしていない耳の聞き取り能力の衰えを予防できる、との指摘があります。そこで区長に伺います、両耳装用の効果についての認識と、両耳装用を前提とした支給に制度を改善することについてご所見を伺います。
     第三に、補聴器相談医や認定補聴器技能者、言語聴覚士との連携についてです。
     昨年11月16日、日本共産党都議会議員団主催の「高齢期のきこえの支援を考える」シンポジウムで、日本耳鼻咽喉科学会会長も務められた、慶應大学耳鼻咽喉科の小川郁教授の講演を聞きました。補聴器は即快適に聞こえるわけではなく、補聴器から入ってきた音を、脳の中で言葉にして理解するための調整とリハビリが必要で、耳鼻科医と補聴器提供者との連携は非常に重要とのことでした。やはり専門的知見を持った補聴器相談医や認定補聴器技能者の連携のもと調整とトレーニングを行うことが大切です。補聴器相談医や認定補聴器技能者について、区HPで案内するとともに補聴器支給事業と同じく情報提供すべきと考えますが、ご所見を伺います。また、足立区障害者福祉センターあしすとが週4回行っている言語聴覚士等による「きこえの相談」を参考に、区民が気軽に聴力検査や補聴器体験・調整が行えるようすべきと考えますが、ご所見をお聞かせください。
     第四に、補聴器購入に対しての助成制度の創設についてです。
    高齢者の難聴に対し、新宿区と江東区は補聴器の現物支給を行っていますが、他の6区では補聴器購入に対しての助成を行っています。「調整にも便利な身近な補聴器店で自分に合った補聴器を購入したい」との要望も多く伺っています。補聴器購入に対しての助成制度を創設し、現行の現物支給と選択できるようにすべきと考えますが、ご所見を伺います。
    第五に、政府・厚生労働省への働きかけです。
     これだけの対象者があり、利用によって大きく日常生活と社会生活の障壁を取り払える補聴器は、白内障眼内レンズが健康保険制度の対象としたように、補聴器を健康保険制度の対象とするよう、政府・厚労省に働きかけるべきと考えますが、ご所見を伺います。
     次に、ヒアリングループの普及について伺います。
     第一にヒアリングループ設置を計画的に進めることについてです。
     ヒアリングループは区立施設として初めて下落合図書館に設置をされ、この新宿区議会の議場も、2019年第3回定例会からヒアリングループが使用できるようになりました。先の代表質問では、台東区の事例を紹介しましたが、来年度の予算編成で江東区は、「江東区手話言語の普及及び障害者の意思疎通の促進に関する条例」にもとづき、窓口用ヒアリングループを設置、会議用ヒアリングループにより、区の会議や説明会、講演等で活用するとしました。昨年まとめられた厚労省の「情報アクセシビリティ支援の取り組み」でもヒアリングループの普及促進の重要性が強調されています。私どもは、この際、新宿区障害福祉計画、新宿区高齢者保健福祉計画にも位置づけ、本格的にヒアリングループの設置推進を求めるものですが、区長のご所見を伺います。特に、窓口用ヒアリングループについては早急に設置し、補聴器や受信機を貸し出して効果を実感してもらってはいかがでしょうか。
     同時に、数万円の簡単なループアンテナを接続すれば、地域交流館、シニア活動館、生涯学習館、地域センター、学校などが所有するワイヤレススピーカーはヒアリングループシステムとして活用可能です。これら施設は避難所としても使われる施設であり各施設へのヒアリングループ設置が進むまでの間、この簡易的なヒアリングループシステムを、急ぎ配備すべきと考えますが、区長のご所見を伺います。
     第二にヒアリングループの周知についてです。
     区民の方から、ヒアリングループのある施設、ヒアリングループがその施設のどこで使用できるのかわかりにくいとのお話がありました。
     新宿区では、携帯用ヒアリングループを2台購入し、区民が区立施設で会議を行うなどの際、要望に応じて施設を管理する所管課に貸し出しを行うとしていますが、区HPではヒアリングループの貸し出しは、都の制度である東京手話通訳等派遣センターの利用しか出てきません。また、バリアフリーマップにおいてはヒアリングループについての紹介がありません。そこで区長に伺います。区立施設に限らず、区内のヒアリングループ使用可能な施設や区の行っているヒアリングループ貸出しを分かりやすく区HPで紹介し、バリアフリーマップでも紹介すること、使用可能施設にあってはループマークや使用方法を分かりやすく掲出すべきと考えますが、ご所見を伺います。
     2017年8月21日、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会は「磁気誘導ループ」という名称を誤解が生じるとして「ヒアリングループ」と呼称変更をしました。区HPは磁気ループシステムとの表記が多いようですが、当事者団体の提起を踏まえ「ヒアリングループ」と呼称変更を行ってはいかがでしょうか。区長のご所見を伺います。

     

    ◎(福祉部長) 川村議員のご質問にお答えします。
     加齢性難聴対策とヒアリングループの普及についてのお尋ねです。
     はじめに、加齢性難聴への対策の重要性の認識についてです。
     加齢性難聴の高齢者にとって、円滑なコミュニケーションへの支援は重要であり、補聴器の装用は認知症の予防にも効果があると認識しています。そのため、区では、長年にわたり補聴器の支給事業に取り組んできています。現在、特別区の中で高齢者向けの補聴器支給事業を実施している区は8区ですが、そのうち、所得制限を一切設けずに支給を行っているのは新宿区のみです。今後も、さらに多くの高齢者に支援が行き渡るよう、さまざまな広報媒体を使って事業の周知を図り、加齢性難聴の高齢者の「生活の質」の向上に繋げていきます。
     次に、補聴器の支給と助成についてのお尋ねです。
     はじめに、支給箇所を増やすことについてです。
     区では、現在、令和2年度の補聴器支給事業の実施に向け、入札の準備を進めているところです。入札にあたっては、支給場所について区民の利便性に配慮することと、認定補聴器技能者が個別に調整やトレーニングを確実に行うことが重要であると考えていることから、支給箇所数を入札の条件とすることは、考えておりません。
     次に、両耳装用を前提とした支給に、制度を改善することについてです。
     両耳装用の効果については、個人の聴力の状況によって、それぞれ異なるものと認識しています。区の補聴器支給にあたっては、利用者があらかじめ耳鼻科で聴力検査を受け、受診結果についての医師の報告書を添えて、申請することとなっています。医師の報告書には、補聴器の必要性の有無とともに、左右どちらの耳に装用することが効果的かの記載をお願いしており、支給時には医師の意見に基づいて、適切に、左右どちらかの補聴器をお渡ししています。今後も補聴器を必要とする高齢者の増加が見込まれる中、本事業を維持継続していくためにも、両耳装用を前提とした支給は考えておりません。
     次に、補聴器相談医や認定補聴器技能者、言語聴覚士との連携についてです。
     区は現在も、認定補聴器技能者のいる事業所と契約し、補聴器の支給事業を行っています。支給時には、あらかじめ受診した耳鼻科医の意見に基づき、ご本人の聴力や使用環境に応じて補聴器を調整してお渡ししており、支給後の再調整やトレーニングにも無料で対応しています。今後は、区ホームページ等における事業案内の中で、手続きの流れに加え、支給時の認定補聴器技能者の役割について、情報提供してまいります。また、本事業の支給手続きの過程で、個人に合わせた補聴器の調整や相談を行っていることから、聴力検査や補聴器体験を行う相談窓口を別に設けることは、考えておりません。
     次に、補聴器購入に対しての助成制度の創設と、政府・厚生労働省への働きかけについてです。
     区は、入札で選定した事業者と年間契約を締結することにより、一般価格と比較して安価に補聴器を調達することを可能としており、利用者負担額も低額となっています。購入代金への助成を実施した場合、利用者は一旦高額な費用を事業者に支払う必要があります。区の助成額を差し引いたとしても、現在の利用者負担額と比べて高額な負担となることが見込まれます。広く高齢者が、少ない負担で補聴器の支給を受けられる現行の事業を継続していくために、購入代金への助成制度を創設し、現物支給との選択制にする考えはありません。また、加齢性難聴対策の補聴器について、健康保険制度の対象とするよう、政府及び厚生労働省へ働きかけることは考えておりません。
     次に、ヒアリングループ設置を計画的に進めることについてのお尋ねです。
     新宿区障害者計画では「多様な手法による情報提供の充実」として障害者を支援する物品の活用を掲げています。ヒアリングループシステムには、快適にご利用いただくための国際規格が定められており、安全性や信頼性を確保するためにも、音響機器を利用するなどの簡易的なシステムの活用は考えていません。区では、専用機として携帯用ヒアリングループを2台購入したほか、窓口用ヒアリングループを購入し、区立施設で会議を行う場合や各窓口における手続きの際など、要望に応じて補聴器の貸し出しを行っています。今後も利用状況をみながらヒアリングループの活用を進めてまいります。
     次に、ヒアリングループの周知についてのお尋ねです。
     ヒアリングループの貸し出しについては、東京手話通訳等派遣センターが民間事業所等も対象としているため、広く区民等に利用いただけるよう区のホームページで周知しています。今後は併せて、区民が区立施設を利用する際に、携帯用ヒアリングループを利用できることも区のホームページで周知してまいります。
     また、ヒアリングループマークを利用する際には全日本難聴者・中途失聴者団体連合会への申請が必要なことから、施設等からの申請実績が掲載されている団体連合会のホームページとバリアフリーマップ掲載ページとのリンクについて団体連合会と調整しています。なお、機器の呼称については磁気ループからヒアリングループへ変更してまいります。

    区議会活動 | 川村のりあき

    2020.04.12 更新

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