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    2015年第3回定例議会 一般質問

    9月16日の本会議で、沢田あゆみ議員が保育園の待機児童解消とより良い保育環境の整備について一般質問を行いました。

    正式な会議録ではありませんが、概要をご紹介します。

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     日本共産党区議団の沢田あゆみです。私は、保育園の待機児童解消と、より良い保育環境の整備について、一般質問します。最初に、待機児童解消について質問します。
     遅くとも2019年4月1日には待機児童ゼロを実現という至上命題のもと、早急な対策が求められています。私の所には4月以降も保育園入園に関する相談が何件も寄せられています。出産の喜びもつかの間、すぐに保育園の心配をせざるを得ないのです。今年度も、4月1日の待機児童数は新定義、旧定義それぞれ168人と326人で、ゼロにはほど遠いと言わざるをえない状況でした。認可保育園に入れなかった人のうち、認証保育所には入れた人は保育料の助成があり、まだ救われますが、それ以外の保育施設利用者には何の助成もなく、不公平感を訴える声も聞いています。
     今後の計画では、「にじいろ保育園高田馬場東」が今年11月に、(仮称)早稲田南町保育園分園が2016年4月に、大久保3丁目再開発地域には2016年5月に、中央図書館跡地の認可保育園と、都庁内保育園も来年度中にオープンの予定です。加えて、大木戸こども園の定員62名の拡大が新たに打ち出されました。また、来年4月からの区立幼稚園での預かり保育実施にあたってモデル事業が始まり、待機児童解消につながることが期待されています。しかし、それらがすべて予定通りに進んだとしても、この3年間で1457名の定員枠を増やしてきたにもかかわらず、保育需要の高まりの方が上回り、待機児童が減らない状況を考えると、さらなる努力が必要です。以下、具体的に質問します。
     第1に、来年4月1日の待機児童解消に向けての取り組みです。どこで何人認可保育園の定員を増やす予定なのか、増設および既設園での定員増等を保育園別、年齢別にお答えください。少なくとも待機児童解消2019年4月ゼロの見通しを確実なものにするには、さらに認可保育園の新規建設計画を早急に打ち出すことが必要と考えます。更に、これまでも提案してきた都有地・児童相談センター跡地や、国有地・戸山3丁目諏訪通りの公務員宿舎跡地など、駅に近い公有地の活用を具体的に進めるべきと考えますがいかがでしょうか。
     第2に、区立幼稚園の預かり保育についてです。モデル園での実施状況と、預かり保育がどの程度保育園の待機児解消に寄与すると予想しているのかお聞かせください。現在の園児はそもそも保育に欠ける児童は想定されていませんが、保育園入園希望者の中には預かり保育を周知すれば今からでも区立幼稚園に入園したいと思う保護者が居るかも知れません。モデル園のうち定員に空きがある4・5歳児については、保育園の申込者に個別に案内をすべきではないでしょうか。来年度の本格実施に向けては、幼稚園入園希望者だけでなく保育園入園希望者にも充分に周知を行い、その際、保育園と幼稚園の両方に申し込みができるようにし、認可保育園に申し込みをしながらやむを得ず幼稚園の預かり保育を利用する場合は保育園の待機児童としてカウントすべきと考えますがいかがでしょうか。また、区立幼稚園全園での3歳児保育実施と、預かり保育の実施に向けては、担任教諭はすべて正規職員にすることなど人員配置の充実を求めてきましたが、具体的にはどのような配置となるのかお答えください。
     第3に、認可外保育施設利用者への保育料助成制度の充実です。私は、認証保育所以外の保育施設利用者でも、待機児童である以上は保育料助成を行うべきと、今年の予算特別委員会でも強く求め、「検討等をしていきたい。研究をしたい。」との答弁でした。既に23区中5区が実施しています。また、助成額についても認可保育園との差額とすべきです。他区のように、「認可保育園の待機児童で、東京都の認可外保育施設に対する指導監督基準を満たす旨の証明書が発行されている施設に月160時間以上の契約をし預けている場合」などの基準を設けた上で認可保育園の保育料との差額を認可外の保育施設利用者にも助成すべきと考えます。この間の研究・検討の状況もあわせてお答えください。
     次に、より良い保育環境の整備について質問します。
     子どもたちの育ちを保障するため、ハード面とソフト面からの保育環境整備が必要です。この間、賃貸物件による認可保育園の整備という手法が多く採られてきたため、園庭のない、または狭い保育園が大幅に増え、定員も以前は100名未満の規模が多かったのが、今は定員の弾力化や大規模化で、多くが100名以上の規模となり来年4月に定員拡大を予定している大木戸子ども園は219名というマンモス園となります。待機児童解消のためとはいえ、大木戸子ども園は現在の157名でも避難訓練の時に全員が園庭に出るとあふれてしまうため各階ごとに集まり、保育士が大声で確認しあっているとのことですから、さらに62名も増えるとなると、果たして災害時はどうなるのだろうと不安です。
     また、今でも大木戸子ども園のゼロ歳児は定員18名と大人数ですが、グループ分けして少人数で保育されているため、落ち着いた保育が可能となっています。一方で、戸山第2保育園のように0歳児の定員が9名から12名、さらに14名まで拡大をしていますが、ベッドは12台しかありません。そのため、本来は赤ちゃんが自由に動き回り充分にはいはいをさせて発達を保障するためのほふく室が寝る場所にもなっており、子どもの育つ環境が悪化しています。保育士にも子どもにも負担をかけているのが実態です。多くの既存園が定数拡大で同じような状況になっています。
     保育園の定数が増えれば当然保育士も増やさなければなりません。保育士のみなさんは日々パソコンで入力しなければならない事務作業がありますが、保育時間内は当然子どもたちに向き合う時間なので、パソコンと向き合う時間などありません。入力の時間が集中することと、そもそもパソコンの台数が少なすぎて、例えば大木戸子ども園では1台を6.4人で、弁天町保育園は5.2人で使わなければなりません。そうした状況の下、時間外労働やサービス残業が行われ、多くの保育士が疲れ切っているという実態があるのではないでしょうか。また、事務についても、幼稚園には非常勤の事務職員が配置され、子ども園も園予算の中で臨時職員を雇用していますが、保育園はどんなに大規模でも事務職員が配置されていません。保育士が疲れていたのでは子どもたちにとっても良いはずがありません。保育環境の整備は保育の質を高めるためにも重要です。以下、質問です。
     第1に、保育園とクラスの適正規模についてです。被災地の教訓では、宮城県東松島市で津波に襲われながらも35人の園児全員を救った保育園の園長先生が、災害時に子どもを安全に避難させられる1園の規模はせいぜい80名までと言っておられました。今後の待機児童解消は大規模化ではなく新規建設で適正規模とすべきです。大規模化せざるを得なかった園ではクラス分けで少人数保育を保障すべきです。3歳児は国も実施の方向が示されている1クラス15名を、区は前倒しで実現すべきです。また、0歳児には人数分のベッドとスペースの確保を、定数拡大時には堅持すべきと考えますがいかがでしょうか。
     第2に、保育士の事務負担軽減についてです。保育園・子ども園にも幼稚園同様、事務職員の配置を行うべきです。パソコンを可能な限り増やし、必要ならLANケーブルも増やすべきです。パソコン不足が原因で残業が増えサービス残業が行われているとしたら本末転倒でありコンプライアンス違反です。速やかな改善を要求し、答弁を求めます。


    (子ども家庭部長) 沢田議員のご質問にお答えします。
     保育園の待機児童解消とより良い保育環境の整備についてのお尋ねです。
     はじめに、来年4月の待機児童解消に向けた取り組みについてです。
     区は待機児童解消対策として、来年4月1日までに認可保育園の定員を664名拡大します。ご質問の定員拡大の内訳について、新規開設園と既設園、保育園別、年齢別にお答えします。まず新規開設園としては、本年7月に開設した「ポピンズナーサリースクール市ヶ谷」で50名、10月に開設する「(仮称)富久ソラのこども園ちいさなうちゅう」で68名、11月に開設する「同分園」で80名、同じく11月に開設する「にじいろ保育園高田馬場東」で72名、平成28年4月に開設する「早稲田南町保育園分園」で134名となります。さらに既設園の定員拡大として、同じく4月に「大木戸子ども園」で62名、「ポピンズナーサリースクール市ヶ谷」で30名、「ほっぺるランド神楽坂」で33名、その他の既設園の定員見直しを合算して37名となります。そして認証保育所の認可化で、認可定員は98名の増となります。年齢別では、0歳児74名、1歳児120名、2歳児126名、3歳児108名、4歳児112名、5歳児124名の増となります。
     次に、公有地を活用した保育園の整備についてです。
     区は中央図書館跡地での保育所整備計画に続き、現在、早稲田南町第2アパート跡地で早稲田南町保育園分園の整備を進めているところです。また、国有地を活用した保育施設としては、本年7月、特別養護老人ホームもみの樹園で事業所内保育所が開設しました。ご提案の児童相談センター跡地等については、現時点で活用方針が公表されておらず、また区の子ども・子育て支援事業計画の整備地域にも含まれていませんが、整備が必要な地域については常に情報収集に努めているところです。
     次に、区立幼稚園での預かり保育についてのお尋ねです。
     まず、区立幼稚園での預かり保育が、どの程度待機児童解消に寄与するかについてです。区立幼稚園での預かり保育は、この9月にモデル園での試行が始まったばかりであり、待機児童解消への効果については今後の推移を見守ってまいります。
     次に、保育園利用希望者に対する周知についてです。
     今年度のモデル園での空き状況や、来年度の本格実施について、教育委員会と連携し、保育園利用希望者にも、入園相談窓口等において周知をしてまいります。なお、保育園と区立幼稚園との併願については、現在も可能となっています。
     次に、幼稚園の預かり保育利用者も保育園の待機児童数に含めるかどうかについてのお尋ねです。
     国の通知による待機児童の定義では、幼稚園の預かり保育利用者は待機児童に含めないとされています。新宿区の取扱いとして、幼稚園の預かり保育利用者を待機児童に含めるかどうかについては、預かり保育の実態に応じて個別に判断していくことになると考えます。
     次に、認可外保育施設の利用者に対する助成についてのお尋ねです。
     区では、認可外保育施設の利用実態を把握するため、区民の利用者数や利用時間などについて聞き取りを行うなどの調査をしています。また、東京都に対して、施設に対する立入調査の実施状況や改善状況などについて聞き取るなど、実態や課題の把握を行っているところです。
     次に、保育園とクラスの適正規模についてのお尋ねです。
     賃貸物件を活用した整備においては、概ね定員60名程度の認可保育園を想定して募集を行い、施設面積によっては定員24名の小規模認可保育園の整備も行ってきました。区は増大する保育ニーズに対応するため、今後も賃貸物件を活用した整備、公有地を活用した整備、既存園のスペースを活用した定員拡大等、多様な手法により保育施設の整備を進め、待機児童解消を目指していきます。
     次に、大規模化した保育園における保育についてのお尋ねです。
     大木戸子ども園は、平成28年4月より定員が213名に拡大しますが、他の大規模保育園と同様に、クラス分けにより少人数保育を実施し、これまでどおり丁寧な保育を行います。
     次に、3歳児のクラス規模についてのお尋ねです。
     子ども・子育て支援新制度では、3歳児の職員配置を基準の20名ではなく、15名につき1名とした場合に公定価格の加算が行われる仕組みができましたが、これは公定価格の加算制度であり、国が実施の方向を示したものではありません。
     次に、0歳児のベッドとスペースについてのお尋ねです。 
     ベッドを使用する期間と使用頻度は限られており、ベッドを使用せずフラットなスペースで保育を行っている保育園も多くなっています。また、0歳児の保育室面積について認可基準を満たすのは当然のこととしたうえで、人数分のベッドの設置にはこだわらず、発達段階に応じた保育スペースを可能な限り広く確保することで、良好な保育環境の整備に努めてまいります。
     次に、保育士の事務負担軽減についてです。
     区では、東五軒町保育園やおちごなかい子ども園などのように、園舎が分かれている施設の特殊性などを考慮して、副園長の加配や、事務を担当する臨時職員の配置を行っています。それ以外の園では、副園長が消耗品の購入などの庶務事務を担当しており、業務の内容や量は対応可能なものであると考えています。イントラネットパソコンの設置は、区全体で職種や業務内容に応じた基準を定め、必要性等を勘案して行っています。今後も、事務処理や時間外勤務の状況等を踏まえながら、台数の調整を図ってまいります。

    (教育委員会事務局次長)
     区立幼稚園での預かり保育についてのお尋ねです。
     この9月から市谷及び西戸山幼稚園で区立幼稚園における預かり保育の試行を開始しました。先週までの1日当たりの平均利用園児数は、両園ともおよそ6人となっています。区立幼稚園での預かり保育については、子ども家庭部との連携により保育園利用を希望する保護者に対し個別にお知らせしてまいります。なお、保育園と区立幼稚園との併願については、現在も可能となっています。
     次に幼稚園の正規教員の配置についてのお尋ねです。
     区立幼稚園については、正規教員を継続的に採用し、必要な人員の確保に努めております。来年度の具体的な配置については、これから作業を行ってまいりますが、これまでと同様に幼稚園全体の運営の中で正規教員の必要数を検討し、その配置を行ってまいります。

    区議会活動 | 沢田あゆみ

    2015.10.16 更新

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