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日本共産党 新宿区議団 > 2021年第2回定例会 雨宮武彦議員が代表質問を行いました
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    2021年第2回定例会 雨宮武彦議員が代表質問を行いました

    6月11日の本会議で雨宮武彦議員は下記の6項目について代表質問しました。

    1. 区長の政治姿勢について
    2.新型コロナウイルス封じ込めのための対策について
    3.若者・学生への支援について
    4.気候変動とCO2の削減について
    5.行政のデジタル化問題について
    6.高齢者いこいの家清風園について

      ※正式な会議録ではありませんが、概要をご紹介します。 

     

     日本共産党新宿区議団の雨宮武彦です。会派を代表して質問します。
     はじめに、新型コロナウイルス感染症により、お亡くなりになられた方々に心からお悔やみ申し上げるとともに、感染された方々には謹んでお見舞い申し上げます。また、医療従事者のみなさんをはじめ感染から、区民の命と健康を守って下さるすべての関係者に感謝申し上げます。
     私たち日本共産党新宿区議団は、4月30日、あざみ民栄議員の当選確定により7名の区議団となりました。NHKから国民を守る党の松田みき氏が、公職選挙法で定める立候補要件の3か月以上の居住実態がなく、新宿区選挙管理委員会も東京都選挙管理委員会も当選無効としたにもかかわらず、2年もの間区議会議員として居座り続け、最高裁の判決が出る直前になって訴えを取り下げ、当選無効が確定したのです。松田氏とN国党の行為は、区民を欺き民主主義を蹂躙するものであり、断じて許すことはできません。区民の命とくらしを守るため、7名の区議団が全力で取り組む決意を申し上げ、質問に入ります。

     はじめに、区長の政治姿勢について質問します。
     第一に、区長と議会との関係についてです。
     3月22日付、「自由民主」において、吉住前議長と区長との対談が掲載されています。コロナ対応について区長が、「議長をトップとする議会が、行政が動きやすいように、議会対応をある程度絞りつつ、情報交換や意見交換を通じた後押しをしてくださり、仕事をしやすい環境を作っていただきました。」と前議長に感謝する旨の発言をされたとあります。私は、この記事を読み大変違和感を持ちました。コロナ禍の当初を振り返ると、私は議会運営委員会の副委員長を務めておりますが、昨年4月中旬から、議運の理事会で2度に渡って議論し、臨時会開催を想定した準備を整えました。ところが、4月27日に区長が投稿したSNSで専決処分を行うことを公表したため、4会派が臨時会開催を申し入れたにもかかわらず、4月30日付で専決処分を行い、その後も5月11日には5会派が臨時会開催を要求しましたが、第二回定例会に至るまで議会は開かれませんでした。第二回定例会前に23区のうち22区は臨時会を開き、区民の意見を反映すべく活発な議論が行われており、臨時会を開催しなかったのは、新宿区だけです。区長の言う「議会対応を絞ること」とは、臨時会を開催しなかったこともそうなのですか。議会対応を絞るとは具体的に何を指すのかお答えください。「議会対応を絞ること」を議長に働きかけ、議長がそれに従ったとも読めますが、そうではないですか。だとすれば大問題です。コロナ禍でこそ区政の透明性や情報公開が重要で、区民の代表である区議会に対しきちんと報告を行い、常に情報を共有し、出された意見を真摯に受け止め、コロナ対策に反映していくことが大事だという認識をお持ちなのか、お聞かせください。
     第二に、米軍ヘリコプターによる超低空飛行戦闘訓練についてです。
     3月1日から毎日新聞が連載で報じた、在日米軍所属ヘリコプターの低空飛行問題は、新宿区民の安全にとってゆるがせにできない問題です。新宿駅周辺の上空で、日本のヘリであれば航空法違反にあたる高度300メートル以下の超低空飛行を繰り返しています。同紙によれば3月1日時点で、昨年7月以降こうした飛行を12回、その疑いがある飛行を5回確認したとしています。その目的は本来海上で行うべき索敵訓練や、都市戦闘の訓練のためと専門家が指摘しました。3月2日の国会でわが党議員が、これは航空法違反であり「在日米軍は日本の航空法に規定される最低高度基準を用いる」とする日米合同委員会合意にも違反しており、「日本の首相として米国にきっぱり抗議を」と菅首相に迫りましたが、抗議について明言を避けました。さらに4月19日には岸防衛大臣が、米軍から「日本の航空法と整合的な米軍の規則に違反した飛行があったことは確認されていない。報道されている飛行から時間がたっており、詳細な事実関係の確認がなかなか容易ではない」との説明があった、と米軍の説明を繰り返すのみで弱腰の姿勢というしかありません。新宿区民の安全に責任を持つ区長として、米軍ヘリの超低空飛行をどう思われますか。区民を危険にさらす米軍ヘリコプターの超低空飛行戦闘訓練の中止と、知事会も政府に要請しているように日米地位協定の見直しを、新宿区として政府に申し入れるべきと考えますが、区長のご所見を伺います。
     第三に、重要土地等調査法案(土地取引規制法案)についてです。
     土地利用規制法案は、自民党・公明党・維新の会・国民民主党の賛成で衆議院を通過し、成立させられようとしていますが、新宿区民に取っても影響の大きい法案です。内閣総理大臣が安全保障上重要とみなす米軍・自衛隊基地、海上保安庁施設、原発といった「重要施設」の周囲約1キロと国境離島を「注視区域」に指定し、区域内にある土地・建物の所有者や賃借人らを調査することを定め、「注視区域」のうち特に重要とみなすものは「特別注視区域」に指定し、土地・建物の売買に事前の届け出も義務付けるものです。防衛省を抱える新宿区は、この地図(=地図を示す)の通り、私の住んでいる左門町を含めた四谷地域の半分以上、箪笥・若松・榎町出張所管内にわたる広範な地域が指定を受けます。周囲1キロとすれば何世帯何人の区民に影響するのか、お答えください。
     法を根拠に政府が調査を行い、「重要施設」や国境離島の「機能を阻害する行為」やその「明らかなおそれ」があると判断すれば、利用中止を勧告・命令し、違反すれば2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金が科せられます。さらに大きな問題は、調査の範囲が職歴や海外渡航歴、思想・信条、家族・交友関係などに及ぶ危険があることです。法案は、内閣総理大臣が「関係行政機関の長」に対し、土地・建物の所有者や賃借人らの情報のうち「氏名又は名称、住所その他政令で定めるもの」の提供を求めることができるとしていますが、「その他政令で定める」としているように、内容も範囲も無限定で、政府の判断次第で拡大されるおそれがあります。憲法が保障する思想・信条の自由を侵す危険は重大です。政府は「重要施設を所管または運営する関係省庁、事業者や地域住民の方々から機能阻害行為に関する情報を提供いただく仕組みも今後検討する」とし、防衛省・自衛隊が含まれることを認めています。地域住民から情報提供を求めるというのも密告を促すようなもので、住民同士の相互監視や相互不信につながります。そして、重要事項として不動産取引の際には告知しなければならず、明らかに資産価値は低下します。区長は、これらの指摘をどう認識されますか。区民の財産権、土地取引、賃借契約に大きな影響を及ぼし、思想信条の自由を脅かしかねない土地利用規制法案は廃案を求めるべきと考えますが、区長のご所見を伺います。以上、答弁願います。

     

    (吉住健一区長) 雨宮議員のご質問にお答えします。
     区長の政治姿勢についてのお尋ねです。
     はじめに、区長と議会の関係についてです。
     対談の中で私が述べている「ある程度議会対応を絞ること」とは、議会が自主的に区議会との質疑応答や意見交換を拡大幹事長会に集約してくださったことを指しています。従って、臨時会とは関係なく、前議長への依頼もしておりません。
     未知のウイルスが感染拡大していく状況を受け、災害時に等しい緊急対応をしている中で、それぞれの会派が多岐にわたる情報提供や資料請求、担当者が出席するヒアリングを再三にわたって要望されるということがなかったことは、議会が区の新型コロナウイルス対応に対して配慮をしていただいたものと感謝しております。
     この他、区議会には感染症対策として「出席理事者人数を最小限にする」、「案件が終了した理事者は退席する」、「委員会室より広い本会議場と大会議室で委員会を開催する」など、議会運営面でも多くの工夫をしていただいてきました。
     前議長との対談では、区議会のご配慮もあって、新型コロナウイルス対策を進められていると、前議長を含め区議会議員の皆様に感謝の気持ちをお伝えしたものです。
     新型コロナウイルス対策等の喫緊の区政課題については、適時適切に区議会に説明をし、対応を図っていくことが重要と考えています。また、区議会からのご意見、ご提案は、十分配慮をしながら進めてまいります。
     次に、米軍ヘリコプターの低空飛行についてのお尋ねです。
     東京都心上空において、米軍ヘリコプターが低空飛行を繰り返していることは承知していますが、日米両政府間で協議すべき事項であり、現時点において、区として、訓練の中止や日米地位協定の見直しを要請する考えはありません。
     次に、重要土地等調査法案についてのお尋ねです。
     まず、防衛省から周囲1キロメートルとなる地域に居住する人数と世帯です。
     防衛省から周囲1キロメートルとなる地域は、およそ市ヶ谷駅・箪笥町特別出張所・東京女子医大・須賀神社までのエリアとなり、令和3年6月1日現在、約4万2千世帯・約7万2千人が居住しています。
     次に、法案の認識等についてです。
     これまでの国会審議の中で、個人の財産権への影響や個人情報保護等の観点から議論されていることは承知しており、法案の内容は、区民生活に関わる重要なことと認識しています。国の安全保障上の問題であり、廃案を求める考えはありませんが、経済活動、個人情報の保護等に配慮した上で運用されるべきものと考えます。

     

    (雨宮議員) 次に、新型コロナウイルス封じ込めのための対策についてうかがいます。
     第1の質問は新型コロナワクチン接種についてです。
     新宿区では新型コロナワクチン接種が4月以降高齢者施設から開始され、75歳以上の3万7千500人対象の予約が5月6日から開始され、接種は5月17日から始まりました。さらに3万2千人の65歳以上の方の予約が6月3日から始まり、6月7日から約140ヶ所の区内診療所でようやく個別接種が始まりました。日本共産党区議団は福祉健康委員会での質疑やワクチン接種に対する申し入れを行い改善を求めていますが、2回目の予約の簡略化、電話回線の40から60への増設、インターネットサーバの強化などの一定の改善はされてもなお課題があります。
     1つ目は予約の際、電話料金負担を解消することです。電話回線が少なく1日中かけ続けても繋がらず、繋がっても長時間待たされ、後で計算したら「4500円かかった」という方がいらっしゃいました。区のお知らせや広報では「ワクチン接種は無料です」と明記していますが、ナビダイヤルが「かけ放題」の適用外で携帯では22.5秒ごとに10円、30分で約1千円もの高額の料金がかかることは全く周知していませんでした。知らずに電話をかけ続けた方に多額の負担を負わせることは大問題です。福祉健康委員会で複数の会派から無料のフリーダイヤルにするよう意見が出されましたが、担当副参事からは「受益として応分の負担をしていただく」「フリーダイヤルだと区が負担することになる」との答弁で驚きました。区民へのワクチン接種は公衆衛生を守るためのものであり、個人的な受益ではありません。これは区長の姿勢が問われる問題です。既にナビダイヤルからフリーダイヤルに切換えた自治体もあります。未だに切り換えないのは区長の方針なのでしょうか。一刻も早くフリーダイヤルに切り替えるべきです。区長の見解を求めます。
     2つ目は正確で分かりやすい情報を提供することについてです。75歳以上の方の予約が開始された5月6日からの2週間ほどは「ワクチンの予約が何度電話しても取れない」など多くの高齢者と家族に混乱と不安が広がり私たち区議会議員にも苦情や問い合わせが殺到しました。その大きな原因の1つは送付された接種券に同封された文書にワクチン接種の会場や日にち、ワクチン回数、診療所などでの個別接種のスケジュールなどの情報が全くない状態で電話やインターネットで予約をしているため、繋がっても1つひとつ内容を確認しなければならず時間がかかったことがあります。北区などでは早い時期から広報でお知らせし、ワクチン接種券と一緒に特集号を個別配布しており、ホームページでワクチン接種予約状況や接種状況を毎日一定の時間で更新した速報値、年齢別などの予約スケジュール、ワクチン入荷量などを情報提供しています。新宿区としても6月10日の特集号をようやく全戸配布していますが、今後は配布する接種券と同時に配布すべきです。また区のHPの内容を更に改善し、会場ごと日にちごとの予約状況など区民が知りたい情報を出来るだけリアルタイムに提供するとともに、区の掲示板にも大きな文字で書いたニュースを適宜掲示すべきと考えますが、いかがでしょうか。
     3つ目は希望する全ての高齢者へのワクチン接種についてです。75歳以上の高齢者で5月末時点で予約されていない方は約1万人います。かかりつけ医などで個別接種を受ける方もいらっしゃると思いますが、ワクチン接種を希望していても予約できず諦めている方が残されていると思います。私どもは申し入れで区が予約手続きの支援を依頼している高齢者総合相談センター、介護・障害福祉サービス事業者等には財政的な支援を行って推進することや、予約が出来ていない高齢者を把握し個別に勧奨を行うよう求めました。区としてどのように対処するおつもりなのか、全ての接種希望者が取り残されないよう具体的な対策を行うべきと思いますがいかがでしょうか。
     4つ目は障害者の入所・通所施設の利用者・職員、保育園・子ども園や幼稚園、小中学校で働く人たちの接種についてです。高齢者施設は優先的に接種できる対象とされ、順次接種していますが、同様に感染したら対応が難しい障害者施設、特別支援学校も優先的に接種すべきです。また保育園・子ども園や幼稚園、小中学校で働く人たちの接種も早急に実施すべきと思いますが、区長の見解をお聞かせください。
     第2の質問はPCR検査についてです。
     東京都は4月9日に補正予算を組み、感染拡大の防止に向けた取組みの新規事業として「集中的検査」として高齢者・障害者施設へのPCR検査を毎週行えるようにし、「戦略的検査強化事業」として、感染の早期探知により、感染拡大を早期に防止するため、繁華街や飲食店、駅や大学などで週1回の定期的PCR検査を実施できるようにしました。
     東京都も新宿区も5月後半から新規感染者数が若干減っているように見えますが、変異株の感染拡大もあり5月の感染確認数は東京都では2万1300人、新宿でも1010人とそれぞれ昨年12月の感染者数を超えており、区のPCR検査センターの5月1日から20日までの検査数は723人でうち陽性が136人、陽性率18.8%と依然として高い状況となっています。しかも、4月末から5月にかけ、ある保育施設では子ども28人、職員9人、計37人が感染する大規模なクラスターが発生し、変異株が複数確認されたと報道されましたが区として公表していません。また、ある高齢者施設では職員2人と利用者4人で計6人が感染するクラスターが発生しています。最初の2人には症状がありましたが、スクリーニング検査で確認した3人は無症状で、その後また1人確認されています。既に高齢者施設では都の集中的検査により週1回の定期的な検査が行われていますが、感染者を複数出している子どもの施設で未だに具体的な対策が打たれていません。なぜこれほどまでのクラスターを未然に防げなかったのでしょうか、既存株から変異株に大半が置き換わり感染力・感染スピードが上がっていることを考えれば高齢者施設のように、保育園、子ども園、幼稚園、小中学校の教職員には週1回程度の定期的な検査をすべきと思いますが、なぜ実施に踏み切らないのか区長のご所見を伺います。せめて1人でも感染者が出た施設ではマスク着用の有無にかかわらず直ちに施設に関わる全ての人の検査を行い、1週間後、また1週間後と複数回のスクリーニング検査を行うようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。区長の見解を求めます。
     また現在PCR検査を実施している居宅の介護・障害福祉サービスの従事者は3ヶ月に1回ですが、週1回の定期的の検査にすべきではないでしょうか。
     さらに感染者を発見するための面的なPCR検査・戦略的検査強化が必要です。早稲田大学は対面での授業を実施するため、都事業を活用し5月20日から無症状の学生らを対象に週3日のPCR検査を実施しています。この事業は繁華街や飲食店、駅などでも実施することも可能です。歌舞伎町などの繁華街や飲食店で実施すべきではないでしょうか。区長の見解を求めます。
     第3の質問は今夏のオリンピック・パラリンピックについてです。
     現在の国内外の感染状況、ワクチン接種率、医療機関へのさらなる負荷などから、オリンピック・パラリンピックは中止または延期をすべきという世論は約6~8割に達しています。子どもたちの観戦プログラムについては、区と区教育委員会は、熱中症の危険性に加えて、ワクチン未接種の子どもたちを観戦に連れていき、安全に観戦する保証はあるとお考えでしょうか。また、区職員は通常業務の他に、ワクチン接種会場で大変なのに、オリンピック組織委員会や聖火リレー、区のパブリックビューイング等に約500人の職員が動員され、通常業務にも支障をきたしかねません。私たち日本共産党は、今夏のオリンピック・パラリンピックはきっぱりと中止し、コロナ対策に集中すべきと政府、東京都、そして区長にも繰り返し言ってきましたが、いまこそ区長は、区民の命を守る立場から国と都に中止を求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。

     

     (吉住区長) 新型コロナウイルス封じ込めのための対策についてのお尋ねです。
     はじめに、ワクチン接種の予約電話をフリーダイヤルに切り替えることについてです。
     区では、コールセンターの運営に当たり、用件ごとの番号振り分けや自動音声ガイダンス等の機能を備え、効率的に案内できることからナビダイヤルを採用しています。ナビダイヤルでは、無料ガイダンスで案内できる範囲を最大限活用するなど、利用者負担を低減するように対応してきました。また6月1日からは、国内通話かけ放題プランが適用となるように、新たに03番号の回線を開設いたしました。このように、ワクチン接種の予約の際の利用者負担を軽減するよう対応してきていることから、現時点ではコールセンターをフリーダイヤルに切り替えることは考えていません。
     次に、正確で分かりやすい情報提供についてです。
     区では、国から示される情報や区が実施するワクチン接種に関するスケジュール等については、広報新宿や区ホームページ等の様々な媒体を活用し、丁寧かつ迅速に発信してまいりました。仮予約制度導入の際には、開始前日にプレスリリースするなど報道機関を通じた情報発信を行い、また、各特別出張所から町会長・自治会長へ情報提供し、地域の掲示板にもチラシを掲出していただきました。このように、様々な手段を講じて情報提供に取り組んでおり、今後もきめ細かな情報の周知に努めてまいります。
     次に、希望する全ての高齢者にワクチン接種することについてです。
     ワクチンの接種を希望する全ての方に接種の機会を確保するためには、接種時期や予約方法の情報等、広く的確に情報発信することが重要です。広報新宿や区ホームページでは、集団接種の予約方法や、診療所等での個別接種に関して案内しています。また、専用の相談窓口とともに、仮予約の受付窓口も設置し、予約体制の強化を図るなど、様々な手段を講じて、接種を推進しています。
     次に、障害者施設の利用者等への優先接種についてです。
     障害者施設の利用者等への接種は、障害の特性に配慮した接種が求められており、関係機関と接種方法等を具体的に検討しているところです。また、ご指摘の保育園、子ども園、幼稚園や小中学校の従事者の接種については、今後、国の推進する職域接種等の枠組みも活用するなどにより、接種を促進していきます。
     次に、クラスター発生の原因についてのお尋ねです。 保育施設での感染事例に対する疫学調査からは、職員同士の会食や、昼食や休憩時の感染予防、十分な換気の確保や、職員の健康管理の徹底などに課題がありました。保育施設や小中学校の教職員への定期的な検査については、現在のところ、都は集中的検査の対象とはしていません。区としても、高齢者施設に比べ、重症化しにくいこのような施設に対して独自に定期的な検査を実施する考えはありません。一人でも感染者が発生した施設に対する検査についてです。区は疫学調査を実施し、必要性があれば、施設の職員や利用者全員に対し複数回の検査を実施する体制を整え、対応しています。
     次に、介護・障害福祉サービスの従事者に対するPCR検査を週1回の定期的な検査にすべきについてです。
     昨年度から引き続き、区は、通所や訪問介護事業所など、希望する介護サービス事業所や障害福祉サービス事業所の従事者に対して、PCR検査を実施しています。これまでの検査では、陽性者は確認されず、PCR検査を受検した事業者からは、職員の感染予防の意識の向上に繋がるとの声をいただいています。希望する事業所には、PCR検査を3ヵ月に1回とは限定せず、複数回実施しておりますが、週1回の定期的な検査を行うことは考えていません。
     次に、面的なPCR検査・戦略的検査強化についてです。
     区は、感染症法に基づき、感染者が発生した場合に積極的疫学調査を実施し、その結果を踏まえて濃厚接触者だけでなく、必要な方に対し行政検査を効果的に実施しているところです。一方、国及び東京都はモニタリング検査として、感染者を早期に探知し、データを分析して感染の予兆を探知することを目的としたPCR検査を実施しています。区としては、実施場所に関する情報提供や、検査を希望する区内の事業所や大学等を紹介しましたが、今後も、国や都からの協力要請に応じて対応してまいります。
     次に、今夏のオリンピック・パラリンピックについてのお尋ねです。
     保育園・子ども園における、東京2020パラリンピック観戦機会の提供事業については、現時点で、東京都から正式な通知はありませんが、実施する場合には、熱中症と感染症の対策を両立させることが重要な課題であると認識しています。園と会場までの往復については、交通手段として貸切バスを予定しているほか、基本的な対策を徹底します。競技会場については、東京2020組織委員会の実施内容を踏まえ、対策を検討していきます。今後、東京都から示される通知の内容を確認するとともに、教育委員会とも情報交換しながら、熱中症対策や新型コロナウイルス感染症の感染状況などを総合的に勘案し、慎重に判断してまいります。
     次に、東京2020オリンピック・パラリンピックの中止を国と都に求めるべきとのお尋ねについてです。
     東京2020オリンピック・パラリンピックの開催に向けては、国、東京都、東京2020組織委員会などで構成する「東京オリンピック・パラリンピック競技大会における新型コロナウイルス感染症対策調整会議」が取りまとめた具体的な対策や今後の工程表に基づき、東京都を中心に、慎重に議論されていくものと認識しています。区としては、今後も引き続き、新型コロナウイルスの感染状況や、東京都、東京2020組織委員会の動向を注視してまいります。

    (酒井敏夫教育長) 教育委員会へのご質問にお答えします。
     子どもたちの観戦プログラムについてのお尋ねです。学校観戦プログラムの実施については、現時点で東京都より正式な通知は来ていませんが、実施する場合、熱中症や新型コロナウイルス感染症対策の必要性については、教育委員会としても十分に認識しています。現在、区立幼稚園、小学校、中学校、特別支援学校の担当者が、競技観戦の実地踏査を行い、会場内での動線や日差しの当たり方等、確認をしています。今後、東京都から示される通知の内容と実地踏査で学校から挙げられた情報等を踏まえ、熱中症対策や新型コロナウイルス感染症の感染状況などを総合的に勘案し、慎重に判断してまいります。

     

    (雨宮議員) 次に、若者・学生への支援について伺います。
     新型コロナウイルス感染拡大は、昨年春以降、若者や学生の生活を一変させました。都内青年団体が行った学生生活実態調査では、「アルバイトがなくなった」「親も減収により仕送りができない」などといった経済的苦境や、「オンライン授業により学びが深まらない」「友人と会えない」「サークル・部活ができない」といった学生生活の不安や孤独感も浮き彫りになりました。新宿区としても若者の現実をどう受け止め、支援を打ち出していくかが問われています。以下、具体的に質問します。
     質問の第一は、生活支援についてです。
     昨年度、八王子市は、経済的に困窮し修学の継続が困難な学生に対する国の支援金から漏れた人に「学生支援特別給付金」を支給しました。また、「若者応援給付金」として、富津市は大学・専門学校等の学生に2万円を、茨木市は高校3年生に2万円を給付など、自治体独自の施策を実施しています。
     また、職を失った若者に対する雇用促進として、八王子市は若者・学生が応募可能なアルバイトを募集したり、若者・学生を雇用した企業等に対し、賃金相当額上限30万円を一定期間助成する「臨時学生等雇用促進奨励金」を支給するなど、若者や学生への生活支援に力を入れています。新宿区は、若者・学生の生活支援のためにどのような対策をとってきたのかお答えください。若者・学生の多い街、新宿区こそ経済的支援策を実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。
     質問の第二は、食料支援についてです。
     支援団体が各地で行うフードバンク等食糧支援活動を利用する若者・学生からは、「毎日の食事もままならず二日間食べていない」「もやしで食いつないでいる」など窮状が語られ、リーマンショックの時と比べても女性や若者の利用が顕著になっていると報告されています。
     区の実施する食料支援としては、生活福祉課による乾パンの配布、食品ロス対策としてのフードドライブ、子ども未来基金によるフードパントリーなどが挙げられますが、それぞれの事業の趣旨や内容が異なります。これらの事業に加えて、コロナ禍に対応する緊急支援としての「食糧支援」を、区として実施すべきと思いますがいかがでしょうか。今年4月、「生理の貧困」対策として災害用備蓄物資の生理用品等の配布を行いました。コロナ禍はまさに災害であり、緊急支援として評価できるものです。さらに災害用備蓄物資のアルファ米、ビスケット、缶詰などの物資を困窮者に配布することを検討してはいかがでしょうか。また、フードバンクを行っている支援団体と連携し食品を供給する仕組みを検討してはいかがでしょうか。相談窓口である区自身がフードバンクを実施すれば、必要な情報提供を行い、支援制度につなげることができると考えますが、いかがでしょうか。
     質問の第三は、住宅支援についてです。
     生活に困窮する区内の若者にとって大きな負担となるのが家賃です。区の特定住宅の空き室を、困窮している若者のシェアハウスとして活用を検討してはいかがでしょうか。また、「区営住宅の再編整備」により現在閉鎖管理されている早稲田南町アパートについて、3年前の委員会で、災害などの時は使用の判断材料になる旨答弁しています。コロナ禍という災害に際して、貴重な区の施設は閉鎖せず、若者向けシェアハウスにするなど住居確保に役立ててはいかがでしょうか。
     質問の第四は、若者への情報提供についてです。
     フードバンクを利用したある若者は、緊急小口資金、住居確保給付金等の制度を紹介されるまで、「若い人も使える制度とは知らなかった」とのことでした。また、生活保護を若者は受けられないと思っている人も多いようです。こうした制度を若者も利用できることを広く周知する必要があります。また若者に住居確保給付金の活用を周知する際は、住民票を区内に移していなくても利用できることも含め、情報提供を行ってはいかがでしょうか。八王子市は市のホームページに「八王子市から学生の皆さんへ」と題したメッセージとともに、支援情報を案内しています。新宿区としてホームページ、SNS等も活用し若者へ向けた情報提供を行ってはいかがでしょうか。以上答弁願います。

     

    (吉住区長) 若者・学生への支援についてのお尋ねです。
     はじめに、区は若者・学生の生活支援のために、どのような対策をとってきたかについてです。
     生活支援相談窓口には、20代30代の方も多く相談にみえています。区では、生活に困窮された方が窓口に相談に来られた場合には、まず生活状況をお聞きし、困窮に至った原因や課題を確認します。その上で、一人ひとりの状況に応じた、自立に向けたプランを作成し、必要に応じて、住居確保給付金などの各種支援事業や、社会福祉協議会、公共職業安定所などの関係機関と連携した支援を行っています。現在のコロナ禍において、国が給付金等支援施策を講じているため、区が独自に若者・学生に特化した経済的支援を実施することは考えていません。
     次に、食糧支援と災害用備蓄物資の配布についてのお尋ねです。
     災害とも言われるコロナ禍において、区は、区民の健康・生命・生活を守るため、国や都、関係団体等と緊密に連携し、継続的に様々な取り組みを行っています。現在コロナ禍における生活困窮者対策として、国、都、区において各種支援策を講じているため、若者や学生などに対し、区が独自で食糧支援を行うことは考えていません。災害備蓄食料については、これまでも、災害用備蓄食糧の更新時期に合わせて、NPO団体や社会福祉施設などにお渡しし、有効に活用していただいています。具体的には、ペットボトル飲料水については、生活弱者支援等を行っているNPO法人福島いのちの水へ提供し、また、ベビーフードなどについては、ひとり親家庭の子どもたちを支援するNPO団体へお渡しし、さらに、都の食料マッチングシステムを活用して、アルファ化米等も提供することを検討しています。今後も、都の食料マッチングシステムの活用やNPO団体などへの寄贈を通し、コロナ禍における生活困窮者等への支援を行ってまいります。
     次に、フードバンクを行っている支援団体と連携し食品を供給する仕組みの検討についてです。
     区は、都の食料マッチングシステムの活用やNPO団体などへの寄贈を通し、生活困窮者等へ支援していることから、フードバンクを行っている支援団体と新たに連携することは考えていません。
     次に、区自身がフードバンクを実施することについてです。
     区では、生活困窮者に対する支援は、本来、食料の供給など一時的な支援を行うのではなく、困窮に至った原因や課題を把握し、一人ひとりの状況に合わせた包括的な支援を行うことが重要だと考えています。そのため、区が自ら率先してフードバンクを実施する考えはありませんが、生活困窮者に対しては、引き続き生活支援相談窓口や生活保護の相談窓口で、対応してまいります。
     次に、住宅支援についてのお尋ねです。
     特定住宅は、中堅所得者層の子育てファミリー世帯を支援することを目的とし、高い入居率を確保しています。このため、若者のシェアハウスとしての活用は考えておりません。
     次に、旧早稲田南町アパートの活用についてです。
     早稲田南町アパートは、築後40年以上が経過し建物の老朽化が進んだため、平成27年度に弁天町コーポラスへ入居者の移転を行い、区立住宅としての用途を廃止しました。大地震などの災害時の緊急避難を目的とした利用は考えられますが、居住のための住宅に使用することは、考えておりません。区では、新型コロナウイルスの影響で就業機会の減少などにより若者に限らず住宅に困窮した方へは、住宅相談をご利用いただくよう周知に努めているところです。
     次に、若者への情報提供についてのお尋ねです。
     区では、区ホームページ等において、住居確保給付金を含む生活困窮者に対する各種支援について、適時情報を更新し、的確に情報が伝わるよう努めているところです。今後も、生活困窮者支援に関する情報について、引き続き、区ホームページにより周知を図るとともに、SNS等でハッシュタグを効果的に活用するなど、工夫して発信してまいります。

     

    (雨宮議員) 次に、気候変動と CO2の削減について質問します。
     4月22、23日に、気候変動サミットが開かれ、参加国が温室効果ガス排出削減目標の引き上げなど積極的な対応策を示しました。EUは1990年比55%減、アメリカは2030年までに2005年比50~52%減と新目標を打ち出し2050年までに排出ゼロを実現するとしました。菅首相も2030年度削減目標を「2013年度比46%減」と表明しました。従来の「26%減」という目標から上積みはしたものの、危機打開のため求められる水準からは大きく立ち遅れたままです。目標達成には実効性も問われており、石炭火力発電所の全廃は不可欠です。ところが菅政権は、石炭火力発電に固執し新増設まで計画し、国際社会から批判されています。石炭火力からの決別こそ急務です。区長は、「46%減」の目標を、石炭火力発電との決別なしに達成できると思いますか。気候変動サミットの感想も含めお聞きいたします。
     5月26日に温暖化対策推進法改定法が成立しました。これまで脱炭素化を迫られていたのは主に大企業でしたが、国だけでなく地方自治体も同じ目標を持つことになりました。新宿区は6月5日、「新宿区ゼロカーボンシティ表明」を行い、区民・事業者・区の役割を明らかにし、当面取り組む4事業を示しました。
     質問の第1は、温室効果ガス(CO2排出量)の削減目標についてです。
     新宿区の2018年2月策定の第三次環境基本計画では、温室効果ガス(二酸化炭素)について、2013年度比24%削減を2030年度目標としていますが、区は2021年12月を目途に目標見直しの骨子案を作成するとしています。国の削減目標が大幅に引き上げられ、区としての削減目標の数値は倍以上になると想定されますが、いままでの取り組みではとても達成できません。どのように具体化していくのか、区長の決意も含めて伺います。
     質問の第2は、「新宿再エネオークション」の実施についてです。
     新宿区と株式会社エナーバンクが「再生可能エネルギーの利活用の推進に関する協定」を締結し、新宿区内の事業者が電力オークションで再エネ電力調達を行えるというものですが、電力契約の再エネ比率も1%から100%まで選択可能です。エナーバンクによる再エネオークションを先行実施しているさいたま市は、「再エネ100宣言」として企業、自治体、教育機関、医療機関等の団体が使用電力を100%再生可能エネルギーに転換する意思と行動を示し、再エネ100%利用を促進する新たな枠組みに取り組んでいます。新宿区もさいたま市のように「再エネ100宣言」を行い再エネオークションの普及啓発と同時に再エネ100を促進すべきではないでしょうか。区内事業者の再エネ活用の実態を把握するとともに再エネ普及率の数値目標を持ち、計画的に進めることが必要と思いますが、いかがでしょうか。
     質問の第3は、「区有施設におけるCO2排出量削減に向けた基本方針」の検討についてです。
     牛込保健センター等施設建替えをリーディングケースとして、環境に配慮した電力調達や建替え時の方策等、2022年度に基本方針を策定するとしています。牛込保健センター等施設は区施設では初めて、基準一次エネルギー消費量から50%以上の削減等を実現するZEB Ready認証を取得しますが、建設後にはZEB化の検証を行い、他の施設や民間にも普及拡大していくべきではないでしょうか。区有施設建設の際にはZEB化を必須とすることはもちろん、施設の長寿命化もCO2削減に有効です。「区有施設におけるCO2排出量削減に向けた基本方針」の検討は庁内だけでなく、外部の専門家も入れて、区民の意見も聴きながら作成すべきと考えますが、いかがでしょうか。
     質問の第4は、CO2削減と再開発についてです。
     小池都知事は3月30日に「未来の東京」「戦略」を発表し、財界・大企業の利益優先の再開発を東京都全域に進めようと、2030年までに100メートル以上の高層ビル・マンションを230棟以上計画しています。その一画をになっているのが新宿区です。新宿駅周辺地区まちづくり計画の小田急電鉄ビルは高さ260メートル、今後、京王電鉄ビル、JRビルも同様の高さに、さらに西新宿の超高層マンション等が計画されています。現在建設中の歌舞伎町・東急ビルは、高さ225メートル、延べ床面積約88,000平方メートルです。このビルは、CO2の排出量が2009年度の実績値で開発前が2,000トンに対し開発後は7,600トンと想定されており、なんと3.8倍に増えます。「しんじゅくの森」カーボン・オフセット事業では、2019年度、伊那市など3市で約39.3ヘクタールで346.8トンのCO2削減となっており、東急ビルの7,600トンのCO2を削減するためには、861ヘクタールと21.9倍の面積が必要となります。新宿区の面積の約47%、東京ドームの183個分です。東急ビルだけで年間CO2排出量がこれだけ増えるわけですから、今後計画されている小田急ビルなどの開発で莫大なCO2、温室効果ガスをこれからも、増やし続けことになります。「ゼロカーボンシティ」表明をした今、区長はこのような現状をどう認識されていますか。コロナ禍で東京一極集中の見直しが叫ばれている中で、さらに一極集中をすすめ、CO2を増加させるこのような再開発は見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁願います。

     

    (吉住区長) 気候変動とCO2の削減についてのお尋ねです。
     はじめに、国の2030年度における温室効果ガス排出削減目標についてです。
     本年4月に開催された気候変動サミットでは、主要国が2030年までの削減目標を打ち出し、我が国も2013年度比46%減とする新たな目標を表明するなど、脱炭素に向けた世界的な動きが加速されたものと評価しています。国は、昨年12月に策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の中で、石炭を含む火力発電について、CO2の回収や再利用といった新たな技術の確立を前提とした利用をしていくとしています。また、現在、新たな目標に合わせ、エネルギー基本計画の改定作業が行われています。その中で、石炭火力発電も含めて検討されるものと考えており、その動向を見守ってまいります。
     次に、区の温室効果ガスの削減目標についてのお尋ねです。
     区では平成30年2月に策定した第三次環境基本計画において、2030年度におけるCO2排出量を2013年度比24%削減と目標に掲げ、地球温暖化対策推進の取組を、区民・事業者・区がそれぞれの役割を果たしながら進めています。この取組により、区内のCO2排出量は削減が続いており、2018年度におけるCO2排出量は2013年度比15.6%の減で、順調に進んでいると認識しています。この度の「ゼロカーボンシティ」の表明により、CO2排出削減の取組を一層促進させていく必要があります。そのため、効果的な取組等について、新たな目標値の設定も含め、環境審議会で幅広くご意見をいただきながら検討を進め、令和4年度の「第三次環境基本計画」改定に向けた骨子案を、12月を目途に作成してまいります。今後、「ゼロカーボンシティ」の実現に向け、これまで以上に区民・事業者との連携・協力を深めるとともに、区自らも率先して更なる温暖化対策、脱炭素社会への取組を進めてまいります。
     次に、「新宿再エネオークション」の実施についてのお尋ねです。
     区は、コストを抑えつつ再生可能エネルギーを導入できる仕組みとして、区内事業者を対象とした「新宿再エネオークション」を9月を目途に実施することといたしました。「再エネ100宣言」と再生可能エネルギー普及率の数値目標設定を行う考えはありませんが、「新宿再エネオークション」の実施にあたっては、再生可能エネルギー比率の高い電力の調達も可能となるよう取り組むとともに、普及状況の把握に努めてまいります。
     次に、「区有施設におけるCO2排出量削減に向けた基本方針」の検討についてのお尋ねです。
     ご指摘のように、牛込保健センター等複合施設は区が建設する建物で初のZEB(ゼブ) Ready(レディ)の認証を取得いたしました。区では、この取組をリーディングケースととらえ、今後の新たな区有施設の建設についても、この「区有施設におけるCO2排出量削減に向けた基本方針」を策定する中で十分に検討するとともに、都市再開発の制度等を活用して民間建物の誘導を図ってまいります。ZEB(ゼブ)化された区有施設についても、建設後は他の施設と同様に、適切な維持管理や、環境マネジメントシステムに基づく省エネルギーの取組に努めてまいります。区有施設におけるCO2削減は、第三次環境基本計画の改定の中でも検討すべきテーマであると考えています。そのため、環境審議会での専門家や区民の意見を十分に踏まえ、作成してまいります。
     次に、CO2削減と再開発についてのお尋ねです。
     市街地再開発事業などは、防災性の向上やまちの機能更新など、地域課題を解決するために有効な手段であると捉えています。再開発などでは、建築物の延床面積が大幅に増加するため、CO2排出量も増加しますが、設備の省エネルギー化などによりCO2排出量の削減に取り組んでいます。再開発などで活用される都市開発諸制度では、「環境都市づくり」を重要方針の一つと位置付け、建築物の高断熱化及び省エネ性能の高い設備の導入やエネルギーの面的利用の検討、緑化の推進など、様々な取組を義務化することで、CO2排出量の削減を図っています。また、令和3年度には、電気自動車等の充電設備の設置も義務化しました。さらなる取組として、義務基準より厳しい水準を求め、エネルギー消費量を正味でゼロとするZEB(ゼブ)の実現を誘導していきます。今後も環境に関する技術革新を注視し、再開発などに求める環境配慮事項を強化していくことで、ゼロカーボンシティの実現に向けて取り組んでいきます。

     

    (雨宮議員) 次に、行政のデジタル化問題について質問します。
     5月12日、デジタル関連法が国会で成立しました。菅首相は、「行政のデジタル化は、行政コストの削減、災害・感染症に強い社会の実現、データー利活用で経済成長に資する」として、あらゆる問題が解決するかのように述べています。確かに一般的なデジタル化は便利になる部分もあるでしょう。しかし、菅政権が進める「行政のデジタル化」の本質は、行政が集積・保有する個人情報を、「儲けの種」として、本人の同意もなく目的外利用し、外部提供して、「利活用」「成長戦略」の名のもとに企業の利益につなげようというものです。この間、行政サービスの民営化が推進されてきましたが、今度は行政の保有する個人情報まで営利企業に「開放」しようというのです。同時に、「情報システムの共同化・集約化」として、自治体の業務内容を国のシステムに合わせ、自治体の独自施策の抑制を狙うものです。個人情報の侵害、地方自治への侵害、国民生活への悪影響、官民癒着などの問題が懸念される行政のデジタル化から区民生活と地方自治の本旨を守る観点から以下質問します。
     第一に、デジタル関連法による個人情報保護の後退から、区民の個人情報をどう守るかについてです。
     現行の個人情報保護法制では、「個人情報」の取り扱いにあたって、「利用目的をできる限り特定し」、第三者提供は「あらかじめ本人の同意を得る」ことを原則としてきたので、収集した個人情報を、本人の同意を得ずに、当初と異なる目的のために流用したり、無断で第三者に提供したり、必要以上に大量の個人情報を収集することは違法とされ、一定の規制が設けられてきました。しかし政府は、自治体が独自に個人情報保護を規定した条例を、約2000の地方自治体の数だけ条例があることをもって、国の一元管理に支障を生じさせる「2000個」問題とやり玉にあげてきました。今回、デジタル関連法の一つであるデジタル社会形成整備法により、自治体の個人情報保護条例について、平井担当大臣曰く「いったんリセット」し、全国共通のルールを設定することにより縛りをかけました。そして自治体の持つ個人情報を匿名加工情報化・オープンデータ化することオンライン結合などにより外部提供することを可能としました。いくら特定の個人を識別できないように加工しているとは言え、他の情報と組み合わせれば判別される可能性のある個人情報を、本人の知らぬ間に、行政から行政へ、行政から民間へ提供することは、プライバシー侵害の危険性が極めて高いと言わざるを得ません。
     全国市議会議長会は、昨年10月、「個人情報保護は国の法律より自治体の条例が先行した経緯を踏まえ、自治体が納得できる丁寧な進め方をして欲しい」旨の要請を行っています。全国市長会は、昨年9月、「データの利活用には地方公共団体の意見を十分に聞きながら、混乱を生じないように慎重に検討をすすめること」を要請しています。従来からある区条例による個人情報保護を、新たな法の制定によって後退させるのは到底認められるものではないと考えますが、区長は個人情報保護をどのように考えるのか見解を求めます。また、新宿区として、個人情報の利活用を名目とした安易な個人情報の外部提供は行うべきではないと考えますが、区長の見解を求めます。
     第二に、デジタル化による自治体業務の標準化と、区の独自施策への制約についてです。
     デジタル関連法は、地方自治体の行う主要17業務を国が作るガバメントクラウドを利用したシステムに移行する、いわゆる「行政システムの標準化」を進めるとしています。住民票などの住民記録システムは2022年度から、介護保険・障害者福祉・就学・固定資産税・個人住民税・法人住民税・軽自動車税などの第1グループは2023年度から、選挙人名簿管理・国民年金・後期高齢者医療・生活保護・健康管理・児童手当・児童扶養手当・子ども子育て支援などの第2グループは2024年度からそれぞれ移行する計画です。地方自治体は地域の状況や住民の要望に応じて、この17業務に関して独自の施策を行っています。新宿区でも例えば介護保険料の段階を国の基準では7段階のところ、独自に16段階にして区民負担の軽減を図っています。しかし、行政システムの標準化が、自治体の独自の施策実施に大きな障害となることは、国がこれまで進めてきた、複数の自治体が共同でシステムを利用する「自治体クラウド」の例でも明らかです。自治体クラウドを利用している富山県上市町では、我が党議員が「3人目の子どもの国保税減免」「65歳以上の重度障害者の医療費窓口負担免除」など独自の福祉政策を提案したところ、町長は「自治体クラウドを採用しており、独自のカスタマイズは出来ない」と答弁しました。また滋賀県甲賀市でも自治体クラウドの標準パッケージからのカスタマイズは大きなコストがかかると受け入れませんでした。
     地方自治体が「住民の福祉の増進を図る」ためにさまざまな独自の施策を行うことは、「地方自治の本旨」実現のために必要不可欠であり、地方行政にどのようなシステムを使うかも地方自治体の自己の判断に基づいて行われるべきです。今回のデジタル化による自治体業務の標準化が、新宿区の独自施策否定の材料に使われることは許されないと考えますが、区長の見解を求めます。

     

    (吉住区長) 行政のデジタル化問題についてのお尋ねです。
     はじめに、区民の個人情報をどう守るかについてです。
     今回の個人情報保護法の統一化は、情報化の進展と個人情報の有用性の高まりをうけ、国や民間、地方公共団体等の全国的な共通ルールを設けることが目的であると認識しています。個人情報保護は、区民のプライバシー権の擁護に係る重要な施策であり、新制度においても、新宿区における個人情報の適正な取り扱いは確保すべきものと考えています。匿名加工情報については、厳格な加工及び事業者の利用にかかる審査が前提となっており、オープンデータとして利活用する提供先では識別行為が禁止されます。また、個人情報の外部提供についても、その必要性や提供先での安全措置を確認した上で行うことになっています。現時点では、国から地方公共団体における個人情報保護の具体的なガイドラインが示されていませんが、区が保有する個人情報の適正な取り扱いが確保できるよう、取り組んでまいります。
     次に、デジタル化による自治体業務の標準化と、区の独自施策への制約についてのお尋ねです。
     今回の国のシステム標準化の目的は、国民が行政手続における情報通信技術の便益を享受できる環境を整備するとともに、情報通信技術の効果的な活用により自治体の持続可能な行政運営を確立することです。自治体で共通に行っている住民記録をはじめ、国民年金や介護保険など17業務についてシステムを標準化し、システムの維持管理や法改正時の対応に係る財政的、人的な負担を軽減することができます。現在、標準仕様が公表されているのは住民記録システムのみであり、その他のシステムについては今後順次示される予定です。このため、現時点では区の独自施策にどのような影響があるかは判断できませんが、標準仕様が明らかになった段階で、その内容を精査し、適切に対応してまいります。

     

    (雨宮議員) 次に、高齢者いこいの家清風園について伺います。
     私たちは、清風園廃止問題について、区が強弁する「区民の合意を得た」は事実ではない事、障害者グループホーム建設には、安全性に問題があり期間も費用もかかりすぎる事などを指摘してきました。いよいよ、区が予定する9月廃止を目前に、清風園を解体するための予算が今定例会に提出されましたが、その金額に大変驚いています。
     新宿区の説明は今まで「高齢者いこいの家の解体に伴う設計等委託」3179万円の他、解体と擁壁改修費用が1億9000万円、合計2億2179万円としていました。これは高齢者いこいの家清風園の廃止理由が改修費用2億円で高額に上るとの説明を優に超えており、この時点で「清風園」の廃止はおかしいと多くの区民が疑問を持っていました。
     ところが、今定例会に提出された補正予算は、解体と擁壁改修工事が2023年度までと2年半もかかるうえ、設計費用と合わせれば5億7455万2千円であり、当初説明の3倍近くに膨れ上がりました。さらにエレベーターと渡り橋の築造で約1億2,000万円の支出を予定しており、障害者グループホーム建設そのものの他に6億9455万2千円もかかることになります。エレベーターのランニング費用は永遠に区から支出されます。なぜこれほどまでに費用が膨張したのか、理由と内訳をお示しください。さらに膨れ上がる可能性はないのか明確にお答えください。
     お隣の中野区では、区立療育センターアポロ園跡地に障害者グループホーム事業者を公募していますが、2016年から公募を開始して、今回まで4度に渡る公募を行ってもなお、5年かかっても決まらない状況です。土地の形状は平坦で問題がないところですが、看護師など人手の確保が非常に厳しいとのことです。「清風園」解体後の土地は、事業者は急な傾斜地に建物から計画して建設しなればならず、採算面からも日常の運営面からも公募が難航することは目に見えています。膨大な時間と予算を使って、障害当事者と保護者の悲願であるグループホームが永遠に遠のいてはなりません。今なら引き返せます。冷静に判断し適地に建設すべきです。区長の英断を求めます。よって清風園解体を再考し、すぐにでも都営角筈住宅跡地の活用を東京都へ働きかけるべきです。区長のご所見を伺います。

     

    (吉住区長) 高齢者いこいの家清風園についてのお尋ねです。
     はじめに、「高齢者いこいの家解体及び擁壁改修工事等」の費用が増加した理由と内訳についてです。
     当初は、建物解体に関連する擁壁の一部を改修する予定でしたが、詳細な調査を行った結果、敷地内に設置されている大部分の擁壁で耐震性について疑義が生じたため、改修の規模が増えたものです。そのために増加した費用が主な内訳です。これについては、建物の存否如何に係らず、いずれにしても必要な工事費用となります。
     次に、費用がさらに増加する可能性についてです。擁壁改修を行うための計画通知が10月に完了予定となっているため、今後図面等の変更が生じる可能性はありますが、工事費用については現在の積算内で収まるものと見込んでおります。なお、清風園の解体工事については、予定通り進めてまいります。
     次に、障害者グループホームについてのお尋ねです。
     区では、新宿区障害福祉計画の中で、区有地や国、都有地を活用して障害者グループホームの設置を進めることを方向付けています。清風園の跡地についても、この計画に則り民設民営で障害者グループホームの整備を進めるものであり、整備にあたっては実績のある民間事業者が障害者支援に関する専門性を最大限に活かせるよう、必要な情報提供や、建設費等の補助を行っていきます。
    なお、都営角筈アパート跡地については、当該土地の所有者である東京都が、跡地活用の方針を検討しており、この中で、土地の持つポテンシャルを最大限に生かしながら、地域の意向が反映されていくことが望ましいと考えています。

    区議会活動 | 雨宮たけひこ

    2021.07.25 更新

日本共産党新宿区議団
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