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    2020年第3回定例会 高月まな議員が代表質問を行いました

    9月15日の本会議で高月まな議員が

    1.2019年度決算と財政運営について
    2. 新型コロナウイルス対策と検査体制の充実について
    3. 介護・障害福祉サービス事業者への支援について
    4. 区民の雇用とくらしを守る施策について
    5.中小業者および文化芸術活動への支援について
    6. 新宿文化センターにおけるPFI導入について

    以上6項目について、代表質問を行いました。
    * 正式な会議録ではありませんが、概要をご紹介します。 

     

     

    ◆(高月まな議員) 日本共産党新宿区議会議員団の高月まなです。2020年第3回定例会にあたり会派を代表して質問いたします。
     まず冒頭に、この度の台風9号、10号に被災された方々へのお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復興をお祈りします。
     8月28日、安倍首相は辞任を表明しました。7年8カ月に渡る安倍政権の間の、安保法制、共謀罪、特定秘密保護法といった違憲立法。民意を踏みにじり強行した沖縄新基地建設。森友、加計、桜を見る会等をめぐる政治の私物化。二度に渡る消費税増税。新型コロナウイルス感染症対策の遅れにより、国民のいのち、くらし、営業が大変な苦難に置かれています。こうした中で、区民に一番身近な区政の役割がいっそう重要になっているのではないでしょうか。

     最初の質問は、2019年度決算と財政運営についてです。
     新宿区の2019年度の実質単年度収支は7年連続の黒字となっています。リーマンショックのような危機に備えて積み立てるとしてきた基金を、今まさにコロナ対策のために活用すべきですが、これまでに活用した基金の額と、今後の活用予定、また特定目的基金を条例改正し財政調整基金として活用するお考えはないか、伺います。さらに、大規模開発への補助金や、コロナ禍で実施できない事業も含め、不要不急の予算は見直し、コロナ対策を最優先として財源を確保すべきです。港区は実施できなかったオリンピック関連の予算を減額補正し、その財源を他に振り向けましたが、新宿区もそうすべきではないでしょうか。また政策決定過程では、区民の声を聞き、区民と情報共有しながら双方向で議論することが民主的な財政運営には不可欠と思いますが、コロナ禍の下で区民参画をどう担保し、コロナ危機から区民生活をどのように守っていこうとしているのか、区長のご所見を伺います。


    ◎(吉住健一区長) 高月議員のご質問にお答えします。
     2019年度決算と財政運営についてのお尋ねです。
     はじめに、基金活用についてです。今年度においては、新型コロナウイルス感染症対策を含めた補正予算で、本定例会に上程している金額も含めて既に97億円の財政調整基金の取崩額を計上しています。今後の基金活用については、感染症の影響を見極めながら、効果的に対応してまいります。
     次に、特定目的基金については、それぞれの目的により設置されたものであり、財政調整基金への組み替えは考えていません。
     次に、東京2020オリンピック・パラリンピック大会関連経費については、大会実施の方向性を見極めた上で、補正予算で対応してまいります。また、新型コロナウイルス感染症対策の予算措置については、今後も、国や都の補助金、寄附金、財政調整基金を活用し、必要に応じて機動的に対応してまいります。区はこれまでも、区民の声を受け止め、予備費充用や補正予算による機動的な対策を講じてきました。今後も、感染症対策とともに区民生活の支援と地域経済の回復に向けた対策に取り組んでいきます。


    ◆(高月まな議員) 次に、新型コロナウイルス対策と検査体制の充実についてです。
     まず、新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方々に心よりご冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族にお見舞い申し上げます。療養中の方々へも一日も早い回復をお祈り申し上げます。また感染症対策に尽力されている職員の皆様、ご協力いただいている区民の皆様に深く感謝を申し上げます。
     東京都が発表している新宿区内の新型コロナウイルス感染確認数は5月117人、6月281人、7月1188人、8月647人、直近の9月14日までの累計で2655人、人口10万人当たりでは約768人と、全国でも突出した状況が続いています。区のPCR検査の受診者数、陽性者数と陽性率は、5月受診者数2294人のうち陽性者123人、陽性率5.4%、同じく6月1829人のうち381人、20.8%、7月4642人のうち1202人、25.9%、8月2179人のうち347人、15.9%と、確かに陽性者も陽性率も減っているようですが、この数値は依然として高い状況です。新型コロナウイルスの感染拡大に加え、インフルエンザの流行する時期に入ろうとしている今、検査件数を増やし徹底した対策を講じることが医療崩壊を防ぐためにも必要です。
     質問の第1は、インフルエンザ対策についてです。新宿区医師会の助言によりインフルエンザ予防接種の自己負担無料化が65歳以上の方と60歳から64歳で基礎疾患のある方、13歳以下の子どもを対象に実施されることになりましたが、東京都の9月補正予算案では65歳以上と60歳から64歳の基礎疾患のある方を対象に無料化するとしています。都が予算措置する分の財源を活用し更に対象を拡げてはいかがでしょうか。少なくとも国が優先接種すべきとしている妊婦は対象に加えるべきと考えますがいかがでしょうか。
     第2は、区内の感染状況に対する認識と情報公開についてです。先日の臨時会で私ども区議団が、「新宿区がエピセンター化しているという認識は」と質問したのに対し、健康部長は「一部の専門家が新宿区のエピセンター化という見解を持っていることは承知している」と答えましたが、7月16日の参議院予算委員会で東京大学の児玉名誉教授が新宿区のエピセンター化を指摘され、7月30日の東京都医師会尾﨑会長の記者会見でも同様の指摘があり、更に9月3日の参議院予算委員会でも国の新型コロナウイルス分科会の尾身会長も、「緊急事態宣言解除後の再度の感染拡大は、主に東京の接待を伴う飲食店を発端として全国に広がった」と指摘されました。客観的科学的事実の認識なしに有効な対策はできないと思いますが、区長は、新宿区はエピセンター化していないというお考えですか。尾身会長の指摘は東京から全国に広がったと言われ、まさにその中心は新宿だと思いますが、区長はそのような認識がないのかお答えください。
     区の行政検査における陽性率が30%を超えていたのが、今は15%で下火になったとはいえ二桁で依然として高い水準であることは国会でも東京都医師会の尾﨑会長が指摘され、加藤厚労大臣も「新宿区は減っているわけではない。まだそこに課題がある。」と言われました。区長は新宿区の陽性率についてどのように分析し、陽性率何%以下が望ましいと考えているのか。感染収束させるための目標を持ち、検査数も大幅に引き上げていくことが必要と考えますが、いかがでしょうか。区内の感染状況については、クラスターの発生件数も情報公開されて来ませんでしたが、臨時会の委員会質疑で、区内で発生したクラスターが50件で、うち飲食店関係が37件、そのうちホストクラブは21件だった事がわかりました。クラスター発生の状況などはできるだけ詳細に公表することが啓発・感染防止に繋がります。区内のクラスターはどのような施設で、どのような状況の下で発生しているのか、お答えください。また、現在療養中の無症状者、軽症者、中等者、重症者の各人数と、入院・ホテル療養・自宅療養の人数、また、陰性に転じた方の後遺症などの実態について、お答えください。
     第3に、無症状陽性者に対する認識とPCR検査について伺います。新型コロナウイルスは無症状でもウイルスを保有し無自覚のうちに感染を広げてしまうことが分かっています。臨時会の答弁では無症状者へのPCR検査について、「キャパに限りがあるので、無症状の方にも広く拡げるとなると、重症化の可能性の高い方たち、クラスター化しそうな施設などの検査が後回しになってはいけないので、効果的に適切に検査を進める」などと言って、無症状者への検査には消極的でした。区長は、無症状の感染者も感染力を持っているという認識はおありでしょうか。無症状の方を検査する必要性はないとお考えですか。無症状の感染者を積極的に発見し保護・隔離するお考えはないのか、伺います。
     日本の人口当たりのPCR検査数は世界215ヵ国中150位台のまま推移しています。日本ではPCR検査で擬陽性・偽陰性が出るなどと言って精度を問題にする議論や、検査をすると医療崩壊を起こすなどの否定的な意見がありますが、世界ではこのような議論はありません。微量の遺伝子を増幅させて見るPCR検査は他の検査にはない高い精度があり、PCR検査を広く行う目的は「診断」ではなく「防疫」で、その時に感染させる可能性があるかどうかわかることが重要なのです。区長は、PCR検査は精度に問題があるとお考えか否か、PCR検査数を増やす必要があるとお考えか、伺います。
     国は8月7日の通知で、「地域における感染状況を踏まえた幅広い検査」として、「現に感染が発生した店舗等に限らず、地域の関係者を幅広く検査することが可能であるため、積極的に検査を検討いただきたい」としています。沖縄県では繁華街を中心に感染者が急増した際、那覇市松山地区の飲食店の従業員と客に呼びかけ広くPCR検査を実施したところ、検査規模800人程度の想定が2086人となり、86人が陽性、その4割は無症状でした。新宿区でも那覇市のような疫学調査を実施すべきではないでしょうか。
     新宿区のPCR検査センターは、症状があり医師が必要と認めた方や、保健所から濃厚接触者と認められた場合に検査できますが、濃厚接触者であっても無症状者はなかなか検査してもらえないという苦情がいくつも寄せられています。クラスター対策としての積極的疫学調査も6月は9件459人、7月は幅広く実施し22件715人でしたが、8月以降5件152人(15日まで)となり、ホストクラブに対する調査も基準を後退させ、無症状の方を含めた感染者を把握する体制が後退しています。これまでの行政検査で無症状の陽性者は何人いたのでしょうか、陽性者に対する比率とあわせてお答えください。また、厚労省の接触確認アプリ、ココアで陽性者との接触通知を受けた場合、厚労省は行政検査の対象と位置づけているのに区の保健所に相談してもなかなか検査してもらえないとの声があります。「それではココアに登録した意味がない」と、登録推進の足を引っ張ることにもなりかねません。区の対応を改善しHPでも「ココアで接触の通知があった方は検査の対象」であることを明示すべきと考えますがいかがでしょうか。
     医師会の先生方に伺うと、検査体制に対する要望で多く聞くのが区の検査センターが予約制になったため、土日休日にあたると予約自体ができず検査が遅れ、その上検査結果が出るのも陽性なら2、3日、陰性の場合は1週間も待たされることが患者さんにも大きな負担となっているそうです。実際に検査を受けた区民からも苦情が出ています。土日休日も対応できる体制にし、少なくとも予約は土日でも受け付けられるようオンライン化するなどして改善すべきと考えますが、いかがでしょうか。
     第4に、無症状・軽症感染者の自宅療養等に対する支援についてです。PCR検査を増やせば当然、無症状や軽症の陽性者も多く発見されます。そのような方々はホテルでの療養を基本としながらも自宅療養者の増加を想定した対策が必要です。これまでも区では多くの感染者が自宅療養となってきましたので、私ども区議団は早くから自宅療養者への支援を求めてきました。厚労省の8月7日の通知でも、食事の配達の確保、体温計・パルスオキシメーター等を含む備品消耗品を補助対象とするとしています。区もこれを活用すべきですが、いつからどのように支援をしていくのでしょうか。自宅療養により家族内感染が増えている事も問題となってきました。私たち区議団は感染者のお子さんを保護する体制を要望してきましたが、東京都は9月補正予算案で、「家族や保護者が感染した場合の、要介護者や児童の受入体制を整備する区市町村を支援するほか、医療機関における児童の一時保護委託を推進」するとして3億円を計上しています。新宿区もこれを活用し早急に具体化すべきと考えますが、いかがでしょうか。
     第5に、エッセンシャルワーカーへの定期的な検査の実施についてです。東京都の9月補正予算案では、新たに高齢者・障害者支援施設等でスクリーニングを含むPCR検査等を実施した場合の経費を支援する予算30億円を計上しました。区長は先日の記者会見で、都は入所施設を対象にするので区としては通所施設の職員に実施する旨発言されました。職員と共に通所者にも実施すべきですが、区としてはいつからどのような対象に実施するのでしょうか。感染者が増えている保育や教育の現場で働く人、医療従事者や介護ヘルパーをはじめエッセンシャルワーカーと言われる方々にも定期的なPCR検査を実施すべきと考えますがいかがでしょうか。


    ◎(吉住健一区長) 新型コロナウイルス対策と検査体制の充実についてのお尋ねです。
     はじめに、インフルエンザ予防接種無料化の対象拡大についてです。
     区では、これまでも、インフルエンザが重症化しやすい65歳以上の高齢者と60歳から64歳で基礎疾患をお持ちの方に対する定期接種、また13歳未満の子どもを対象にした任意接種を実施してきました。秋以降の新型コロナウイス感染症対策として、医療現場の混乱やひっ迫を回避するため、同様の考え方のもと、特に重症化しやすい高齢者と子どもを対象に今年度は接種費用を無料としますが、助成対象の拡大は考えていません。
     次に、区内の感染状況に対する認識と情報公開についてのお尋ねです。
    一部の専門家が新宿区のエピセンター化という見解を持っていることは承知しています。新宿区における発生届数は、7月中旬から8月上旬をピークに減少に転じていることから、改善の兆しが見えていると考えています。一方、陽性率も減少傾向にありますが、陽性率については、検査対象の選び方や検査対応数によって大幅に変化するため、評価の目安になりにくく、目標値の設定にはなじまないものと考えています。また、検査数については、ハイリスク事例やクラスター化する恐れがある事例は、対象者を広く設定する等、効果的に検査を行い、感染拡大防止につながっていることから、今後も必要な検査を適切に行ってまいります。
     次に、区内のクラスター発生状況ですが、医療機関や高齢者施設、飲食店等において、換気状況や行動等の影響、空間を長時間共有することなどで、感染が拡がっている事例がありました。現在の療養者状況についてですが、9月1日から10日までの発生届数は95件で、そのうち、入院は16人、宿泊療養は14人、自宅療養は65人でした。この中に重症者、死亡者はいません。療養期間が終了後に味覚障害等が残る方もおり、少なくとも1か月間は、体調に気を付けるよう注意を促しています。
     次に、無症状陽性者に対する認識とPCR検査についてのお尋ねです。無症状の感染者であっても、一定期間感染力があると認識しています。また、PCR検査の精度は70%程度で、擬陽性や偽陰性を生じさせることもあり、診断には医師の総合的な判断が必要ですが、現時点では、最も有用な検査であると考えています。PCR検査については、医療機関、高齢者・障害者施設などの重症化リスクが高い施設等において、患者が発生した際や、これらの施設以外でクラスター化するおそれがある際には積極的に行っており、その中で無症状者に対しても検査を実施しています。検査の結果、感染者を発見した場合は宿泊療養等につないでいます。したがって、那覇市のような疫学調査を実施することは考えていません。
     次に、これまでの行政検査での無症状の陽性者数及び陽性者に対する比率です。ハイリスク事例やクラスター対応のために無症状者を広く対象に実施した検査は3,179件で、陽性は372件、陽性率は11.7%となっています。
     次に、ココアの接触確認アプリで接触通知を受けた際の検査についてですが、希望する方には全員検査を実施しており、その旨を区ホームページでも掲載しております。
     次に、土日休日も対応できる検査体制や、オンライン化など土日休日の予約受付の改善についてのお尋ねです。帰国者・接触者電話相談センターは、土日、休日、夜間も開設しており、緊急に対応が必要な場合は、適切に治療や検査が受けられる帰国者・接触者外来等につないでいます。
    また、現在、予約受付のオンライン化は考えておりませんが、週明けに検査を希望される場合は、月曜日の午後2時までに医療機関からご連絡をいただければ、当日の検査予約が可能となっています。今後も、できるだけ速やかに検査を受けていただけるよう、工夫してまいります。
     次に、無症状・軽症感染者の自宅療養等に対する支援についてです。新型コロナウイルスに感染し、自宅療養を行う場合、外出制限を受け、経済的に厳しい状況にある方もいらっしゃると認識しており、自宅療養期間の食料等の調達支援は重要であると考えています。ご指摘の通知の中でも、自宅療養者が外出せずに生活を継続するために配食サービス導入が重要との見解が示されていることから、国の補助制度の活用を含め、実施に向けた検討を進めてまいります。
     次に、家族や保護者が感染した場合の要介護者や児童の受入体制の整備についてのお尋ねです。はじめに、要介護者の受入れについては、個々の状況を勘案し、施設と調整するなど、柔軟な対応を行って来たところです。現在、東京都は、受入体制を整備する市区町村を支援する「在宅要介護者の受入体制整備事業」を予定していると聞いています。この事業を活用し、宿泊可能な施設における支援体制の整備を検討していきます。
     次に、児童の受入れについては、まずは身近な親族での対応をお願いし、預け先が見つからない場合には都の児童相談センターに相談しています。都は、児童が濃厚接触者に特定された場合は、医療機関への一時保護委託で対応し、必要に応じて区も入院先の医療機関を探す等の協力を行っています。また、濃厚接触者でない場合は、子どもショートステイや都の一時保護所を活用して児童を預かります。今後も、このような受入れ体制を継続しながら、家庭を支援してまいります。
     次に、エッセンシャルワーカーへの定期的な検査の実施についてのお尋ねです。保育や教育、医療、介護の現場で働くエッセンシャルワーカーへのPCR検査については、感染すると重症化するリスクの高い高齢者や障害者を対象とする事業所の職員を優先的に実施することが必要であると考えています。このため、区としては、東京都の検査費用助成対象とならない、通所、訪問介護事業所、地域密着型介護事業所など、希望する介護サービス事業所や障害福祉サービス事業所の職員が検査を受けやすい仕組みを検討し、できるだけ早い時期に対応してまいります。


    ◆(高月まな議員) 次に、介護・障害福祉サービス事業者への支援についてです。
     コロナ禍の下、介護保険事業者や障害福祉支援事業所が大きな打撃を受けています。新宿区には400件弱の介護保険事業所と約200件の障害福祉事業所がありますが、非常事態宣言下の4月、5月の頃から利用控えによる減収、人材不足等により、多くの事業者は依然として苦境に立たされています。区として現場の声を聞き、検査体制、物資の供給、財政支援などを充実し、介護事業者を一層支援する施策を求め、以下質問します。
     第1の質問は、介護事業者とその関係者へのPCR検査についてです。
     感染が拡大する中、介護従事者は誰が感染者かわからず、自分が感染しているかもしれないという不安の中、勤務しています。感染者が発生したデイサービスに通っている利用者宅の訪問介護を行うある事業者は、濃厚接触者の訪問入浴に入る際に、マスク、フェイスシールド等を使用し、会話をせずに介助するように保健所の指導を受けたとのことです。私も17年間訪問介護をしてきましたが、入浴介助で促しや言葉を発しないというのはほぼ不可能です。感染防止策を言うならこのような介護従事者が検査を受けられるようにすることこそ必要ではないでしょうか。先ほどの質問で、東京都は高齢者・障害者の入所施設の検査の支援をするので区としては通所施設の職員の支援を検討することについて触れましたが、感染リスクの高い訪問介護事業所への優先的な支援をすべきではないでしょうか。さらに千代田区・世田谷区のようにすべての介護事業所職員への検査体制を確立すべきと考えますが、区長のご所見を伺います。
     第2は、マスク、手指消毒液、防護服、手袋等の物資の供給についてです。こうした物品は依然として不足しており、特に手袋の不足は深刻で注文もできないと聞いています。6月16日の防災等安全対策特別委員会で危機管理課長は、「所管課を通してどういう施設でどんなものが不足しているのか調査しながら提供していきたい」と答えていますが、現場からは「区からは要望を聞かれたことがない」という声を聞いています。区は調査を行ったのでしょうか。台東区は要望を聞くため6月に介護事業者にアンケート調査を行ったそうですが、新宿区の方から現場の要望を聞き備蓄から供給をする、または物資購入の費用を助成してはいかがでしょうか。
     第3は、介護事業所への財政支援についてです。コロナ禍により多くの事業者は利用控えや、感染が発生した際の休業等で減収となっています。区は、各事業所の減収、事業縮小、閉所、倒産や入所施設の受け入れ状況など、実態をどう把握しているか、伺います。
     ある障害福祉サービス事業所では、利用者が外出を控えたり、学校の休校により移動支援サービスがほぼ利用されなくなり売り上げは8割減となりました。特に打撃をうけているのはデイサービスで、8月の減収が約40万円になった事業者や、感染者が発生し閉所となり、しばらく収入が途絶えてしまう事業者もあります。また訪問介護の場合は減収とともに人材不足が深刻です。管理者の人材がなく閉所となったり、感染を恐れてヘルパーが仕事を控えたり、デイサービスの閉所の影響で訪問介護のニーズが増えたものの、人材不足で対応しきれず新規の受け入れができないという事態にもなっています。区内の感染拡大を恐れて「新規ヘルパー募集しても新宿には来てくれない」といった声もありました。財政支援、危険手当について国の2次補正予算では慰労金が実現しましたが一回限りであり、恒常的に介護事業者を支えるためのいっそうの支援が必要です。ある事業所の管理者は「新宿にも他の自治体のように独自の支援があればありがたい」と言っています。23区のうち12区では支援金を給付するなど、様々な手法で介護事業所を守る手立てを講じています。文京区は1事業所あたり一律50万円の支援金を、介護保険230事業所、障害福祉130事業所を対象に支給する事業を実施しています。同様に台東区も介護保険120事業所、障害福祉35法人に50万円を支給しています。新宿区としても、介護・障害福祉サービス事業者への財政支援、従事者への危険手当のために支援金を給付する事業を実施してはいかがでしょうか、以上、答弁願います。


    ◎(吉住健一区長) 介護・障害福祉サービス事業者への支援についてのお尋ねです。
     はじめに、介護事業者とその関係者へのPCR検査についてです。
     感染すると重症化するリスクの高い高齢者や障害者を対象とする事業所の職員が安心して介護・介助を行えるようにすることが必要です。そのため、保健所では、介護を行うに当たっては、必要な声かけを行いながら、マスクやフェイスシールドを使用し、飛沫などによる感染の防止策を講じることを指導しています。そこで、通所や訪問介護事業所など、希望する介護サービス事業所や障害福祉サービス事業所の職員について、検査を受けやすい仕組みを検討し、できるだけ早い時期に、対応してまいります。
     次に、マスク、手指消毒液、防護服、手袋等の物資の供給についてのお尋ねです。
     区では、マスク及び消毒液が不足していた令和2年3月に、サンプリングとして各サービスの一部事業所に対して、在庫状況等を調査したうえで、全事業所に連絡をし、必要とする事業所へマスク、消毒液をお配りしました。また、5月初旬には、一定量まとめて手指消毒液の調達を図り、聞き取り調査等により緊急性の高い施設から順に配布しました。このような対応をする中、5月下旬には、国が必要性の高い施設等が消毒液を優先的に調達できる仕組みについて、都道府県を介さず直接業者に注文できるよう変更したことを受け、区は速やかにこの仕組みを事業所に周知いたしました。
     6月以降、優先度の高い施設から、区の備蓄の介護用ガウンや手袋のほか、区民等からのご寄付も活用し、障害者施設の需要を確認した上でお配りするとともに、7月には、再度一定量のマスクを都から提供を受け、区が送料を負担し、介護事業所・障害福祉サービス事業所に配布いたしました。今般、都から、介護用エプロン、手袋、ゴーグルの配布の連絡を受けており、介護事業所については区を通して、障害福祉サービス事業所については都から直接配布いたしますので、現在、配布の準備を進めているところです。
     物資の購入費用の公的助成については、国の制度として、かかり増し費用の助成の受付が都において始まっていることを周知しています。今後も介護・障害者施設等で感染症対策への十分な備えができるよう、各施設の調達状況等を注視して参ります。
     次に、介護事業所への財政支援についてのお尋ねです。
     各事業所の減収については給付費の支給状況により把握し、区が指定する事業所の事業縮小、閉所、倒産の状況については、届出により把握しています。また、入所施設の受入れ状況は、特別養護老人ホームや障害者入所支援施設の入所調整で把握しています。通所介護の給付費の支給状況をみると、4月・5月には前年同月比で支給額が減り、6月・7月は少し持ち直し減少幅は小さくなりました。このことから通所事業所が減収となっていますが、報酬の臨時的取り扱いや、利用回復などにより改善の方向であると認識しています。一方、入所施設の給付費の支給状況は、前年と同様の水準となっております。
     また、障害福祉サービス事業所は、外出支援や通所に替え、居宅支援や電話での見守りを給付費の支給対象とされた結果、前年と同様の水準となっております。国は、介護報酬や障害福祉サービス等報酬における減収を補う様々な臨時的取扱い等経済的支援策を継続し、東京都において、感染症対策に要する物品購入費用の助成と職員への慰労金支給の受付が始まっております。区でも対象事業所への周知を行ったところです。区としては、これに上乗せする財政支援や危険手当の支給は、現在のところ考えておりません。


    ◆(高月まな議員) 次に、区民の雇用とくらしを守る施策についてです。
     厚生労働省は9月1日、新型コロナウイルス感染症に関する解雇や雇止めが8月31日時点で、見込みも含めて5万326人になったと発表しました。1か月でおよそ1万人が職を失っていますが、これはあくまで労働局やハローワークが相談などで把握している数で、氷山の一角にすぎません。大量の失業者が生まれる「雇用崩壊」はむしろこれから本格化すると言われており、リーマンショックをはるかに超える「コロナ氷河期」とも言うべき事態がすでに生まれています。
     第1の質問は、コロナ禍のもとでの区民の雇用とくらしに対する現状認識についてです。 
     区の相談窓口は相談者で溢れ、生活保護申請件数は前年同月比で4月が1.7倍、5月は1.4倍と大きく増えています。その他にも住宅確保給付金、緊急小口資金・総合支援資金、区民税・各種保険料の減免などがありますが、区長は区民からの相談件数や申請件数をどのように把握し、それらの実態から区民の雇用やくらしをどう認識され、雇用とくらしを守る対策をどのように進めようとしているのか、お答えください。
     第2は、コロナ関連支援策の改善についてです。
     1つ目は住居確保給付金についてです。来所相談件数が3705件、申請件数は2351件で相談件数のおよそ6割強に留まっており、この件数の乖離の要因は、単身者の場合家賃月額53700円に生活費基準額を合わせ収入基準月額が13万7700円と低く、家賃の高い新宿区民の生活実態に合わないからです。区として、区民の生活実態にあった制度の改善を国や都に求めると共に、基準に合わないため申請できずに苦しむ区民を救済するため、区独自に家賃や収入の基準額を引き上げを行ってはいかがでしょうか。
     2つ目は、総合支援資金についてです。社会福祉協議会が行う個人向け資金の特例貸付として、まず緊急小口資金を借り、その次に総合支援資金として当初3か月以内の貸付期間を借りる方が多く、現在貸付期間を最大6か月以内まで延長していますが、その条件は9月までに貸付期間の3か月目が到来することとされており、8~10月の貸付期間で借りた方は延長できず不公平が生じています。しかも9月に緊急小口資金を借りた方は10月以降総合支援資金が借りられないという制度改悪が行われています。生活保護の申請に繋がる方はまだしも、そうでない方はどうしろと言うのでしょうか。総合支援資金の延長ができなかった方やそもそも総合支援資金が借りられない方に対して、区長はどのような支援を考えておられるのか伺います。国や都に改善を求めると共に、延長できない方、申請できない方には区が救済する施策を独自に行うべきと考えますがいかがでしょうか。
     第3は、区の労働相談窓口の設置についてです。区内のある労働組合では、毎月10件程度だった相談が3月以降20件を超え、コロナ禍を原因とする相談も2月から8月で25件と増えています。労働法やコロナ支援制度の理解が不十分なことからトラブルが生じがちで、労働者・フリーランス・使用者の立場を問わず、問題発生の早い段階で専門家に相談し解決に向けた話し合いを行うことが、紛争の深刻化を防ぐ上で重要で、ぜひ新宿区でも区民に身近な区の施設で労働相談をしてもらいたいとの声を聞きました。
    世田谷区では従前から社会保険・労働相談として区内2か所の施設に窓口を設置してきましたが、コロナ禍を原因とする労働トラブルが多発したことから、社会保険労務士による「新型コロナウィルス感染症に伴う世田谷区臨時労働電話相談」を設置しています。3月11日の開始以来8月21日までに1043件の相談があり、内訳は労働者54%、使用者31%、フリーランスなど15%となっており、相談のなかで労働基準監督署、東京都労働相談情報センター、弁護士、社会保険労務士、労働組合を紹介しています。世田谷区の担当者の話では、相談者それぞれの状況に応じた専門家に早くつながることが、紛争解決には重要で、区の施設での相談はその入り口となっている、コロナ対策の支援制度をどこに相談すれば良いか判らなかったという相談者も多く、コロナ関連相談のワンストップ窓口としても機能しているとのことでした。
     NHKBSで放送された区内有名ホテルの事例では、5年から30年ホテルで働いていた人たちが、パーティの開催などが激減して仕事がなくなったとして、休業補償はもちろん何の補償もなく離職を求められましたが、労働組合を通じて交渉を行ったことが、4月から9月までの休業手当の支払い、日々雇用から無期雇用へ転換の手続き進めるなど、一定の問題解決につながったそうです。適切な相談を広く行い、交渉が必要な場合には労働組合などを紹介するためにも、新宿区でも労働相談窓口を設置すべきではないでしょうか。
     第4は、区の施設で働く方々への休業補償についてです。コロナ禍で区の施設も多くが休業・休館となりました。区や指定管理者が直接雇用している方には、休業・休館により在宅勤務になった場合も通常通りの給与が補償されています。しかし、指定管理者から委託されている事業者に雇われている方の中には、大幅にシフトが減り事実上生活が成り立たないという方も出ており、同じ区の施設で働いているにもかかわらず、休業・休館中の処遇に大きな差が出ています。
     昨年、区の事業での公正と働く人の労働環境の確保を大きな目的とする公契約条例が制定されました。その際私たちは、区の直接受注者かその下請けか、雇用主によって処遇に大きな差があれば、公正も絵に描いた餅にすぎないと指摘しましたが、今回まさに懸念した事態が生じているのではないでしょうか。区はこのような再委託先の状況を把握し、適切に指導しているのでしょうか。もし指導できないならば、労働者の労働環境を確保するためにも、区が連帯して責任を負わなければ実効性が確保できないという課題を取り入れ、公契約条例を改正すべきと考えますが、いかがでしょうか。以上、答弁願います。


    ◎(吉住健一区長) 区民の雇用とくらしを守る施策についてのお尋ねです。
     はじめに、現状認識についてです。
     コロナ禍における、区民生活に関する相談や、生活支援等に関する申請の状況については、所管から随時報告を受けており、区民のくらしが厳しい状況にあるものと認識しています。このため、区民生活の支援と地域経済の回復に向けた機動的な対策を、予備費の活用や補正予算により講じてきました。
    雇用の面では、有効求人倍率の就業地別で減少傾向にあり、東京は7月に0.97倍と1倍割れとなったことから、現在においても厳しい状況にあると認識しています。
    このため、今後も、区民生活の現場で起きている現実を真摯に受け止め、区民のくらしと雇用を守る対策に迅速に取り組んでいきます。
     次に、住居確保給付金についてのお尋ねです。  
    住居確保給付金の収入基準額や支給上限額等の支給要件については、生活保護の基準等に準じて国が定めています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大等の状況を踏まえ、令和2年4月に支給要件が緩和され、離職又は廃業した方に加えて、個人の責に帰すべき理由・都合によらない就業機会等の減少により経済的に困窮する方へも給付が可能となる等、対象が拡大されました。その結果、申請件数は前年度実績を大きく上回り、適切な支援につながっているものと認識しています来所相談件数は、一度説明を聞いてから後日改めて申請に来られる方や、書類に不足があったため再度来所される方等、来所された全ての方の件数となっています。このため、申請件数との差は必ずしも支給要件に該当しなかったとは限りません。支給要件に該当しない方には、生活状況を十分に伺ったうえで、家計改善支援や就労支援等の他の支援につなげています。したがって、国や都に制度の改善を要望することや、区独自に家賃や収入額の基準額を引き上げることは考えていません。
     次に総合支援資金についてのお尋ねです。
     緊急小口資金と総合支援資金の貸付は国の制度であり、新型コロナウイルス感染症の影響により減収等となった方の支援を目的とした特例貸付の受付期間は、9月末までとなっている時限的なものです。そのため、10月以降は特例貸付の申請をすることができなくなります。一方で、この特例貸付については、「国が12月末まで特例期間を延長する方針を固めた」という報道があったことから国の動向を注視している状況です。特例貸付を補う区独自の支援は考えておりませんが、特例貸付の延長については、東京都を通じて国に要望しております。
     次に、労働相談窓口の設置についてのお尋ねです。
    新宿区内には、労働基準監督署が開設する新宿総合労働相談コーナーが百人町に、労働問題全般の相談を受ける東京都労働相談情報センターが飯田橋にあり、同じ区域内に専門の相談所が複数設けられています。
    本年は、残念ながらコロナ禍により実施していませんが、例年は、東京都労働相談情報センターと共催の上、街頭労働相談を年2回、新宿駅西口広場で実施しています。このため、区が労働相談窓口を設置する予定はございませんが、労働相談があった場合には、必要に応じて東京都労働相談情報センターなどに的確に引き継ぐなど、今後も相談内容に応じてきめ細かな対応を行ってまいります。
     次に、区の施設で働く方々への休業補償についてです。
     新宿区では、工事請負契約や委託契約及び指定管理協定を対象とした公契約条例を令和元年10月1日から施行しました。この条例では、対象となる契約や協定を締結する際に、労働環境の適正性を確認するため労働環境確認報告書の提出を義務付けています。この報告書により、再委託先との契約金額や再委託先の労働報酬を含めた労働環境の確認を図っています。また、労働者等は報酬等が支払われない場合又は支払われた報酬額が適切でない場合などは、区又は受注者等に申し出ることができますが、現在区ではそのような申出は受けておりません。区は申出があったときや履行の確認が必要な場合は、受注者に対し、立入調査の実施や改善の指示、契約解除をすることができます。こうしたことで、労働者の適正な労働環境が確保できるため、公契約条例の改正は考えておりません。


    ◆(高月まな議員) 次に、中小業者および文化芸術活動への支援について質問します。
     7月下旬に実施された「新宿区中小企業の景況」では業況DIは1月~3月までの前期マイナス54.5%から4月~6月の今期はマイナス71.7%と大幅に悪化しました。経営上の問題点では、全体では1位が「売上の停滞・減少」が78.3%であり、全ての業種で1位となっています。コメントにも「収束する時期によっては資金の枯渇も考えられる。今は特に『新宿』という場所柄、客足も激減している」など、深刻さが表れています。以下質問いたします。
     第1の質問は、コロナ禍の中小業者や商店街などの現状と今後の展望についてです。区はコロナ禍の下での中小業者や商店街などの現状と今後の展望についてはどの様にお考えでしょうか。区内業者の困難を解決するためにも産業振興会議や商工アドバイザーなどの力も借り、個店への支援策も含め区としての独自支援策を業種ごとにきめ細かく提案すべきと思いますがいかがでしょうか。
     第2に、専門家活用支援事業についてです。私たちの提案もとり入れられ、新型コロナの影響を受ける区内中小業者の方が、今後に向けた販促計画や事業計画の策定、また各種補助金・給付金等の申請にあたって、専門家の支援を受けた際の費用の補助を開始しました。事業実施以来、9月9日で予算措置された200件の予算枠に対し15件の実績となっています。事業の周知はホームページ、広報、メールマガジンで行っているとのことですが、他に検討していることはあるでしょうか。また不正受給を厳しくチェックするために6、7種類の書類が必要であり、助成金も後払いで、申請から支給まで現在2週間程度となっています。申請手続きの簡素化、補助金交付の後払いを改める、など改善すべきと思いますがいかがでしょうか。この事業は1事業者につき10万円を上限に数回活用可能ですが、申請は1回限りで、それまで事業者が立て替え払いすることになります。事業者としては少しでも早く助成金は欲しいものです。都の協力金のように、1回ごとに申請できるようにし2回目からは確定申告書や納税証明書などは省いて簡素化し、専門家に直接振り込むようにすれば事業者も立て替える必要がなく喜ばれると思いますが、いかがでしょうか。
     第3に、商工業緊急資金についてです。8月末までの受付件数は2,826件に及んでいます。4月28日より一部の金融機関での直接申し込みが可能となる一次受付を開始、更に受付期限を当初の9月30日から来年3月31日までに延長するという改善が行われました。しかし実際は返済できるかどうか大きな問題です。区の返済据置期間は半年です。政策金融公庫の場合は5年となっており、先行きが見えない今、据え置き期間を2年に延長すべきではないでしょうか。さらに倒産などをした場合は協議の上で返済免除の制度を創設してはいかがでしょうか、お答えください。
     第4に、事業の周知についてです。おもてなし支援事業は商店街などでは掲示板に事業のチラシが貼られていますが、まだまだ周知不足です。新宿商人に掲載されるとのことですが、商店会の協力も得て1軒1軒ポステイングしてはどうでしょうか。また区内では外国人の方が経営するお店が少なくありません。持続化給付金や家賃支援金など受給できる条件がありながら未申請に終わることが無いように専門家の協力を得ながら多言語での相談体制をとるようにすべきと思いますがいかがでしょうか。
     第5に、文化センターなどの区有施設の利用料の減額免除についてです。文化センターでは入場者を制限している一方で、利用料が減免されないため、バレエやピアノの発表会はやむなく銀座で開いている例もあり、これでは文化活動だけではなく鑑賞の機会も奪われます。文化芸術活動の火を消さないためにも文化センター、区民ホールなど施設の利用料を減額・免除を直ちに行うべきではないでしょうか。以上ご答弁願います。


    ◎(吉住健一区長) 中小事業者および文化芸術活動への支援についてのお尋ねです。
     はじめに、コロナ禍での中小事業者や商店街などの現状と今後の展望についてです。
    区が実施する景況調査では、本年4月から6月期の業況DI(ディーアイ)は、全業種でマイナス71.7ポイントとなり、これは昨年同期のマイナス31.6ポイントと比べ、大幅に悪化しています。今後の展望としては、引き続き、区内の地域経済は大きな影響を受けており、「収束する時期が全く見えないので不安である」、「今後の営業活動の見直しが必要である」等の声も聞いており、回復には今しばらくの時間が必要なのではないかと考えています。
     次に、産業振興会議や商工アドバイザーなどの力も借り、個店への支援策も含め区としての独自支援策を業種ごとにきめ細かく提案することについてのお尋ねです。
    区はコロナ禍の下、独自支援策として中小事業者や商店会に対して、感染拡大防止策や業態転換、販路拡大、専門家活用等への支援事業を行ってきたところです。
    今年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、産業振興会議は開催できていませんが、新規事業実施については郵送で情報提供を行い、ご意見をいただいているところです。また、事業実施に当たり連携している新宿区商店会連合会や東京商工会議所新宿支部等の関係団体等とも日頃から意見交換をしています。現在、独自支援策を業種ごとに実施することは考えていませんが、コロナ禍が長引き、区内地域経済に及ぼす影響が非常に大きい中で、区は、新型コロナウイルス感染症の感染状況や社会情勢、区民ニーズ等を総合的に勘案し、今後も中小企業支援策を適時適切に推進してまいります。
     次に、専門家活用支援事業の周知と、手続きの簡素化や補助金の前払い、専門家への直接振り込みについてのお尋ねです。
     専門家活用支援事業については、これまでホームページや広報新宿、産業振興課のメールマガジン、チラシなどにより案内を行うとともに、東京商工会議所新宿支部を通じて、区内企業への周知を行ってきました。今後は、これらに加えて、商店街向け情報誌「新宿商人(あきんど)」9月号への掲載や、東京商工会議所新宿支部への再度の周知依頼、また東京中小企業家同友会新宿支部などにも呼びかけていくことで、事業の認知度をさらに高めていきたいと考えています。
    補助金の申請については、交付までの期間を短縮するため、事前申請制ではなく、申請書の提出時に領収書や報告書等を合わせて出していただく事後申請制とすることで、事業者が書類を提出する回数を減らすことにより、事務手続きを簡素化するとともに、支払いも迅速に行っています。このため、今のところ手続きの更なる簡素化や補助金の前払い、専門家への直接振り込みを行うことは考えていません。
     次に、商工業緊急資金の据置期間の延長と倒産等の場合の返済免除制度の創設についてのお尋ねです。
     ご指摘のとおり、区が実施する商工業緊急資金は、これまでに多くの事業者の方にご利用いただいています。区で実施している制度融資の据置期間や貸付期間などの融資条件は、資金使途や金額を勘案し設定しています。日本政策金融公庫や東京都の制度融資は、融資金額も高く貸付期間は最大で20年となっており、区の商工業緊急資金の5年と比較すると長期の返済期間となっています。このように返済期間を考慮し、据置期間を6ヶ月に設定しているため、商工業緊急資金の据置期間については現状のとおり継続したいと考えています。また、事業者が倒産などをした場合の返済免除の創設についてですが、区制度融資は、金融機関との取り決めにより、融資のあっせんを行っているものであり、区は利子と信用保証料の補助を行っています。実際の融資においては、金融機関や保証協会と事業者間での契約に基づき行われているものであるため、区として返済免除の制度の創設は考えていません。
     次に、おもてなし店舗支援事業の周知と多言語での相談体制についてのお尋ねです。
     おもてなし店舗支援事業では、店舗での感染症拡大防止対策や新たに宅配・テイクアウト等を実施する業態転換にかかる経費を5万円まで補助しています。周知については、これまで区ホームページや広報新宿による周知に加え、104の商店会全てに対して周知を行ってきました。今後、ご指摘のとおり、新宿商人(あきんど)9月号に本事業について掲載を予定していますが、本誌は区内商店会加入の約4,500の店舗へ個別に郵送しているため、1軒ずつポスティングを行うことは考えていません。また、多言語での相談については、音声自動翻訳機の活用や本庁に配置されている通訳者との連携により、個別に対応しており、今後も引き続き関係部署・機関と連携を取りながら丁寧に対応してまいります。
     次に、施設の利用料の減額・免除についてのお尋ねです。
     新宿文化センター等では利用再開後、利用定員を制限していますが、空調、照明、点検、清掃等の運営上必要な経費は変わらず発生しており、消毒や誘導の強化等に関する経費の増加で、運営経費は、むしろ上昇しています。そのため、施設の利用料の減額・免除については考えておりませんが、利用定員の制限については、国等の動向を注視しながら、緩和を図っていきます。現在、新宿区では、文化芸術施設による映像配信という新たな取組に対して助成を行うことにより、文化芸術に関係する施設や団体などを支援する文化芸術復興支援事業を実施しています。こうした取組みを通して、文化芸術活動の灯をしっかりと守っていきます。


    ◆(高月まな議員) 次に、新宿文化センターにおけるPFI導入について伺います。
     新宿文化センターは1979年4月にオープンし、2007年3月から約1年をかけて実施して以来、大規模修繕は行われておらず、建築基準法改正による特定天井の改修などが課題になっています。「新宿区公共施設等総合管理計画」では、「新宿文化センターについては、財政負担の軽減及びサービス向上の視点から、建替えの際には、より専門性の高い民間事業者によるPFI等の導入も検討する。」としていますが、今回の検討では建て替えの選択肢もあるのでしょうか。事業規模については仕様書にも記載がありませんが、どのように想定されているのでしょうか。文化センターの立地は3種高度地区であり近隣の高度利用を考えると、潜在的不動産的価値は高く民間企業から見れば魅力的な土地です。公民連携の名の下に区民の財産を切り売りすることはあってはならないと考えますがいかがでしょうか。
     現在、区は第二次実行計画の策定に向け、事業の内部評価を終え二次実計素案を作成中ですが、「公共施設等総合管理計画に基づく区有施設のマネジメント」については内部評価でどのように評価され、それがどのように二次実計に反映する予定かお聞かせください。
     PFIは、内閣府の事例集にも失敗例が多く掲載されています。タラソ福岡は、福岡市のスポーツ施設で2002年に開業、建設会社を筆頭株主として設立した運営会社(SPC)が建設・運営をしていましたが、その建設会社の経営破綻で開業からわずか2年で営業停止、債務超過に陥りました。また、PFI病院第1号でオリックスが主導した高知医療センターは、30年契約のところわずか4年で経営破綻、PFIから撤退しています。PFI近江八幡市立総合医療センターは、2006年10月に開院したものの、実質赤字が8億5,000万円に達し、30年後に市に無償で譲渡する契約を解除、市は違約金20億円、建物購入費118億円を支払うこととなりました。区長は、内閣府が公表しているこうしたPFIの失敗事例をどう評価されているのか伺います。
     今年7月、区は「新宿区立新宿文化センター改修方法等検討調査業務委託に係る事業者の選定」として、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社を選定しましたが、同社のホームページには、「PFI事業はなぜ儲からない」と題した論文を掲載し、今後の儲け先として老朽インフラのPFIによる改修をあげています。PFI導入が前提ではないと言いながら、導入ありきの事業者選定なのではありませんか、お答えください。
     問題は、その適否を区が正しく判断できるかどうかです。国はPPP/PFI手法導入を優先的に検討する仕組みを構築するため、各自治体に優先的検討過程の制定を求めています。その中で、事業費の総額が10億円以上の公共施設等の整備事業については、優先的検討の対象としていますが、それはあくまで国の技術的助言であって義務ではありません。例えば豊島区では「豊島区PPP/PFI手法導入優先的検討ガイドライン」に基づき区自身が検討した結果、池袋保健所仮移転事業についてはPPP/PFIを採用しないとしています。PFI導入ありきではないと言うなら区民・利用者の代表も参加する検討会で公開の下での議論を行い結論を導き出すべきと考えますがいかがでしょうか。
     PFIはそもそも自治体が起債で借りる金利より民間資金の金利の方が高いという問題があります。PFI近江八幡市立総合医療センターでは、PFIによる民間資金の金利が99億円でしたが、PFIをやめて市債に切り替えたところ、金利が半額以下に圧縮されたそうです。区長は、金利コストをどう評価し、コスト計算根拠や最終リスク、区の財政負担のチェックについて、どのようにしていくおつもりか、さらに国税と地方税の負担も生じる中で、どのような基準でPFIを導入するのかお聞かせください。
     パークPFI導入時、PFIありきでサウンディングと称して事業者の声を熱心に聴き取り、条例に定められた使用料の最低額まで破るようなことがありました。方や清風園廃止問題では、全く区民の声を聴こうとしなかったこととは対照的です。PFI事業に参入する事業者の目的は営利です。コロナ禍の下、新宿文化センターはソーシャルディスタンスのため従来の半分以下の入場者しか認められていないにもかかわらず、利用料の減免に応じないレガスの対応は問題ですが、さらに営利優先の民間企業が運営するとなれば、「利用料金が高くなるのでは」と、利用者のみなさんが不安を持たれるのは当然です。やはり、民間企業の儲け口確保のため、区民サービスの低下や区民・区議会の関与の低下が懸念される、PFI導入は行うべきではないと考えますが、区長のご所見を伺います。


    ◎(吉住健一区長) 新宿文化センターにおけるPFI導入についてのお尋ねです。
     はじめに、建替えの選択肢についてです。
     新宿文化センターについては、特定天井の改修や老朽化への対応を図るため、民間資金等の導入も視野に入れた改修方法等を調査しているところであり、現時点では、建替えの考えはありません。
     次に、「公共施設等総合管理計画に基づく区有施設のマネジメント」についてです。
     区有施設の半数以上が供用開始後30年以上を経過し、今後、老朽化が進むにつれ、更に施設の維持管理にかかる経費の増加が見込まることから、公共施設に係るコストや将来必要とされるサービスなどを踏まえ、経営的な視点から、区有施設マネジメントを行うことが適切であると考えています。このため、今後も施設の長寿命化を図るとともに、行政需要や地域需要、財政状況等を踏まえた検討を行い、方向性が定まった施設については実行計画に位置付けてまいります。
     次に、PFIの失敗事例に対する評価についてです。
     PFIは、民間のノウハウや資金を導入し、公共施設等の整備・運営まで一体的に行う事業として、全国の自治体で多くの導入事例があります。PFI導入の初期段階においては、官民のリスク分担のアンバランスやモニタリング不備などによる失敗例もありましたが、これらについては新宿自治創造研究所の公民連携の研究において、その失敗事例を類型化し、回避策についても示しております。
     次に、PFIの導入についてです。
     現在、新宿文化センターの改修方法等の検討調査において、改修における事業手法や事業規模、財政負担や区民サービスへの影響等について、調査を行っています。事業手法の検討にあたっては、公開での検討会を開催する予定はございませんが、調査結果を踏まえた今後の方向性について、議会へ報告させていただく予定です。

    高月まな | 区議会活動

    2020.10.05 更新

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