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    2015年第2回定例会 一般質問

    6月11日の本会議で、佐藤佳一議員が空き家対策の充実について一般質問を行いました。

    正式な会議録ではありませんが、概要をご紹介します。

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     日本共産党区議団の佐藤佳一です。空き家対策の充実について一般質問します。
     5月26日、「空き家対策特別措置法」(以下「特措法」)が、全面施行されました。高齢化や人口減の影響で空き家は増加を続け、全国の住宅の14%にあたる820万戸に上っています。管理が行き届かずに老朽化した住宅は、地震などで倒壊する危険があり、ゴミの放置や不審者の立ち入りによる治安悪化などで、社会的問題にもなっています。特措法は、こうした住宅を自治体が「特定空き家」に指定し、所有者に解体や修繕などを勧告・命令できるようにし、命令に応じない時は、自治体が所有者に代わって取り壊し、費用を所有者に請求することも可能となりました。さらに特措法では、特定空き家の所有者が自治体の勧告などに従わない場合、住宅が建っていても固定資産税の軽減措置を打ち切ることができるようになりました。また、23区については区が空き家の所有者を把握するため都税事務所の固定資産税情報を入手できるようにもなりました。一方で、個人の財産を自治体が代執行をおこなうことの問題、解体撤去する時の所有者の費用負担問題、行政の権限で所有者の税負担が重くなる措置を講じるなど慎重に扱わなければならない課題もあります。
     昨年10月現在、全国で空き家条例は401の自治体で施行され、23区内でも6区にのぼっています。新宿区も2013年10月より施行され、そのうち2014年度末までに空き家に関する相談は38件、ごみ屋敷の相談は9件、管理不全として審査会に報告され認定されたのは、空き家が2件、ごみ屋敷が2件です。38件の相談のうち審査会に報告されるまでもなく調査段階で改善された空き家が12件、ごみ屋敷が2件ありました。条例施行により、空き家、ごみ屋敷対策は一定の成果を上げていると言えます。
     しかし一方で、「隣の空き家から屋根が朽ち果てその一部が自分の敷地に落ちてきた。区に調査をお願いしたが、管理不全な空き家とは認定されなかった」という声も寄せられています。また、2013年の住宅・土地調査では、新宿区の空き家総数は、28,560戸と5年前より1350戸増加し、総戸数の12.2%となっています。「特措法」及び「特措法」ガイドラインでは、地方自治体に空き家の実態調査、空き家等対策計画の策定、空き家及びその跡地の活用、データベースの整備などを行うこととされています。「特措法」に基づいてより踏み込んだ実効性ある空き家対策を進めることが必要です。以下質問します。
     最初は、特措法施行を受けた区の対応についてです。
     第1は、第三者機関に諮る内容についてです。これまで区では、条例に基づき学識経験者や専門家などで構成する「空き家等適正管理審査会」を設置し、管理不全な空き家に対して命令などの手続きを行う場合、審査会に諮って、慎重に対応することとしてきました。今回特措法ができて、これまで条例になかった特定空き家に該当し、勧告を受ければ固定資産税が6倍になるなどの制度もでき、これまで以上に住民に対する影響が大きく、慎重な対応が必要になってきます。行政だけで判断するのではなく、第三者機関の意見を聞きながら、空き家対策を推進すべきと考えますがいかがでしょうか。
     第2は、空き家の実態調査と空き家対策の計画についてです。2013年第4回定例会での田中議員の質問で区内の全戸実態調査を求めたところ、「行わない」との答弁でしたが、「特措法」のガイドラインでは、地方自治体が空き家の実態調査を行うよう示されました。すでに足立区、豊島区、杉並区などでは、区が独自に実態調査を行っています。足立区では2011年に全家屋の実態調査を行い、「緊急性のない管理不全の家屋」「指導が必要な管理不全な家屋」「倒壊などの危険ありの家屋」と3段階に家屋を分類し、倒壊などの危険のある家屋と判定された88軒を1軒、1軒訪問し、所有者を調査するなどして、うち53軒が解体を行うなど、解決しています。「特措法」のガイドラインに基づいて区も実態調査をおこなうべきです。そして、実態調査に基づいて空き家対策の計画を策定すべきと考えますが、いかがでしょうか。
     次に、「特措法」と条例の実効性を上げるための具体策についてです。
     第1は、除却費用の助成についてです。空き家を除却する際最初にネックになるのが除却費用です。2014年9月現在、耐震助成事業として23区中9区で助成をしていますが、足立区では、2011年から老朽家屋等の解体除却費用の助成を始め、当初は2分の1、50万円以下でしたが、2013年1月1日~2016年の3月までは、耐震化率の向上のため10分の9、100万円以下に増額し解体除却をすすめています。耐震助成を含め、昨年度まで累計約1500件が助成金を受けています。そのうち40件が老朽家屋の解体除却助成だそうです。新宿区でも解体除却費用の負担を軽減し空き家対策をより充実させるためにも解体除却費用の助成をすべきと考えますがいかがでしょうか。
     第2は、税制上の措置についてです。空き家の解体が進まない大きな要因は、更地になると固定資産税が最大6倍に跳ね上がるところにあります。特に都心区は固定資産税が高いのが現状です。先ほどの田中議員の質問でも、国や東京都に対して、更地となった後の一定期間は固定資産税の軽減措置を求めることについては「検討する」との答弁でしたが、どのように要請されたかお聞かせください。足立区では、場所によって解体後駐車場とし整備することを推奨し、負担の増える固定資産税の補填になるようにお知らせしています。新宿区でも駐車場の整備など解体後の活用に関する情報を周知すべきと考えますがいかがでしょうか。
     第3は、空き家の有効活用のサポートについてです。昨年の予算特別委員会であざみ委員が、杉並区の空き家活用の事例をひいて質問した際、「他区の事例を参考にしたい」との答弁でしたが、その後も各自治体では、空き家バンクなど空き家の活用がさらにすすんでいます。
     世田谷区では、2013年4月から、区内にある空き家、空室、空き部屋を「空き家等」として地域資源と捉え、空き家等の地域貢献活用を目的とした「空き家等地域貢献活用相談窓口」を開設し、事業は区が設立した財団「世田谷トラストまちづくり」に委託して行われています。相談窓口では、地域貢献活用に提供いただける空き家等を保有するオーナーと、NPOなどの利用団体とのマッチングに取り組んでいます。窓口開設以降2014年12月まで812件の問い合わせがあり、内訳はオーナーから3割、借り手側6割、その他1割となっています。これまで5団体が「世田谷らしい空き家等の地域貢献モデル」に採用されマッチングに成功し、1団体あたり200万円を限度に助成を受けることになりました。助成金は、企画を実現するための初期整備費用として、空き家等の改修工事費、備品購入費等に使うことができるとのことです。こうした成功例を参考に、新宿区でも相談窓口を設け、空き家の有効活用を推進すべきと考えますがいかがでしょうか。以上お答えください。


    (区長室長と都市計画部長による答弁)
     佐藤議員のご質問にお答えします。空き家対策の充実についてのお尋ねです。
     初めに、第三者機関の意見を聞きながら、空き家対策を推進すべきとのお尋ねです。
     今回の特措法では、特定空家等の定義、固定資産税の課税情報の内部利用、指導、勧告、命令及び代執行などを定めています。 
     一方、区では、条例により新宿区空き家等適正管理審査会を設置し、当該空き家が管理不全の状態に該当するか、命令を行うか及び代執行の手続きを行うかの判断の際に、審査会の意見を求めています。
     当該空き家が特定空家等に該当するのか、勧告や代執行を行うかの判断等は、特定空家の所有者等の権利に重大な影響を及ぼすおそれがあるため、今までどおり、第三者機関の意見を求める仕組みを用いることにより、慎重に対応してまいります。 
     次に、空き家の実態調査と空家等対策計画についてのお尋ねです。
     区では、空家等対策の推進に関する特別措置法の全面施行を受け、空家等対策計画の策定に向けた検討を進めているところです。
    また、空家等対策計画を策定するためには、実態を把握する必要があることから、空き家の実態調査の実施やその方法等についても、空家等対策計画の策定とあわせて検討してまいります。
     次に、空き家の解体除却費用を助成すべきとのお尋ねです。
    管理不全な状態など、放置することが不適切な空き家等が除却されない理由として、所有者等の経済的な事情とともに、相続によって権利関係が複雑化し、所有者等が不明確となっていることや、除却によって固定資産税の減免措置が受けられなくなることなどが、所有者等による積極的な除却が進まない要因となっていると考えられます。
     区はこれまでも、所有者等による空き家の除却や改善を促すため、不明確となっている空き家の所有者等の調査、共有者間の合意形成のための働きかけを行ってきました。
     区は、さまざまな事情を抱える所有者等からの相談体制や、共有者間の合意形成への支援体制の充実を図りながら、所有者等による除却が行われない空き家については、減免措置を除外するなど、空家等対策の推進に関する特別措置法を適切に運用することで、所有者等による空き家の除却が促進されるものと考えています。
    したがって、現時点では空き家に対する解体除却費用の助成については考えていません。
     次に、固定資産税の軽減措置を求めるよう、国や都に要請したかとのお尋ねです。
     平成25年第4回定例会では、「今後の国の動向を注視しながら、区としても国や都に対する要請を検討してまいります」とお答えしております。この間も、議員立法による特措法制定の動きや、国による固定資産税等の制度改正の検討が進められていたことから、その動向を注視してまいりました。
     次に、空き家の解体後の土地活用に関する情報を周知すべきとのお尋ねです。
     土地の活用方法として、駐車場の整備などの情報を提供することにつきましては、より専門性の高い、東京都宅地建物取引業協会新宿区支部による不動産取引相談等をご案内するなどの対応に努めてまいります。 
     次に、他の区の成功例を参考に、新宿区でも相談窓口を設け、空き家の有効活用を推進すべきとのお尋ねです。
     区は、区内の不動産の価値が高く、また、民間不動産事業者の活発な経済活動もあることから、不動産の流動性が高いという特性があります。
     区では、今後実施する予定の、空き家実態調査の結果を分析しつつ、区の特性を活かした、民間事業者を中心とした効果的な空き家の有効活用策について検討してまいります。
     以上で答弁を終わります。

    区議会活動 | 佐藤佳一

    2015.06.18 更新

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